2020年度テーマプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー

金賞

メンバー:砂野 耕三、一芝 省吾、願野 晃史、肥後 和宏、山口 徹郎、山本 隼
(※五十音順、敬称略)

2021年1月9日(土)、オンラインにて開催されたテーマプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。

Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?

(砂野 耕三)私達のチームでキックオフミーティングを行った8/8から、発表前日1/8のリハーサルまでの5か月間です。キックオフから週1回程度、オンラインでミーティングを行い、発表直前の週にはほぼ毎日ミーティングを行いました。いずれも21時頃から日が変わらない程度までの活動で、スケジュール管理や発表資料作成に優れたメンバーが他のメンバーを引っ張ってくれたこともあり、うわさに聞いていた、発表直前に会社を休んで集まったり、徹夜が続いたりということはありませんでした。

(一芝 省吾)8月にチームを結成してから1月の最終発表まで、約5ヶ月間研究に取り組みました。インタビューや個別に取り組んだ調査の他に、チーム全体での打合せは記録を残しただけで約30回実施しました。この間も業務に加えて他の科目の講義があり、両立出来るか不安でしたが、初めに計画を立て、課題提出が重なる時期には打ち合わせの頻度を減らすなど、チームで協力しながらなんとか乗り越えることが出来ました。

(願野 晃史)8/1にケースプロジェクト研究を終え、余韻に浸る間もなくその2週間後にはテーマプロジェクト研究が始まりました。今年はコロナにより、対面で同級生の人となりを知ることが難しかったので、大半のチームは8/2のシンポジウムで初めて登校し、そこでチームの形作りをしたと思います。そういう意味では、同級生のほとんどがヨーイドンという状況でした。
私たちのチームはチーム発足後、ほぼ毎週何らかの形でミーティングはしていたので、発表の1/9までの間、約5カ月の準備期間がありました。ですが常に議論が行ったり来たりで一本道ではなかったため、長いようで短い5カ月間だったと思います。

(肥後 和宏)8月のチーム結成から約5カ月間かけて準備しました。毎週土曜日の授業終了後に、ZOOMを使ったオンラインミーティングを実施しました。1月9日の発表までのタスク管理をしっかりおこなっていたので、チーム内では集中した議論ができました。メンバー内では、それぞれ仕事の背景が異なるため、とにかく議論が盛り上がりました。また、チーム内での役割分担は、6人のメンバーの個性や特徴を活かした点が良かったと思います。

(山口 徹郎)テーマプロジェクト研究開始(8月頃)と同時にその準備が始まりましたが、開始当初はゆったり目に、そしてどんどん加速していき、中間報告で火がついたという感じです。今年は顔を合わしての議論がなかなかできず、遠隔でのミーティングが殆どでしたが、遠隔ミーティングであることを最大限利用し、週末の講義後や、それに加え終盤では週に複数回ミーティングを行い、全員が納得するまでワイワイ議論し尽くしました。

(山本 隼)8月にプロジェクトを開始して、1月初旬に最終報告でした。5か月間で平日の夜および土曜日の講義後に、ミーティングを約30回実施しましたが、コロナ禍でほぼWEB形式でした。その他、企業様のインタビューや、研究テーマに関する学外の勉強会やワークショップにも複数参加しました。

Q2. 入学から振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?

(砂野 耕三)4月から始まった授業で、科目によっては宿題や予習が大変だったりしましたが、何とか乗り切っていった感じです。授業編成がよく考えられており、それまでの科目で学んだことが次の科目での予備知識になっていたりするので、自然と復習もすることになり、修士論文作成に向けての準備が進んでいることを実感しています。

(一芝 省吾)業務との両立はやはり容易ではなく苦労もありますが、充実感の方が大きいです。MBAを通じて得た知識をどのように実践していくのか、授業での学びと、日々の業務を往復する毎日を過ごしています。
私たちの学年は、コロナ禍の影響により入学直後からリモートでの受講を余儀なくされましたが、感染が落ち着いた秋ごろには一時通学が許され、漸く顔を合わせられた仲間との親交を深めることが出来ました。今はまたリモート講義が中心となり、毎週顔が合わせられないことが残念ですが、残りの期間もオンライン・オフラインそれぞれの利点をうまく活かして、取り組んでいきたいと思っています。

(願野 晃史)神戸大学の特色であるチームによるプロジェクト研究や、授業でもグループで議論させる形式のものは、自分の知らない世界に刺激を受けるのでとても楽しいし、それなりにタフな中身なのでやりがいもあります。しかし、大変残念なことに4月からほとんどがオンラインの授業なので、神戸大学の学舎で同級生たちと和気藹藹としながら、先生方の熱気あふれる授業を堪能する、という入学前に思い描いていた学生生活は叶わないまま一年近くが過ぎています。実際に通常の授業で通学が叶ったのは後期の秋に3週間だけ、という状況で、今後卒業までの間、ゼミ以外で登校する機会がどれだけあるだろうと同級生ともよく話しています(実は授業後に飲みに行きたいだけかもしれないが…)。
授業全般としては、多くが学術的な背景を基にした授業であり、当然実際の企業のケースなども用いて講義は行われますが、普段あまり使わない脳みそを使わされる感覚は頻繁に感じます。「それはなぜか」「論理的な説明になっているか」「問題意識の根本は何か」など、言われてみれば基本的なことなのですが、実務に追われて仕事をこなしているときには知らず知らずの間に抜け落ちるような事柄だったので、とても大事なことだと改めて気づかされます。

(肥後 和宏)新しい発見や気づきを得ることができ、充実感があります。毎週のレポート課題はハードですが、圧倒的な量をこなすことで、多角的な考え方や実用的なフレームワークの使い方を学ぶことができ、とても贅沢な環境と感じています。習得した知識を使って、所属企業の課題を考察すると、これまでの知識や経験では得られなかったアウトプットを創出できると考えています。

(山口 徹郎)毎回『熱い』ですね。私は医療従事者で、周囲からは「MBAって?何でMBA?」とよく聞かれます。実際、経営学の「け」の字も学んだ事がなかったので、一流の先生方の講義や第一線で活躍する級友との議論は正に「未知との遭遇」であり、常に発見の連続です。
神戸大学MBAの素晴らしいところは、週末に学びそして議論した事が、次の日には実務に還元する事ができる点であると思います。そして実務で新たに生じた疑問や問題点を、MBAの講義に持ち帰り議論をする、実務と学問が密接にリンクしている事は他に類を見ないのではないかと思っています。

(山本 隼)神戸大学MBAのコンセプトである「プロジェクト方式」、「働きながら学ぶ」、「研究に基礎をおく教育」に基づいて練り上げられたカリキュラムを実感しています。経営学のプロフェッショナルである先生方、多種多様な経歴を持つ同級生に囲まれて、実務とは異なる環境で学べることを幸せに思います。私自身は四国在住で、この環境に馴染めるのか心配もありましたが、関西の皆様の「懐の深さ」、そして講義や同級生との会話で見られる「笑い」にいつも癒されています。

Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

(砂野 耕三)ケースプロジェクトからの継続メンバー5名に新規加入メンバー1名を加えた6名で活動を行いました。優勝することが出来て、チームの皆さんに感謝すると同時に、このチームに所属することができてよかったと思っています。
発表会の準備に関しては、コロナ禍で対面での議論が3回しかできなかったのが残念でしたが、オンラインでのミーティングはケースプロジェクトで慣れており、特に不自由を感じることはありませんでした。 ただ、ケースプロジェクトからの継続メンバー5名で活動したJBCC予選やテーマプロジェクトの6名で活動したマーケティングリサーチの発表の準備が重なっている時期があり、その間は負荷が大きくて大変でした。残念ながらJBCCは予選落ちとなりましたが、マーケティングリサーチの発表はこのチームで1位を取ることが出来ました。
この負荷の高い期間をメンバー全員で乗り切って結果も得られたことが、最後まで深い議論が続けられた大きな要因だと思っています。

(一芝 省吾)5か月間を通じて積み上げた研究の成果を20分という時間で的確に伝えるため、最後の1週間は発表資料や原稿で用いる言葉の細部まで、連日チームでの議論を重ねたことが良い思い出です。
「SDGs」という、先行研究も少なく、現在進行形の広いテーマを研究対象としたことで、焦点を定めるまでには苦労がありましたが、サステナブルな社会の実現により一層の経営的関心が集まるこのタイミングで、このテーマに取り組めた意義は大きかったと感じています。
貴重な時間を割いてインタビューを受け入れて下さった企業・団体・専門家の皆様、中間発表で貴重なアドバイスを下さったOB・OGの皆様、ご指導下さった先生方、そして何より仲間に恵まれて、金賞という大変光栄な賞を頂くことが出来たことに感謝しています。有難うございました。

(願野 晃史)研究の型、問いの立て方、ダイナミックな論理展開など考えることは多かったのですが、それは他のメンバーに譲るとします。私が大変に思ったのは、「テーマの設定」です。多くのOBの方や先生方も、「どんなテーマを選ぶかで大方が決まる」と仰います。この意味は、「テーマの面白さ」ではありません。そのテーマは他にどんな研究があり、視点があるのか、それに対する自分たちの研究の新しさは何か。どれだけ深堀出来る要素があるのか、つまり情報があるのか、事例のツテがあるのか。参加しているメンバーはどれだけそのテーマのことを事前に知っているのか。
私たちは、メンバーの背景がバラバラだったこともあり、仕事における問題意識が統一できず、社会的な「SDGs」をテーマに選びました。ですがこれはこれで大変でした。表面をさらうと薄っぺらいし、深まると社会学部のようになるし、SDGsを経営の要素と結びつけて事例を探す、研究として深みを出すことに大変苦労しました。
結果的に金賞を頂けたことは、諸々の苦労が実ったようでとても嬉しいです。チームでの議論のサイクルが活発だったのが金賞を取れた大きな要因と思っています。誰も専門家がいないチームだからこそ逆に新鮮な議論を続けられたのだと思っています。

(肥後 和宏)大変だったことは、「問い」を立てることの難しさにあったと思います。「問い」が変われば、結論に至るまでのストーリーラインの設計が大きく変更になります。質の高いストーリーラインにするために、何度も議論を重ねて「問い」を修正しました。その結果、当初のストーリーラインと比較して、満足度の高いものになりました。
「チーム」で優勝を獲得できたことが、何より嬉しかったです。6人全員で、全力をだして、ゴールできたことに感謝です。メンバー1人、1人、みんなが主役だったと振り返ります。これも熱心にご指導いただいた先生方や有識者のご意見のおかげと心より感謝申し上げます。

(山口 徹郎)今年は企業インタビューも殆どが遠隔によるものになりました。遠隔インタビューは、物理的な距離は小さくなりますが、空気感の距離は遠くなります。そのような状況で、企業インタビューを深く行うにはどうすれば良いのかチームで思慮を重ねました。そして企業から頂いた生の声を、チーム内で夜遅くまで納得するまで議論し尽くせた事が優勝に繋がったのではないかと思っています。

(山本 隼)プロジェクト研究は「料理」に似ていると思います。美味しい料理は、①素材、②調理器具、③料理人が揃わないとできないように、プロジェクト研究も①研究テーマ・ケース企業、②研究の手法、③チームメンバーが揃って成果が出せるものと経験しました。その中でも、物事の動向や実態を明らかにする「調査」は実務家のメンバーが得意としていますが、「定性的研究」は物事の情報を集めて、それを元に考察し、「なぜ・どのように」といった因果を追求することが求められます。この違いを途中まで理解できていませんでしたが、先生方のご指導、中間報告会によるフェローの皆様からのアドバイス、2年生の先輩に紹介いただいた研究の方法論に関する書籍を通じて、軌道修正をすることができました。
チームメンバーをはじめ、研究を通じた多くの出逢いに感謝しています。

Q4. 今後の抱負をお聞かせ下さい。

(砂野 耕三)もう、授業があるのも残りわずかで、4月からは修士論文に集中することになります。既に何回かゼミに参加して、色々な気づきを得ており、修士論文の内容も悩んでいるところです。私の所属する三品ゼミでは会社に対して出す建議書を修士論文として作成することになっており、私も自分の会社に新しい展開を生み出せるような修士論文を作成できるよう、検討を進めていきたいと考えています。

(一芝 省吾)これからは、MBAでの学びの集大成として修士論文に臨みます。原点として、MBAを志した理由にもう一度立ち返り、修士論文では何を明らかにし、自社を通じて社会に還元したいのか、日々考えを深めています。
修士論文はプロジェクト研究とは異なり、個々の問題意識と向き合うことになりますが、刺激溢れる同級生の皆さんと切磋琢磨しながら、乗り越えられたらと思っています。
数年前まで、ろくに本も手にせず不勉強だった自分が、今ではMBAに没頭しています。MBAで定着したこの学びの習慣は、生涯大切にしていきたいと思います。

(願野 晃史)OBの方の話を聞くと、テーマが終わった後はあっという間に月日が過ぎる、とのことでした。正直言って、残ったプロジェクト研究である修士論文はなかなか不安です。一人で進めるので、チームで何かをするのが好きな私にとっては孤独を感じることも多いと思います。ですが、ゼミの先生、メンバーに恵まれていて、集まったときにはとても活発に意見交換ができるので、これを心の寄る辺としてやっていきたいと思います。
仕事と並行して毎週何らかの授業があり課題があり、本当に心折れそうになる事もありますが、それはそれで楽しいものと捉えて、同じ目に遭っている仲間が70名近くもいるわけですから、頑張れます。
神大MBAは学び終わった後に何ができるか、ではなく毎週何かを学びそれを平日は実務で活かすチャンスがあるというとても実益のあるプログラムだと思っています。残された期間も短くなってきたので、貴重な時間を過ごしたいです。

(肥後 和宏)今後は、本格的に修士論文に取り組みます。修士論文では、所属企業の抱える課題を解決する知見を得るよう、意義のある成果にしたいと考えます。執筆は、個人になりますが、同期と交流をもちながら、残りの神戸大学MBAの時間を最後まで駆け抜けたいと思います。

(山口 徹郎)現在は修士論文の作成に取り組んでいますが、早くも苦しんでいます。修士論文作成は個人戦ですが、プロジェクト研究で得た知識や経験はもちろん、かけがえのない仲間と共に、自組織や社会にインパクトを与える研究活動をしていきたいと考えています。

(山本 隼)現実の課題を研究に持ち込み、解決の糸口を探す。そこから得られた知見を社会に還元することを目標に、神戸大学MBAに入学して、取り組んできました。これから本格化する修士論文がそれらの集大成となります。しかし、まだまだ実力不足でゼミの先生や、関係者の皆様から指導を仰ぎ、自身の研究を突き詰めていく必要があります。
最後には多くの負担をかけている職場や家庭に、胸を張って研究成果を報告できるように、切磋琢磨していく所存です。

 

優勝チームの皆様、ご協力ありがとうございました。そして、おめでとうございました!