2020年度入学生の研究状況(担当:森村 文一)

「現代経営学演習」

担当:森村 文一

目的、テーマ

このゼミでは、組織と市場の間の様々な問題を研究テーマとし、専門職学位論文としてまとめることを目指しています。例えば研究エリアに分けると、サプライチェーン・マネジメント、製造業のサービス化、組織改革、マルチチャネル統合、プラットフォーム、サービス・デザイン、営業、イノベーションの採用、ブランド再構築など、非常に多様です。

このゼミでは特に“先人たちが残してくれた理論”を学ぶことに重きを置いています。専門職学位論文では、実務に根付いた問題を取り扱いますが、それが“実は何の問題なのか”、“どのような視点で問題を深堀りすればよいか”を思考し、“わかった”ということに到達し解決策を導き出すためには、理論という眼鏡が必要だからです。また、問題の性質に合わせて、適切な研究方法を採用しないと、“わかった”には到達することができません。そこで、“知を生み出す研究方法”を学び実践することもとても大切にしています。

ゼミの雰囲気

テーマが多様なため、混乱なく確実に研究を進めるために、ゼミ生を問題の性質や視座が似ている2グループに分けて、それぞれ隔週で研究進捗を報告するというスタイルでゼミを運営しています。1回の発表は持ち時間が30分あり、私(担当教員)や若手研究者、ゼミ生同士で、建設的なコメントやアドバイスを行っていきます。みなさん真面目に着実に研究を進めておられるので、毎回のゼミはとても真剣な雰囲気が漂っています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ゼミ開催が対面になったりオンラインになったりとなかなか落ち着かないですが、様々なコミュニケーションツールを活用して、オンラインのメリットを最大限得ながら、良い雰囲気でうまく研究が進んでいると思います。

現在までの進捗状況

このゼミは、主に3段階で研究を進めています。第1段階では、M2の5月末までに学位論文の問いを固め、論文のイントロダクションの草稿を書きます。先行研究を読み、研究したいと思う経営学的現象が“何の問題なのか”、“わからないこと・知りたいことは何か”ということを深堀りするだけでなく、“専門職学位論文で本当に解かなければならない問題なのか”ということも考えていきます。特に、ぼんやりとした問題意識を具体的な問いにすることは専門職学位論文で最も苦労する点ですが、問いが決まらなければ研究が何も始まらないため、問いを固めることにとにかく時間をかけました。この段階では、問いを起点とした論文全体のイメージがまだまだわかないので、過去のMBA生をお招きし、問いや理論、データ収集、論文作成の過程などについてポイントになることや苦労話を伺いました。これが、良い緊張感や焦りを生んだと思います。

第2段階では、副指導教員の指導を受けること、6月末までに方法論を決め調査設計を固めること、そして方法論までの草稿作成を行います。5月から6月にかけて副指導教員の指導を受け、さらに緊張感が増したことと、リサーチモデル作成や調査対象選定のための軌道修正が行われました。この文章が公開される頃は第2段階の末頃だと思いますが、緊張感や焦りが良い意味で奏効し、インタビュー先の選定やインタビューリストの作成、サーベイとその実施プロセスの設計などが順調に進んでいます。

第3段階では、7月末までに分析を終え、イントロダクション、先行研究の整理、方法論、分析結果、発見物とインプリケーションまで、一通り論文を書きます。論文提出までは、論文を書いては修正するという日々を過ごすことになりますが、“知りたいことを知ることができたか”、“所属企業に説得力ある提言ができるか”ということを自問自答しつつ、ゼミ全体で励まし合いながら、納得のいく論文が出来上がることを願っています。