辻浦秀将 さん

オムロンヘルスケア株式会社勤務 2010年度修了生 小川ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

理系の大学を卒業後、オムロン株式会社(後に分社しオムロンヘルスケア株式会社)に入社。国内営業部で中国エリアと関東甲信越エリアのドラッグストアや家電量販店向けに血圧計や体温計など健康機器の営業を8年間経験。その後、2008年に内部監査部門に異動し現在に至ります。今は内部監査部門にいますが将来的には新興国への市場進出などの業務に関わりたいと思っています。
2009年4月に神戸大学MBAに入り小川ゼミに所属。小川教授の指導の元で修士論文のテーマも新興国への進出をテーマに研究を行いました。紆余曲折ありながら2010年9月になんとか修了する事ができました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

営業部門から内部監査部門への異動により比較的時間の余裕が出来ました。異動後、最初は業務に直接関係のある簿記3級と2級の勉強をしていましたが、数ヶ月で取得することができました。次に何を勉強しようかと思った時に、経営学を学ぶ事で営業以外の部門に対しても少しはまともな監査をできるようになる為、そして内部監査での実務による経験だけでなく経営学の理論を学ぶ事により幅広い知識・スキルを習得する為にMBAを目指す事を決意しました。内部監査部門には、そんなに長く在籍する事もないだろうと思っていた事もあって、2009年からの2年間というタイミングでMBAに行くことが一番重要だと考えていました。神戸大学MBAに一番行きたいと思っていましたが、合格レベルがどれくらいなのか、自分は合格できるレベルにあるのかという事が全くわからなかったので不安な気持ちでした。けれど、試験に落ちて一年間無駄にするという事だけは絶対に避けたい。そこで、すべり止め(?)に神戸大学MBA以外にもう一つ某MBAも受験しました。幸い両方の試験を突破することができ、もちろん第一志望だった神戸大学MBAを選択しました。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

「MBAを修了した時に、周りの景色が変わって見えるか?」という小川教授の言葉。ただ残念ながら修了式の翌日の朝、目が覚めた時に昨日と違う景色が見えたという事はありませんでした(打ち上げで飲みすぎたため、二日酔いで死にそうでした)。
「MBAを取得したら仕事上の全ての課題が解決できるようなスーパーマンになれるか?」と聞かれたら、当たり前かも知れませんが答えは“NO”です。ただこの1年半、神戸大学MBAの厳しいカリキュラムの中で同級生達と切磋琢磨し学ぶ事で、少しは成長する事ができたと思います。そして神戸大学MBAで学ぶ事で在学中の成長だけではなく、今後自分がもっと成長していく為にどうしていけば良いのかという事についてわかった気がしています。これからのキャリアや人生において神戸大学MBAで学んだ事を活かしながら様々な一皮向ける経験をし、色々な人と出会い薫陶を受け、これらからも学び続ける事で、自分が目指すべき人間に少しでも近づいていけるようにしたいと思っています。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

私の場合は営業職から内部監査部門に異動したのち、業務時間については比較的負荷が低い状態だったのが本当に助かりました。営業時代は家を6時に出て23時半ごろに帰宅という生活を毎日を送っており、そのような状況でしたら両立は難しかったと思います。ただし日曜に出発し金曜の夜帰ってくるような長期の海外出張の時などは、勉強時間の捻出に苦労しました。
逆に苦労したのがプライベートとの両立です。我が家は1歳と3歳と6歳の遊び盛りの3人の子供がおり、せっかく家に早く帰っても子供の遊び相手をさせられる事がよくありました。子供達はパソコンをおもちゃと思っているようで、課題のためにパソコンに向かうとここぞとばかりに遊びをせがみにきました(この問題は子供にパソコン型のおもちゃを買ってあげることで解決しました)。また私が起きていると子供がなかなか寝ず、仕方が無いので超朝型の生活を送るようにしました。夜9時に就寝、朝3時に起床し会社に行く前の脳が元気な時間を課題等に費やすようにしました。「経営戦略応用研究」の膨大なレポート課題の時などは私が起きて課題を始めた時に、まだ寝ずに課題をしているメンバーもいて、24時間グループワークが続くという不思議な経験をしました。仕事の都合もあるので全員の方ができるわけではないでしょうが、個人的には朝方生活はおすすめだと思います。

5. 神戸大学の修学環境についてお聞かせ下さい。

私なりの感想ですが神戸大学MBAのカリキュラムは経営学に関する知識と問題解決の思考法の二つの事を1年半という限られた期間で学ぶ事ができるように考えられたカリキュラムだと思います。まず一つ目は経営学についての知識を学ぶカリキュラム。三品教授の「ゼネラルマネジメント応用研究」で自分の視野がいかに狭かったかについて痛感し、財務系の授業を経て迎える前半戦の総仕上げともいうべき小島教授の「経営戦略応用研究」では、過酷な筋トレのようなレポートがありました。そこから様々な授業を経て、最後は金井教授の情熱溢れる「現代経営学応用研究(組織行動)」の授業で自分のキャリアについて考える。経営学の様々な分野について、日本トップクラスの教授陣から授業を受けることで様々な気づきや刺激がありました。
次にケースプロジェクト、テーマプロジェクト研究という2度のグループワークでの事例研究を行ってから修士論文に挑むという、実務で抱える問題意識に根付いた課題をどのようにアカデミックに解決するかという、いわば思考法について学ぶカリキュラムです。修士論文作成では、今まで自分が実務においていかに考えずに仕事をしてきたかを痛感させられました。
以上の二つを学ぶ濃密なカリキュラムを何とかこなしている間に、あっという間に1年半が経ってしまいました。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

全ての授業が印象的ではありましたが、神戸大学MBAの特徴である「ケースプロジェクト研究」、と「テーマプロジェクト研究」という二つの科目はとても面白くとても印象に残っています。特にテーマプロジェクト研究では変わった社内制度をしている会社3社についてケース・スタディーを行い、サイコロを振って給料を決める会社、朝7時半からジョギングをする会社、先着順採用の会社など理解に苦しむような制度がある会社(ごめんなさい)を訪問しお話を聞く事ができました。調べる内容が面白かった事、個性的なチームメンバーに恵まれた事もあり、研究に没頭し「深く潜る」事ができました。そして最後メンバーからプレゼンの大役を任せていただき、チームメンバーのS氏の一発芸などもあり、見事金賞を受賞することができました。
またRST(日英産業事情応用研究)で英国からクランフィールド大生を招いて行ったウェルカムパーティーでは、「去年までと一緒じゃ面白くない」というメンバーの熱い一言から「祭り」をテーマにパーティーを行うことになり、一致団結し準備をしました。浴衣やハッピなど祭りをイメージした衣装、会場でヨーヨーつりや射的などの縁日を再現し、なぜかマワシをつけた力士が登場し日英相撲対決(ちなみに行司は忍者)。最後は盆踊りから「ABBA」の『ダンシングクイーン』で踊りまくってフィナーレ。本当に鳥肌が立つくらいの盛り上がりでした。当時は入学直後でお互いに探り探りだった気がしましたが一気に距離が縮まりました。そしてMBAにくるような人は何をするにもパワーがあるもんだなぁと感心し、こんな同級生と1年半一緒に過ごすことができるという事にとてもワクワクした事を覚えています。そして楽しみにしていたRSTのイギリス訪問を仕事で断念しないといけなかった事は本当に切ない思い出です。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

小川教授からは「MBA修了はゴールでは無くスタートだ」という事を繰り返し言われました。当時はピンときていなかったのですが、今、「修了生の声」を書く機会をいただき、この1年半を振り返ってみるとその言葉が理解できるようになった気がします。
修了式の場で金井教授が「MBAで学んだ事を全て忘れても残っているものが、MBAで学んだ価値だ」というような事を言われていました。授業で学んだ知識は忘れてしまったり、時代の変化と共に使えないものも出てくるかも知れません。ただ神戸大学MBAで得た「問題意識についてどうやって自分で答えを出すのか?」という知恵は忘れずいつまでも残り続けると思います。 つまり、神戸大学MBAを修了するという事はゴールではなく、「By the Job Learning(働きながら学ぶ事)」で得た知恵を生かして、これからの企業人としての日々を「学びながら働き続ける」スタートだという事。小川教授と金井教授が言いたかった事はそういう事なのではないかと勝手に思っています。 そしてその知恵を生かす事で、会社の成長と自分の自己実現はもちろん、ほんの少しでも良いから日本がもっと良い国になる事や地球上の人が少しでも幸せな生活を送れる事に貢献したいと思っています。また、いつか研究の対象になるような人間になって、神戸大学MBAに恩返しする事ができたらいいなとも思います。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

神戸大学MBAでの日々はハードでしたが、とても楽しく充実した毎日を送ることができました。入学以来、この感動を自分だけで独り占めしていたらいけないと思い、会社の同僚や後輩、学生時代の友人達などにも神戸大学MBAの面白さを伝えて、受験してみたらどうかと薦めています。ただ私の話がいまひとつなのか、今までの受験者実績はゼロ・・・くじけずにこれからも社内や友人からMBAに行く人がでるように地道な普及活動をしていきたいと思っています。
また、受験しようかどうか迷いながらこの記事を読んでいる人がいるとしたら、絶対に受験する事をお勧めします。びっくりするぐらい大変でしんどい毎日と、それに負けないぐらいエネルギーたっぷりな同級生との刺激的な生活、そしてすごい教授陣による腰がぬける位のしびれる授業が待っています。神戸大学MBAホームページのこんな片隅の記事まで読むくらいMBAに関心があるのに、一歩踏み出さずに挑戦しないなんて本当にもったいないです。是非、神戸大学MBAにチャレンジしてください。