古田しげみ さん
香港貿易発展局勤務 2001年度修了生 谷ゼミ
1. プロフィールをお聞かせ下さい。
2001 年米国留学でアジア経済に目覚め、帰国後、国際基督教大学大学院行政学研究科で開発経済学専攻。それを契機に中国経済に目覚め、学内選抜で香港中文大学大学院経済学研究科に交換留学。卒業後チャイナウォッチの場所として最適だった香港に居残りたいがためにバイト程度の気持ちで入った香港貿易発展局で気がついたら正規職員。 80 年代から始まった中進国経済発展の波に巻き込まれ、以降、対日市場活動の中心的存在になってしまった。
2. MBA 取得の意図は何ですか?
経済学の基盤を持ってさえいれば、 90 年代前半までは仕事がゆうゆうとできたが、半ば頃から日本経済の低迷とともに、米国式経営革命が一挙にアジアになだれ込み、香港は真っ先にその洗礼を受けていたため経営学の習得とくに MBA を一応こなす必要があると痛感した。
また日本経済の構造変化により従前の顧客企業の層が大企業の海外事業部から中小企業経営者に移行していったことで、自分達が提供しているサービスが中小企業向けに再構築できないかと思い、その解決ヒントを求めていたと思う。
3. 神戸大学 MBA を選択した決め手は何ですか?
自宅が大変近かったため。
4. 神戸大学 MBA コースのカリキュラムの素晴らしい点を挙げるとすれば?
経営学へのアプローチが、社会科学研究であったこと。即戦力になる実践教育ではなく、真理追究の学術研究であったこと。
5. 修了されての印象、満足感をお聞かせ下さい。
当初抱いた、実践を重んじる米国式 MBA の印象と随分違って始めから最後まで戸惑っていたと思う。神戸大学は『日本的経営』にこだわる MBA だと自負していたので、時代的に日本経営の低落を現場で見ている多くの受講生には、やや抵抗があったかもしれない。いきおい一橋大学・竹内教授のベストプラクティス革命で経営の国境を超えることに救いを求めたが、日本経営の根底になる日本文化の定義や存在までに及ぶ考察まで行き着けず、中途半端な終わり方だったのかとも思った。しかし、今になって分かってきたのは、その考察は卒業後、現場に立ち戻って、自発的にやるべきことだという自覚が生まれてきた。その際、蘇ってくるのが社会科学の方法論講義だ。定量的方法、定性的方法、人によってはフィットしたか否か不明だが、自分にとっては修了後の自立的研究の基礎構築ができたと思う。(しかしその後のカリキュラムではその名物講座が無くなったとも聞いたが・・・)
(編集部注)平日夜間に開講される方法論の講義数は減少していますが、これらの講義は毎年開講されています。
6. 修了までの投資額や回収見込み
学費と多少のテキスト代のみ( 150 万円くらい?)。完璧なまでに業務に活かせたので、業務予算の獲得やボーナスなどにつながった。
7. 今後のキャリアプラン
それまでの中国経済研究と経営学を活かして、華人資本経営研究に打ち込んでいる。地域研究的方法論を経営学に取り入れて、文化マネジメントなどの領域を研究するため立命館大学大学院国際関係研究科博士後期課程に進んでいる。その成果はさらに業務に活かして行く予定。