田尻さや香 さん

製造業 表面処理業界勤務 2005年度修了生 忽那ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

地元大学の工学部を卒業後、祖父が創業したファミリービジネスに従事しています。入社当時は商品企画室に配属され、海外からの新規技術の導入に取り組んでいました。現在は経営企画室と室名を変更し、経営全般に関わる組織人事や経営計画、新規技術の事業化に関わる企画を担当しています。 MBA には 2005 年度に企業派遣で入学し、 忽那憲治ゼミにて主に、アントレプレナーシップについて学びました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

経営企画室に配属されるまで、経営についての知識は全くありませんでした。独学での視野の狭い知見だけでなく体系的に経営学を勉強しなければ、実務で役に立たないと考えて入学を決意しました。神戸大学は、職場のある岡山県から通学できる範囲にあること、土曜日を中心としたプログラムとなっていることが、他校に比べて魅力的でした。また、修了するには修士論文の提出が義務づけられている点も、意欲的な態度で最後まで望める素晴らしい機会だと判断しました。

3. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

タイムマネジメントが以前より上手くなったことは言うまでもありませんが、それ以外に自分で実感できる点は、書籍の読み方が変わった点です。著名な先生が書かれた書籍や、一般に素晴らしいと評価の高い書籍に書かれていることを、入学前はバイブルとしてただそのまま鵜呑みにしていました。講義やゼミで多くの書籍を紹介され、書籍の読みこなし方や読む視点を教えられるうちに、自分の判断をベースにした、時には批判的な視点での読破も必要であることを学べました。これにより、書籍の内容をよりリアルに把握し理解することができ、実務に活かせるようになったと思っています。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

常に締め切りに追われていました。特に、ゼミが始まってからは、テーマについて悩んで提出したと思ったら、その次には先行研究の調査結果の提出、調査方法の検討、調査の実施など、作業が進めば進むほど新たな課題を与えられ必死にこなしていきました。昼間は仕事を行い、夜や週末は時間を見つけては論文に関わる作業。いつも頭の片隅には論文のことがありましたが、取り組んでいたテーマが実務に直結していることから、仕事もゼミも充実したものになりました。やはり、実務で疑問に感じていることをテーマに修学した点が良かったと思います。

5. 神戸大学の修学環境はどうでしたか?

大阪中之島の大阪経営教育センターは交通の便が良く、岡山からの通学でも、講義を受けた後に軽くグループワークを行って、その日中に帰宅することができました。六甲台キャンパスはとても自然に恵まれ景色も良く、四季折々の自然を感じることができました。夏休みや休日は、食堂や図書館が閉まっていて困ったということもありましたが、メーリングリストを多用して、学生同士で事前に様々な情報を共有できました。また、このメーリングリストですが、講義やグループワークで直接集まる以外にも、激しいときには一日に数十件のメールが飛び交っていましたし、実務では接することができない業界の違う方々との親睦も深まりました。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

最もインパクトが強かったのは、ちょうど世間で敵対的買収が話題になっている時に、 TV などでもコメントされている方々を講師にお迎えして、 M&A 戦略応用研究の講義を受講できたことです。世間で話題になる前は、 M&A の中でも敵対的買収に関する書籍は少なかったため、タイムリーに、また、世論に流されない視点を体感するなど、興味深く受講させて頂きました。

月一回のゼミでは、毎回ベンチャービジネスや事業再生など私たちがテーマとして扱っている分野で、第一線で活動されている実務家を招いて頂き、貴重な講義を行って頂きました。これからの人生設計に関してもお手本となる行動力豊かな方々と交流がもてたことに感謝しています。

7. 今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

弊社は地方の中小企業の 1 つにすぎませんが、祖父・父が今まで営んできた歴史を大切にしつつ、今後の会社の発展と地域貢献のため、神戸大学で学んだ経営学をベースに、既存の枠にとらわれない新しいアイデアをどんどん実行していきたいと考えています。神戸大学に入学することにより、幅広いネットワークができました。行き詰まったときは、同期の専門家に相談して、みんなで支え合って行けたらと思います。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

経営に関して何らかの関心をお持ちであれば、その関心を満たすため、是非、受験をお薦めします。日々の実務や生活の中で興味が沸くことは多々あるのですが、それについて実務を行いながら体系的に学ぶことができるのは神戸大学の MBA だと思います。 1 年半の在学はとても短く、あっという間に過ぎてしまいますが、この短い期間中にどれだけ多くのことを学び、強いネットワークを得られ、視野が広がったかは、 MBA 修了生の活躍によりご判断いただけるかと思います。

神戸大学の場合は、修士論文の作成が在学中も非常に大きなウエイトを占めていますが、仕事や家庭とゼミとの時間配分を上手く行い、充実した 1 年半を過ごしていただければと思います。

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