赤阪朋彦 さん

株式会社メディアート勤務 2005年度修了生 平野(光)ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

大阪大学法学部を卒業後、近畿日本鉄道株式会社に入社。現場勤務を含め鉄道業務に携わったのち、バス部門、本社人事部を経て、近鉄バファローズ(当時)に出向し総務、球団広報を担当。再び鉄道部門で勤務ののち、子会社の広告会社メディアートに出向、現在営業を担当しています。神戸大学 MBA は 2005 年秋に修了しました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

MBA を目指したきっかけは、自らの存在を見つめ直し、気持ちをリセットしたいと思ったからです。会社人生の折り返し地点を過ぎ、過去のキャリアを振り返り将来を展望したとき、得意分野も専門性も持たないゼネラリストとしての自分に不安を覚えました。結局、将来経営幹部として行動できるために必要な知識や考え方をきちんと持つことが、今の自分に一番の選択肢だと思い至り、それらを体系的に学べる MBA にトライしました。

例えば、ゴルフ理論を学び実技レッスンを受ければ、実践でスランプに陥っても慌てず基本に立ち返れるように、経営も同じだと思います。経営に関わる様々な専門分野の理論を学ぶことは、複雑で混沌としたビジネスの実際において、勘や経験ではなく確かな根拠に基づいて問題の本質を捉えるのに非常に有用です。経営学理論に照らし合わせながら実際のケーススタディを分析、検証する。こうしてビジネスのメカニズムを解明することは、とりわけ企業組織の中核をなすべき者にとって重要だと思います。

そして、神戸大学の MBA プログラムの特色は、学ぶことと働くことのミッション・リンクにあります。この目的は、入れ子状態のように実践の中に相似形で MBA を位置づけることにあります。それが実現できるのは、最寄り駅から徒歩圏のキャンパスの立地、ハイ・レベルのプログラム、素晴らしい教授陣のラインナップ、比較的安い学費などといった環境が整っているからです。

3. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

MBA 修了で自分が急成長したという実感はありません。ただ、世の中の経営事象を MBA の多面的な視点から観察し考えてみるクセがつきました。専門職学位論文を作成したお蔭か、仕事上の複雑な問題を変数に単純化し、ものの本質を見るようにもなっています。もうひとつは気持ちの持ち方の変化でしょうか。年齢や役職、キャリアの異なる様々な人たちとの幅広いコミュニケーションによって、仕事とは全く異質の刺激を得るとともに、大いに感化されました。また困難なカリキュラムをやり遂げ MBA を修了したという事実や、苦しい想いをしながらも多くの壁を乗り越えてきたという自信は、折にふれ自らの精神的な支えとなっています。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

日頃会社で受けているストレッチの程度によって、両立の難しさは異なるでしょう。私の場合、能力的につらい想いの連続で、 MBA に進学していわゆる落ちこぼれを実感しました。いつ途中でやめようか、とそればかり考えていましたね(笑)。指定文献の予習だけでも時間不足ですが、予習不足だと講義への意義ある参加や貢献ができません。さらにレポート作成、講義によってはグループワークも加わり、相当ハードです。なので、仕事への時間もかなり圧縮したほうだと思います。会社には申し訳ない想いでおりましたが、多くの講義を併行受講し課題に追われている時や、専門職学位論文提出前の時期は、相当割り切って臨みました。私への理解と応援をして下さった社長をはじめ、わがままを許してくれた上司や職場のみんなには心から感謝しています。

5. 神戸大学の修学環境はどうでしたか?

土曜に終日講義が集中的に組まれていますし、平日夜の講義は大阪・中之島で開かれるので、一般的には時間の都合がつけやすいと思います。六甲キャンパスには大学院生専用の自習室やコピー機があり、コピーカードも貸与されるので非常に助かります。学内 LAN も完備され、必要情報へのアクセスも容易です。社会科学系図書館の蔵書規模は抜群だと思いますし、土日もほとんど開館しているので、参考文献の貸出も便利です。明治時代に遡る「神戸高商」の経営学研究の歴史と伝統に育まれた知的な環境と、六甲山系の緑に囲まれ、高台のキャンパスから神戸の街や海を一望できる地形的な環境にも恵まれ、申し分ありません。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

印象的なのは、専門職学位論文提出に向け1年間ご指導いただいたゼミ(プロジェクト研究と現代経営学研究)です。神戸 MBA の看板である実証研究は、過去の多くの文献をレビューしつつ、実際のビジネスの世界に新たな真理を見出す知的な活動です。私の指導教員である平野光俊助教授は、知的体育会系を標榜しておられるので、知的に怠惰な人には辛いものです。土曜の朝から夜まで行われるゼミでは、各自論文研究の中で述べる知見に確かな論拠が求められ、稚拙な論理展開は見事に駆逐されるという繰り返しで、本当に濃密な頭脳トレーニングでした。

でも、ゼミのあとの飲み会はささやかな楽しみ。神戸 MBA 修了生でもいらっしゃる平野先生を囲んで同じサラリーマン感覚で楽しく語らうひとときは、明日への元気の源でした。 1 年半での修了生は現在も、 2 年コースの仲間に混じってゼミに自主参加させていただくなど、ゼミでのつながりの深さには大きなものがあります。

ゼミに限らず、広く経営学体系を網羅した各講義のいずれもが印象的であることは言うまでもありません。充実した講義の実現に向ける先生方の気迫は、百聞は一見に如かず。逆に、議論の応酬や深い洞察のない講義は学生自身の損と知るべきです。高い参画意識で臨めば、潜在価値を引き出せること、請け合いです。

7. 今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

MBA は働きながらの1年半なので、神戸での生活より、むしろ修了後の自己研鑽のほうが長期的には大いに意味があると思います。現在の組織においては、徒に MBA の名に浮かれることなく、 MBA で学んだ成果を日常業務の取り組みの中でどう実現するかによって、自ずと次のキャリアプランが見えてくるものと思っています。今後、より大きな役割や権限が与えられた時に、自信ある決断や行動を思い通りにとり、常に最大の成果や業績をもたらせる人材になりたいと思います。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

私は他大学の MBA 研究もせず、経営学なら神戸大学、と受験を決心しました。受験したくても、会社や家族の都合で断念せざるを得ない方もたくさんおられるわけで、 MBA に関心を持ち事情が許す方なら、迷わず受験されることをぜひお勧めします。ただ、前述の両立の問題は、事前に気持ちの整理が必要です。できるだけ明確な目的意識と、泣いても笑っても全うする決意で。あやふやな気持ちのままでは、私のように途中でくじけそうになるかもしれませんし(笑)。でも大丈夫。おそらく、みんなよく似た悩みを持ちつつ完走しているはずです。安心して挑戦して下さい。今まで出逢わなかった新たな世界や仲間に巡り合えますから。