西野正一 さん

大日本住友製薬株式会社勤務 2005年度修了生 石井ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

神戸大学を卒業後、旧大日本製薬(現在の大日本住友製薬株式会社)に入社。医薬情報担当者(MR)として、診療所、中小病院、基幹病院、大学病院などを担当。2001年より本社勤務となり「営業改革プロジェクト」に参画。MRが自社のリソースを最大限に活かし、顧客に対しどのような価値を提供できるかを考える「ソリューション研修」を全国展開しました。現在は営業人材開発部に所属。営業マネジャークラスに対し部下育成のためのコーチングやロジカルシンキングの実践支援、および若手MRの知識、スキル、マインド等の能力開発を行っています。神戸大学MBAには2004年に入学。ゼミでは石井淳藏教授のもとで主にブランドやマーケティングについて学びました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

本社勤務になった翌年、営業本部の「製品戦略プロジェクト」に出席したときのことです。ディスカッションの中で自分自身の経営戦略やマーケティングに関する見識の薄さ、視野の狭さを痛感したことがMBAにチャレンジしようと思い立ったきっかけです。そうした折、大阪のビジネス中心街に神戸大MBAのサテライト教室(大阪経営教育センター)が開設されることを耳にし、ネットや先輩から幅広く情報を集めました。

選択の決め手は、自分が問題意識としていたテーマを研究されている著名な教授陣が揃っていること、週1?2回の平日夜間の講義と土曜日の集中講義で単位を取得すれば1年半で修了できること、そして社会人MBAとして求められる専門分野横断的な知識や能力をプロジェクト方式で深く考える機会が得られると考えたからです。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

十分に目的は達成されました。私の研究目的は当初より製薬企業のMRによる営業活動のあり方および将来の医薬品マーケティングを研究することでした。石井淳蔵教授の2004年の書籍『営業が変わる』には、これまでの属人的営業から「顧客との関係をマネジメントする」という大きなヒントが記述されており、これが私の研究テーマを解きほぐしていくキーフレーズとなりました。また、高嶋克義教授や南知惠子教授からお誘いを受けた「営業研究会」に参加させていただき、営業プロセスマネジメントやCRMに関する幅広い見識を得ることで研究テーマの本質に一段と迫ることができたと思っています。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

MBA取得を目指す同級生の多くは重責と激務の中で通学しています。私はそれほどでもないのですが、在学当時は毎朝6時台に自宅を出て深夜に帰宅するという生活で、その合間を縫って平日・土曜の講義を受講していました。課題図書の予習は往復3時間程の通勤時間等を使いましたが、毎週のレポートに追われ睡眠時間は2?3時間しかとれないことも珍しくありません。土曜のレポート提出のために、水曜の朝起きてから一睡もしなかったこともありました。やり遂げようとする強い意志と体力が必要です。

ただそうした時に勇気づけられたのがグループ内のメーリングリストでした。静まりかえった夜更けにメンバー同士の熱い討論や励ましの言葉が飛び交います。課題解決プロセスをメンバーと共有する貴重な空間となりました。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

経営学に関する実務の知識を体系的に学ぶだけでなく、社会人MBAとしてビジネスの現場に起こっている現象の「本質」を経営学の知識や理論の切り口で探求し、応用力を身につけていく授業が多いと感じました。土曜の講義ではグループ演習も多く取り入れられており、多様なビジネス事例を様々な角度から分析していきます。最初は驚いたのですが、演習の終盤にそのケース(東証やマザーズ上場企業等)の中心人物が教室に現れ直接お話しを伺う機会などもあり、理論と実務の両面から深く理解できるよう配慮されています。

またプロジェクト研究では似通った研究課題を持つゼミのメンバーとともに対象企業を選定し、徹底的に研究します。独りではとても思いつかなかった発想が、ディスカッションの中で生まれることがしばしばあります。また、研究企業へのインタビューの申し入れなどは、神戸MBA在学ということで快く受け入れていただけました。そこで得られた知見は、修士論文を仕上げて行く過程での重要な題材となりました。

こうしたカリキュラムによって、経営理論を実践的かつ横断的に適応し、ビジネス構造そのものを深く掘り下げる考え方が身についたと思います。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

経営戦略応用研究で「自社の成長戦略」についての課題レポートがありました。授業内容をもとに、IRで公開されている自社情報から経営資源やポートフォリオ分析、競争優位の源泉等の検討・考察を行い、国内製薬企業との合併がさらなる企業価値向上による成長戦略のひとつであることを数十ページにまとめて提出しました。その2ヶ月後に本当に合併の発表が行われ、これが在学中の一番大きな出来事となったわけです。今でこそM&Aは身近に感じられますが、歴史の長い旧社では社内は一時騒然となりました。その中で事象を妙に冷静かつ客観的に受け入れたことを思い出します。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

一つはビジネスにおける視野が広がったと感じています。これまでは4PやSWOTなど古典的なマーケティングの理論だけで事象を切り分けたり、分析したりしていたことに気づきました。マーケティングの受け手が創り出す意味や解釈を添えることで、現象を立体的に捉えることが少しできるようになったと思います。

二つ目は度胸がついたことです。ゼミのメンバーと企業の取締役や副社長クラスへのインタビューなどを重ねる中で、多方面で活躍されている方々とコミュニケーションを広げていくことを喜びと感じるようになりました。今でも社外のセミナーなどには積極的に参加し、人的交流を広げています。その時に役立つのがやはり名刺のMBAの肩書きですね。相手との距離が一気に縮まることを体感しています。

8. これから受験を考えているみなさんへアドバイスをお願いします。

もしあなたが仕事をする中で何らかの問題意識を持っていれば是非MBAにチャレンジしてみてください。あなたの課題だけでなく世界で巻き起こっているビジネスの姿を一段高いところから見渡すことができるようになるでしょう!

関西でもMBAが取得できるビジネススクールが増えてきました。神戸大学MBAは先にも述べたように経営学の各分野の実務を学びながら、プロジェクトを通してより深く考えることで事象の本質を捉えるところに特徴があると思います。神戸大学MBAは皆さんに学ぶための素晴らしい環境(教授陣・施設・優秀なクラスメイト)を提供してくれます。ただし勉強の努力はあなた自身にかかっているということも忘れてはいけません。是非とも「強い意志」と「体力」を携えてこのハードルに挑戦し仲間入りしてください。