水嶋康之 さん

コーニングホールディングジャパン合同会社 コーニング研究所勤務 2007年度修了生 松尾(博)ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

氏名 : 水嶋 康之
勤務先 : コーニングホールディングジャパン合同会社 コーニング研究所
現在の仕事 : 米国特殊ガラス製造会社のCorning Corp. の日本法人である会社の研究所に所属。日本では主に液晶ディスプレー用ガラスの製造を行っており、研究所では、主に、ガラス開発、製造支援、客先問題解決、各種分析業務などを行っています。
入学年 : 2006年(2年コース選択)
所属ゼミ : 松尾(博)ゼミ

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

かなり以前からMBAには興味を持っており、一時は海外でのMBA取得も考えました。しかしながら、最近では、俗にいう海外有名校で取得した一種の勲章じみた学位以上に、実質的にMBAで学び取らないといけないもの、身に付けないといけないものは何かと考えるようになりました。それから、海外で慣れない外国語で学ぶよりは、現在では各種教材もそろっていますから、日本で母国語で学ぶ方が有利と考えました。そこで、日本のMBAコースを探していく中で、日本の中で高い実績と評価を得ている神戸大学で学びたいと思うようになりました。特に、学会をリードする教授陣、カリキュラムなどが、自分のニーズに合っていると考えました。

また、日本にも海外MBA校の日本校などがあって海外と同じようなカリキュラムを組んでやっていますが、それらのカリキュラムとは違い、神戸大学では最後に研究論文を書くという点に非常に興味を持ちました。工学系で論文をいくつか学会誌等に投稿した経験があるのですが、出来は別として、一つのこと(テーマ)をじっくり、深く考えることがとても大事であると日頃から感じていました。既に経営学で提案された代表的な考え方、モデルなどは、一般でもかなり知られるようになっているものもあるのですが、「知っていること」だけであればMBA関連の本を読めば事足ります。しかし、現実のビジネスで起こっているさまざまな事象を解くには、基礎知識の上で、更に議論や熟考を繰りかえすことがとても大事であると思ったことが大きいです。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

まずは何といっても、最後までやり遂げたことです。やはり会社の仕事を抱えての勉強というのは楽ではなく、また、家族にも大変迷惑をかけましたが、松尾教授やゼミの皆さん、クラスの皆さんの助けで何とかゴールにたどり着けたことは大きな収穫でした。

また、私の最大の目的は、MBAで「考え方を身に付ける」ことでした。その観点で、受けた授業はいずれも新鮮で、非常に価値あるものだったと感じています。今まで、大学でも仕事場でも工学(化学)系どっぷりでしたので、実験?結果考察を繰り返す世界でしたが、神戸大MBAでは、ロジックの組み立て、積み上げによる論理力を養う機会が与えられて非常に考え方の幅が広がったと感じています。特に、唯一の答えがあるかどうか分からない経営学では、やはり如何に論理を構築してゆくか、そのことの大切さ、意義を感じ取れたことが一番大きかったです。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

土日だけの2年コースでしたが、遠方でしたので通学がもっとも苦労しました。土曜の朝、3時半に起きて授業に行き、帰りは終電ぎりぎりで帰っていましたから、午前0時を回って家に着くことも多々あり、今から思うとよくやれたと思います。ただただ、授業の熱気や、クラスの皆さんの熱意に乗せて頂いた感じです。やはり、聞くこと目にすることが新鮮でおもしろかったために続けられたと思っています。

次に苦労したのは、レポートの量が半端ではなかった点です。当然、日曜日はなしでしたし、夏休みもほとんどレポートに費やしていました。ただ注意したのは、仕事とは完全に分けるようにし、仕事中は一切MBAのことは考えない、逆に、授業中やレポート書きのときは仕事を忘れるというように、可能な限り切り分けることで何とか乗り越えました。その意味では、時間切れでレポートもだいぶ中途半端だった部分は多くあったとは思いますが、そこは学生である前に、企業人ですので、時間内で勝負して、どうしても出来なかったら諦めると割り切ってやるようにしました。それでメリハリが付けられたと思っています。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

カリキュラムは、MBAとして必須な部分をカバーすると共に、実習や議論を多く取り入れた非常に密度の濃いものになっていると感じました。即ち、座学のみならず、自ら動いて必要な情報を得たり考えたり出来る、非常にアクティブな学びの場を提供していると思います。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

今まで企業をそんな目で見たことがない、考えたことがないということばかりでしたので、最初から最後の授業まで「目からうろこ」という表現がぴったりでした。今では、逆に経営学的観点が乏しく、意識も薄いまま会社勤めしていたことが恐ろしくさえ感じます。その中で、特に印象深かったことは、プロジェクト実習で実際に企業を訪問し、経営者の方とお会いできた点です。通常は、企業の現役社長の方と長時間お話させて頂く、またはお話を聞かせて頂く機会は全くないか非常に少ないのですが、MBAの学生ということで何の先入観もなく、お会いできたことは非常に貴重な体験でした。また、授業でもゼミでも外部から多くのゲストを招いて「生の声」を聞く機会が多かったことは、単に教室にこもっての授業では得られない貴重な体験であったと思います。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

企業の一研究所にあっても、常に全社的な観点で考える、考えられるようになったことが大きいと思います。それから、全社方針が出たりした場合、その意味合いや背景、意図するところがよく理解でき、まあ仕方がないけど言われるから従うではなく、こういう訳かと推測したり、納得して行動することができるようになったと思います。また、経営というものが非常に身近に感じるようになったと思います。今まで、研究組織の論理やその場での考え方に影響されるだけで、経営層との意識のズレがあったのですが、その辺の溝を自分なりに埋めることができているのではないかと思います。

8. これから受験を考えているみなさんへアドバイスをお願いします。

受験される皆さんにお伝えすることがあるとすれば、私が感じるのは、まずは自己の目的を明確、かつ具体的に持つことではないかと思います。同じ時間を費やして得られるものを最大化するためには、如何に高い問題意識を持ち、動機や目的を明確にするかが重要だと思います。何となくMBAという意識では、たとえ入学しても何となく時間が過ぎて終わってしまうでしょうし、その結果、得られるものもやっぱり何となくではないでしょうか。逆に、強い目的意識を持てば、受験勉強にも身がはいるでしょうし、研究計画書等を書く場合でも迫力が出てくると思っています。受験生の立場では、問題解決することやうまく論述できることはあまり期待されてはいないのではないかと思います。それよりは、神戸大学で如何に自分が感じている疑問を解決したいか、その術があるはずだということを力強く訴えることが大切だと思います。

あとは、論理的な考え方をする練習を常に心がけることが大切だと思います。試験でも小論文が出たりしますし、やはり、他者を説得できるだけの説得力のある論理構築はどのような場においても重要です。また、その力は入学後も授業や議論の場でも大いに役立つと思います。

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