五十嵐久人 さん

日本新薬株式会社 勤務 2014年度修了生 三矢ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

2013年入学の、五十嵐久人と申します。大学は商学部経済学科卒です。入社以来、経営企画部門、社内カンパニーの営業企画部門にて、予算や収益管理、中期経営計画の管理、営業支援システムの構築や運用等を行ってきました。現在は、同部門にて従来業務に加え、中期経営計画の策定やアライアンス、事業価値評価をはじめとした社内カンパニーの業容拡大に向けた施策の立案や実行に携わっています。本学では、三矢裕教授のゼミに所属し、2014年9月、無事に卒業する事が出来ました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

私の最初の上司の発言や視点の鋭さ、ロジカルで深い考え方に尊敬の念を持ち、その思考のベースにMBA取得があったと聞いたことから、MBAにはずっと興味を持っていました。神戸大学を選択しようと考えたきっかけは、月に1度、梅田で開催される「経営グッドプラクティス・セミナー」に参加した事でした。たまたまだったのですが、入学後に論文作成で私を指導して下さった三矢裕教授が、「日次決算による任せる経営、見える経営」の講義をされた回でした。当時、自分が所属する社内カンパニーの収益管理を精緻化し、パフォーマンスの改善に繋がる仕組みを構築できないものか、と考えていた私には、まさにストライクのテーマでした。そして講義は大変刺激的な、示唆に富んだ内容でした。 まず面白かったのが、まさしくアカデミックと実務の往復と言うべきロジカルかつ実務の視点を柔軟に取り入れた仕組みの設計。そしてアクションリサーチでの実際に企業への導入、そこから得られた示唆の実務への還元。そういった一連のプロセスが、もの凄く魅力的でした。この経験が刺激となり、私も経営学を体系的に習得し、それをバックボーンとして、自社にフィットする最適な管理システムを構築したい、と強く思いました。その後、関西の様々なMBAを調べ、公開授業なども受講してみましたが、講師ご自身の最新の研究などをわかりやすく紹介して頂けるグッドプラクティスセミナーで受けたような刺激は得られず、他校とは一線を画している事がわかりました。そして特に管理会計分野では神戸大学MBAを選択する事がベストだと考え、受験を決意しました。

そこから、受験に失敗するなど若干のタイムラグはありましたが、何とか入学出来、幸いにもタイミングよく三矢裕教授のゼミに入り、論文指導して頂く事が出来ました。

(「経営グッドプラクティスセミナー」は現在も同様に月1回、梅田で開催されており、もし、このHPをご覧になるなどして神戸大学MBAにご興味を持たれた方は、是非一度、参加される事をお勧めします。きっとくすぶっている知的好奇心を刺激されるはずです。)

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

入学前に考えていた目的はかなり達成できたのではと考えています。前述した問題意識について、MBA在学中だけで何とかなる短期的問題ではないと感じていました。そこで私は、MBAでの目的を「自分自身のあるべき姿や哲学を構築するためのベースを築く」「自分の所属する組織のあるべき姿を描く」「高いレベルの同級生と切磋琢磨していける関係を構築する」こととしていました。実際に通い始めると、自分なりのあるべき姿や哲学、自分の所属する組織のあるべき姿は、授業、プロジェクト研究、そして修士論文作成と、本当にあらゆる場面で考えさせられました。そして、その過程において、自分より何倍もレベルの高い同級生からは、自分だけでは解り得なかった視点に気付かされ、人間的にも学ぶことが多く、自分自身精一杯ストレッチしなければ、ともの凄く刺激を受けました。

多くの方が仰いますし、自分自身の実感としてもあるのですが、MBAを修了する事はスタートでしかなく、この大変な経験から得られたことから、何を形にしていくかが重要だと思っています。他の修了生の皆さんに恥じない成果を挙げ続けられるよう、これからも理論と実務の往復を繰り返し、磨き続けていこうと思っています。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

正直なところ、両立という点では、私はかなり劣等生だったと思います。最もハードな時期には、体力の限界が訪れ、あろうことか授業中に眠気に耐えきれなくなった事も多々ありました。その中でも少しでも要領をつかめた点としては、自分が集中して取り組める場所と時間を見つけることでした。人それぞれとは思いますが、私は少し騒がしいところ(スタバやファミレスなど)で、深夜?早朝がやりやすい時間帯でした。この点でも、家族に迷惑をかけたと思います。

授業は週末ですが、それだけでなく、グループワークや修士論文作成のためには、インタビュー等の取材やミーティングは平日に行う必要があり、さらに、調べもの、課題レポート作成など山ほどやることがあります。そのため、仕事や家庭サービスの時間をどうしても割かざるを得ない場面がありました。苦戦しながらも、何とか両立しやり切る事が出来たのは、職場の皆さんや同級生、友人、そして家族と、本当に多くの方に理解して頂き、助けていただいたからこそです。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

神戸大学MBAコースのカリキュラムは、多くの方が仰る通り、非常に無駄なくデザインされた質の高いもので、私にとっては、全てといえば全てのプログラムが非常に面白かったです。そして、神戸大学MBAを受講して良かった、と思ったのはそのカリキュラムの集大成ともいえる修士論文作成に全力で取り組む事が出来たことと、取り組む上で最高とも言える学習環境があったことです。講師陣は研究者として最前線で活躍されている方ばかりであり、学生も、各業界・企業で活躍されており、なお何かしら物足りなさを感じているタフで優秀な方ばかりが全国から集まります。周囲のレベルが高く、皆が妥協をしないという環境は、自分自身が全力で取り組む上で、最高に恵まれていると言えるのではないでしょうか。修士論文作成において、自分のもやもやした課題に真正面から取り組み、全力を出し切る事が出来たのは、その達成を後押ししてくれる素晴らしい指導教官と、最後の最後まで熱心に取り組み続けた同級生の存在があったからに他なりません。

6.在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

ここで、神戸大学MBAの持つ2つの特徴のうちの1つであるプロジェクト研究を挙げられる方は多いですが、私はもう1つの特徴である、修士論文作成を挙げたいと思います。神戸大学MBAに来る目的が自分の問題意識から出発しているのであれば、やはりこれがMBAでの学びの集大成だと感じたからです。

いずれも経営に通底する示唆が得られます。プロジェクト研究では、経営は一人では出来ないこと、1+1が3にも4にもなる集団の力のもつ凄さ、そしてそれをどうマネジメントするか、一方でチームビルディングの難しさを体感する場だったと感じました。

そして、修士論文作成を通じて感じた事は、どこまでいけるか、止めを打つのは結局は自分次第であるということ。どうやるか以前に何をやるか、全てを自分で考えて決める必要がある、という事です。修士論文作成の出発点は、自分が働く中で感じた、もやもやした疑問や問題意識です。神戸大学MBAが素晴らしいのは、その問題意識を腹落ちするまで突き詰める手助けをして下さる経験豊富な指導教官の存在があり、共に妥協なくお互いの研究に立ち向かっていく同級生がいる事です。指導教官である三矢裕教授は、ゼミにおいて常に「大義のある研究か」「棺桶に入れられる論文か」を私たちに問い続けました。大義とはすなわち、その研究が自分にも世の中にも役に立つ、本当の意味での課題の解決に繋がるものなのかどうか、ということ。そして「棺桶に入れられる論文か」とは、その論文が今の自分が最大限にストレッチした身の丈を表しているものかどうか、ということです。この2つを問われることは、自分が抱えている本質的課題と真正面から全力で向き合うということになります。これを追求する作業は、日頃の思考とは全然異なる考え方をする必要があり、もの凄い苦悩を伴うことが多く、どこまでやるかは自分次第です。しかし、ゼミでは誰一人として妥協する事なく、中には先生と1対1で明け方まで議論し、ようやく到達された方もいました。ゼミメンバーのそういった姿が日替わりで見えるので、自分も頑張らないわけには行きません。その結果として全員が大義ある研究に到達し、全員が合格をもらう事が出来ました。最後の最後は自分自身の力しか頼るものはないが、一人では何も出来ないこと。また、自分の力を最大限発揮できる素晴らしい組織とはどういうものか、そして、自分の課題に本気で取り組むというのはどういうことか、このプログラムを通じて身を以て感じさせられました。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

自分を取り巻く環境にも、自分の内面にも変化がありました。周囲の期待と与えられた仕事のスケールに変化がありました。会社に変化が求められる時期に、タイムリーに学習しそれを活かす環境におかれました。そして、1年半の学習を通じて、自社を知り、外を知り、また自分と、自分のあり方について多々見直す事が出来ました。特に、修士論文作成において、実に多くの方に協力頂いた事、そして研究を通じて知り得た事が、私に新たに与えられた役割に直結する内容だったことは、非常に考えさせられました。グッドプラクティスセミナー受講から受験の失敗も含めここに至るまで全てのことが、今後私が力を発揮するために全て繋がっている事だったと感じ、大きな意識の変化に繋がりました。これは、他のMBAではなく、神戸大学MBAだからこそ、得る事が出来た事だと思っています。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

自分が神戸大学MBAで何を得たいと思っているか、その目的意識を明確にした上で神戸大学MBAに来られるならば、ここで過ごす時間は、恐らくは自分の想像を超え、とてつもなく有意義なものになると思います。ここにあるのは通常の組織ではなく、強い目的意識を持ったハイパフォーマーの集まりで、全員尊敬すべき人であり、吸収できる事は山ほどあります。それは非常に特殊で得難い空間だと思います。あまりアドバイスになっていませんが、自身の問題意識を考え抜きたい方、自己のストレッチになる経験をしたい方には、是非とも受験をお勧めします。