東口晃子 さん
花王カスタマーマーケティング株式会社勤務 2007年度修了生 小川ゼミ
1. プロフィールをお聞かせ下さい。
大学卒業後、花王株式会社の販売会社であります、花王カスタマーマーケティング株式会社に入社しました。現在は、近畿支社マーケティング部に所属しております。入社して、約10年間、小売業の商品本部を得意先とする営業をしておりました。2006年4月からマーケティング部に配属となり、ヘアケア(シャンプー・リンス・トリートメント)ブランドを担当しています。業務内容は、マーケティング施策を得意先様へ説明したり、営業担当へ伝達したり、近畿地区での販売戦略の立案です。
2005年4月に神戸大学MBAコースの科目等履修生として入学し、3科目の講義を受講しました。2006年4月に神戸大学MBAコースに入学し、8月、栗木ゼミに所属が決定しました。マーケティングの理論を学ぶとともに、「シャンプー・リンス市場におけるマーケティング競争の構造」について研究しました。
2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?
数ある大学院の中で、神戸大学MBAコースを選択した理由は3つあります。1つ目は、仕事を続けながら学ぶカリキュラムであったことです。日々、業務を遂行するにあたり、さまざまな問題に直面します。「なぜ、この問題が発生したのだろうか。」「この問題をどうしたら解決できるのだろうか。」と悩んでいました。そして、悶々とした日々を過ごしていました。仕事を続けながら、学ぶことによって、その問題を解決できる糸口が見つかるのではないか。と考えました。そして、毎日、変化するビジネスの場に自分を置きながら、理論と実践を結びつけ、問題を解決していこうと思いました。
2つ目は、神戸大学MBAコースには、各分野で日本を代表とする著名な教授陣が多くいらっしゃったことです。本や雑誌、新聞の記事を読み、共感したり、参考になったことはありませんか?そして、その著者が神戸大学MBAコースの教壇に立たれている先生であるなら、何が何でも、その先生に会って、生の講義を受けてみたいと思いました。
3つ目は、修士論文を書くことが必須であったことです。日ごろの問題意識を、修士論文という形で残し、理論的に整理したいと考えていました。
3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?
想像以上の目的が達成できたと実感しております。講義内容は非常に充実した内容でした。学ぶことが非常に楽しいことであることを、体験できました。そして、ただ、教科書を読んで理解するだけではなく、ディスカッションや、レポートを通じて、自分がどれだけ理解しているのか、理解していないのかを明確にするとともに、自分の考えの浅さを実感し、もっと、もっと、掘り下げて考えていかなければならないことがわかりました。仕事を続けながら学び、修士論文という形で、論理的に、理論と実践を結びつけることができました。悶々とした日々から少し、抜け出すことができ、今後、どのように仕事を進めていくべきかを描けたと考えております。
4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。
仕事と学生生活の両立は想像以上に大変でした。私にとって2006年は「新」というキーワードがあてはまる年でした。4月は、新しい部署への異動とMBAコースの入学が重なりました。仕事面においては、新しい部署に配属され、まず、業務を覚えることに必死でした。初めての業務が多く、簡単なことでも、時間がかかりました。一方、学生生活面においても、新しいことばかりで、環境に慣れるとともに、落ちこぼれにならないように、講義についていこうと必死でした。すべての人に、1日24時間が与えられています。この24時間を如何に有効に活用していくことを考えました。「集中」がキーワードになります。
平日は、週3日、淀屋橋にあるサテライト教室(大阪経営教育センター)での講義があります。18時までに出社しないと講義に間に合いません。仕事の優先順位をつけて、しなければならないことを18時までに集中してこなしていきました。平日の講義は1時間半から2時間で終了しますが、講義に向けての予習や課題があります。家に帰ってから、勉強する日々が続きました。睡眠時間が大幅に少なくなったことも事実です。しかし、毎日、睡眠時間を大幅に削るわけにはいきません。睡眠時間と体力とのバランスをうまくとりながら、集中して、時間を決めて、課題に取り組みました。クラスメートはみんな、働きながら学ぶ環境です。24時間、お互いを励まし合いながら、一緒に頑張っていたことは、非常に心強かったです。励まし合ったクラスメートがいたからこそ、修了の日を迎えられたことに感謝しています。
5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。
質の高い講義内容と、修士論文作成という、非常に充実したカリキュラムだと思います。講義といっても、一方通行のレクチャーではなく、いくつかの講義において、グループが編成されました。メンバーも固定ではなく、講義ごとに違ったメンバーでした。多くのメンバーとディスカッションすることで、お互いの考え方を刺激し合いながら、チームマネジメントを上手く運営していくにはどうしたらいいかを学ぶことにもつながりました。
また、修士論文作成により、自分の問題意識を整理できました。ゼミの担当教官であります栗木先生は、ゼミのメンバーの個人の日常業務における問題意識をどのようにして、修士論文につなげていくかを熱心にご指導してくださいました。1日でいきなり2万字以上の修士論文が作成できないので、4月からのゼミでは、いつまでに、どこまで進んでいくべきかを明確に提示してくださり、そのスケジュールに沿って、進めていきました。ゼミでは、個々の修士論文の経過状況を発表すると共に、白熱したディスカッションが繰り広げられました。発表者に対して、先生はじめメンバーからは厳しい指摘があり、その指摘を基に、もう一度練り直すということを幾度となく繰り返しました。また、ゼミの時間だけではディスカッションが終わらず、場所を変えて夜遅くまで議論に夢中になったことも多々ありました。先生のご指導のもと、メンバーとともに、修士論文という大きな山をみんなで登りきった時の達成感は言葉では言い表せません。同じ目標に向かって、一緒に汗を流したメンバーからは、多くのことを学び、生涯の友と出会えたことをうれしく思います。本当に神戸大学MBAコースで学んでよかったと思います。
6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?
印象的な授業・イベントは3つあります。1つ目はミニプロジェクトです。毎年、5?6名のグループで、設定されたテーマに基づいてグループ研究をいたします。2006年のテーマは「リバイタリゼーション」でした。下降基調から復活した企業に着目し、そのプロセスを明確にするために関連した立役者の方にインタビューをしました。私のグループが取り上げた企業の立役者は女性社長でした。社長に直接会うという緊張感と、会って、公開データだけではわからない本音の話が直接聞けるという高揚感を抱き、インタビューに臨みました。グループで力を合わせて、発表資料を作成し、2006年8月5日の発表会では、グループの代表者として、プレゼンをしました。グループの代表である責任と、86名の同級生と10名以上の審査員である教授陣の前でプレゼンを実施するということで、失神してしまうほど緊張しました。
ミニプロジェクトのグループディスカッションを通じて、一人では考えられなかった考え方を学ぶことができました。また、全員で力を合わせると、想像以上の成果をあげることができることも実感できました。発表会前日、当日は非常に気が重かったのですが、現在は、プレゼンをさせてもらったグループのメンバーに感謝しています。本当にいい経験をさせてもらいました。
2つ目は、ゼネラルマネジメント応用研究です。入学して最初の土曜集中開講授業科目でした。General Managerがどういう人で、どういう人がなれるのかという、衝撃的な講義内容で、始まりました。国内外のGeneral Managerが実践した企業戦略を解釈しながら、ミンツバーグやサイモンの文献解題につながります。講義の最終日の午後に、今までの講義内容をふまえた最終試験が実施されました。残念ながら、どのような試験形式かは、この場では説明することができませんが、非常にユニークで、今まで体験したことのない試験形式でした。そして、成績評価です。あくまでも受講生のヒアリングベースですが、2?3割が不可となるほど厳しい評価基準になっていました。早々に返却される、試験の結果を踏まえて、個々人がこれから始まる1年半のMBA生活に対しての取り組み方や、自己の認識を改めて、考える機会となりました。まさに、MBAの洗礼とも言うべく講義です。
3つ目は、経営戦略応用研究I&IIです。10本くらいのケースレポートを2週間に1回のペースで提出します。1つのケースが70?80ページとなるレポートです。レポートは個人で作成しますが、チームディスカッションを何度も実施して、個々の設問に対する戦略を考えていきました。チームディスカッションすることによって、自分の考え方の浅さが露呈され、そこから、物事に対する考え方、論理的に説明する仕方、多くの人を納得させる考え方など、多くのことをチームメンバーから学び、鍛えられたと実感することができました。また、レポート作成は限られた時間の中で、作成するため、睡眠時間を削って完成させるという、非常にハードな課題でした。しかし、このレポート作成があったからこそ、修士論文作成に物怖じすることなく取り組めたと思います。
7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?
入学する前までは、単なる先入観や、固定観念だけで、物事を判断することが多かったのですが、MBAコースを進めていくうちに、様々な見方を学ぶことができました。マーケティングの観点から考えたり、組織の観点から考えたり、戦略面から考えたりと、様々な観点から物事を客観的にみることにより、考えの幅が広がったように思います。また、一人で考える時も、ディスカッションを通じて、クラスメートからのいろいろな考え方を基に、「彼ならどのように考えるだろうか。」「彼女ならどんな発想をしてくるだろうか。」と考えながら、様々な考えを自分の中で見つけられるようになりました。
MBAは考える機会を与えてくれたと思います。この機会を活かすのは自分自身で、これからは、在学中以上に、努力していかなければならないと考えています。
8. これから受験を考えているみなさんへアドバイスをお願いします。
国内のMBAに興味を持たれたら、神戸大学MBAコースに入学することを是非、お勧めします。私は、雰囲気を感じるために、まずは、科目等履修生として神戸大学MBAコースに入学しました。そこには、期待以上の講義内容と、クラスメートの熱いディスカッションが繰り広げられていました。
受験する際は、「試験に合格できるだろうか。」「講義についていけるだろうか。」などの不安でいっぱいかと思います。しかし、躊躇する時間があれば、まずは、一歩を踏み出してみてください。迷っている時間はありません。講義についていけるかどうかの不安のある方は、公開講義もありますし、科目等履修生として、受講されることをお勧めします。
神戸大学MBAコースの扉を是非、開けてみてください。そこには、今まで体験したことなかった新しい世界が広がっています。そして、修了できた時は、期待以上の達成感を得ることができます。