谷屋秀一 さん

大阪市水道局 勤務 2022年度修了生 藤原賢哉ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

みなさん、こんにちは。2021年度入学の谷屋秀一です。私は大学卒業後、大阪市役所に技術職員として入庁し、ずっと水道事業に携わっています。これまで水道施設の設計や工事監督、施設の更新計画の企画立案などを担当しており、現在は、計画部門にて、官民連携の導入検討や人材育成・技術継承に取り組んでいます。

また、本学では、藤原ゼミに所属し『官民連携の導入を促進させる要因や水道施設の資産価値を向上させる方法』について研究しました。途中、研究が思うように進まず不安になる時期もありましたが、藤原先生からは的確なご指導とご助言を賜り、また同じゴールを目指し一緒に励ましあったゼミの仲間のおかげで、2022年9月に無事修了することができました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

組織統合の協議や経営計画の策定に携わったことがきっかけで、水道事業のサービス水準の維持と事業の継続性に課題意識を持つようになり、経営というものを体系的に学びたいと思うようになりました。そこで、経営学を学べる大学院についていろいろと調べ、最終的に2つの理由から神戸大学を選びました。

1つ目は、「働きながら学べる」ことです。受験当時、ちょうど自らが関わっているプロジェクトが暗礁に乗り上げつつあり、なぜ上手くいかないのか悶々としている中、MBAの授業で何かヒントが見つかるのではないかと考えました。

2つ目は、「卒業要件に論文が課されている」ことです。実践的な知識を学ぶことも目的にはありましたが、せっかく多くの時間とお金をかけて学ぶなら、問題に対する解を論理的に導く思考プロセスを身に付けたいと思い、それは論文の執筆を通して学べるのではないかと考えました。また、ゼミ活動を通して多様な視点から指摘やアドバイスをもらえそうだということも魅力に感じました。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

期待通り+αだったと思っています。経営学全般を網羅的に学べたこともありますが、財務会計やファイナンス、組織行動を学んだおかげで、経営に対する考え方が以前と比べて大きく変わってきたことが大きな収穫でした。

また、論文の執筆を通して、「問いを立て、必要なデータを収集し、分析して結果を論理的に解釈し、一定の結論を出す」という科学的なアプローチを学ぶことができ、アウトプットのスピードが上がるだけでなく、その質も向上し、自らの説明に説得力が増したと感じるようになりました。完全に会得し、一貫して実践するのはまだまだ難しいですが、普段の仕事を通して訓練を積みレベルアップを図りたいと思います。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

毎週の授業でレポート課題がありますので、平日の日中は仕事をしつつ、夜と休日にレポート課題をこなすルーティンに慣れるまでが大変でしたが、思った以上に面白かったです。また、ルーティンに慣れてからは、仕事柄大きな事故や災害の際には、その対応に追われたり、支援に行ったりしなければならないため、なるべく余裕をもってレポートを仕上げておくことを心がけました。在学中、他の都市で大規模事故が発生し応援隊として1週間ほど派遣されたこともありましたが、その時も余裕をもって課題を提出することができました。

プライベートでは、家族にとても苦労をかけたと思います。平日は仕事、土曜日はずっと講義、日曜日も部屋に閉じこもってレポートか論文の執筆、年末年始もプロジェクト研究のチームミーティングがあるなど、仕事以外の時間の多くをMBAに費やした1年半でしたが、家族の理解とサポートもあり無事に修了できたと感謝しています。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

今振り返ると非常によく練られたカリキュラムだったと思います。もちろんコア科目の授業の質が高いこともありますが、コア科目と並走する専門科目とプロジェクト研究の組み合わせが絶妙で、専門科目でコア科目にはない知識を補完しつつ、授業で学んだことをプロジェクト研究で実践的に試すことができたことがとてもよかったです。

また、理論の正しい使い方に気づけたことも自分にとってはよかったと思います。神戸大学MBAで学ぶまでは、理論はどうせ仕事には使えないから、学んでも役に立たないと思っていましたが、それは間違いだと気付きました。お手軽に正解を与えてくれるツールのようなものと勘違いしていたのだと思います。理論は仕事で直面している問題に直接的な答えを与えてはくれませんが、理論を通して実際に生じている現象に向き合うことで、問題の根本は何か、どの要素に明確な因果関係があるのかなど、これまでより深く実際の現象を捉えることができ、より有効と思われる解決策を導けるようになったと思います。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

卒業してから早くも数か月が立ちますが、何かの折につけて、ふと授業やゼミでの議論の場面が思いだされます。どれもが印象に残っていますが、1つ挙げるとすれば「テーマプロジェクト」で、『個人の越境学習を組織に活かす条件』について事例研究を行ったことです。チームは会社員、経営者、公務員で構成する7名(チーム名:ポンコツ7)でしたが、多種多様なメンバーで議論を重ねることにより、自分だけではたどり着けなかったであろう結論を導くことができ、日頃の仕事では得ることのできない素晴らしい経験ができたと思います。発表会での結果は全く振るいませんでしたが、事例研究で得た成果を今の仕事にも活用できていますし、また、メンバーからは人間的にも学ぶことが多く、とても良い刺激をもらったと感謝しています。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

アウトプットの質と量が大幅に上がったと実感しています。これは、毎週のレポート課題、プロジェクトの準備やプレゼン、論文作成を通して、物事を論理的に考え、それを的確に伝える能力が身に付いたからだと思います。こうした能力は、普段の仕事においても非常に役立つスキルで、MBA入学前と比べると幹部などへのプレゼンやディスカッションにおいても、自信と余裕をもって臨めています。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

近年、ますます不確実な時代になってきており、コロナ禍でその勢いは増していると感じています。私は市役所に勤務していますが、これまでのやり方や経験がすぐに通用しなくなるのは役所でも同じで、目の前の変化に対応していかなければならず、そのためには、どこにも答えが載っていない問題に対して自ら答えを導いていく能力を身につける必要があると感じています。神戸大学MBAは、そうした能力を身につける場を提供してくれます。私自身、プロジェクト研究や論文執筆を通して、「仲間と議論を深めることで、まだ誰も至ったことのない結論を導く」という手法を学ぶことができたと実感しています。

仕事と学業の両立は大変そうだと尻込みするかもしれませんが、少しでも興味をもたれ、自分が変わるきっかけをつくりたいと思われている方は、是非、神戸大学MBAにチャレンジされてはどうでしょうか。決して後悔はしないと思います!

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