2018年度テーマプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー

金賞

メンバー:大西英孝、岡田和明、鎌田純平、佐々木玲、田川清広、和田毅則
(※五十音順、敬称略)

2019年1月5日(土)、神戸大学社会科学系アカデミア館504教室で行われたテーマプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。

 Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?

(大西) 我々のチームは深く調査ができるテーマ選定に時間をかけたため、3ヶ月程度でテーマ決定から最終発表の内容までを作り上げました。
ただ、その3ヶ月弱の間には平日に小さな貸会議室を借りてのミーティンやオンラインミーティングを重ねており、かなり頻繁に集まっていたように思います。この時、小さな貸会議室で文字通り膝を突き合わせて話す事ができ、メンバー同士の距離感が縮まったのがいい影響を及ぼしたのではないでしょうか。

(岡田) 8月の上旬にチームを結成して1月上旬の発表まで、5カ月程度でしょうか。土曜日の講義終了後に打合せを行うことを基本としていましたが、中間発表や最終発表の前はテレビ会議等も活用しながら毎日のように打合せを行いました。発表が1月5日だったので、年末年始返上で打合せを行いましたが、年末、私は妻の実家の島根に帰省していたので、大みそかにカラオケボックスに1人で入りテレビ会議に参加したことは今では良い思い出です(笑)。

(鎌田) 8月上旬のケースプロジェクト終了後にメンバー集めを開始しましたので、約5ヶ月です。毎週土曜日の授業後の打ち合わせに加え、11月以降は平日も梅田周辺で集まっていることが多かったと記憶しています。12月下旬からはほぼ毎日打ち合わせをしていたのですが、大晦日や元日も打ち合わせをしたチームは私たち位なのではないでしょうか笑
決して楽ではなかったですが、毎回熱い議論を交わし、かなり濃厚な「大人の青春」を過ごすことが出来たと思っております。

(佐々木) 8月にメンバーが決まりましたので、約5か月です。打ち合わせは、土曜の授業後と、平日に梅田で会議室を借りて準備しました。

(田川) 10月の中間発表前に研究テーマを修正したので、この研究テーマについては実質約3か月ということになりますが、平日にもミーティングをするなど、準備はかなりハードでした。ブランディングなど周辺テーマも含め関連書籍も10冊以上は読みましたし、結構なボリュームの準備になったと思います。

(和田) チームを結成したのは8月ですが私達は10月の中間発表時点までは別のテーマに取り組んでおりました。したがって最終のテーマとなりました「ブランドコミュニティ」に関しては3ヵ月程度で仕上げました。プロジェクト開始から、掘り下げていけるテーマが見つからず模索する日々が続きました。しかし結果的には、納得できるテーマが見つかるまで時間をかけて正解でした。

 Q2. 入学から振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?  

(大西) 経営を体系的に学ぶことができる非常によくできたプログラムです。
そして、理論を学ぶだけではなくチームで行う「ケースプロジェクト」、「テーマプロジェクト」が設定されており、横のつながりを意図的に作り出す仕組みがあります。これによりチーム運営の学びになる事とともに、情報共有や励まし合いなど学習の助けになります。
チームで行うことで意見のぶつかり合いやそのすり合わせ、何度も知恵を絞ってアイデアを出し、それを潰したり、磨いていったりといった中で得られる一体感や達成感といった工程を経験することができます。チーム全員が一つテーマに対してかなりの時間を使い、知識や経験を総動員して妥協なく意見を出し合うといった事は普段の仕事の中でもそれほど多くはなりません。
これら、チームでの学びがなければ、MBAはただ知識を得るための学習で終わっていたかもしれません。

(岡田) 各科目における予習・復習、レポートの作成、そして並行して行われるケースプロジェクト・テーマプロジェクト研究における議論と、想像以上にハードな日々を送っていますが、インプットとアウトプットのバランスが良く、MBAでの学びを効果的に吸収ができていると実感しています。

(鎌田) 刺激を受ける毎日です。経営に関する知識を幅広く、体系的に学びたいという思いからMBAへの入学を決めました。当初の希望通り、多くの知識を学ぶことが出来ているのですが、自身の学びを語るうえで欠かせないのが同級生の存在です。
毎週の課題や英語の長文のケースを読む場合など、心が折れそうになる時は、同級生たちとお互いを助けながら、皆で学んでいく(乗り越えていく)文化が非常に気に入っています。
また、授業の中で様々な企業の事例が紹介されるのですが、ほぼ全ての場合においてその業界に勤務する同級生がおり、彼/彼女がケースの背景について補足説明をしてくれる為、当該企業の戦略について深く理解をすることが出来ます。
受動的に授業を聞くだけではなく、学生自身が授業に参加することで授業の質が向上する、という神戸大MBAでのスタイルは自身にとって非常に有益なものになっており、入学して良かったと日々感じています。

(佐々木) 授業形態は、科目により様々ですが、5人一組などの組み合わせで議論するパターンは、自分と異なる職種の方の意見が聞けて勉強になります。
また、受講できる科目は幅広く、業務上、自分が全く関わらない分野についても、多くの会社のケーススタディを読んで議論することにより、少しずつ理解度が深まっていると感じます。

(田川) 日常業務ではある一定の領域に限られますが、授業では経営全体をあらゆる角度から見るために広い領域の学習が用意されているので非常に価値が高いです。不得手な領域もありますが、むしろそういうインプットは大学に来ないとできなかったことなので貴重です。講義のみならず、多様性の高い「場」自体が素晴らしく、ディスカッションには気づきも多いです。このテーマプロジェクトも含め、たくさんの人の知見にふれることができ、その上で課されるアウトプットがあるという授業構成は良い設えになっていると思います。

(和田) スピード感を持って授業が進んでいく印象です。自身の社会人経験と授業の内容がリンクすることがあり、その背景にある理論を学ぶ楽しさを感じています。また異なる業界で働く同級生と知識を共有し、助け合い、また時に切磋琢磨しながら学んでいく環境はとても貴重で、神戸大学MBAに入学して良かったと思います。

 Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

(大西) メンバーが内容に妥協しなかった事が大変だった事であり、勝因だったのかなと思います。これはストーリーの展開や自分たちで見つけた理論の提示方法はもちろんの事、スライド上の一文についても本当に必要か、これで内容が伝わるかを発表当日の朝方まで議論しました。
限られた時間の中で、「やり切った」。その結果として、優勝がついてきた。と感じています。

(岡田) 「テーマの絞込み」です。私たちのグループは、特定のテーマを研究することを企図して集まったグループではなく、テーマについてはじっくり腰を据えて考えようということでスタートし、各メンバーの問題意識を持ち寄りながらブレインストーミング的にアイディア出しを進めていましたが、いざ収束させようとするとなかなか決まらず、5カ月のうち、1カ月半程度は何をテーマにするかずっと議論していたと思います。最終的には、田川さんの業務上の問題意識をベースに「ブランド・コミュニティ」を研究領域として設定し、そこから活動を少しずつ前に進めることができるようになったと感じています。ただし、テーマ設定以降もリサーチクエスチョンの設定、インタビューからの含意の抽出等、スケジュールについては遅れに遅れ、発表用資料が完成したのは発表当日の朝5時。当日の朝は発表リハーサルを行うために早くに集まろうと決めていましたが、私は寝坊してしまい駅まで全力でダッシュしたことも今では良い思い出です(笑)。グループとして、かなりの時間を割いて議論を尽くしてきましたので、結果如何に関わらず、当日はやり切った感覚をメンバー皆が持っていたと思いますが、結果がついてきたことも本当に嬉しかったです。

(鎌田) 苦労したのは以下の三点です。
①テーマ選定:
一般的な疑問・課題だと多くの企業の取り組み事例や先行研究が存在するものの、独自性が出しづらく面白みに欠ける。ニッチな分野でのテーマとした場合は、事例や先行研究が少なく研究対象にしづらい。これら状況において、「ひねり」のきいたテーマ選定にはかなりの時間を要しました。
②事例の構造化:
いざテーマが決まって、実際の事例を見つけインタビューに行っても、なぜその取り組みが面白いのか、どこに妙味があるのかを考えるのに苦労しました。
③ストーリー構築:
ただ事実だけを羅列するだけでは面白くないですし、かといって結論を最初にもってくるとオチが分かってしまう。世の中の通説を用いながら仮説を設定することで、聴衆者に「ばかな、まさか」と思わせられるようなストーリー作りを心掛けました。
チームメンバーとは、金賞を目指すものの、それ以上に「みんなで心から納得するものを最後までこだわって作っていこう」との想いで発表に向けた準備を行っていました。発表当日の朝のリハーサルの場面では、感極まって涙するメンバーが出るくらいみんなでやり切れたのが最終的に結果に繋がったのだと思います。インタビューに答えて下さった企業の方々やアドバイスを頂戴した先生方、そしてチームメンバーに感謝です。

(佐々木) 色々なテーマ案が出たことにより、なかなか最終的なテーマが決まらなかったことです。フィールドリサーチ等も遅れ、中間発表時、全体の中でも下位の方で、厳しいコメントばかりいただいたこともあり、最終発表時のパネルの点数が高いことに驚きました。チームの皆さんが、最後まで妥協することなく突き詰めた結果だと思います。

(田川) 研究テーマを調べれば調べただけ新しい書籍文献や知見があり、興味のままにすすめては底がないと感じるほどでした。それらを1つのシナリオに絞り込むのが大変でした。メンバーそれぞれが感じている問題意識や何を伝えたいかなど、意図を合わせるのにも時間を要しました。又、限られた時間での発表ですし、且つ言葉やその伝え方などへのこだわりもありましたので、発表直前まで修正を重ねるなどプレゼン自体の準備も大変でした。
発表会での評価以上に、関連する企業の皆様から直接話を聞くことができたことは貴重な財産です。業績を上げている企業に共通する要因でもあると思いますし、今回の研究のキーワードの1つでもありましたが、各社の人たちの「熱量」が素晴らしく、私たちメンバー内の「熱量」も上がりました。私がプレゼンを担当し、うまく話せたわけではないのですが優勝できたのは、もしかしたらその熱量が会場で伝わったからかもしれません。

(和田) まずはテーマ選定に時間がかかったことです。興味のあるテーマがあっても世の中に情報が少なく、どのように研究を進めていくべきか悩んだ時期もありました。またテーマが決まってからは、先行研究や企業インタビューで収集した多くの情報の中から、傾向や知見を見いだす作業は大変さを感じました。しかし仲間と議論を重ね、情報の中からエッセンスを抽出する過程こそテーマプロジェクトの醍醐味であったと振返っています。発表会間近の年末年始、終電を気にしながらのミーティングは肉体的に大変でしたが、最後に金賞を頂くことができ、とても充実した日々になりました。

 Q4. 今後の抱負をお聞かせ下さい。

(大西) ① 「気づきや学びを仕事に活かす」が今の課題です。授業では、「なるほど」と理解し、知識のインプットが行われるのですが、これを自分の手で業務にアウトプットする段になると難しい。常に使いどころや手法を考えながら、仕事で活かすようにしていきたいです。
② 一度、授業でゼネラル・エレクトリック社のCEO、Jack Welch氏が取り上げられたことがありました。彼の言葉に”Change before you have to.”というものがあります。将来が不透明な時代だからこそ、神戸大学MBAで得た経験や知識を元に自分から変わっていく、そして周りを変えていく存在として成長していきたいです

(岡田) MBAの初年度も終わりに差し掛かってきました。これまで学んできたことを活かし、修士論文に取り掛かるとともに、業務においても学んだことを活かすべく積極的に取組みを進めていきたいと考えています。

(鎌田) 神戸大MBAに通い、素晴らしい教授陣や同級生のお蔭で多くの学びを得ています。
これら学び(インプット)を、「そうなんだ」「なるほど」と感嘆することに留めるのではなく、自身の会社でのアウトプットに繋げていきたいと思います。
また、少し早いですが、数年後に同級生と集まる際に、「成長したな」と思ってもらえるように自身も研鑽を重ね、同級生達といつまでも切磋琢磨していきたいです。

(佐々木) この1年間で、多くのことを学んだのですが、消化しきれていないので、自分の業務に活かせるように整理したいです。また、本格的に修士論文作成がはじまるため、興味の持てるテーマを見つけて集中して取り組んでいきます。

(田川) 授業やプロジェクトでの気づきを社内での実務にいかに活かしていけるかが重要だと考えています。修士論文でもマーケティング領域の研究をできたらと考えていますが、その内容も含めて、自社内での具体的アクションとして同時並行的に進行できるかが課題と感じています。失速せず最後まで「神戸MBA」という機会をGRITしたいと思います。

(和田) 神戸大学で学んだことを活かして仕事に厚みを出していきたいと考えています。また大学で学んだ知識に留まることなく、今後も情報をアップデートしていく姿勢を保っていきたいと思います。

 

優勝チームの皆様、ご協力ありがとうございました。そして、おめでとうございました!