2012年度テーマプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー

2013年1月5日(土)、神戸大学本館332教室で行われたテーマプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。

金賞

メンバー:奥田良太、小谷健太郎、小林竜介、船越多枝、前田智哉、松本圭司、山本桂司
(※五十音順、敬称略)

Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?

(奥田) 8月中旬にチームを結成し、梅田の個室焼肉屋で決起集会を行ってからの約5ヶ月間、かなりみっちり準備しました。毎週土曜の授業後はほぼ毎回、そして不定期で平日夜にY社の会議室に集まってのミーティングは、メンバーが同じ思いを共有し同じ目的を達成する為、それぞれが自分の意見や考えを、超前のめりに本音でぶつけ合える濃い議論となりました。これはチーム結成時に定めた『チームの掟』に起因すると考えます。「チームへの加入条件は自称性格が良いこと。年齢も専門分野もバラバラ、遠慮しあう場面があったり得手不得手があったり、仕事等が忙しくてチームに貢献できない時期があるかもしれない。それが原因で空気が悪くなるような事があったら最低だ。チーム内では何に臆することもなく、できない時はできない、『ごめん、無理!』とはっきり宣言できる空気を醸成したチームとにしよう。しかし、できる時は、できるメンバーがフルスロットルで走ろう!」と、ビールと焼肉に誓いました。
そんなメンバーは皆、いい感じの遊びもあり、また深くまで踏み込めばフェラーリ並みの馬力とスピードを発揮する高性能エンジンのようでした。Facebookを使った議論はほぼ毎日行われました。次から次へと意見や情報がアップされ、資料が改訂され、ウォールの議論を追いかけるだけでも大変でした。今回のインタビューにあたり、チームと準備の“濃さ”を表現できるKPIが何かないかと考え探して数えてみました。私のスケジュール帳に記載されていたチーム打合せの回数42回、Dropboxでのチーム共有ファイル数118個、Facebookグループページのアップロードファイル数218個、Facebookグループページへの投稿数は・・・数える気がしません。

(小谷) チーム結成は8月中旬と早く、テーマも松本さんの研究動機に賛同する形で早い時期に決まりました。しかし、リサーチクエスチョン(RQ)と仮説の設定に至るまでは方向性が定まらず、長く感じました。事例企業への取材は、中間発表前の10月下旬~11月中旬、専門家への取材は12月を中心に行いました。作業段階は、暗中模索状態の日々でしたが、今振り返ると仮説とRQが固まってからは軸がブレることなく、メンバー全員が同じ着地点のイメージを抱けていたと思います。仮説とRQは時間をかけてでも、じっくり検討すべきだと思います。

(小林) チームを結成した8月下旬から4ヶ月間をみっちり準備に費やしました。特に最終発表直前の年末年始は休み返上で集まって準備をしていました。これは多くのチームが同様だったと思います。
私達のチームは比較的早い時期にチーム結成し、テーマを決定したので、早いタイミングで研究に着手できたと思います。大まかなスケジュールとしては、9月?10月中旬はテーマの骨格についてのディスカッションや研究対象企業の選定、先行文献の探索などを中心に行い、10月中旬~12月初旬は企業や大学の先生、マーケティングの専門家の方々へのインタビューを行いながら研究テーマを掘り下げ(リサーチクエスチョンや仮説の検討の繰り返し)、12月初旬?最終発表の1月5日まではストーリー構成の練り上げとプレゼンの仕上げを行いました。思い返してみると、長くて短いとても充実した4ヶ月でした。

(船越) 人々のコンプレックスや悩みを扱うビジネスについての研究にしようというテーマは、チーム結成から2週間程度というかなり早い段階で決まりました。折角チームで研究するので、一人では取り組めないようなチャレンジングで社会的関心の高そうなテーマを選びたいという共通意識があったのですが、そんな中、チームメンバーの一人の薄毛の悩みに関し、周りが感じているものよりかなり深いということが分かり、この「意識ギャップ」があるところに実はビジネスの機会が存在しているのでは…と感じたことからこのテーマを深堀りすることになりました。
ただ、コンプレックスを逆手に取るようなビジネスではなく、当人の恥や周りの偏見を小さくすることで、その当事者が生き生きとした人生を送ることをサポートするビジネスで成功している、そんな希望ある研究にしたいという思いが強かったです。そして、研究を開始しましたが、テーマの特殊性から、企業リサーチと選定にはかなり時間を費やすことになりました。インタビューを申し込んでも断られたりもしました。テーマが決まってからは、最低週1回は授業後や日を作って集まり、毎日ネット上で意見交換するなど、この5ヶ月常にテーマのことが頭を離れることはなかったです。年末年始も結局、休めたのは大みそか、元旦、2日だけ。それ以外は終電まで仕上げ作業でした。

(前田) 8月にチームを結成して、初会合の一週間後に大よそのテーマが決定、9月には個人での調査やブレストを重ねながら対象企業を選定し、膨大な量の予習や課題に苦しみながらも10月~12月前半にかけて大量の企業・専門家へのインタビューを敢行しつつ(特に、松本キャプテンには、東京・山梨・岡山・京都・Skypeなど、各地・各ツールを飛び回っていただきました)、概ね週1ペースで、某Y社の会議室にて打合せを行い、年末の合宿、年始早々のプレゼンリハーサル等を経て、本番当日を迎えました。
メンバー全員がhard workerかつチーム・テーマ共に大好きだった(?)こともあり、打合せ以外にも、ほぼ毎日、誰かがテーマに関する情報や新しいアイディアをFacebookにアップするなど、チーム結成から本番までの約5ヶ月間は、まさにテーマプロジェクト漬けの日々でした。

(松本) ケースプロジェクト研究終了後の昨年8月中旬から今年1月頭までの4ヶ月半の間に行った取材回数は計11回、インタビューを行った人数は20人以上に上りました。テーマは早い時点で決定しましたが、リサーチクエスチョンの設定に時間をかけたと思います。10月以降は、調査対象企業へのアポ取りと取材を重ねていきました。また、取材を重ねていくうちに、自分達の研究への裏付け・肉付けになると思い、専門家への取材も「ダメ元」でどんどんトライしていきました。クリスマス前の連休には合宿を敢行したり、年末年始もプレゼンテーション本番に向けたリハーサルを何度も繰り返すなど、出来る限りの追い込みを行いました。

(山本) 8月にチームを結成してから約5ヶ月準備に時間が掛かりました。チーム結成は、ケースプロジェクトの最終発表前だと思いますので、同級生の中でも一番早く結成したのではないでしょうか。おそらく他のチームがチーム結成をする頃には、我々のチームはチーム方針やテーマのおおまかな構想が出来上がっていたと思います。
ジャックウェルチの名言『ビジネスでは遅いより早いが優れている』を実証しました(笑)。 準備期間の間は、とても楽しく充実した日々を過ごすことが出来ました。笑いが絶えなかったチームだと思います。

Q2. 入学から4ヶ月を振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?

(奥田) 職業柄なかなか困難なのですが、もし仕事現場で“さらっ”と使うことができれば、MBAっぽさを一層演出できる単語「ROI」が非常に高いと思います。(ちなみに私は普段の仕事ではほとんど使う事のない単語表現であり、万が一、普通の会話の中で使用すると変な空気になることは必至ですが、色々覚えたての今から、あえて普段使ってやろうと思っています。)金銭的にも時間的にも大きな投資をして、自ら進んでもう一度学ぼうという意識と様々なバックグラウンドを持った立派な大人が73人も集まり、同じ教室で同じ時間を過ごし、充実した授業内容と次々に襲いかかる課題やグループワークとの奮闘、そして刺激し合い助け合いながら学べる環境は、どれだけコストをかけたとしても他には考えられません。
入学前に何かの雑誌で読んだ「MBAは “学ぶエンジン”を身につけるところ」というフレーズが今でも非常に印象に残っています。「教授陣から一方的に教わるのではなく、グループワークを通じて研究の深さと広がりや実践への応用、より踏み込んだ議論、その過程で同期の仲間とのつながりは強くなり、刺激し合う関係になれる」とありました。入学前には正直、$#%&&#??と思っていましたが、今となってはその意味がよく理解できます。
とにかく刺激的で充実した授業内容と共に学ぶ仲間がいます。このMBAでの学びと仲間の存在は、私にとって間違いなく一生の財産になると思います。

(小谷) 実によく練られたカリキュラム構成の下、日本を代表する一流の教授陣の指導を受けながら、実践的な経営理論とその活用手法を学ぶことができ、授業は毎回刺激的であり、「素晴らしい」の一言に尽きます。また、多くのグループワークを通じ、高い志と多様なキャリアを有する優秀なクラスメイトから多くの学びと気付きを得られることや学んだことをすぐに実践できる場があることも社会人MBAの醍醐味であり、学習効果を高めていると思います。事前課題やレポートで睡眠不足が続き、体力・精神的に想像を絶するハードな生活ですが、こうした修羅場を共に歩んでいる仲間は生涯の「財産」です。

(小林) 一つ一つの科目も、全体のカリキュラムも非常に充実しています。日頃仕事の中で経験していることや、ビジネス誌で読んでいる経営トピックスを体系的に学習できるため、「普段仕事でやっていることにはこういう理論的な裏付けがあったんだ」というような気づきが多くあります。働きながら通学するのは想像していた以上にハードですが、学んだことをすぐに実践できる機会があるのは社会人MBAならではのアドバンテージだと思います。

(船越) 知り合いに卒業生の方もおり、ハードであるということは聞いて理解していたつもりでしたが、想像以上でした。常に授業の準備や課題で頭が休まるときがありませんが、授業の内容が濃く、面白く、知的好奇心がぐいぐい刺激されています!クラスメイトもしんどいと言いながら、それを楽しんでいる人ばかりだと思いますので(笑)そういった仲間とディスカッションをして知識をより深められる環境は、本当に恵まれていると思います。神戸大学MBAでは、本当にグループワークが多いのですが、そのおかげで理解が深まるだけでなく、チームビルディングの実践を学ぶことができていると感じています。

(前田) 講義をご担当頂く先生方、ゲストスピーカーの経営者・経営学者の方々、様々な業界・ポジションでの経験をバックグラウンドに持たれている同期の方々、すべてが素晴らしく、非常に刺激的な毎日を過ごさせていただいています。特に素晴らしいと思うのは、ある意味「お手軽」なフレームワークや理論を、単なる知識として与えるのではなく、その理論の背景にあるcontextや前提条件はどのようなものか、その理論が通用しないのはどんな場合か、またそれはなぜか、等々、表面的な知識よりも遥かに重要なポイントについて、考えるキッカケとヒントを常に与えてくれることです。それらは簡単に答えが出るものではなく、また環境や価値観によって答えが変わるものも多いですが(ある授業のdiscussionのテーマを例にとれば、「日本企業にとって、コア技術の漸進的な展開による多角化と、思い切った事業の転地と、いずれがうまくいく可能性が高いか」という問題を、どのように考えるべきでしょうか。場合によって異なる、というのであれば、具体的にどのような場合に、どのような答えになるでしょうか)、それらについて、クラスの皆が現場での経験・悩みを持ち寄って議論し、真剣に考えた中から得られた気づき・学びは、環境が変わっても色褪せることのない普遍性の高いものであり、そこに神戸大学MBAで学ぶことの意義深さを感じています。

(松本) 昨年4月に入学してから、想像以上に忙しい毎日が続いていることもあり、あっという間に時間が過ぎてしまったというのが実感ですが、この歳になって勉強出来る貴重な機会を与えてくれた家族を初め、多くの方々に本当に感謝しています。神戸大学MBAでは、その特徴である、プロジェクト研究だけではなく、あらゆる授業で少人数でのチームを組み、短期間でアウトプットを出すことを求められます。その為、座学中心で知識を積み上げていく以上の「学び」が得られるよう、非常に上手くカリキュラムがデザインされていると感じます。また、教授陣の講義に向けた周到な準備、熱意は素晴らしいものがあり、感動さえ覚えたものもありました。講義の中での先生や、神戸大学MBAだからこそ出会えるゲスト、また多種多様なバックグラウンドを持つクラスメイトとのインタラクティブな議論を通じて触れる、理論・概念・モノの見方・価値観のいずれもが、これまでの私の経験の延長線上にはきっと無かったであろうと思うものばかりです。「鋭い洞察力」と「助け合いの精神」の両方を兼ね備えた同級生達と共に、私の一生の財産になると思っています。

(山本) 仕事との両立の厳しさと仲間の素晴らしさについてもコメントは皆様にお任します(笑)。 私の率直な感想は『善く問いを待つ者は、鐘を撞くが如し』です。小さくたたくと小さな音でしか鳴らないかもしれませんが、大きくたたくと大きな音で鳴り響きます。教えを請うものがくだらない質問をすると、つまらない答えしか返ってきませんが、考え抜き、自分で調べ、ポイントを抑えた質問であれば、驚くほど導きに溢れた答えが返ってくる、そのような授業を受けていると思います。

Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

(奥田) 他のどのチームの発表もそうでしたが、とても新鮮で興味深い研究ばかりでした。このプロジェクト研究は、調べれば調べる程、知的好奇心をくすぐられ発表したい内容は増えていきます。しかし、当然、聞き手は私たちよりこのテーマの発表内容やその思いについては深く知りません。限られた時間の中でいかに私たちの言いたいことを凝縮し、説得力と論理性のある“聞き手にとって”分かりやすいプレゼンテーションであることを心がけました。シラバスには、「インパクトを狙え、ある程度ケースに語らせる、少し背伸びを」とありました。その教えに忠実に、テーマや事例は非常にインパクトが高く背伸びをした課題設定ができたと思います。しかし、一歩間違えれば、歴史ある学びの場で、単に奇をてらっただけの軽い研究に見えてしまうリスクもありました。あくまでアカデミックにそして説得力ある論理展開ができるよう、メンバーで議論を重ねました。このチームメンバーと共に金賞を受賞できた事は、この上ない喜びと達成感がありました。いい大人になって学校の勉強で涙がでそうになるくらい感動するとは思ってもいませんでした。打ち上げが終わった帰宅途中、深夜の真っ暗な自宅近所の公園で、ひとりでニヤニヤしてしまったことを今でも気持ち悪く思っています。この喜びと感動をMBA以外の人に鼻高々に自慢してもあまり伝わらない事と、表彰状が小さかったのが少し残念でした(笑)。

(小谷) 身体的なコンプレックスに起因する恥や偏見などをいかに経営の課題に繋げ、学術的かつ論理的にわかりやすく伝えるのに苦労しました。その中で、中間発表でフェローの方々から社会学的アプローチを示唆頂いたことは、大きなヒントになりました。また、本研究に至る熱い動機を伝えるのにも随分知恵を絞りました。優勝の感想は、メンバーに恵まれ、このメンバーで金賞を受賞できたことが嬉しかったです。勝因は「事業化を見据えたこと」「メンバーの多様性や個性が融合し、共に成長し合えたこと」に尽きると思います。今般取材に協力頂いた事例企業、専門家の皆様方、共に戦ったチームメンバー、互いに切磋琢磨してきた全てのライバルチーム(クラスメイト)、そして何よりこの様な勉強の機会を与えてもらい、MBA生活を支えてもらっている家族に感謝しています。

(小林) 一番苦労したのは、自分達が設定した仮説とインプリケーション(含意)とのフィッティングです。企業や先生方へのインタビューから得られたインプリケーションは何なのか、それは仮説やリサーチクエスチョンに対する解になっているのか、仮説がインプリケーションありきの後付けになっていないか、これらの問いをぐるぐる繰り返しながら少しずつ自分たちなりの答えに近づいて行ったように思います。素晴らしいチームメンバー達と共に金賞を受賞できたことは本当に嬉しく、光栄に思います。私達のチームのメンバーは業種も職種もキャラクターもバラバラなのですが、ディスカッションではメンバーの発言を尊重し、そこから何かを生み出そうというムードが常にありました。それによってメンバーが積極的に発言にトライする雰囲気が醸成され活発な議論ができたと感じています。他のチームの研究も示唆に富むものばかりで、多くの気づきを得ることができました。多種多様なバックグラウンドを持つ社会人が集まり一緒に研究を行うことで、自分一人では考え及ばない視点やアイデア、行動に触れることができます。チームメンバー同士、チーム同士で切磋琢磨しながら研究の質を高めるテーマプロジェクト研究の醍醐味を肌で実感しました。

(船越) 私は小林さんとともに、当日のプレゼンターをさせていただきましたが、プレゼンの練習時間が実質1日程度しかなかったのが大変でした。プレゼンの全体構成は、マスコミで企画をされている奥田さんが考えてくれたのですが、プロデューサーからのダメ出しは厳しかったです(笑)。しかし、こうした機会をいただき、プレゼン力がついたと思います。
この5ヶ月、本当にチーム一丸となり頑張ってきたので、優勝は素直に嬉しかったです!プレゼンが終わった瞬間は、全て出し切ったので結果はどうでもいいね、とチームで話していたのですが、やはり嬉しくて、泣きそうになりました。こういった経験というか、感触を随分長い間忘れていたような気がするので、大切なものを思い出すことができました。他のチームの発表も、1日があっという間に過ぎるほど聞いていて素晴らしかったので、優勝が信じられない気持ちもありました。

(前田) 研究のモチベーション・問題意識と最終目標は当初から非常に明確でしたが、そもそも先行研究があるのかどうかもよく分からない、学術研究の俎上に載せるのが難しいテーマだったこともあり、「問題意識⇒RQ⇒仮説⇒検証(事例研究)⇒結果・インプリケーション⇒最終目標の達成に向けて」というストーリーを考えるに当たって、RQ・仮説の設定をどうするか、そしてそれを検証するためにどんな事例を採り上げればよいか、という、いわば研究の「事前準備」の段階で最も苦労したように思います。結果的に、全く異なる業界の4社を採り上げることになったこともあり、「自分たちは一体何のために、何の研究をしようとしているのか。この研究にどのように筋を通そうとしているのか」という点は、発表直前まで皆で議論を重ねました。
また、9月のテーマ発表の段階で、指導教官の松尾教授に「今までマーケティング系のテーマで優勝したチームはありません」というショキングな事実を告げられたうえ(笑)、マーケティングの専門知識を持つメンバーもおらず、割とハイリスクなテーマ選定ではありましたが、むしろ、皆が素人の分野だったからこそ、既存のフレームワークや偏見・思い込みにとらわれることなく、「恥ずかしいコト・モノ」というユニークなテーマの研究に取り組めたのではないかと感じています。
このような面白いテーマに巡り合わせてくださり、審査員の先生方から高い評価をいただけるような研究成果に辿り着かせてくれた素晴らしいチームメンバーの皆さまには、いくら感謝してもしきれません。

(松本) これまでの常識から言うと、今回取り上げたケースはどれもアカデミックの場に乗せるには非常に「きわどい」ものばかりでした。それ故、正直に言いますと、プロジェクト開始当初は、チームメンバー一同、今回取り上げたテーマで研究を進めるには大きなリスクを孕んでいると感じていました。しかし、私自身が抱えていたハゲ・薄毛の悩みを察してくれたメンバーは、それを「隠す」「生やす」という手段以外で何とか解決する方法はないだろうかと、真剣にこのテーマに取り組んでくれました。本当に良いチームメンバーに恵まれたと思います。しかし、やはり大変だったのは、調査対象ケースの選定です。なかなか恥や偏見の解放に至ったと言えるケースを見つけることが出来ず、難航しました。しかし、「インパクトのある」ケースを如何に見つけ出すかがこのテーマプロジェクト研究を進める上での肝ですので、このプロセスは非常に重要です。
我々自ら選んだテーマで優勝出来たことについては、非常に嬉しく思っています。今でこそネットの無い社会は考えられなくなりましたが、「人間の本質」そのものはどんなに科学技術が進歩しても変わりません。今回のテーマでは、研究を通じて僅かながらではありますが、人間の本質部分をえぐり出すことが出来たのではないかと考えています。
またご多忙な中、今回の研究にご理解・ご協力頂いた企業の方々、専門家の方々、同級生の皆には深く感謝しています。本当にありがとうございました。

(山本) テーマがテーマなだけに審査員の評価が分かれてしまうという恐れがありました。まさに、一か八か枠です(笑)。しかし、結果に囚われず楽しくとことん研究しようとメンバー間で意識を共有したことが良い方向に向かい、最終的に優勝という結果になったのではないでしょうか。最高です。
素晴らしい仲間のおかげで、平日も土曜日の授業後の終電までの打ち合わせやクリスマスには一泊の合宿を行いましたが、発表までの期間の間不思議と辛いと思ったことはありませんでした。私だけでしょうか?
唯一、残念だったことを挙げるとしたら、チーム結成の声掛けを行った私が、早々にリーダーのポジションを奪われたことくらいです(笑)。

Q4. 今後の抱負をお聞かせ下さい。

(奥田) 私は現在、メディアコンテンツの制作プロデュース業務を仕事としています。近年、我々の業界を取り巻く環境も激変しております。私自身がこの十数年間で蓄積したメディアコミュニケーションにおける経験やノウハウと神戸大MBAで学んだ知見や経験、そして人的ネットワークを活かし、多くの人の役に立つコンテンツやサービスを提供できるビジネスプロデューサーになりたいと思っております。その目標に向かって、残りのMBA生活はもちろんのこと、修了後もMBAで搭載した “学びのエンジン”を回し続けられるよう、日々努力したいと思っています。

(小谷) 私は政策金融の分野で中小企業者の方に対する事業資金の融資業務に携わっています。これまで授業で学んだことやプロジェクト研究、これから作成する修士論文を通じて、自らの問題意識を掘り下げ、少しでも中小企業者の経営に役立つ知見やヒントを得て、日常業務(実践の場)で役立てたいと考えています。テーマプロジェクト研究で取り組んだ内容についてもさらに深掘りし、社会的に貢献できる形に繋げたいと思います。

(小林) MBAでは単なる経営ノウハウを学んでいるのではく、経営に関する「なぜ」を追求する能力を磨いていると感じています。テーマプロジェクトでもチーム全員で「なぜ」を繰り返すことで充実した研究を行うことができました。この経験を今後の実務にも活かして、問題の本質を見極め、有効な手立てを創造できるよう研鑽を積んでいきたいと思います。また卒業後も同級生をはじめとする人的ネットワークを活かして、本学で得られた経験や知見を更にブラッシュアップしていきたいと思います。

(船越) テーマプロジェクトではたくさんのことを学ばせていただきました。それぞれの個性と得意分野を生かしながら、団結すれば人数分以上の大きなパワーが出せること。そして、本音でぶつかり合いながらも、相手の意見を理解しようとすることの大切さ。論理展開で人を納得させることの重要性。これらは直ぐに実務で応用できることだと感じています。ここでの学びを糧に、日本の社会と産業界に貢献できる人材を目指したいと思います。

(前田) 私は今28歳で、クラスの最年少としてMBAプログラムに参加させていただいておりますが、神戸大学MBAでの学び・気づきを通して、今後30年以上続いていくであろうビジネスパーソンとしてのキャリアの礎が築かれつつあるように感じています。
私自身、関西のインフラ企業に勤務する身として、関西や日本の経済をもっと盛り上げていくにはどうすればよいのか、そして、その中で自分にできる事は何なのか、という自問自答と試行錯誤を何十年にもわたって続けていくことになるかと思いますが、神戸大学MBAでの経験が、良きanchor(船の錨。海洋に出た際に、そこに立ち返るベース)になるよう、未知を恐れず、貪欲に、粘り強く、様々な事を吸収していこうと思っています。

(松本) 今後は、今回の研究を通じて得られたインプリケーションを現実社会にどう活用するのかを考えつつも、まずは当面の課題である、修士論文の完成を目標に頑張りたいと思っています。そして卒業後は、神戸大学MBAで得た経験・知識を還元することを通じて、より良い社会の構築・発展に貢献したいと考えています。

(山本) このテーマプロジェクトを通じて学んだ知識や経験を、実務や修士論文作成に活かしていきたいと思います。また、この素敵なメンバーと生涯を通じて、何かしらの研究を再び行いたいなと個人的に思っています。

 

優勝チームの皆様、ご協力ありがとうございました。そして、おめでとうございました!