山本 周作さん

生活協同組合コープこうべ勤務 2021年度入学生 松嶋登ゼミ

1. はじめに

こんにちは。2021年4月にMBAに入学し、1年以上が経ちました。長いようで短い期間を過ごし、いよいよMBA生活も終盤を迎えています。修士論文執筆が中心になりつつある今日この頃ですが、社外の方々へのヒアリングや他のMBA同期との研究進捗状況の共有の中で新たな発見も多く、仕事だけの人生ではすることもなかったであろう経験を積み重ねています。ちょっと背伸びして、違った環境に身を置いてみることはよいことであるなーと、日々実感しています。

さて、私は兵庫県内、大阪と京都の一部を活動エリアとする生活協同組合に勤めています。(いつもご利用いただいている方、ありがとうございます。)生協といえば、スーパーマーケットと食料品の宅配サービスでなじみを持っていただいている方も多いと思います。コロナ禍の一時的な需要増はあったものの、食品小売市場は競争が激化。国内の人口減少が明らかな中、新規参入や販売チャネルの増加により、厳しい市場競争にさらされています。

一方で生協は、多くの小売事業者とは異なります。その違いとは消費者のメンバーシップによって成り立つ非営利組織であり、人々のくらしや地域の課題を解決することを目的に事業活動を進めている点です。安心できる商品を適正な価格で手に入れたいという人々の願いを出発点とし、消費の力を原動力にくらしの課題解決に向き合い続けています。また、現代の我が国においては、社会課題は確実に多様化しています。生協のみの力ではなく、企業や行政、地域団体をはじめとする地域の主体と協働し、さまざまな強みや資源を組み合わせていく重要性が一層高まっています。

2. 志望動機、受験のきっかけ

私がMBAへの入学を決めた理由は大きく3つあります。

まずは、経営について体系的に学びたかったからです。市場競争が激しくなる中、生協がどう生き残るかを考えたいと思っていました。MBAであれば、自身の専門分野以外の分野についても学ぶことができます。私は現在人事部門に所属していますが、マーケティング、MOT、ファイナンス、会計など、他の分野についても実績豊富な先生方や、それぞれを専門分野として働くMBA同期に教えを乞うことができています。このように経営について広く学ぶには、自ら起業して経営を実践する他には、MBA以外にないと思っていました。また、先述の通りパートナーシップは社会課題の解決のカギとなっており、企業と手を組んで協働を進めていくうえで、企業の仕組みや大切にしていることを知ることが重要だと考えていました。一般企業のことは生協で働くだけでは深くは学べず、組織の外に出て学ぶ必要がありました。

2つ目は、強い問題意識と成長意欲を持つ他企業の社会人たちと一緒に、しかもプロジェクト実践を交えながら学べる環境があったことです。もちろん、まだ30代前半の私にとっては日々の業務から学ぶことも大変多いです。しかし私は、勤務先の外で学びを得る機会を得たいと考えていました。私は20代の頃、生協内の公募選抜型出向研修プログラムの1期生として、認定NPO法人サービスグラントで勤務させていただいた経験があります。サービスグラントは、社会人の経験やスキルを活かした「プロボノ」によって非営利組織が抱える課題の解決を目指す、プロジェクト型支援のコーディネート等に取り組んでいます。異なる専門性を持つ社会人がチームを組み、それぞれの得意を活かして役割を分担し、NPOや地域団体の戦略立案や情報発信ツールの制作、ファンドレイジングなどのプロジェクトを進めます。私は当時複数のプロボノプロジェクトに関わる中で、本業で活躍し、スキルも志も十分に高い社会人たちが、プロボノを通じて他のチームメンバーや支援先のNPOから大きな学びを得ている様子を間近で見てきました。自分自身が生協の外で働くことで刺激を得られたことはもちろん、社会人たちがプロボノで学び、輝いている様子を見て、組織の外の他流試合に挑むことへの価値に心をつかまれました。

最後に、パートナーシップによる地域づくりをいかに生協の経営戦略に組み込むかということについて、深く考えてみたかったからです。これは私にとって大変重要でした。生協での業務で人びとのくらしの課題と協働の価値に触れ、サービスグラントで多様な主体の協働の実践の実例を間近で見た私は、生協の今後の戦略においては、様々な他の主体との協働、すなわちネットワークによる課題解決を進めることが一層重要になると考えました。こうしたネットワーク組織を構築する価値を言語化し、そういった組織の構築に向けたヒントを得たいと思っていました。

※認定 NPO 法人サービスグラント公式 WEB サイトを参考に記述

3. 試験対策

私がなぜ合格をいただいたのかは、今でもわかりません。また、MBA同期に聞いても受験前の勉強量や方法は人それぞれで、試験対策の正解もわかりません。しかし、実際私も受験の際には先輩方の書かれた「合格への道」が大きな支えになっていました。そういう意味で、以下に書くことはほとんどが先輩の受け売りでしかないですが、少しでも参考になれば大変うれしいです。

3-1. 研究計画書、経歴詳細説明書

この2点は出願にあたって提出する書類ですが、これに最も多くの時間を費やしました。最も重要なことは、自分と向き合い、思いを言葉にすることだと思います。そして、次に相手を知る、すなわち自分が志願する大学院とはどんなところなのかを知ることも重要だと考えていました。それらが済めば、あとは表現してみてブラッシュアップするという繰り返しでした。

まず、自分と向き合うというのは、自分のこれまでの経験の棚卸と、将来のありたい姿を描き、問題意識を明らかにすることだと思います。MBAを志す方にとっては、すでに習慣づいている、あるいはこれまでに一度は考えたことのあることではないかと思います。

次に、相手を知るということについて、私は3つのことを実践しました。まずは幸運にも、過去に神戸大学経営学部の先生方が私の勤める生協に関する研究をまとめた冊子がありましたので、それを読みました。また、神戸大学MBAのWEBサイトにアップされているシラバスに目を通しました。人や組織の研究をする気満々だった私は、「Individuals and Groups」のシラバスにある教科書と参考書は先に読んで、研究計画書を書く際の参考にしました。(同時に授業や課題の多さを目の当たりにし、衝撃を受けたことも覚えています。今では取り組んでよかったと思っていますが。)

最後に、研究とはどのようなものなのかがよく分からなかったので、社会人大学院生の知人にお話も伺いました。補足ですが、神戸大学MBAについては『人生を変えるMBA』や『プレMBA知的武装』(これは私の受験後に発売)という本もあるので、是非、読んでおくことをお勧めします。

これらを踏まえてなるべく具体的に自分の問題意識と実現したいことを書きました。また、自社の上司や先輩にも見てもらい、ブラッシュアップしました。

参考図書
  • 飯野一、佐々木信吾 著 『国内MBA研究計画書の書き方:大学院別対策と合格実例集』 中央経済社
  • 神戸大学専門職大学院(MBA)編 『人生を変える MBA』 有斐閣
  • 神戸大学専門職大学院(MBA)編 『プレMBAの知的武装』 中央経済社
3-2. 英語

私は、神戸大学の英語試験は受験していません。業務でも英語を使うことはほとんどなかったこと、研究計画書や記述試験の対策に追われることも想定して、受験前年度の秋頃からTOEICの勉強を始め、挫折しない程度にコツコツ勉強し、英語科目の免除ラインであるスコア730点をクリアしておく計画を立てていました。コロナ禍の影響でTOEICの試験が中止になる期間もあり、ようやく受験できたのは7月でしたが、無事に基準点を超えるスコアを獲得することができました。

もし受験直前に不安を少しでも減らしたい、他の準備に時間を使いたいと思われる方は、事前にTOEICの受験を私はお勧めします。MBA入学後に、英語試験を受験しなかったことを後悔したり、困ったりしたことはありません。

3-3. 論述

私が受験した2021年実施の試験も、それまでの試験と同様、当日に出されるテーマに対して、600字以内で原稿用紙に手書きで記述して回答する形式でした。他のMBA同期に聞くと時間が余った方もおられたようですが、私は時間ぎりぎりまでかかりました。手書きは細かい修正であっても、多くの手間をとられます。可能な限りテスト前には時間を計り、手書きで書いてみることをお勧めします。

ここからは対策についてです。私が論述問題対策にとりかかったのは、研究計画書を書き上げ、提出した後でした。研究計画書は締め切り直前まで粘って修正を加えていたので、11月下旬頃からとりかかったということになります。

まずは、過去問を取り寄せました。3年分を取り寄せることができます。それから、先輩方の「合格への道」からも、近年の社会やビジネスの動向に関する問題が出題される傾向があると予想し、できるだけ近年トレンドになっているワードやニュースは頭に入れておこうと、書籍、日経新聞を読みました。また、書くことに慣れる、ポイントをおさらいするという意味で小論文の書き方に関する本も読みました。これらを経て、上述の通り入試直前に過去問を解いて、あとは自分にとって書きやすいテーマが出題されることを願っていました。

参考図書
  • 吉岡友治 著 『大学院 大学編入学 社会人入試の小論文[改訂版]』 実務教育出版
  • 日経HR編集部 編著 『日経キーワード 2021-2022』 日経HR
3-4. 口述

口述試験の面接官は2名、新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインでの実施でした。口述試験の質問についても、MBA同期に聞いてみた様子では、人によって異なるようです。私は研究計画書の内容の深掘りが中心で、最もオーソドックスな内容であったと思っています。

研究計画書の内容に関する概要説明、研究テーマを選んだ理由、業務の経験と問題意識、神戸大学MBAに入学した場合に周囲に対してどんな貢献ができるかなどを中心に質問される、10分程度の面接でした。研究計画書に書いたことに対して、経験や事実を根拠に論理的に回答できているかを問われていたのだと思います。そういう意味でも、研究計画書は客観的なレビューを経て論理構造を整えておき、自分の納得のいく形にしておくことが重要であると言え、それが口述試験の最大の対策なのではないかと思います。

4. おわりに

MBAプログラムはとても面白いところです。同期が70名弱いますが、みんなそれぞれキャリアもスキルも問題意識も違います。そんな方々とディスカッションできる機会が山ほどあります。(ワクワクしませんか?)また、研究やプロジェクトを通じて、自社でも、MBA同期でもない方々にお話を伺う機会も多いです。そして、先生方のご知見とご経験をお借りできたり、そして大学内に蓄積されている大量の論文や書物、データにアクセスできたりするのも、大学ならではの良さだと思います。こういった恵まれた環境で学ぶことを応援し、支えてくれている多くの方々に、大きな感謝をしながら過ごす日々です。

長くなりましたが、これで締めます。少しでもお役に立てていればうれしいです。ありがとうございました。