伊加 真士さん

姫路聖マリア病院麻酔科勤務 2020年度入学生 松尾貴巳ゼミ

1.はじめに

みなさん、こんにちは。自身が神戸大学MBA入試の時に散々お世話になった『合格への道』に、まさか自分が執筆することになるなんて夢にも思っていませんでした。今から思い返しても試験の出来や、研究計画書の出来も芳しくなく、なぜ自分にこの役割が回ってきたのか不思議に思います。自身は病院に勤務する医師ですので、おそらくそういった普段から経営に馴染みのない人間がどのようにしてMBAに興味を持ってなんとかギリギリ合格に漕ぎ着けることができたのか、その辺りをお伝えすることが求められているのではないかと思います。従って、私の文章は普段からビジネスに携わられている方からすれば非常にレベルの低い話に映るかもしれませんが、『非ビジネスパーソンのための合格への道』と割り切って読んでいただけますと幸いです。

2.志望のきっかけ

初めてMBAの存在を知ったのは医師になって5年目で、現在所属している岡山大学の麻酔学の教授から「経営を専門的に学ぶことができるスクールがあり、医師もその取得者が増えているんだよ」というお話を聞いた時でした。その当時から医師の人事異動や普段の業務の効率化に関して興味や疑問があったので、いつか機会があればとは思っていましたが、まさか実際に受講することになるとは思っていませんでした。

その後、医師としての修練が進み、目の前の患者様の治療に関してはある程度解決できるようになる中で、組織全体にも少しずつ目が向くようになってくると、病院経営全般に対しての疑問(というよりむしろ余りに非効率で非論理的すぎる経営への憤りに近いですが)が噴出するようになりました。それらをなんとか解決できる人材になりたいと思うようになったことが本学志望の最終的な動機になりました。

3.試験対策全般

ここからは自身の試験対策となります。非ビジネスパーソンにとっては、兎にも角にもまずは『MBAではどんなことを学ぶか』を知ることが第一になるかと思います。自身の経営に関する問題意識が経営学の中でどのような領域にあるのか、現在のビジネスの世界を取り巻く環境や潮流ってどんなものなのか、この辺りを表面的にでも構わないので押さえておく必要があるかと思います。ビジネス系雑誌などの手のつけやすいものから読み始められてもいいと思いますが、非ビジネスパーソンにとっては雑誌ですら最初に読むのは苦労すると思います。そもそも言葉の意味が理解できません。敷居が高そうに感じるかもしれませんが、「日本経済新聞」は言葉や基礎知識の解説をしてくれており、今までビジネスに馴染みが薄い人でも読みやすいように工夫されているのでビジネスの潮流を知るには良いと感じました。小論文対策にもなると思います。MBA自体を知るための参考書籍として当時(1)や(2)を使用していました。今であれば(2)の代わりに(3)を使用すると思います。神戸大学のMBAで実際に教鞭を執られている先生方が執筆されています。もっと早く出版してほしかったです(笑)。実際のMBAでの授業も、ある程度ビジネスのことは知っている前提で話が進むことも少なくありません。まずは合格してからという気持ちは痛いほどわかりますが、入学後の授業を少しでも実りあるものにするためにも「非ビジネス人材」のみなさんには予備知識の習得を強くお勧めいたします。

また、これは全ての方ができる方法ではないかもしれませんが、是非MBA経験がある方から話を聞く、相談に乗ってもらうという事を行なった方がいいと思います。私自身も神戸大学MBAのOBの方に話を聞いてもらいました。自分の問題意識を言語化すること(つまり研究計画書の執筆)にも非常に有用でしたし、何より神戸大学MBAの入学後の楽しい日々を聞くことはモチベーションアップに繋がりますよ!

参考図書

 (1)人生を変えるMBA(有斐閣)

 (2)グロービスMBAマネジメント・ブック(ダイヤモンド社)

 (3)プレMBAの知的武装(中央経済社)

4.研究計画書、経歴詳細説明書

過去の『合格への道』の中でも何度も語られていますが、研究計画書の出来は合否の最も大きいウェートを占めているように思います。ですので、ここに関しては可能な限り時間を使って書き上げた方がいいと思います。

研究計画書の作成に必要なのは、まずは「自身の組織や業界に対する問題意識」だと思います。MBAを取得したいと思うような方々ですので、みなさんも自組織や自業界に対して相当な問題意識をお持ちだと思います。その問題は何が原因なのか、どんなことを解消すれば解決の糸口が見つかる可能性があるのか、そのためには自分は何を発見すればいいのか、そこを現時点で可能な限り突き詰める必要があると思います。そしてできればその問題点とは「世間一般に言われている問題」ではなく「自分の経験で感じた、リアルな問題」である必要があるように感じます。まだMBAに通っているわけでもないですし、経営学の論文を書いたことがある方の方が少ないのは採点者の先生方もよくご存知ですので、経営学の知識が不十分なのは問題ないはずです(自身の知識も当時を振り返ればひどいものでした)。論文の計画としてアカデミックに優れた、整合性のとれた、研究として実現可能性の高いものを作ろうとするのではなく、自分が絶対にこの問題を解決しないとダメなんだという熱い思いがわかるように記載することが大切だと思います。そのためには、経歴詳細を読んだときに「確かにこの経歴なら、この研究をしたくなるだろうなぁ」と思われるような、経歴詳細と自身の考える問題意識とのリンクが分かりやすい必要があると思います。熱意が重要と書きましたが、気持ちだけを全面に押し出すと言う意味ではなくて、絶対に解決したい問題の根本は何なのか、なぜその問題に行き着いたのか、なぜ解決すると良いのか、解決したいと願うのか、ということが読み手にとって論理的に納得感があるように記載されている必要があると思います。そこについてはしっかりと自問自答しながら作成されるのが良いと思います。

ちなみに、同級生の中には信じられないくらい短い準備期間で研究計画書を書いている方もいらっしゃるので、準備の量や時間が合否に直結するわけではないと思います。でも、必要な時間はその人自身の知識量や普段からどのくらいその問題点について考えているかに依存します。ですから普段からビジネスに親しまれているわけではない方は尚更可能な限り時間を充てるのが妥当だろうと思います。因みに(4)を読まれたら神戸大学MBA合格者の実際の研究計画書の内容を読むことができます。余り読みすぎると猿真似になってしまいそうだったので、本当に参考までに使わせてもらった感じです。

参考図書

 (4)国内MBA研究計画書の書き方-大学院別対策と合格実例集-(中央経済社)

5.英語、小論文

私は普段から医学の英語論文を結構な量で読んでいるので、長文読解には自信がありました、、、、、、が、これが大きな落とし穴でした。研究計画書を提出し終わって、じゃあそろそろ英語の勉強でもと過去問を見たのですが、全くと言っていいほど単語が分かりませんでした。こんなにも医学と単語の使われ方が違うのかと相当焦りました。本番では辞書の持ち込みが許可されているので必要であれば調べることができますが、試験時間は割合タイトなのでそれでは間に合いません。本当に慌てて(5)を購入して必死に暗記しました。私みたいに焦らないためにも、早めに過去問を取り寄せて、とりあえず一度時間を制限して予行演習される事をお勧めします。

小論文に関しては英語よりも危機感があったので、早めに過去問を見ていました。普段からビジネスに馴染みがない人間にとっては、最初はそもそも何を回答として記載したら良いのか全く思いつきませんでした。ただ、上で示した「日本経済新聞」や(2)の参考図書に加え(6)などを読んでいくうちに、以前は思いつかなかった回答になりそうな内容がぼんやりと思いつくようになりました。試験直前には、再度過去問を使用して本番と同様の時間内に答えをまとめ切る練習を行いました。同じ問題を解いて意味があるのか?と思われる方もいらっしゃると思いますが、面白いことに、自身の知識が増えるに従って、同じ過去問を解いても毎回回答が変わっていきます。その上書きたいことも増えていくので、今度は短くまとめるのに苦労するようになります。英語でもそうでしたが、神戸大学MBAの筆記試験はとにかく時間がタイトです。回答を構成して、文字量を想像して書き始めて、清書して、、、、、、あっという間に時間が過ぎて、丁寧に何度も校正するというのは難しいと思います。私が遅筆なのもあるとは思いますが、本番で焦らないためには過去問での練習が非常に大事だと思いました。また普段から新聞などの記事に対して、自分の意見を考える、可能であればそれを文字でまとめる、という事を行うのも良い勉強法かと思います。

あと地味に辛いこと、、、それは「文字を実際に書く」事でした。普段からパソコンでの入力に慣れていると、短い時間で500字を書くということが思いのほか大変でした。猛烈に腕の筋肉が痛くなるんです。あと漢字が全然出てきません(笑)。ぜひペンで書くこと自体にも慣れておいた方がいいですよ!

参考図書

 (5)速読速聴・英単語 Business1200(Z会)

 (6)国内MBA受験小論文対策講義(中央経済社)

6.面接

面接は午前の部と午後の部に分かれて、それぞれまずは大教室に集合して、その後に前の人から順番に一人ずつ試験官の待つ部屋に入っていく形式で行われます。午前と午後の最後の順番の方は結構な時間を待機すると思いますので、温度調整できる服とか飲み物とかを準備されておいた方がいいのかなと思います。幸いなことに私はすぐに順番が来たので待つ苦労は無かったのですが、直前にもう一度自身の研究計画書を読もうと思っていたので逆に焦りました。

面接では「志望動機」「どうしてその研究を行おうと思ったのか?」「忙しい仕事だが勉強時間は確保できるか?」などの当たり障りのない質問と、自身の研究計画書について試験官が疑問に思うところの確認の質問がありました。研究内容に関しては、その研究をする意義、研究成果はどのように業界に貢献するのか、自身が使用した言葉の意味などを問われました。事前に面接で聞かれそうなことを予想していたのですが、志望動機以外の予想は大外れで、回答は全部その場で考えながらという状況でした。よく考えれば、自身の研究計画書の矛盾点や不明確な点が聞かれるわけで、それが事前に把握できているならそもそも研究計画書を執筆した時点で訂正していますよね。あまり取り繕わず、その時にどのような考え方で研究計画書を書いたかを答えれば良いのではないかと思います。意外と研究計画書で書いた内容は二次試験前には少しうろ覚えになっているので、その時の思考過程とともに事前にしっかり振り返りをするのが良いのではないでしょうか。面接官は次年度(つまり自身が入学する年)にゼミの担当教官になられる先生が担当されるのではないかと思います。次年度のゼミ担当教官は神戸大学MBAのHPに掲載されているので、自分の研究ならどの先生が面接されるかなぁと予想しながら会場に向かうと緊張も少しは和らぐかもしれません。ちなみに同級生の中には相当厳しい面接になった方もおられたようですが、みなさん無事に合格されていますので、少々厳しいツッコミが入っても挫けず真摯に回答するのが良いのではないでしょうか。

7.終わりに

神戸大学のMBAで過ごす日々は厳しいですが非常に刺激にあふれていて大変充実しています。ここに来なければきっと一生出会うことのなかったであろう人々との出会いも待っています。他業界の方の話を聞くたびに、いかに医療業界が経営と言う文脈の中では取り残された存在であるかを痛感するとともに、自身の憤りを解消してくれそうな知見にあふれているように感じます。COVID-19の影響で授業がほとんどオンラインで開催され、クラスの全員と仲良しと言う例年のMBA生ほどの直接的な人的交流は持てませんでしたが、それでも今後も付き合っていくだろうなと思える戦友たちと出会えました。また授業を担当される先生方は、不便なオンライン授業でもクオリティーを維持しようと本当に熱心に授業を行ってくださいます。こっちも生半可なレポートは提出できないなぁと思えます。きっと入学後の大変さも面白さも今の想像を超えることは請け合いですので、ぜひそれをモチベーションに入学試験の準備を頑張ってください!