中村 明大さん

京セラ株式会社勤務 2018年度入学生 松尾博文ゼミ

1.はじめに

このページをご覧になられている皆さんは、神戸大学MBAに興味を持ち、入学を検討する中で、大きな期待と共に様々な心配や不安を持たれているのではないでしょうか?私の場合、周囲にはMBAを取得した方がおられなかったので、入学するためにはどのような準備をすればよいか?正に手探りの状態でした。そのような状況の中で、神戸大学MBAへの挑戦に際しては、このページが唯一の情報源で、私も大変参考にさせて頂きました。

私のようにMBAでの学びに興味はあるが、会社の中や周囲にMBAで学んだ方がおられず、どのような準備をすれば良いかが判らず、神戸大学MBAへの挑戦をためらっているような方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

2.志望動機・受験のきっかけ

私は1998年に社会人になって以来、一貫して設計開発業務に従事してきました。現在は医療機器、具体的には人工関節等の整形外科用インプラントや手術器械の設計開発を行っております。皆さん京セラは電子部品や情報・通信機器の会社というイメージがあると思いますが、セラミック技術の多角化の一つとして、1970年代後半から上記の事業を展開しています。

一般的に、医療機器業界は高齢化社会の到来によって、市場規模は拡大するものと見られています。しかし、我々の事業は思うように売上を伸ばすことができていません。私は2003年に大手電機メーカーから転職後、多くの製品開発に携わってきましたが、売上拡大に貢献できたという実感が持てず、もやもやした気持ちをずっと抱えていました。また、社会人として経験を積んでいく中で、私も相応の責任のある仕事を任されるようになり、商品企画部門で立案した製品コンセプトをただ具現化するだけではなく、新製品の企画立案や事業部内での新規事業に参画する機会も与えられるようになりました。このように、高い視座が求められる業務を担うためには、自身のこれまでの経験では得られない、経営に必要な様々な知識と理論を体系的に習得する必要があると考え、MBAでの学びを意識し、入学を目指すこととしました。

MBAへの入学を目指すと決めたものの、何から手を付けて良いのか分かりません。そこで、私はまず、各大学のMBA体験セミナーや経営戦略講座を受講し、MBAではどのようなことを学んでいるのか、また、各大学のMBAはどのような特徴があるのかを、自ら体験することから始めました。理系出身で自然科学を主に学んできた私にとって、社会科学に触れる機会は新鮮で、今までとは別の考え方を学ぶことができました。セミナーや講座への参加は、「研究計画書」の作成においても少なからず役に立ったと思います。それぞれ大学では特徴のあるカリキュラムが定められ、専門性の高い経験豊富な先生方がおられることから、いずれの大学にも非常に惹かれました。その中でも神戸大学MBAを選んだ理由は、体験セミナーの参加者が他のセミナーよりも多く、セミナーの会場が模擬授業を行われる先生と参加者の熱気で溢れていたことでした。MBAでの学びの素晴らしい点の一つは、年齢や業種が異なる多くの優秀な仲間と出会えることです。たくさんの人との出会いに期待し、私は神戸大学MBAを本命とすることにしました。

3.試験対策全般

先ほども述べた通り、私にとってはこの「合格への道」が唯一の情報源でした。入学を検討する際には、多くの先輩方が述べられていることを参考にして、入試に向けた自分なりの計画を立てて、その計画を着実に実行することが合格への近道だと思います。例えば、入試では英語の試験がありますが、TOEIC等が所定の基準を満たせば英語の試験は免除されます。試験科目が1つ免除されると、研究計画書の作成や小論文の対策に多くの時間をかけることが可能になります。英語が不得意な私にとって、英語の試験は心理的な負担も少なからずありました。英語に自信がない方は、TOEICの点数が所定の基準をクリアし、且つ願書を提出する前までにCertificateが手元に届くように、対策を進めることをお勧めします。

研究計画書・経歴詳細説明書

多くの先輩方が述べられている通り、「研究計画書」は試験において重要なポイントです。但し、仕事上のキャリアのハイライトについて記載する「経歴詳細説明書」も、指導する先生方が自分に対して興味を持って頂くために重要だと思います。社会人生活において、自分はこれまでどのように仕事と向き合ってきたのかを真摯に振り返り、その中から自分の特徴をアピールできる経験を選択して、正直に真実を伝えるのが良いと思います。

神戸大学MBAでは、自分の日々の業務の中から生じた問題意識に対して、解決すべき課題をテーマとして取り上げて研究し、得られた成果を会社に持ち帰り、自らが実践することが求められます。従って「研究計画書」のテーマ選定においては、大きなテーマを設定するよりも、自らの実務経験に基づいた現実的なテーマを設定する方が良いと思います。私は「研究計画書」を作成したことがなかったので、他の先輩方も紹介されている『国内MBA研究計画書の書き方』飯野一・佐々木信吾 著(2003)中央経済社、を参考に作成しました。多くの事例が記載されているので、自分が思い描くテーマに近い事例を参考にして作成しました。しかし、この機会に改めて自分が当時書いた「研究計画書」を読み返してみたところ、参考文献の体裁に捉われるあまり、問題意識は浅く、研究テーマも大きく内容が曖昧なものとなっていました。私自身の反省も踏まえ、「研究計画書」の作成に際しては、自分自身の経験から生じた問題意識の深堀りと、研究テーマの絞り込みに時間をかけた方が良いと思います。これには一人で頭の中で考えても整理するのが難しいので、家族や会社の同僚に相談しながら考えを整理していくのも一つの手段だと思います。私の場合は妻に説明し、意見をもらいながら考えを整理しました。但し、業務に関連するテーマを取り上げるという点では、会社の業務をより理解している同僚や先輩に相談する方が、良いアドバイスを頂けると思います。MBA入学後は職場の理解や協力が少なからず必要になります。私は在学中、MBAで学んでいることを会社の一部の方にしか伝えていなかったので、学業と業務の両立の面で苦労することがありました。研究テーマの選定といった早い段階から、職場の同僚や上司に「MBAで学んだみたい」という想いを伝えて支援を取りつけることは、MBA入学後の学業と仕事の両立を図る上でも有用であると思います。

また、研究テーマは自分のこれまでの社会人経験を踏まえ、抱いてきた問題意識の中から、浮かび上がってくるものです。職務経歴と問題意識、研究テーマの概要、志望動機、将来のキャリア設計に至るまで、一貫性を持つように作成した方が良いと思います。

英語・小論文

まず、過去問題は必ず取り寄せて、試験のレベルを把握して下さい。他の先輩方が述べられているように、英語については日常的に英語を使用されている方なら、十分対応できるのではないかと思います。私が最も困ったのは、手書きで回答する際に、漢字が思い出せないことでした。キーボードを叩くと勝手に変換されるパソコンとは異なり、手書きでの回答は予想以上に漢字が思い出せず、鉛筆で解答用紙に記述するのも非常に時間がかかります。問題を理解し、解答を考えて、具体的に文章に落とし込んで解答用紙へ記述する、といったそれぞれの行為にかける時間配分を把握する上でも、英語・小論文共に必ず過去問題を取り寄せて、時間を測って手書きで取り組むことをお勧めします。また、英語の試験は辞書の持ち込みが可能ですが、試験時間にいちいち辞書で調べていると、時間が足りなくなってしまいます。時間の感覚を掴む上でも、過去問には取り組んでみて下さい。

試験問題は、英語・小論文共に社会で話題になっているトピックスが取り上げられているように思います。理系出身の私は、MBAの入学を検討するまで経済にあまり興味を持っていなかったのですが、MBAへの入学検討を契機として日経新聞の購読を開始し、全ての記事に目を通すようにしました。現在、社会・経済ではどのようなことが話題となっているのか注視し、その話題に対して自分なりの考えを持っておくと良いと思います。

面接

私は志望動機と研究計画書について質問されました。面接の状況について同期に尋ねたところ、面接を担当される先生によって、質問の内容が異なるようです。但し、研究計画書については必ず質問されますので、回答は事前に準備し、必ず声に出して練習して下さい。また、先生の質問が良く理解できない場合は、理解が曖昧な状態で応えずに、質問の内容を再度確認した方が良いと思います。私の場合は、面接官の先生からの質問への理解が不十分な状態で応えてしまった結果、面接の最後に先生から「もう少し違う回答が欲しかった」と伝えられてヒヤッとした思い出があります。お客様との商談等、ビジネスの場面と同じく、冷静に落ち着いて対応するように心がければ良いと思います。

4.おわりに

私は本年9月に無事に修了しましたが、神戸大学MBAでの1年半は、今までの業務経験だけでは決して得ることのできなかった多く学びを得て、多くの優秀な仲間と出会うことができました。同級生やご指導頂きました先生方とのご縁は、これから一生のものになることを予感しています。これまでの社会人経験を通じで培った知識や能力を見直す機会にもなり、自分の考え方や視野が広がったことを、日々の業務の中でも実感しています。

論文作成に際して、松尾(博)先生から「自分がどうするのかを考えるように」とご指導頂いた言葉が今も頭を離れません。MBAは取得することが目的の方もおられると思いますが、MBAでの学びを自らが業務の中で活かしてこそ、その価値があると考えています。神戸大学MBAへの入学を検討されている皆さま、入学して後悔することはありません。まずは一歩前に踏み出すことが大切だと思います。受験せずに一生後悔することがないよう頑張って下さい。