安井 俊之さん
日本写真印刷株式会社 勤務
1 . プロフィールをお聞かせ下さい。
2012年度入学の安井俊之です。2003年に大学を卒業後、日本写真印刷株式会社に入社しました。入社してから10年近くは海外営業部に所属し携帯電話、ノートブックPCのセットメーカー、ODM(Original Design Manufacturing)に対して、転写箔などの製品の表面を加飾するソリューションの営業を行ってきました。新機種の開発初期の段階からセットメーカーのデザイナー向けにプレゼンテーションを行い、顧客ニーズを社内にフィードバックすることで新技術開発を促進し、受注を獲得する業務を担当していました。年間の1/3くらいがアメリカ、台湾、中国への出張でしたが、自分の担当した商品が世の中にリリースされた時は感慨深かったです。2012年から新設された事業戦略部マーケティンググループに所属し、新しい商品企画と新市場の開拓をミッションとした新規事業の立ち上げを担当しています。
2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?
MBAは大学生の頃から考えていました。ロンドンに留学していた時に、MBA留学中の日本人の方と知り合いになり、話を聞く中で自分もいつかは勉強をしたいと考えていました。入社当時は、急成長中の事業部に配属となったこともあり、目先の業務をこなすだけで成果を上げることができましたが、最近ではIT業界の変化が非常に激しく、台湾、中国、韓国などのアジア企業との競争環境が年々厳しくなっています。そうした中で、自分の担当業務が営業からマーケティングになったことで、新しい商品開発やビジネスモデル、競争戦略を検討する際に、これまで営業現場で培った経験と知識だけでは限界を感じるようになりました。猛烈な勢いで成長しているアジアの競合企業と対等に競争するために、マーケティング、MOT(Management Of Technology)、経営戦略、ファイナンス等の経営学全般の体系的な知識と、自らの理論を構築して現場で実践する力を体得したいと感じたためMBA取得を決意しました。
当初は国内外のフルタイムのMBAを検討していましたが、2年間ビジネスの現場から遠ざかることは自分の成長にとってリスクになると考えました。その中で、神戸大学MBAは、1.働きながら学習が可能なため、業務上の課題を授業に持ち込み、学んだ知識、理論をすぐに実践が可能であること、2.プロジェクト方式の授業で問題解決に取り組み、事実の背後に隠れている論理を発見する行為が実務の場においても役立てることが出来ること、3.経営学の各分野の著名な先生がおられることに魅力を感じていました。実際に京都、大阪のいくつかの大学のMBAコースの講義を見学に行きましたが、社会人経験のない学生が多いためか、ディスカッションの盛り上がりに欠けているように感じました。神戸大学MBAでは全ての学生が社会人であり、平均年齢も37歳くらいと高めであるため、異業種での豊富な職務経験、高いモチベーションの仲間と議論することが自分にとって最高の学びの機会になると考えて選択しました。
3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。
神戸大学MBAを一言で例えると、「550日間マラソン」だと思います。入学してから土曜日の休みは1、2回しかなく、雨の日も、雪の日も自宅のある京都から一時間半かけて六甲台キャンパスまで通学してきました。講義は毎週行われるために、次々と現れる新たな課題と格闘をし、休まずに走り続ける様はまさにマラソンそのものだと感じています。
限られた時間の中で、膨大な量の予習(必読図書、レポート課題)、復習、グループワークと仕事の両立が求められるため、常に課題図書を持ち歩き、出張時の新幹線や飛行機の中など、少しでも時間があれば読書を行っています。
平日は会社の上司、周囲の人から温かい理解をいただき、フレックスタイムを活用して10時に出社しています。入学を契機に会社から徒歩5分の場所に引越しをしたために、毎朝出社直前まで勉強に時間を充てることができています。それでも時間は不足し、会社の飲み会にも参加できる回数が減り、日曜日も家にこもって課題に取り組む必要があるため、継続するためには「ぶれない強い覚悟」が必要となります。金曜日、梅田での授業後の阪急電車内で翌日の課題準備をし、最寄り駅到着後に楽しそうに盛り上がっている酔っぱらいの間を通り抜けて帰宅するのは非常に辛かったです。
非常にハードな毎日ではありますが、関心の高いマーケティング関係の講義だけでなく、ほぼ全ての講義を履修してきました。経営学では複数の科目が互いに関連し合っているために、少しずつ点と点がつながって理解が深まりつつあると実感しています。
先日(6/1)に神戸大学MBAのキャップストーン科目である 金井教授による組織行動IIの講義が終了し、残る科目はゼミのみとなりました。最終講義では、「素晴らしい仲間と一緒に講義を受けるのがこれで最後」と考えると非常に感慨深いものがありました。途中で何度もくじけそうになったこともありましたが、自分がここまで頑張ってくることができたのは素晴らしい仲間と励まし合いながら学ぶことが出来たためと思っています。