三浦 力さん

塩野義製薬株式会社 勤務

1 . プロフィールをお聞かせ下さい。

塩野義製薬株式会社の三浦力と申します。所属企業では、本社のグローバルSCM本部に所属し、主にグローバルでの開発品の上市に関わるサイトセレクション戦略等に従事しています。神戸大学MBAに入学したのは2013年4月ですが、当時は経口固形製剤の設計やトラブルシューティングを中心とした製剤技術者でした。より広い全社的な視点で企業の生産戦略を考えていくべく、2014年4月からグローバルSCM本部に異動しています。

2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

体系的に経営学を学ぶことができるということは勿論ですが、私が神戸大学MBAを選定したのは、大きく分けて3つの理由があります。まず1番目の理由は、神戸大学MBAがプロジェクト制度を採用していることに他なりません。多種多様な業種の仲間とのグループワークを通じて、今まで自分自身が気づいていなかった、更にはその時点までの自身の経験からではとてもたどり着くことができなかったような思考で物事を捉えることができるようになるのではないかと考えたからです。ナレッジ自体は学習により誰にでも蓄積することができますが、思考の違いは簡単に体感できるものではありません。その点において、全国から優秀な人材が集結する神戸大学MBAに所属することで、仲間との濃密なコミュニケーションを通じてお互いを高め合うことができ、多くの気づきを得ることができるようになります。2つ目の選定理由は、UKにあるクランフィールド大学との交流プログラムの存在です。2014年2月頃には実際に1週間程ロンドンとケンブリッジに渡り、お揃いのオリジナルデザインパーカーを着てクランフィールド大学で講義を受けたり、日本の文化等に関してプレゼンテーションをおこなったり、現地の企業を訪問し、インタビューをするというまたとない機会を得ることができます。若かりし頃にリサーチステューデントとして数か月を過ごしたケンブリッジ大学病院の付属機関である分子生物学研究所(MRC)にも十数年ぶりに立ち寄ることができ、初心を思い出す貴重な経験を得ることができました。実際には大雪の影響でUK行きのフライトが大幅遅延し、空港に数日間滞在するというトラブルに仲間数名と共に遭遇しましたが、ここは神戸大学MBA。逆境に強い仲間が一致団結して危機を乗り越えたのも今となっては良い思い出ですし、何よりも数日遅れでロンドンに到着した時には、現地で仲間が待っていてくれて、ロンドンのバーで深夜までウエルカムパーティを開催してくれたのには感動しました。3つ目の理由は、2年生になると本格的に始まる研究活動に関してですが、本屋でしか見たことがなかった世界的に著名な教授陣の指導を受けながら研究テーマに取り組むことが可能になるからです。共に助け合いながら研究活動を進めることができるゼミの仲間も、かけがえのない存在となります。社会人MBAにて学習する機会を、一生に一度のチャンスであることを考えた場合、おのずと選択肢は絞り込まれました。

3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

現在は2年生ですので、研究活動が中心の生活になります。土曜日に開催されるゼミでの研究進捗報告や論文の執筆に備え、日曜日の時点で関連文献の調査や内容確認を行い、平日の終業後にはデータ解析を行なったり、データの整理を行ったりして過ごしています。授業がある週は、指定の教科書や関連文献を確認して、授業に参加するための準備をしています。また、定期的に仲間との自主的な勉強会等も開催し、知的創造力を高め合ったり、お互いの思考をぶつけあったりと、2年生になって授業が落ち着いた状況においても、忙しくしてしまう自分がいます。神戸大学MBAでの濃密な時間を通じて、次々と繰り広げられる知的学習のシャワーを浴び、知的好奇心を追及する時間をかけがえのないものと感じてしまった自分がいることに驚いています。

4.ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?

現在原田先生のゼミに所属し、組織の活性化に及ぼす組織環境要因の解析研究に取り組んでいます。元々は製薬企業出身の技術者ということもあり、技術者の視点でイノベーションの成功確率に及ぼす組織因子の研究に興味がありましたが、どこの企業や組織に所属していてもその根底には組織戦略の実行に携わる人の存在を意識した結果、組織内における人が受ける外的、内的要因の解析に興味を持つようになりました。私のように、業務とは直接関係しないような文献を読んだり、自身の問題意識を研ぎ澄ましていく過程において、研究テーマが変化していく学生もいますが、そのようなこともフレキシブルに教授が対応してくれます。自分自身が理系だから、製薬企業出身だから、これをやらなければいけないといった制約はなく、自身の問題意識に正直に向き合った結果、自分が本当に興味を持つことができる研究テーマにたどり着くことができるのではないかと考えています。正直、組織における人材マネジメントの研究を進めるうちに、自社の組織や戦略にすごく興味を感じている自分がいることにも気づきます。日本を離れた途端に日本が恋しくなるのと同じで、異文化に触れ、会社を代表する気持ちで仲間との議論を深める内に、自社の取り組みの素晴らしさに気づく機会となりました。

5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。

なによりも神戸大学MBAでなければ出会わなかった仲間との交流は今後の自分の財産になることは間違いありません。通常の仕事をこなしながらも、毎週の授業とその準備やレポート、ケースPJやテーマPJ等のプロジェクトワーク、個人の問題意識に基づく研究テーマという大きく分けて3つのイベントが同時進行で動いていきますので、肉体的にも精神的にもなかなか休む暇がない状況が1年間続いていきます。厳しい時を共に乗り越える仲間の存在との強い絆はこの間に培われていきます。また、このような生活が1年も続けば、当然家族(妻や3人の子供)、親せきに多大なる迷惑をかけながらの生活となりますが、逆境を経験し、より一層家族との絆が強まったことは言うまでもありません。このような経験ができる機会を与えてくれた家族や親せきにはこの場を借りて感謝の言葉を申し上げます。現在は2年生ですので、ゼミでの生活についても記載させていただきますが、研究テーマは自分との闘いになります。しかし、ゼミを通じて教授やゼミ生から様々なサポートをいただきながら研究テーマを進めていくことができますので、それほど不安に感じる必要はありません。原田ゼミには、類似のバックグランドを持ちながらも、企業の研究者や技術者、マネジメント職だけでなく、経営者、医師、弁護士、弁理士などといった様々な職業の仲間で構成されていることから、仲間の研究内容やアプローチの仕方からも多くの気づきを得ることができます。また、私は原田ゼミの幹事を担当させていただいておりますが、ゼミ生全員が積極的にゼミでの交流を図っていこうという意識が高く、殆ど幹事の出番がないくらい様々なイベントがゼミ生から提案されます。毎月の六甲苑での懇親会や、歴代卒業生との交流会、城崎温泉へのゼミ旅行、原田先生の特別講義、統計解析の特別講座、スカイプでのゼミ開催等を通じて、悩みを共有しながら、時には傷をなめ合いながら、未知の研究テーマに共に取り組んでいくことができます。

6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

元々私は技術者でしたが、目の前にある大きな技術課題に対して取り組むことに注力するあまり、会社の方針や戦略といった全社的な視点で物事を考える機会が少なかったように感じています。しかしながら、神戸大学MBAに籍を置くことで、体系的に学んだ経営学的な視点や、様々なバックグランドからなる沢山の仲間との議論から得られた気づきを元に、自分なりに会社のあるべき姿というのを考える機会を得るようになりました。今後、自社では全社的な視点で、グローバルサプライチェーンの全体最適に取り組んでいきたいですし、社外でも神戸大学MBAで出会った仲間との勉強会や活動を継続して続けていきたいと考えています。

7 .残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。

本人のやる気次第で、学ぶという行為自体はいつでもできることかもわかりませんが、神戸大学MBAの物理的・人的資源を活用して学ぶ機会はあと数か月となりました。ですので、試合終了のホイッスルが鳴るまで、ゼミ生全員と全力で走り抜き、自身が設定した組織の活性化に及ぼす組織環境要因の解析研究というテーマを全うしていきたいと考えています。また、本研究テーマへの取り組みを通じて、組織や個人に焦点をあてた様々な研究分野にも興味を感じるようになりました。よって、残りの期間を利用してなるべく多くの問題意識を持ち、卒業後も継続して研究や提案活動を進めていきたいと考えています。