東尾 里江さん
株式会社万代勤務
1. プロフィールをお聞かせ下さい。
- 氏名:東尾 里江(ヒガシオ リエ)
- 勤務先:株式会社万代 人事総務部 教育チーム
- 入学年度:2008年度(平野光俊ゼミ)
- 仕事内容と簡単なプロフィール:万代は大阪・兵庫・奈良・京都で139店舗(2008年12月現在)展開している食料品スーパーです。大学卒業後、万代に入社。7年間店舗の青果売場の担当をした後、人事総務部に異動、現在は人材育成全般について担当しています。主な仕事は社内人材育成の研修や仕組みの企画・運営、社内試験を中心とした人事制度の運用、女性活躍推進、社内報の制作です。
2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?
人事に来てから、制度や仕組みを構築していくためには「ヒト」に関する「原理原則」、さらには経営全般について学ぶ必要があると強く感じました。また、感覚や経験だけで考えるのではなく、論理的に考えられるようになることも重要だと思うようになりました。MBAという学びの場があることを知ったのもこの時ですが、わたしにはまだ早いと感じていました。そんな時、あるセミナーで、以前神戸大学にいらっしゃった奥林先生の講義を聴き、さらに別のセミナーで平野先生・金井先生のお話を聞く機会を得ました。そこで、人事の経験は浅いですが、ゼロから学ぶなら断片的な知識の習得ではなく、このようなすばらしい先生方のもとで本格的に学びたいと思うようになったのがMBA進学を決意したきっかけです。神戸大学に決めたのは、働きながら学べること、人事・組織の著名な先生が多数在籍していたこと、修士論文を書かなければならないことが理由です。
3. MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。
現在、講義のために学校に行くのは土曜日のみです。8時50分から18時20分まで講義があります。時期によっては金曜日の夜、大阪会場にて18時20分から21時30分まで講義があります。また、「テーマプロジェクト研究」のための打合せで週に1日、グループのメンバーと集合することもあります。集まれないときはメールを活用して議論します。
現在受講している講義は「人材マネジメント応用研究」と「マーケティング応用研究」です。「人材マネジメント応用研究」は自分の仕事にも直結する分野なので毎回の講義がとても楽しみです。「組織行動?組織設計?人事施策」のつながりが理解できたことで、これまでの断片的な知識が統合できました。自社の組織や施策を振り返るよい機会にもなっています。「マーケティング応用研究」はメンバーの今の仕事での話を取り入れながらのディスカッションの時間が多くあります。さまざまな業種・職種のメンバーの「生の情報」を交換しながらマーケティングの理論を体系的に学べることが有意義であると感じています。
さらにこれらの講義の合間に「テーマプロジェクト研究」とゼミの日があります。「テーマプロジェクト研究」では、同じ問題関心をもったメンバーとともにテーマを設定し、企業の事例を基に仮説を明らかにしていきます。最低3社のケースを取り上げることが条件で、各チームとも最終ゴールの2月の発表会にむけて、自主的に調査・研究を進めています。インタビューを通して各社様々な取り組みがあり、苦労されていることを知りながらも、その中から成功のための要因を抽出できるように議論をしているところです。この他にも、これまでは財務やファイナンス、サプライチェーンマネジメント、サーベイリサーチ、経営戦略などを受講しました。どれも仕事で関わりのある分野ではなく、ついて行くだけで大変でしたが、人事という立場で経営全般のことを学びたかった私にとってはどれも実のある講義でした。
仕事・生活の両立については、通勤時間は読書時間、仕事は早めに終わらせて課題の時間にあてるようにしています。睡眠時間を課題のための時間にあてたりしたこともありましたが、睡眠不足で辛い日が続いたこともあったので、無理をしなくてもいいように計画的に進めるよう心がけています。家事は、合格が決まったときに主人に分担してもらうようにお願いし、手伝ってもらっています。とはいうものの以前よりはおろそかになってしまいがちです。たまに家事のためにたっぷり時間をとって気分転換をしています。
4. ゼミではどのような事を学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?
私が所属しているのは平野ゼミで、人事や組織について学んでいます。修士論文作成に向けて指導教官のもと自身の研究課題を整理し、先行研究・論文を読んでいるところです。日頃の仕事での問題関心と、研究として明らかにしていくことが切り離せず苦労しています。私は特に人材マネジメントの中でも正規社員・非正規社員について関心があり、多様な人材がいきいきと働ける企業に必要な施策を考えるための基礎を明確にしたいと考えています。同じゼミの他のメンバーは、キャリア、ミドルマネジメント、暗黙知、グループ経営などをテーマにしているようです。
5. 神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか?
一言でいうと、「入学して本当によかった!」です。初めのうちは、レベルの高い講義で自分の知識と考える力のなさに愕然としましたが、だからこそ学びに来たんだ、と言い聞かせながら乗り越えてきました。今では、毎週土曜日が私の一週間の始まりになっています。土曜日に新たな学びを得て、仲間との交流で気持ちも新たにし、次の一週間の仕事に反映させていくというサイクルができています。それに、六甲台のきれいな空と広場の大きな木を見ると心が洗われます。それまでは仕事で問題があれば目先の現象にとらわれがちでしたが、今は一歩踏み込んで考えられるようになったと思います。
クラスのメンバーとの交流については、はじめは様々な職業・年齢の方に圧倒され緊張の毎日でしたが、前期の「ケースプロジェクト研究」のメンバーを始め、RST(※注)のメンバー、さらにはゼミのメンバーと、徐々にうち解けることができました。今では打合せや講義のあとに食事に行くことも多いです。ゼミの間は厳しい平野先生も、終了後の懇親会では気さくに話してくださいますし、講義担当の先生もメールで質問をしたら丁寧に答えてくださるので本当にありがたいです。何をしていても課題に追いかけられているような気になることもありますが、時に思い切って趣味に時間を使ってリフレッシュしながら、毎日を駆け抜けているといった生活です。
6. 今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。
神戸での学びを今の会社で存分に発揮し実践していきたいと考えています。いざ現実に立ち向かうと厳しいことも多いですが、自分がどこまでできるのか挑戦したい、その場を今の会社にしようとの思いが強いです。経営の仕組みを理解した上で、社内人材育成の仕組みづくりや制度の見直し・運用をし、働きがいのある会社づくりに貢献したいです。
7. 残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。
早いことに学生生活も半分以上が終わってしまいました。毎週土曜日が楽しみでもあり、終わってしまうのがもったいないような気もしています。残りの日々も講義、仲間との議論など、貴重な学びの場を思う存分満喫したいと思います。そして、神戸での学びの集大成として理論と実践をつなぐことができる納得のいく修士論文を書きたいです。
(注 RST=Reciprocal Study Tour、神戸大学経営学研究科MBAの授業である「日英産業事情応用研究」の通称です。詳しくはこちらをご覧下さい。)