星山 篤直さん

アステラス製薬株式会社勤務

1 . プロフィールをお聞かせ下さい。

医薬情報担当者(MR)として病院、大学病院を担当。わたしの仕事は医師や薬剤師等の医療関係者に対して、医療用医薬品を正しく使用していただくために、使用法・効果・副作用・安全性などの医薬情報を正確かつ、迅速にお伝えすることです。また、実際に医薬品を使用した医療現場における効果・副作用などの情報を医療関係者より収集し、そこで得た情報を自社へフィードバックすることも重要な仕事と考えています。このような仕事を通じて、患者さんの健康やQOL向上に貢献できれば嬉しいですし、それが仕事のやりがいにもつながっています。

2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

チームリーダーとして職務に従事したあたりから、会社組織の中で求められる役割が個人の仕事から、会社組織と個人を結び付ける仕事へと変化しはじめました。つまり、自分のことだけを考えてがむしゃらに頑張ってさえいればよかった仕事から、メンバー全員の力を動員し、より大きな影響力を発揮する組織的な仕事へと、会社から求められる仕事の質が変化してきました。組織が取り組むべき市場を俯瞰し対競合の視点から分析し課題に対して組織でどのように取り組むべきか、というフレームワークがより重要と認識し、一層その視点で仕事に取り組むよう意識するようになりました。

このように取り組むべき役割が変化する中、役職者でありながらも自分らしく仕事をするべきなのか、それとも、役職者であるがゆえ組織のために働くべきなのかというジレンマに直面し、自分自身の立場や役割について、また、人は何故組織のために働くのか等、組織行動の領域についての悩みが日々大きくなるばかりでした。そんな折、書店でその課題や悩みを解決できそうな本を手にしてみると、神戸大学の教授の著書が数多くありました。その後、インターネットやMBAを修了された諸先輩から多くの情報を得ました。そのことが神戸大学MBAの存在を知ったきっかけでした。

神戸大学のMBAを選択した理由は大きく分けて以下の3つです。まず、自分自身が問題意識としているテーマを研究されている著名な教授陣が多くいらっしゃるからです。実際、書店で経営学関連の本をみるとそれが本当に実感できます。次に、BJL(By the Job Learning)を中心としたプロジェクト方式であるからです。神戸大学のMBAは社会人を入学基準としているので働きながら学ぶ方式です。まず授業で経営学の理論を学び、その理論を土台として実務課題の解決方法等を探究するカリキュラムとなっています。それを日頃の業務ですぐに実践することができ、神戸大学のMBAは理論と実践を組み合わせて効果的に学べると考えました。最後に、学位論文を義務付けているからです。これは単にMBAの授業で経営学を学んで修了するのではなく、MBAの授業で理論を学び、教授指導の下、他の社会人学生との議論を通じて、実務経験をもった自分なりの経営学の解釈を学位論文という形で整理ができることに意義があると考えました。また、米国では会社を辞めてフルタイムでMBAを取得し、転職する人が多いと聞きますが、反対に日本では所属する会社をよくしたい気持ちからMBAに通う人が多いように思います。そんな働きながら学ぶ日本型にこだわる神戸大学のMBAに魅力を感じたところも大きかったです。

3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

一般的なサラリーマンと同様に、平日は朝から夜まで会社の業務を行います。土曜日も仕事となることもありますが、時間管理をうまく行い、できるだけ業務に支障が出ないよう工夫しながら通学しています。平日の業務後は自宅で、次の授業を受けるための必読図書、必読論文、関連資料等の予習を行います。平日は、日によりますが、だいたい2時間くらいを勉強にあてるように心がけています。また、課題レポートも毎週のように求められます。個人で行う課題だけでなく、グループワークを指示する授業も多くあります。特に課題が多い時は、深夜まで勉強をしていると、仲間からメールが届き、課題に関する議論を深めることもあります。神戸大学は社会人学生を大きく育てようとする学生想いの教授陣ばかりですので、課題の量も半端なものでなく、くじけそうになることもありましたが、この深夜の仲間からのメールが、もうひと頑張りしようという気持ちにさせてくれました。神戸大学のMBAで共に頑張る仲間の大切さを改めて感じたエピソードでした。また、毎週土曜日が近づいてくると、どうしても提出課題の締め切りに迫られることが習慣となっていますが、気持ちいい適度なストレスとして、わたしを含め社会人学生は課題レポート等に取り組んでいます。当分、土曜日中心の生活が続きそうです。

履修した授業について触れてみようと思います。まず、履修した授業の中で印象的であったもののひとつに、三品和広教授のゼネラルマネジメント応用研究があります。わたしは授業に出席するたびに衝撃を受けました。大企業の経営者はどのような意思決定を行っているのかの興味から履修しました。授業では日本を始めとしてグローバル企業の経営者の考え尽くされた意思決定の鮮やかさ、それとは反対に失敗した時の悲惨さ、責任の重さを目の当たりにしました。更に、最終講義では実際の大企業の元経営者を特別ゲストとして教室にお迎えし、企業のトップが行った意思決定、その背後にあった戦略、裏話等を実際にお伺いすることが出来、経営学の要諦である、意思決定について深く学ぶことが出来ました。また、ケースプロジェクト研究では、社会人学生がチームを組み、課題テーマに最もふさわしい企業を選定し、企業のデータ分析等のライブラリー調査、企業への取材等のフィールド調査を通じて決められたテーマへの解決策を示し、どのチームよりも論理的に説得できるかを競いました。チームメンバーがすべて異業種異職種という背景もあり、多様な視点から物事を捕え、分析する力が養えました。

現在、コジケンとの愛称で親しまれている小島健司教授の経営戦略応用研究、金井壽宏教授のコーチング、島田智明准教授のサーベイリサーチ応用研究の授業を、また、8月より現代経営学演習(ゼミ)を履修しています。小島教授の経営戦略応用研究は神戸大学MBAの授業の中で最もタフな授業のひとつで、ページ数無制限のレポート提出が課せられます。そのレポートの締め切りに間に合わせるため、毎日明け方まで取り組み課題レポートを仕上げたりもしました。そのときは本当に苦しかったですが、今となっては良い思い出です。

4 .ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?

ゼミは上林憲雄教授にご指導を頂いております。12名の同級生とともに、人的資源管理論、経営組織論、人事制度に関する諸分野を中心に学んでいます。これらすべてに共通する「人材」や「組織」を「制度」からの視点で関連する概念や理論を修得することを目指しています。また、社会人学生それぞれが実務面で直面している課題を持ち寄り、その研究テーマを教授の指導の下、同じ分野に問題意識を持つ社会人学生と討議を行っています。同じ問題意識を持つ仲間だからこそ事象をより深く掘り下げるヒントを得ることに役立てたいと考えています。そうすることで理論的、実践的な考察を加えて最終的に学位論文に結び付けていこうとも考えています。

実際のゼミの雰囲気は授業とは少し違う、研究に真剣に取り組もうとする緊張感があります。ゼミの開始時間前には学生、TAの方々等全員が着席してゼミの準備が出来ており、指導教官の到着とともにすぐにゼミが始まるといったところからもその雰囲気を理解することができます。この時期のゼミでは主に学位論文の研究テーマについて社会人学生からの報告とその討議が中心となっています。討議では学生間の発言も活発で、社会人学生ならではの異業種、異職種の着眼点から、思わぬ指摘や想定外の質問があります。更に発表内容で論理構造や言葉の使い方に曖昧さがあると、指導教官からもきついコメントがとんできます。また、TAの方々、他大学の先生、MBAフェローが毎回ゲストとして参加されるので、より専門的で具体的な研究へのアドバイスもいただけます。研究をするのにはとても恵まれた環境となっています。このように、ゼミでは大学院ならではの研究への厳しさや厳密さがあり、その空気に触れる度に、より一層真摯に研究に取り組む意義を深く考える機会となっています。ゼミは我々社会人学生にとって、とても貴重で有意義な時間となっています。

5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。

入学してから今まで振り返ってみれば瞬く間に駆け抜けた感じがします。どの授業も、社会人学生向けにオリジナルでよく作り込まれており授業レベルは高いです。私も落ちこぼれないようにプライベートの時間はMBAに没頭し頑張ってきました。そのため、仕事とMBAの高いレベルでの両立を目指すことになり、毎日が目が回るくらい忙しく、気がつけばもう半年が過ぎていたといったところが正直な感想です。

クラスのメンバーとの交流については、授業毎にチーム分けが行われ、社会人学生であるため、様々な年齢、職位、業界を背景とするメンバーと授業のグループワークを行うため、異なる視点からの分析、アプローチがあり参考になることが多いです。また、メンバーそれぞれが実務課題を抱えており、問題意識が高く参画意識が高いため、クラスのメンバー全員の一体感、団結力は相当強いものがあります。

わたしは現在、「ケースプロジェクト研究」のメンバー、「日英産業事情応用研究(RST)」のメンバー、特にたいへんな努力を必要とする「経営戦略応用研究:別名コジケン」のメンバー、さらにはゼミのメンバーとしてそれぞれのチームに所属しています。様々なチームに所属することで、各チームで取り組む課題に対して同時並行的に課題に向き合い対処していかなければならなくなります。どのチームも全力で課題に対して取り組んでいます。熱く議論を深めるほどに、一生懸命頑張る人同士の仲間の輪が拡がり結束が強まっています。今では打合せや講義の後に食事に行くことも多く、メンバーそれぞれの年齢、職位が違うものの、ワイワイガヤガヤ楽しく授業や研究に取り組んでいます。

教員スタッフは国内最高水準の教授陣であり、実践現場での問題意識を持ち込んだ、課題検討、課題解決に対して十分に応えていただける布陣です。また、設備面でも、経営学関連の蔵書は質、量とも日本有数である社会科学系図書館を擁しています。また大学は都会の喧騒からすこし離れた閑静な六甲台に立地しており、最高の就学環境だと思います。

6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

私は現在、病院を担当する医薬営業のチームリーダーですが、短期的にはリーダーシップ行動に磨きをかけて、まずより高いレベルの組織コミットメントをもったチームに改革する策を講じたいと考えています。また、将来はその経験を生かし、個人と組織をつなぐ組織行動を熟知した経営者視点を有する医薬事業のプロフェッショナルとしてアステラス製薬の事業拡大に貢献していきたいと考えています。