2022年度ケースプロジェクト発表会

2022年7月30日(土)

2022年度ケースプロジェクト発表会の様子

2022年度の神戸大学MBAケースプロジェクト研究の発表会を2022年7月30日(土)に開催しました。

2022年のプロジェクト研究発表会は、3年ぶりの対面での開催となりました。この春以降の日々を振り返ると、ワクチン接種などが進んだとはいえ、依然としてコロナ感染は続いています。神戸大学MBAでも、昨年度後半以降は感染対策に取り組みながら、ケースプロジェクト研究をはじめとする土曜日の授業を教室で行うようになっています。当然のように行動の制約は残っていますが、学生たちは元気にプロジェクトに取り組み、充実した発表が行われました。

今年度の課題は、「2000~2010年代に起こった眼鏡小売業界再編を前に、三城HDはどのようなタイミングで、どのようなアクションをとるべきだったか」の検討でした。この期間に、眼鏡小売業界のシェアトップだった三城は、その座をメガネトップに明け渡し、JINSに次ぐ第3位に後退します。売上高も減少傾向に転じます。この三城が巻き込まれた業界再編の主要な要因は何だったのでしょうか。そして三城は、どのような取り組みや行動をどのようなタイミング行っていれば、事業の低迷を回避できた可能性があったのでしょうか。この課題に答える分析と提案を行うプロジェクトに、神戸大学MBA生たちが挑みました。

このプロジェクトのひとつの難しさは、審査員をいかに説得するかです。審査にあたるのは、神戸大学MBAの教員です。発表チームは、「ここで、こんな手を打てばよかったはずだ」と、アイデアを披露するだけでよいのであれば簡単なのですが、審査員の納得を得るためには、「それは本当に可能だったのか、本当に効果的なのか」といった疑問に、発表を通じて、エビデンスとロジックを積み重ねながら答えていかなければなりません。

2022年度ケースプロジェクト発表会の様子02

今回の発表会では、発表のストーリーに一貫性が欠けていたり、基本的な分析に失敗したりしているチームは見られず、全体的に完成度の高い発表が続きました。もちろん厳しい審査員の目はごまかせず、競争分析における市場状態の取り違えが、有力な仮説の欠落につながっていることの指摘などもありました。とはいえ、大崩れする発表はなく、緊張感が途切れることのない一日となりました。

その中で、金賞を獲得したのが「京滋」です。京滋は、掛け心地の良い眼鏡を開発し、「技術の三城」としての地位を確立することから生まれる、三城の新たな成長の可能性を提示しました。2000年以降の眼鏡小売業界の再編で生じた業界構造の変化を複数の段階に分けて分析し、変化に対する当時の三城の動きを振り返るとともに、なぜ三城は業界再編に追従しなかったかを洗い出したうえで、三城の強みを活かした価値提供を提案する発表でした。

銀賞は「USK Technologies」です。不透明なレンズ価格を明瞭化し、「レンズの三城」という評価を確立しながら眼鏡の販売方法を革新する提案が行われました。業界再編で生じた成長機会に三城が追従しなかった理由を、企業理念に注目してとらえ、この課題のもとでとるべきアクションの提案を行いました。

銅賞は「チーム神セブン」です。コスト削減を行いながら、異分野の新規事業への進出と、眼鏡小売業界でのM&Aに活路を見いだす提案が行われました。2000年以降の業界の再編のなかで三城が置かれることになった厳しいポジションを踏まえての提案です。

今回のケースプロジェクト研究の発表会では、教室での発表をオンラインでも配信し、遠方のゲストをはじめ、教室参加がかなわなかった審査員や学生とのやり取りも行いながら、発表と審査と講評を進めました。変化が進むのは眼鏡小売業界だけではありません。神戸大学MBAのプロジェクト研究においても、引き続きウィズ・コロナのなかで普及したデジタルツールの活用を進めることで、充実度をさらに高めていきたいと考えています。

(文責:栗木契)

◆金賞チーム 「京滋」

◇銀賞チーム 「USK Technologies」

◇銀賞チーム 「チーム神セブン」