片岡祐太 さん

西日本旅客鉄道株式会社 勤務 2021年度修了生 森村文一ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

みなさん、こんにちは! 片岡祐太です。滋賀県に生まれ滋賀県で育ち、大学院まで進学しバックグラウンドは機械工学系の理系人です。大学院修了後新卒でJR西日本に入社し、鉄道車両のメンテナンスや在来線の運転士、支社・本社の鉄道車両関係の間接部門を経て、現在は2020年に発足した「デジタルソリューション本部」でグループデジタル戦略の企画・推進や当社のMaaS(Mobility as a Service)アプリである「WESTER(ウェスタ―)」の展開・開発戦略なども担っています。神戸大学MBAを志した時はまだ新型コロナウイルスは存在せず、インバウンドの恩恵もあり業績も好調、しかし、入学した頃には緊急事態宣言が発動され、当年度には決算で未曽有の赤字を計上するといった激動の中での学生生活でした。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

元々、私は2018年にフィリピンの鉄道事業者でインターンシップをするプログラムに参加する機会があり、そのプログラムを通じて、自身のビジネススキルの不足を感じていました。(フィリピンでの経験もそうですが、当プログラムに参加していた同世代の他社の人たちとのレベルの差から感じていました。)そこで、一度きちんと体系立てて「経営」というものを学びたいと考え、MBAというものは自身の人生の選択肢に入っていました。

その中で神戸大学MBAを志したのには大きく2点理由があります。1つ目は、「働きながら学ぶ」という神戸大学MBAのコンセプトです。私が入学を志した頃、当社が大きな経営課題として取り組みを始めようとしたMaaSに私は携わっていました。まだ緒に就いたばかりでこれからどのようなビジネスに昇華していくのかわからない中で、神戸大学MBAでの学びを実務に還元させ、さらに実務のレベルを高め経営課題の解決につなげ、また学びを還元するといった好循環が生み出せるのではないかと考えたこと、また、実務を続けながら学べるため業務影響を最小限に留められるのではないかと考えたことからです。

2つ目は、周囲に神戸大学MBAで学ばれた先輩方が多くいたことです。そうした先輩方と業務で接することも多かったのですが、みなさん当社グループの経営の最前線で活躍されており、そうした先輩方の背中を見て自然と意欲が湧き、神戸大学MBAでの学びは実務に大きく寄与できるはずであり、自身の成長に大きくつながると考えたためです。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

経営を体系立てて学び、実務に還元するという観点では概ね達成できているかと感じます。私の場合は特に、前述のWESTERを今後どのようなアプリにしていくかを研究テーマに据えましたが1年強におよぶ授業での学びを最終的に修士論文という形でまとめあげることができたことは、成果の表れであり自信にもつながりました。この論文については上司にもシェアし、納得感も得ていただくことができましたし、今のWESTERの開発戦略にも活かすことができています。さらに、普段の業務ではグループデジタル戦略の推進について議論を重ねることが多いのですが、頭の整理をする際に、授業で学んだフレームワークや概念など様々なエッセンスが浮かび、役立っています。そういった点では達成感はあります。

ただし、唯一の心残りは、素晴らしい同期との直接的な交流が十分にできなかったことです。神戸大学MBAでの学びの目的の1つに、素晴らしい仲間との新たな人脈を作り、刺激を得るというものを私自身は掲げていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で授業はほぼオンライン、直接仲間たちと会う機会はほぼ無しといった状況で、先輩方が行ってこられたような、土曜日の夜の意見交換会(授業お疲れさん会?)での生の活発な意見交換・交流が十分にできず関係性を密に築き上げられなかったことが少し心残りです。しかし、オンライン飲み会という新たな発見ができ、関係性構築につながったと思います。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

ケースプロジェクト、テーマプロジェクトの最終発表前や、修士論文の提出前は追い込まれましたが、張りがあって充実して過ごせました(笑) 私の場合は、1年目は基本的に金曜日の夜の授業、土曜日の1日中の授業をほぼ全て受講していましたが、新型コロナウイルスの影響により基本的にオンライン授業となったため移動時間が不要になったという意味では、諸先輩方よりは多少楽なスケジュールで両立ができたかと思っています。それでも、最初の数ヶ月はコア科目の毎週のレポート提出に慣れず、金曜日はほぼ徹夜のような生活が続いたこともありました(笑) しかし、最後まで神戸大学MBAをやり遂げられたのは、やはりこのMBAへ背中を押してくれた上司のおかげだと思います。金曜日は定時間際になっても仕事をしていれば、「今日は授業ないの?」など声をかけていただき、気にかけてくれる上司の支え、業務を引き受けてくれたチームメンバーといった周囲の支えが大きかったと思います。もちろん常に互いを叱咤激励しともにゴールを目指したMBA同期の絆はなくてはならないものでしたので、是非これから入学される方々には、「仲間」という関係性を築いてほしいと思います。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

コア科目をはじめとした授業ももちろん充実感はあったのですが、特にケースプロジェクト、テーマプロジェクトは非常に楽しかったですし、満足感が高かったです。社会で活躍されている世代もバックグラウンドも異なるメンバーが集まり、結果にこだわり、目指すゴールに向けて昼夜を問わず議論を重ねた経験は非常に新鮮でした。チームで結果を残すためには、そのチームメンバーの特徴を捉え、自身はどういった役割を果たすべきか、どのような形でチームの中に結果を残すか、様々考慮すべきファクターがあると思います。そうしたことに気づかされた何物にも代えがたい経験でした。普段の業務でも似たような経験はあるかもしれませんが、これだけ多様なメンバーで同じ目標に向かう半年にもわたる時間が限られた中で行うプロジェクトはないかと思います。時にぶつかり、ストレスがたまることもあるかもしれませんが、それほどまでに熱くなれる経験は貴重で、素晴らしい経験だったと思っています。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

最も印象に残っているのは、修了式です。私の場合は、4月の入学時からすべての授業がオンラインだったため、画面越しでしか先生も同期も見たことがありませんでした。一度、入学早々に有志でオンライン飲み会もやったのですが、全員と話すこともできず、顔もはっきりしないためモヤモヤしていました。途中で新型コロナウイルス感染症の広がりが穏やかになった時に1ヶ月ほど授業がリアルとオンラインのハイブリッドで実施された時期もあったのですが、それでも全員が揃うことはなかったです。そんな中で、最後の最後でほぼ全員が集まる機会となったので、どこか芸能人にでも会ったような高揚感がありました(笑) 画面で見るのと印象が違う、思っていたとおり、など様々な印象がありましたが、リアルでの接点の良さを最後に再認識した次第です。特に今まで画面越しでしか見たことが無かった三品先生を拝見した時は最大の喜びでした(笑)

こうした特殊環境で過ごした我々の代でしたので、リアル接点での触れ合いは大変印象に残っています。今後、新型コロナウイルスの影響が落ち着き、どういった運営方式になっていくかは不透明ですが、リアル接点の良さとオンラインの良さを上手く組み合わせて学生生活を送っていただきたいですね。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

タフになりました(笑) これはいい意味で、「何事もやり抜くという強さ」が身についたと感じているということです。業務と両立しながらハードな神戸大学MBAをやり遂げて、結果を残せたことは、普段の業務で大きな壁があっても乗り切れるはずだという自信にもつながっています。当社は今かつてない危機に直面していますが、これを乗り切るためにはあきらめずやり抜くタフさが必要だと思っています。そうした意味でも、このタフさは役立っている気がしています。

また、レポート作成、各プロジェクトのプレゼン準備、修士論文作成の過程を経て、物事を論理的に伝える能力が身についたと思います。これは普段の業務においても非常に役立つスキルであって、MBA取得前と比べて役員・上司などに説明をしたり、ともに議論をしたりする際に、説得力が増し、自信もついたと感じています。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

間違いなく神戸大学MBAでの学びはみなさんの人生に彩りを与えてくれると思います。ただし、それは一方的に与えられるものではなく、みなさんから取りに行くものだと思います。学び、実務にさらに良い影響を与えたい、シナジーを生み出したい、さらに自身の成長につなげたい、そんな前向きで積極的な志を持って神戸大学MBAの門を叩かれる方には間違いなく好影響をもたらしてくれる環境が揃っていると思います。明確な目的意識を持たれている方は是非チャレンジされることをおススメします。そして、どんな些細なものでもけっこうですので、何かこの神戸大学MBAでの学びを通じて「必達する目標」を立てておかれることをおススメします。たった1年半のカリキュラムですが、途中つらい時期もあろうかと思います。そんな壁を乗り越えるために、私は自身の必達目標を常に心においていて自分を奮い立たせていました。

最後に、なにより神戸大学MBA生活をenjoyされることが一番です。社会人生活の中で週末の学生生活をミックスするのも、昔を思い出すようで楽しいですよ(笑)

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