井口雅保 さん

パナソニック株式会社 勤務 2021年度修了生 原田勉ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

井口雅保と申します。大阪の最南端の岬町というところの出身です。大阪大学工学部情報システム工学科の修士課程まで進み、現パナソニック株式会社に入社しました。AV機器向けシステムLSIの設計開発・事業推進、動画像圧縮技術の研究開発、新規事業の商品企画など色々取り組んできました。現在は、本社研究部門の技術を事業化するための技術企画業務を行って4年目になります。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

先ず、MBAを取得しようと思った理由は、知識を体系的に学び直したいと考えたからです。元々色々な仕事をさせていただいていたため、業務上、プロジェクトマネジメントやマーケティングなどを行う必要があったり、工場の生産の流れや採算検討なども見ていたりしました。また、社内の研修なども受けていたため、実はMBAを勉強する必要性は余りないと考えていました。

ところが、現職の技術企画部門に異動し感じたことは、現場の研究テーマを事業化することの困難さでした。会社の業績やタイミングにも依存しますが、今日・明日の事業責任を持つ事業部に、まだ研究開発中の技術に関して、真剣に事業化することを考えてもらうことは非常に難しく、一方、社内ベンチャーを立ち上げるような進め方をするのもそう簡単ではないという状態でした。そこで、MBAを学ぶことで改めて知識の整理を行い、解決方法を検討してみたいと考えるに至りました。

それではなぜ、MBAでも神戸大学を選択したのかと言うと、大きく3つ理由があります。1つ目は、働きながら学べるからです。技術企画の仕事は、事業部門に在籍していた時のように寝る暇もなく土日まで仕事が積まれるわけではありませんでしたが、平日に何日も会社を休めるわけでもありません。従って、基本的に週末の受講だけで学んでいけると言うのは非常に魅力的でした。2つ目は、座学だけでなく、実践的なプロジェクト研究を行っているからです。専門職学位論文以外に、5~7名ほどでチームを組み、設定されたテーマなどを企業訪問等も交えて創発的に取り組むプロジェクト研究が2つあります。実際の企業活動に活かすためには、このように頭で考えるだけでなく実際に体や手を動かす取組みが非常に重要だと感じました。3つ目は、やはり神戸大学が経営学部やMBAの老舗であり、加護野先生をはじめとする著名な先生方がいらっしゃったからです。

加えて、ブランドとして国立大というのが良いなと思ったのと、世知辛いですが、それでいて専門実践教育訓練給付金制度が使えて割安で取得できると言うのも理由の1つでした。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

達成できたところと達成できていないところがあります。マーケティングや戦略などのコア科目をはじめとして、知識を体系的に学び直すことができました。一方、最終的な目標は、実際のビジネスでその知識を応用し、成果を出していくことです。専門職学位論文では、科目として学んだことを実践として業務に活かして、自社の研究テーマを事業化するための活動内容をまとめています。その中で記載しましたが、現在、自社で研究開発を行っている現場のみなさんと取り組んでいる活動の方向性は、間違っていないと確信しました。今も引き続き研究テーマの事業化に向けて活動を行っています。

しかしながら、私が現職場に来てから現場のみなさんと、一緒に事業化に向けて活動しはじめた研究テーマの商品化には、まだもう少し時間が必要です。これからもっともっと努力が必要だとも考えています。現場の業務を遂行しつつ、理論を学ぶことの継続的な繰り返しがやはり重要だと実感しています。目的達成はこれからです。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

社会人になってからそこそこ歳をとりましたが、この歳でコロナ禍の学生の一期生として過ごすことになりました。世の中、何にしても良い面と悪い面があります。良い面は、通学時間無しに授業が受けられることでした。会社もリモートワークで仕事をする機会が多かったため、余り気を遣わずに仕事を終わることができました。特に金曜日の授業に関しては、18:19まで会社の仕事をしていても、18:20から夕方の授業を受けることができました。土曜日も、大雨の日や、夏の暑い日、冬の寒い日に通学無しで授業を受けることができるのは、ある意味快適でした。

一方、悪い面としてはやはりリアルなコミュニケーションができなかったということです。MBAの授業では、先生方とのディスカッションや、プロジェクトメンバーとの議論などを行うことを期待しますが、オンラインでの制約により意思疎通が難しかったり、チャットでの代用になったりしていました。通学がなく快適な反面、対面での会話ができないのは不完全燃焼でした。

ただ、私の場合、コロナ禍であったからこそ、会社に気兼ねなく仕事を終わらせて授業に臨むことができ、仕事と学生生活を充実して両立させることができたのかなと、今更ながら実感しています。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

カリキュラムは非常に考えられていてよかったと思います。何事も100%良いということはありませんので、中には不満なこともあるとは思いますが、コア科目に関しても、MBAならどこでも普通に学ぶべき科目として分かり易く教えていただきました。ケーススタディなども交えて授業が構成されており、先述の話と逆になりますがオンラインだからこそ意見を言い易いということもあったと思います。それと並走する形で、プロジェクト科目が進むわけですが、授業科目を学びながら、授業内容の知識を使ってプロジェクト研究の内容も考えることができて良かったと思います。

他に受講してよかったと思うことは、当然知識を体系的に学び直すことができた事です。それに加えて、主に関西近辺ではありますが、同級生として他業界・他職種の方々と知り合いになれたことです。ここで知り合った皆さんとの人脈は、これからも宝になると思っています。

6. 在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

初めてのオンラインが、録音+sli.doだったこと(要は通信教育と変わらない…)、栗木先生のZoomを用いた初めての双方向のマーケティングの授業など印象的な授業は色々ありました。しかし、最も印象的だったのは、やはり清水先生の財務会計、森先生のファイナンス応用、それに外部講師の西村先生の経営史の授業でした。実は、ゼミ以外の授業ではこれらの授業だけが、数日だけではあるものの対面講義をしていただくことができたのです。それ以外の授業は、全てオンラインでした。コロナ禍以前では普通のことだったと思いますが、対面での授業は実に新鮮に感じたものです。先生方もそうですが、同級生のみなさんと対面でお話しすることもでき、本当にこの人たちは実在したんだ…と。すごく楽しかったと記憶しています。日常っていいな、と実感しました。

M2になってからは、対面ゼミがあったり図書館で書籍や資料を使いたかったりしたため、土曜日の午前中の授業は、六甲台第1キャンパスに登校して、アクセスポイントとして開放してくれていた教室からオンライン授業を受けることもありました。プロジェクタを使い授業内容をスクリーンに映すことで、何となく対面授業をしている雰囲気で授業を受けることができました。ただ、土曜日の生協食堂は一貫して休業していたため、お昼と夕方はコンビニのパンやお弁当を用意する必要がありました。そのうち、私たちは宅配のシステムを活用することを覚え、そのビジネスモデルの素晴らしさを学習するとともに、感染対策をしたうえで、食べ物を摘みながら同級生と交流をすることができました。(その交流の一環として、この歳になって誕生日まで祝ってもらいました。(笑))

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

例えば、何気なく使っていた2軸分析のフレームワークなどを用いる場合でも、より深く検討する癖が付いたと思います。また、本社研究部門の戦略の方向性の検討や、現場の研究員との議論を行う時も、この時にはこのフレームワークで考えると良いとか、こんな考え方があるとか、沢山の提案ができる引き出しが増えたようにも思えます。また、実務でなんとなくやっていたことと、書籍などに書いてあってなんとなく理解したつもりになっていたことが、有機的に結びつき、より意味のある実践ができるようになったと感じています。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

このWebサイトの記事を読まれているみなさんは、少なからずMBAに興味がある人か、MBAの関係者だと思います。MBAを未取得で、やる気がある方であれば、取り敢えず受験してみてはいかがでしょうか。ターゲットの中心年齢は、35~39歳なので20代とか、50代以上は少し気が引けるかもしれませんが、そんなことはありません。業界・職種もそうですが、様々な年代の人と交じり合うのが面白いのです。延髄反射で一歩踏み出してみませんか。