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オペレーションズ・マネジメント

松尾博文

オペレーションズ・マネジメント(OM)は、経営学における分野名称として、定着しつつある。少なくとも、MBAプログラムの主要科目としては、認識されているようである。少し前の、日本の大学の経営学・商学部においては、このような講座名称は存在しなかった。一方、米国のビジネススクールでは、OMは、少なくとも70年代には、主要な教育・研究分野になっていた。

米国における、80年代ぐらいまでの、OMの学術研究は、主に、定量的なものが多く、ある意味、オペレーションズ・リサーチの製造業への応用、Industrial Engineeringという側面が強かった。生産・在庫計画、スケジューリング、PERT/CPM等の定量的な最適化手法が広く研究されていた。しかしながら、日本のトヨタ方式、製品開発、さらに、米国におけるBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)等の実践の成果をまのあたりにし、またその研究が進むにつれて、OMは、ビジネスプロセスに代表されるような仕組みの研究に移行してきている。様々な業務を上手にやるにはどうするか、仕組みと戦略との整合性はとれているのかというような問題意識である。米国では、1990年になって初めて、Production and Operations Management Societyという、OMを包括的に捉える学会が発足した。

ビジネスにおける知識をどう体系化するかということは、自明ではない。ヒト・モノ・カネと分けた時、モノに関する機能的分野として、マーケティングとオペレーションを考えるというのが米国では標準的である。マーケティングは、モノ・サービスと顧客の関係性を対象とし、オペレーションは、モノ・サービスとそれを生産し、顧客に提供するプロセスの関係性を対象とするという位置づけになる。このプロセスを上手に設計し、運用するにはどうするかについての分野である。

OM分野の個別の課題としては、ものづくり、製品開発、サプライチェーン・マネジメント、サービス・オペレーション等が挙げられる。生産・流通・サービス業務の経営の視点からの仕組みの評価、設計、管理である。ビジネスプロセスを中核に据え、ヒト・モノ・カネ・情報がどうなっているのかを考えるということになる。サプライチェーンの構造がどうなっていて、どのような違いがでるのか。サービスの仕組みがどうなっていて、どこが要点なのか。さらに、技術とものづくりの仕組みも主要な課題となる。OMでは、ビジネスプロセスの定性的、定量的な分析を厳密に行うことが要求される。つまり、オペレーションをきっちりと捉えるということが重要である。

日本では、OM分野が対象とするようなことは、オンザジョブの訓練、或いは、TQMと改善活動というような取り組みの中で、主に、フロントラインの人材に頼りきる形で運用してきた。また、日本の会社はこういうことが上手であると、皆、思っているようである。しかしながら、最近の環境変化の速さと迅速な経営判断の必要性、情報技術が要求するようなマネジメントレベルでの仕組みの可視化、グローバルな仕組みとの整合性を図る等、仕組みづくりということについては、経営層には知識の蓄積がなく、時代についていけてないというのが実情であろう。経営者レベルで、オペレーションの構造を把握するという点において、日本でも、OMという研究・教育分野が、重要になってきたのである。

経営する人は、オペレーションを部下にまる投げせずに、OMを習得して、ビジネスの仕組みを考え直してみましょう。
 
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