柿内 康平さん
川崎重工業株式会社 勤務
1 . プロフィールをお聞かせ下さい。
こんにちは。2015年度入学の柿内と申します。2003年より物流会社で国際航空貨物の営業担当として、お客様へ物流の最適化に向けた提案を行ってきました。2007年から1年間、香港や中国華南地区にて国際物流に関わる業務経験を積んだのち、2009年より川崎重工業車両カンパニーにて、?道車両の海外製造拠点への部品供給や製造拠点間の納期調整、完成車両のお客様への納入などロジスティクスやサプライチェーンマネジメントに関わる業務に携わっています。
2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?
受験を決心するまでの業務において不満はなく、大変充実した毎日を送る事ができていました。?道車両市場の競争環境は世界的に競争が激化しており、低価格・高品質の部品を求めてサプライチェーンもグローバルに拡大を続け、それによって製造拠点間の調整やコミュニケーションも複雑さを増すなど、お客様に約束した納期を遵守する為にロジスティクスが求められる機能も変化してくるのではないかと考えるようになりました。また、自身のロジスティクスに関する経験だけで、今後もパフォーマンスを向上させる事ができるのか、という不安が芽生えてきました。そこで、一度自分の持っている知識と足りない知識を整理し、不足する知識を補う事が必要ではないか、と考えたのがMBAを意識したきっかけです。数ある大学院の中で神戸大学を選んだのは、梅田サテライト教室で開催された無料の公開セミナーで、松尾博文教授のサプライチェーンに関する講義を受講し、実際の授業を学生として深く学びたいと感じた事と、実務に役立つ理論を書籍で拝見する著名な教授陣から直接指導を頂ける事に魅力を感じた為です。入学後、サプライチェーンマネジメントを扱う授業「オペレーションズ・マネジメント」を受講する事ができましたが、英語のテキストや大量の文献の読み込みなどハードな準備をこなした甲斐もあり、1ヶ月にわたる授業は毎週目から鱗の状態でした。経験に頼って業務を進めてきた私にとって、サプライチェーンマネジメントにおける原則や考え方が整理する事ができた事で、実務に役立てることができています。梅田サテライト教室で毎月開催されるMBA公開セミナーは無料で教授や在学生の声を聞くことができますので、大変お得かと思います。興味がある方は是非参加されることをお勧めします。
3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。
現在(6月下旬)は授業も終了し、8月下旬の締め切りに向けて修士論文の作成に集中しています。20時頃に帰宅し、子供と少し遊んだ後早めに睡眠をとり、早朝に起き出して一日の準備と修士論文の作成を進めるリズムを継続しています。また、週末のゼミで進捗報告の発表がある週は、その準備をしています。1年目は、金曜日の夜間と土曜日終日に授業を受講する事になります。授業は金曜日は18:20より大阪の梅田サテライト教室で、土曜日は終日六甲台にて行われます。 平日は業務が終わるとすぐに帰宅し、週末の授業に向けて準備を行います。多くの文献を読んだり、レポートの提出期限を遵守するため、スケジュール帳とにらめっこが続きます。同時進行でプロジェクト研究の議論をFace to FaceやSNSを使用して行いますので、平日は時間的な余裕はほとんどありません。
金曜の業務が終了すると、大学院生としての一週間がスタートします。上司や周囲の理解を得て定時になると足早に会社を後にし、授業開始に間に合うように梅田へ直行します。授業が終わり帰宅するのが22時過ぎ、そこから翌日の授業の予習を完了させ、土曜日は8:50から18:30まで授業に参加します。授業が終わると、プロジェクト研究のメンバーで発表に向けて22時頃まで議論をし、六甲道駅周辺で一杯飲んで終電で帰宅、というスケジュールとなります。(終電後も梅田で議論と言う名の飲み会を継続、という事もよくありますが…)帰宅する頃には疲れてヘトヘトになりますが、夜の六甲台から見る神戸の夜景は素晴らしく、一週間の疲れを癒してくれます。平日は家族に負担を掛けていますので、日曜日はできるだけ家族サービスに充てるようにしていますが、遅れを取り戻す為に、復習は欠かせません。特に私はファイナンスや経営戦略についての知識や経験がなく、授業について行くのに必死でした。当然ながら準備の時間が足りず、睡眠時間を削る事と、業務の効率を上げる事で何とか時間を捻出しておりました。MBA生活では、複数のタスクをいかに限られた時間でこなし、成果を出していくか、という事を嫌というほど意識する事になります。
4.ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?
ゼミでは、松尾貴巳ゼミに所属し、管理会計やマネジメント・コントロールという領域を中心に学んでいます。管理会計というと簿記やコスト管理と言った会計に関するイメージ持たれるかもしれませんが、物事を上手く進める為のプロセスとは何か、どのようにすればその仕組みが上手く作れ、実行に結びつける事ができるか、といった“仕組み”について研究しています。ゼミは男性ばかりの14名で構成されており、私のような企業に勤める者だけでなく、医師や自営業の方など幅広いバックグランドを持つ人の集まりで、問題意識も多岐にわたりますので、進捗発表の際はいつもワクワクしながら議論に参加しております。また、松尾ゼミではOBの先輩方との縦のつながりもあり、アドバイスや刺激を頂く事ができています。私の研究テーマですが、個別受注生産におけるロジスティクスとマネジメント・コントロールをテーマとしています。?道車両や船舶等の大型構造物は、お客様によって仕様が大きく異なり、「一回きりの製造」という事で、自動車産業や家電産業のようにロジスティクスが重要であると取り上げられる事はありませんが、納期遵守や製造の整流化に貢献する為にロジスティクスができる事は何なのか、という問題意識の下で研究を進めています。先行研究ではロジスティクス分野だけでなく、これまで馴染みのなかった組織間コントロールの領域でもレビューを行っており、文献を読むたびに新しい発見が得られ、研究が少しずつ深くなって行く事を感じる事ができます。
この文章を執筆している今は締め切りまで2ヶ月半となっており、日々時間との闘いを強いられております。修士論文の作成はこれまでのプロジェクト研究とは異なって個人戦となり、孤独な作業となりが、先生より親身にアドバイスを頂く事ができますので、何とか少しずつ前進しているという状況です。提出時は後悔のないよう残り時間を有効に使って、納得のできる研究に仕上げたいと考えています。
5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。
18ヶ月にわたるMBA生活に耐えられるか不安を持って入学しましたが、あっという間に14ヶ月が経過してしまいました。この14ヶ月間は、充実した毎日を送る事ができたと自信を持って言う事ができます。時間のやりくりをしながら授業の準備や課題をこなすことは簡単ではありませんが、準備によってこれまで無かった知識を得られる事は、何にも代え難い喜びです。その中で私はありきたりですが、その生活の中で「継続する」という事の難しさを痛感しました。平日の業務で忙しい時や疲れているときは、授業の準備も後回しになりがちですが、その中でも締め切りを意識して少しずつ準備を継続する事で、授業に対する理解度や達成感が大きく変わってきます。(疲れて眠ってしまった時の翌朝の後悔はとても大きく、業務のパフォーマンスにも影響しました。)また、同級生との出会いも素晴らしい出会いも特筆すべき点だと思います。授業で実施されるグループディスカッションでは、ダイバーシティに富んだ仲間からこれまでの自分には想像もできなかった知見に触れる事ができます。同級生から頂いたアドバイスを早速月曜日から実践する事もあり、働きながら神戸大学で学ぶ事の意義を感じる事ができています。また、プロジェクト研究でのメンバーとの深い議論も大きな財産になっています。神戸大学MBAの特徴でもあるプロジェクト研究は、1年目に2回にわたって行われます。6人程度の仲間とともに考え抜き、一つの答えを導き出す過程は、とても貴重な体験で、物事を深く考える習慣をつける為の仕組みが練られていると感じています。またメンバーとの関わりの中で、自分がチームに貢献できる事は何なのかという事も考える為、自分の強み、弱みを知るきっかけにもなりました。授業の準備や業務との調整をしながら、半年間の議論を経てお互いが納得できる答えを出し、発表を終えると、これまでに経験した事の無いような爽快感を得る事ができますので、このページをご覧の皆さまもぜひ入学され、この経験を味わって頂ければと思っています。
6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。
卒業後は、この1年半で学んだ事を業務に活かしてロジスティクスの専門家になり、インパクトのある成果を出したいと考えています。年齢的にも中堅と呼ばれる年代に入っており、チームのメンバーとの関わり方も少しずつ変化してきています。ロジスティクスは一人の力では得られる成果は限られていますので、チームのメンバーをうまく束ねて、プロジェクトの成功に貢献したいと考えています。MBA生活を経験する事で、自分が将来どうしたいのか、どのようなキャリアを積みたいのかと、考える機会が増えました。今後も折りに触れて自分のキャリアを整理し、なりたい自分の実現に向けて努力したいと思います。
7 .残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。
学生生活が終わりに近づく寂しさを感じていますが、悔いの残らないように修士論文を書き上げたいと考えています。進捗は決して自慢できるものではありませんが、社会に貢献できる成果が出せるよう、最後まで精一杯取り組みたいと考えています。残り2ヶ月のMBA生活を無駄にしないように、同級生との関わりを大切にして、最後まで学業に向き合いたいと思っています。