大野 尚之さん

富士ゼロックスシステムサービス株式会社 勤務

1 . プロフィールをお聞かせ下さい。

2014年度に入学しました富士ゼロックスシステムサービスの大野尚之と申します。弊社の事業は公共・流通・金融・医療といった幅広い業界の基幹情報を安全に管理すること、目的に合わせて加工すること、伝えるべき人に分かりやすい形で表現すること、届けるべき人に確実に届けること、そして不要になれば安全かつ確実に廃棄することです。これらを取引先の各種業務に最適な形にまとめ、BPO(Business Process Outsourcing)サービスとして提供しております。その中で私は、公共向けの主力商品のデータベース構築に関する生産管理を担当しております。弊社のサービス提供を通して社会インフラ構築の一翼を担っているという自負のもと日々業務を行っております。

2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

私の妻が大学院在学中に谷先生や小川進教授のTA(Teaching Assistant)を担当しており、妻から神戸大学MBAの魅力を事あるごとに聞いていたため以前から神戸大学MBAに漠然とした興味を持っておりました。但し、当時は業務がかなり多忙だったこともあり、実際に入学するといった具体的なことまでは考えておりませんでした。

MBA取得を本格的に考えるようになったのは数年前からです。今まで私が行っていた公共領域の基幹サービスが縮小していき、自らを取り巻くビジネス環境が変化する中で、より戦略的な思考と俯瞰的な視点を持って業務に取り組む事が必要だと感じるようになりました。そのような状況の中で、今までの私の引き出しだけでは課題解決が出来なくなり、目の前に出来つつあった大きな壁を乗り越えるためにも新たな知識体系を学びたいと考えるようになりました。折しも、社内の勉強会で、尊敬している上司から実際のMBAで行われているケーススタディを学ぶ機会があり、財務やファイナンス、ロジカルシンキングといった学びが非常に参考になったことからMBAの存在を強く意識するようになり、自らが一皮むける為にもMBA取得を決意しました。

MBA取得先として神戸大学を選んだ理由としては、妻からの勧めがあったことに加え、(1)経営学に関して国内でトップクラスの学習環境が提供されていること、(2)勤務しながらMBA取得が可能なカリキュラムが組まれていること、(3)入学者の平均年齢が私とほとんど一緒で、同じような問題意識を持っている人との情報交換による相乗効果が期待できること、(4)私の住まいが大阪市内であり神戸大学が通学可能な距離にあること、(5)実際に体験入学プログラムに参加して講義を聞かせて頂き大いに魅力を感じたこと、が挙げられます。

実際に神戸大学MBAプログラムにご関心をお持ちの方は、年1回開催のMBA体験入学や、月に1回程度梅田インテリジェントラボラトリにて開催の「グッドプラクティス・セミナー」に足を運んでみてはいかがでしょうか。百聞は一見に如かず、です。私は入学前にそれらに参加し、神戸大学でMBAを取得するイメージをより具体化することが出来ました。

また、妻の紹介により谷ゼミOB・OGの集まりにも参加させて頂きました。そこである方がおっしゃった「他大学では『経営学の知識体系』を提供してくれるが、神戸大学では『経営学の知識体系をベースに考える力』を養う事が出来る」とのお言葉は、当時私が求めていたものと合致していたため、非常に強く心に残っております。そして現役MBA生となった今、そのお言葉の強い説得力を再認識しております。

3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

平日は講義の予習や事前課題に没頭します。いや、没頭せざるを得ないという表現の方が正しいですね。これに加え、前期には「ケースプロジェクト」、後期には「テーマプロジェクト」という神戸大学MBAの特徴であるプロジェクト方式の研究への積極的な貢献が求められます。課題図書や関連図書の読み込みも随時行わなければならず、気が付けば自宅の机やリビングが本で埋め尽くされているといった事態も珍しくありません。入学前には1日平均約5時間、卒業まで1年半で合計2,700時間程度の学習時間の確保を目標にしておりましたが、現在の達成率は70?80%程度だと思います。金曜日も梅田インテリジェントラボラトリにて夜間(18時20分から21時30分)に講義がありますが、私は業務上の都合でほとんど受講しておりません(同期には受講している人も多いです)。

土曜日は講義に集中することになります。8時50分から18時30分、時には20時20分まで講義が実施されることもあります。どの講義も非常に印象に残っているのですが、ページの都合上、特に印象に残ったものを3つご紹介します。

『ゼネラルマネジメント応用研究』:
この講義は、言うなれば三品和広教授との知的バトルです。講義の冒頭にいきなり発せられた「リーダーの定義とは?」という先生からの問いかけとそれに対する私達の返答のやりとりは忘れられません(この問いの答えについては皆さんも是非考えてみてください)。講義では、あるケースに対して、自らを一度ゼネラルマネージャーの椅子に座らせ、自分だったらこのケースにどう対処するのか、について各々の武器を手に深く深く議論し、とことん考えさせられます。評論家的な言動は許されません。広範な知識と論拠立った自らの強い主張がないとこのバトルには勝てません。私は常に負けていましたが、負けからも学ぶことが多いのがこの講義の魅力です。この講義が最初に受ける講義としてカリキュラム上に配置されているのはおそらく神戸大学の戦略だと思いますが、もう少し力をつけてからもまた学びたいと思える講義です。

『オペレーションズマネジメント応用研究』:
非常に計算されたコンテンツ構成、毎回しっかりとした読み込みが要求される英文ケーススタディの事前課題、講義にて繰り広げられるケースディスカッション、講義全体の統一感は秀逸としか言いようがありません。松尾博文教授はサプライチェイン、オペレーションズマネジメントの権威であり、講義は毎回大いに知的好奇心を刺激されます。私は生産管理に従事しているということもあり、この講義から普段の業務改善のヒントやオペレーションにおいて大切な原理原則を学ぶことが出来ました。

『ケースプロジェクト』『テーマプロジェクト』:
神戸大学の最大の特徴である「プロジェクト方式」による研究の締めくくりとして、5名?7名程度のメンバーにより構成される合計12チームによるコンペティションが行われます。休日や平日の夜間に時間を捻出し、講義の準備と並行しながらチームメンバーとの調整を行い、オンライン/オフライン上でのミーティングや意見交換を重ねていきます。このようにして研究テーマ設定から論証に至るまで喧々諤々議論しながら総括をまとめ上げていく一連のプロセスは、まさにグループダイナミクスの実体験の場でもあり、他では得難い貴重な経験と学びの場であると感じております。これは他の多くの寄稿者がプロジェクト研究に言及していることからも明らかです。これから神戸大学でMBA取得を目指される方はこのプロジェクト研究を通じて他大学では得られない教育体験を存分に堪能して頂きたいと思います。

これらの講義が終了した後もプロジェクト研究等の打合せが続くため、終了する頃にはいつも21時を過ぎています。そして一週間で唯一気が休まる時間がその後の飲み会です。同期と学業や仕事、プライベートと忌憚のない話をすることが意外な発見や新たな学びにつながることもあり、これもまた面白いところです。(余談ですが私は飲み会の〆に好きなラーメン屋に行って「箸上げ」写真を撮影しfacebookに投稿する、という謎のストレス解消法を生み出しました。同期も時に歌ったり踊ったりと思い思いの方法でストレス発散をしています。)

4.ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?

ゼミに関しては、まだ緒に就いたばかりです。私は高橋潔ゼミに所属しております。高橋ゼミでは人事管理やリーダーシップ、モチベーションなど「人」にまつわるテーマを研究対象としている学生が集まっています。まずは、高橋潔教授や、サポートの先生方から、提出した研究テーマが本当に自分のやりたいことなのか、深く問いかけられます。

私は、弊社の公共部門が今まで20年かけて携わってきた基幹サービスが縮小し、変わりゆく環境の中で新たな領域においても勝てるような組織変革を実現するためのマネジメントやリーダーシップについて研究したいと考えていますが、半年後の修士論文がそのようなテーマになっているかどうかは現時点では全く分かりません。高橋ゼミでは、入学時点で考えていた研究テーマのまま修士論文を書く人は多くないと聞いておりますし、現段階の私の考えはまだまだ練り上げられた状態にはなっておりませんのでこれから更に深堀を行いたいと思います。

5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。

覚悟はしておりましたが、色々な意味で「凄いところに来てしまったな」、というのが率直な感想です。私の大好きなバンドの歌に「You know where you are? You’re in the jungle baby, you’re gonna die…!」という歌詞がありますが、まさにそのような気持ちに近いです。といいますのも、神戸大学に入学して以来毎日が時間との戦いなのです。1日が24時間しかない事を改めて痛感・体感している次第です。平日に業務を普通にこなしながら週末の講義、チームプロジェクトやゼミの準備を行うのは本当に大変です。家族との時間も大切にしなければいけません。仕事の効率を高めるにも限界がありますので必然的に睡眠時間は短くなります。とはいえ、決してこれはネガティブではなく今まで体験したことのない知的刺激に満ちた充実した日々を過ごしております。人生で一番今が楽しい時期であると自信を持って言えますし、これから先の将来に向けていい準備期間を過ごしていると確信しております。

神戸大学の教授陣は経営学のそれぞれの分野に関して深い知識があるだけでなく本当に熱心で、講義も常に真剣勝負です。入学前に参加した体験入学では、担当の先生が「神戸大学は巷で人気を博している某経営大学院と違ってカリキュラム全体は統合されていないが、個別の講義については一人一人の教授がフルスイングで臨んでいる」と説明されていたことを記憶しております。私が実際に講義を受けてみて感じたことは、学術的な知見や考察に裏付けられた非常に高いレベルの知識体系を教授して頂いているということです。また、講義間のつながりが感じられる場面が多々ありました。さらに、他大学の先生や現役のトップマネジメントの方がゲストとしていらっしゃる機会もあり、毎回の講義が新たな学び・気づき・刺激に溢れています。

そして何より、かけがえのない約70名の多士済々な同期の存在があります。様々なバックボーンを持ち業界も職種も異なるメンバーは、私にとってはもう一人の「先生」です。あえて自らをタフな環境におきながら一緒に目標実現に向けて戦っている「先生」達がいるからこそ私も負けずに努力する事が出来ますし、彼らとの関係は一生の財産となると思います。

同期だけでなく、神戸大学は縦のつながりも提供してくれます。MBA Cafeというプラットフォームを通じてOB・OGの方との定期的なつながりを持つことも可能です。私はMBA Cafeの理事も担当させて頂いておりますが、大学院を修了してもなお、神戸大学や、後進の為に尽力を惜しまない先輩方の存在も、神戸大学MBAプログラムがいかに魅力的であるかを表していると思います。

6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

弊社は冒頭に紹介した通り多種多様なお客様の業務プロセスにBPR(Business Process Re-engineering)を施してBPOで受託するサービスを展開しており、昨年度節目の25周年目を迎え、新たな成長へと過渡期にあります。そのような状況の中で、私自身が一皮むけることを通して、周りにモチベーションや目的意識の向上といった良い刺激を与えて組織全体を活性化し、次の新たな25年の歩みに貢献したいと考えております。

私は、中途入社以来一貫して公共領域の生産管理を行ってきましたが、現在の主要業務はあと数年でターミネートしますので、今後はより顧客接点と近いポジションでオペレーションに従事することになると思います。既存から新たな業務領域でも戦える土台を構築するにために、神戸大学の講義や研究を通して学んでいるマネジメント手法やリーダーシップ論をうまく実務に活かしてより大きな成果を出していきたいです。中長期的には、更に上位のレイヤーで組織マネジメントを行い全社の経営戦略立案に携わったり経営成績に責任を持つような会社の中核的人材になりたいと思います。

そして神戸大学で会得しつつある学びのサイクルを回し続けることを習慣化して、生涯学習を通じて人生をより充実したものにしたいと考えております。

7 .残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。

最後まで余力を残さず開門神事の福男のように全力で走り抜ける所存です。既に学生生活の半分が過ぎ、同期と一緒に過ごせる時間も日に日に短くなっていくと考えると一抹の寂しさも覚えるようになってきております。とはいえ、私達の本当の勝負は修士号取得後になりますので入学当初の志をもう一度思い出し、一つ一つの機会を大切にしていきます。

卒業までの残り期間での私の目標は次の二つです。一つ目は2015年1月10日に予定しているテーマプロジェクトで現チームで金賞を獲る事、二つ目は神戸大学MBA史上誰も成し遂げていない、あるプロジェクトを完遂させることです。これは今後の研究成果発表にも大きく影響しますので具体的な内容はここでは伏せさせていただきます。

最後に、自らを取り巻くビジネス環境の問題を認識され、一皮むけたいと思い、MBA取得を目指している方には是非神戸大学の門をたたいて同志になっていただきたいと思います。来年入学される方とは、私はMBA Cafe理事として接する機会があると思います。新入生の皆様にお会いすることを楽しみにしております!