阪井 貫太さん

三洋電機株式会社 勤務
(2011年より 株式会社ファーストリテイリング/ユニクロ 勤務)

1 . プロフィールをお聞かせ下さい。

大学を卒業後、新卒で三洋電機株式会社に入社。営業職を経験後、本社のマーケティング本部にて、マーケティング・コミュニケーション業務に従事しています。

具体的な担当ブランドは、主に充電池の「eneloop(エネループ)」です。他にも、「SANYO」の企業広告や、ドラム式洗濯乾燥機の「AQUA(アクア)」、空間清浄システムの「ウイルスウォッシャー機能」といったブランドなど、幅広く担当して参りました。実務的には、マーケティング戦略の立案や、テレビCMやWEB、イベントなどを活用したキャンペーンの企画・実施、効果検証を経てPDCAを回していくことが主な業務です。具体的には、社内の関係部署との協議やリサーチ結果などから、ターゲットの設定やインサイトの発見、最適な訴求方法などを見出し、その上で広告代理店へのオリエンテーションや経営幹部へのプレゼンテーションなどを重ねて、キャンペーンを世に送り出します。制作面では、テレビCMなどは撮影から編集まで全般的に立ち会います。このように、社外・社内の、数多くの方々に支えていただきながら、企画したキャンペーンによってお客様の心が動き、販売やブランド力の向上に貢献できたと感じるときが一番うれしい瞬間です。

2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

私はこれまで、マーケティング・コミュニケーション業務に従事してきましたが、その道のプロフェッショナルとして、より自分を磨きたいと思ったことが、MBAの取得を考えた最初のきっかけです。さらに現在は、組織を引っ張っていくリーダーシップが強く求められています。いちマーケッターの専門スキルに加え、経営全体を俯瞰する広い視点も併せ持つ、いわゆる「T型人間」を早期に目指すことは、ビジネスパーソンとしてたいへん重要だと感じていました。また、宣伝広告のような、マス媒体を活用するコミュニケーションは、あらゆるステイクホルダーに影響を及ぼします。同時に、コミュニケーション戦略は、企業や商品のブランディングに寄与することが多く、経営の方針次第では、経営戦略に直結するほど重要な役割を担うこともあります。MBAでは、ビジネスパーソンに必要な全般的な知識が詰め込まれると言われますが、企業や社会を広く見通す眼を養う機会を得ることで、結果、自分の専門分野に対する洞察力や複眼力を深めることに繋がればと考えました。

また、MBAでは、最も重要な分野の一つに、マーケティング戦略やブランド戦略があります。これらは私の業務に直結する分野です。MBAでは、多くのフレームワークやケーススタディ、ロジカルな思考方法などを短期間に幅広く学ぶと聞いていました。自分の専門分野についても、改めて体系的に学び直し、「理論」と「実務」の両輪を身につけることで、マーケターとしてとして前進できればと考えました。

次に、MBAを取得できる大学の中でも、「神戸大学」を選択した理由については、たくさんありますが、大きく分けて次の3つです。第一に、「社会人MBAであること」です。たとえMBAを取得するとしても、常に実務は優先していたかったのです。机上の理論だけに終始するのではなく、働きながら、理論と実務を両立させることで、咀嚼する度合いも高まると考えました。第二に、「国内の大学であること」です。米国などへの留学も考えましたが、理解度が英語で80%になるより、日本語で120%を目指す方が効率的だと考えました。第三に、「仲間との出遭い」です。神戸大学は、数多くある国内MBAの中でも最も質の高い大学の一つだと言われており、第三者機関が発表するランキングなどでも常にトップクラスに位置しています。最難関である分、優秀な受講生の方が多くいらっしゃると伺っていました。実際、同級生には、普段出会えないような、驚くほど物凄いキャリアをお持ちの方が数多くいらっしゃいます。業界や企業を超えた魅力的な方々と、共に切磋琢磨できる環境に身を置くことで、ビジネスパーソンとしての見識に加え、「人」として、自分を磨ける機会になればと考えたことも、神戸大学を選択した理由です。

3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

授業そのものは、基本的に金曜日の夜間と土曜日の終日ですが、社会人ですので、当然、平日は通常通り勤務しています。また平日でも、授業によっては、グルーピングされたチームメンバーと就業後に集まり、研究テーマについて勉強会を開催することもあります。そのため、仕事と学業とを両立させるための自己管理がたいへん重要だと感じています。自己管理とは、タイムマネジメントとメンタルマネジメントの両面を指しています。そこでここでは、1週間のスケジュールについて、時間とメンタル、それぞれの視点でこれまでを振り返りたいと思います。

まず、タイムマネジメントについて。大学では、常に複数の講義が進行していますので、それぞれの講義ごとに、予習や復習、与えられた課題への取り組みも大量になります。また、シラバスでも紹介されているように、必読図書も多岐に渡ります。そのため、授業が開催されない日においても、学習にはかなりの時間を費やす必要があります。私は平日、仕事からの帰宅後に学習するようにしていますが、帰宅してからの開始になりますので、深夜に及ぶこともしばしばです。特に業務が多忙を極める時期などは、時間の確保そのものが困難になり、授業について行くだけでやっと、という場合もありました。また、レポート提出が一度に大量に求められたときなどは、徹夜を余儀なくされることもあります。しかし、それだけ濃密な時間を過ごしているということだと思います。充実もしますし、意識することで時間の無駄を省き、細切れの時間でも学習時間を確保しようと心がけるようになりました。入学時のオリエンテーションで、三品和広教授が、「卒業したら時間がゆっくり流れているように錯覚するだろう」とおっしゃっていたのを思い出します。それは、言い換えると、初めは苦労することが多くても、時間管理を常に心がけることで、おのずと効率的なタイムマネジメントが身に付くということかもしれません。

次に、メンタル面についてですが、仕事を抱えている以上、仕事と学業の両方に対して、モチベーションを高く維持し続けることが必要です。またご家族を持っておられる方も多くいらっしゃいます。そのため、メンタル面をマネジメントすることは、社会人MBAにおいて、時間管理以上に大切なことかもしれません。しかし、時にくじけそうになることがあっても、それを支えてくれるのが、一緒に頑張っている仲間たちです。神戸大学の授業の大半は、5~7名程度のグループに分けられるようカリキュラムが組まれています。つまり、進行中の講義の数だけ、常に複数のグループに属しているということになります。授業後に、グループの皆さんと飲みに行って語り合ったり、授業の無い日でも、受講生が自主的に設定したメーリングリストを活用して、頻繁にメールのやり取りがなされたりしています。メールを通じて、チームメイトたちが頑張っていることを知ることで奮起されたり、つまずきそうになったときでも叱咤激励してくれることもあります。研究テーマに対する議論も、メール上で深夜まで白熱することもしばしばで、自分も頑張らねば、という気持ちにしてくれます。以上のように、メンタル面は、受講生の皆さんとの交流によって支えられていると感じています。

4 .ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?

ゼミは、小川進教授にご指導を戴いております。私は、「マーケティング」の分野での研究を考えておりましたので、その分野で著名である小川進教授に師事することを入学以前より熱望しておりました。現在は、論文作成に向けて、リサーチ・クエスチョンの明確化や仮説の設定、取り組み方について、小川先生に親身なご指導をいただきながら、ブラッシュアップを繰り返す日々を送っております。私自身の研究テーマは、マーケティングの中でも、業務につながるブランド戦略や広告戦略に関連する分野を取り扱いたいと考えております。

ゼミ生は総勢17名と、神戸大MBAの中では比較的多い方になりますが、その分、業種や企業、社内での職位も、たいへんバラエティに富んでいます。研究に対する着眼点も様々ですので、皆さんと交流することで、研究に対する新たな発見に遭遇することも多いです。同時に、小川ゼミには、私と同様、メーカーのマーケティング部門や広告業界・メディア業界、家電業界などに属されている方も多く、仲間との議論を通じて深い洞察をいただくことが多いです。また、小川ゼミの魅力の一つは、学外の著名な先生方や、ゼミの卒業生、学部生の皆さんとの交流です。小川教授は私たちゼミ生のために、幅広い人脈を最大限に活用してくださいます。たとえば実務家なら誰もが知っているような、たいへん著名な先生方から直接ご講義をいただける場を設定してくださったり、助言をいただけるようご紹介してくださったりします。私たちゼミ生にとって、これらの機会は研究のヒントを得られるたいへん貴重な場となっています。また、ゼミのOB・OGの方々も、ゲストとして授業や懇親会に参加されたり、在学時のご体験を基に論文作成のアドバイスをくださいます。このように、ゼミは、多くの貴重な出会いの場でもあり、私たちゼミ生にとって、たいへん有意義なものとなっています。

5.神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。

これまでを振り返って最も印象的なものは、MBAの特徴の一つである「グループでの活動」です。私の同級生は全部で70名程度いますが、大半の授業ではグループワークがあり、5~7名程度のグループに分けられます。そして、仲間との協働作業によって課題をこなしていくことになります。グループのメンバーは、職種や企業、社内での職位などが多岐にわたる分、得意分野もさまざまです。そのため、課題はメンバーそれぞれの得意分野を活かし、メンバー間で補完し合いながら進められます。たとえば、バックボーンが異なるメンバーの着眼点は、思いもよらなかった新たな発想に発展することがよくあります。また自分の専門ではない分野については、専門分野とするメンバーの意見に耳を傾けることで、学びや気付きを得たりします。このように、MBAではグループワークがたいへん貴重であり、学びの半分は受講生の皆さまから頂いている、と言っても過言ではありません。

中でも、神戸大学MBAの看板授業である、「ケースプロジェクト」や「テーマプロジェクト」は、グループでの活動が最も盛んな授業として印象深いです。通常、1つの授業は1ヶ月から1ヵ月半で終了しますが、ケースプロジェクトやテーマプロジェクトは、いずれも4~5ヶ月の長丁場です。しかも、授業の進行は、数ヶ月のうちに数回開かれる中間報告を除いて、全面的に受講生の主体性に委ねられます。受講生は、予め設定されたテーマやルールに従って、自分たちで仮説を設定し、研究対象とする企業を選定・訪問したり、分析することで仮説を検証していきます。そして、最終プレゼンの場で研究の成果を発表することになります。私が属したグループでは、ケースプロジェクト、テーマプロジェクト共に、数ヶ月後に控える研究発表に向けてメンバーと徹底的に議論を重ねました。グループのメンバーはバラエティに富むからこそ面白くなります。リーダーシップを発揮してチームを鼓舞してくれる人、場を盛り上げて和ませてくれる人、斬新な着眼点でメンバーを導いてくれる人、豊富な人脈や専門知識をメンバーに共有してくれる人、論理的な思考で全員を納得させてくれる人、さまざまな能力が結集して、グループの研究は盛り上がっていきます。昼夜を問わないメールや、平日就業後の勉強会など、毎日のように議論を重ねました。対象企業についても、メンバーが個別にアポを取り、メンバー全員で企業を訪問しました。地方企業になると半分旅行気分です(笑))結果的に、いずれの企業も、経営者に直接インタビューさせていただく機会を得ることができ、たいへん貴重な経験となりました。また、グループでは、公私共に濃密な時間を共有しますので、仲間として掛け替えのない人間関係が育まれたと思います。

6.今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

私の夢は、マーケティング・コミュニケーションのプロフェッショナルとして、時代を代表するような強いブランドを育てることです。私は、十代の頃に「マーケティングや広告活動を通じて、人の心を動かしたい」という想いを抱いてから現在に至るまで、大学、職業、MBAと、一貫してその夢の実現を目指して歩んできました。現在は、マーケター兼宣伝担当者として、「エネループ」等のマーケティングやブランディングに携わらせて頂いていますが、これからも、夢の実現に向けて、より高い目標に挑戦していきたいと考えています。また将来的には、企業のマーケティング・コミュニケーション全体を引っ張っていけるような人材になれるよう、今後も自分を磨いて参りたいと考えています。