大槻 博司さん
関西電力株式会社勤務
1 . プロフィールをお聞かせ下さい。
大学で電気工学を専攻し、昭和58年に関西電力(株)に入社しました。入社後は、技術系の現場勤務からスタートし、支社や本社の技術スタッフ、さらには、本社企画部門のスタッフなど、様々な仕事を経験しました。
ここ数年は、秘書室で経営スタッフの仕事をしています。
2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?
今から思い起こせば、自分自身を見つめなおす機会が欲しかったのではないでしょうか。ひとつの会社で20年以上勤務し、ひととおりの業務を経験してきて、ふっと「これから自分は何をやりたいのか」という根本的な疑問を抱くことがありました。そんなときに、たまたま、神戸大学のホームページで社会人MBAコースを目にして、「これだ」と感じるものがありました。
そういえば、「人材マネジメント応用研究」のなかで、平野光俊先生が「自律的キャリア開発」の講義をされていたのですが、そのなかで「真の個性化は40代からはじまる」と言われていたのが印象に残っています。私の場合も、これまでの会社人生を一旦総括して、「自分は一体何者か」「何がしたいのか、また、何ができるのか」ということをじっくり考える、そういう人生の節目に、神戸大学のMBAコースで学ぶ機会にめぐり合えたと思っています。
3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。
神戸大学MBAの標準は1年半のコースで、最後に専門職学位論文の提出を義務付けられています。現在(6月)は、ちょうど論文作成に向けた最盛期に当たります。
興味のある講義は1年目ですべて受講していますので、学校に行くのは、週に一度、土曜日に六甲台キャンパスで行われるゼミで、研究の進捗状況の報告をする程度です。むしろ大変なのは、論文作成に向けた調査です。
私の研究は、フィールドワークが中心ですので、仕事をやりくりしながら休暇をとって、インタビュー調査を続けています。急に仕事が入ることもありますので、その時は、先方に調査の延期をお願いするなど、仕事と研究の両立は正直大変です。
社会人MBA生になって、改めて、家族や会社の同僚・上司、さらには、お付き合いをさせていただいているみなさんのご厚意のありがたさを身にしみて感じています。
4 .ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?
國部克彦先生のゼミでは、社会科学系の調査・研究や論文の書き方について実践的な指導を受けています。特に、國部ゼミの今年のテーマは「CSR(企業の社会的責任)」ですので、「企業とはそもそもいかなる存在か」についてじっくり考える、またとない機会となっています。同期のゼミ生は、多様なキャリアを持った実務経験豊富な方が多く、彼らとの交流は自分自身を鍛え直す絶好の機会となっています。
専門職学位論文では、自分の問題意識に直結したテーマを選びたいと思いました。受験を決意したから時から、大げさかも知れませんが、それこそ「息ができなくなるくらい」真剣に研究テーマを考えてきました。そして、膨大な書物を読み、講義を聴き、仲間や先生方とのディスカッションを経て、やっと先日、「組織パラダイムの革新」を論文の題目として提出したところです。「会社を変えていくのは自分たちミドルなんだ」という信念を、実証的なリサーチを通じて示したいと思っています。
5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。
またとない「オープンで刺激的な知的交流の機会」を経験することができたというのが、偽らざる感想です。授業では、多くの場面で、チーム作業を要求されます。例えば、小島健司先生の経営戦略応用研究では、普段、東京、名古屋、大阪で働くメンバーが、発表の前日に神戸の三宮駅近くの旅館に宿泊して、徹夜でレポートと発表のパワーポイントを仕上げたこともありました。これも、今、振り返ると、とても楽しい思い出になっています。
國部ゼミでは、CSR分野の著名人に何人も講演に来ていただきましたし、大手企業のCSR担当者に直接連絡をとっていただき貴重なお話を伺うことができました。また、所属ゼミを越えた交流活動も活発で、先日も、経営組織論に詳しい加護野忠男先生のゼミを聴講させていただきました。所属ゼミを超えた自主的な勉強会もいくつか組織されています。このように、コース全体が非常にオープンに運営されていることが、経営学を学ぶものにとっては、理想的な修学環境になっていると感じています。
神戸大学MBAコースというところは、年齢や職業を問わず、利害を超えた裸の付き合いができる不思議な場ですね。社会人になってから、こういう貴重な体験を得ることができたことに、先生方はもちろん、MBA生の仲間たち、大学院の学生のみなさんに心から感謝しています。
6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。
これから、企業を取り巻く環境はダイナミックに変わっていくでしょう。私が所属する電力会社も、その荒波にもまれていくことは間違いありません。そうした変化の真っ只中に身を置きながら、自分を見失うことなく、常に変革の先頭を走っていきたいですね。
7 .残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。
何事もラストスパートが大事だと思っています。ゴールまで、全力で駆け抜けたいですね。