金 賢祚さん

プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク勤務

1. MBA取得の意図・動機についてお聞かせ下さい。

以前からMBAのコースに興味を持っていたのは事実です。その当時は「MBAとはいったい何なのか」もわからず、漠然とその取得のことだけを考えていました。バブル経済絶頂期にマスコミが煽っていたように、キャリア志向の人は、MBAホルダーにならなくては!と焦燥感に陥ったことも事実です。

大学を卒業して会社に入り、業務に明け暮れる日々が続きました。しかし、疲れているときに限って必ずといってよいほど、一貫性のある学び、できればビジネスと学究の到達エリアが近い勉強をしたいという思いが募るようになりました。会社の同僚がMBAをとっていたことも、MBAホルダーのイメージ作りに一役を買ってくれました。でも、依然としてMBAって何?と思っていました。

2. 神戸大学MBAを選択した決め手は何ですか?

最初はアメリカでMBAを取ろうと思っていました。しかしながら、語学の面でも、費用の面でも、実際の投資に踏み込む決心はつきませんでした。また実際には休職や退社を余儀なくされる状況も不安の1つでした。転勤に伴い、居住地を群馬県から神戸市に移すことになり、神戸大学をMBAとしての学びの場としたいと願うようになりました。MBAコースに学ぶことを、上司に相談したところ、金銭的なサポートはできないが、仕事量の配分という意味ではサポートは可能という言葉を得て、勉強と仕事の二足のわらじを履いてみようと思いました。

ですから、決め手は職場の理解と場所を含めた学びへの環境です。

3. 神戸大学MBAコースのカリキュラムの素晴らしい点を挙げるとすれば?

さまざまな場でグループワークが求められます。具体的にはグループ単位で研究を行い、発表を求められることがあります。MBA学生は仕事を持ちながらの勉強ですので、それぞれ各自のスケジュールの調整だけでも大変ですが、グループワークを通して、気が付かなかった他のMBA学生の良さが本当に良くわかります。仕事をしているだけでは決して知ることのない人と人との交流です。

カリキュラムにグループワークを求められる講義があるのは、本当に素晴らしいことです。プレッシャー(時間、勉強量など)下のミーティングやメールのやり取りの中に、数多くの「気づき」があるのです。カリキュラムに関しては、財務分析とファイナンスの基本的な知識があると、MBA生活にかなり有利です。企業分析や戦略立案にこれらの知識は不可欠だからです。

4. 受講生の特性についてどう思われますか?

MBA受講生のマジョリティを占めるのは、30歳代の男性です。いずれも仕事を始めて10年前後、「本当にこの生活でいいのだろうか?」と自分自身に問いかけている方々が多いようです。これらの属性の人間だけではありません。40歳代の重厚な紳士方が折に触れ、重みのある有益な言葉をくださいます。20歳代の若い力は、圧倒的です。「若い」といってしまうと自分が年を重ねたようですが、実際そのエネルギーには感服します。

ネットワーク、そうですね、表向きは、電話、e-mail、講義の合間の打ち合わせと言ったところでしょうか。実際はこれに加え、グループワークのための平日、休日を問わずの打ち合わせ、講義後の飲み会、これが大きいですね。飲み会は頻繁に行っています。

5. 研究スタッフの特性についてお聞かせ下さい。

MBAの教官はMBA学生を、単なる学生と扱いません。一人の大人として扱ってくださいます。たとえ、完成に至らない意見であっても、真剣に取り扱ってくださいます。

学生に多くを求めるのみならず、自らも多くのコミットメントを背負い、一緒に夢を作っていこうという想いの方が多いです。研究者としても素晴らしいでしょうが、教師としても、また人生の師としても尊敬できる方が多いです。

あえて一人を挙げるとすれば、経営戦略を担当する小島教授です。MBA学生に多くの課題を課します。それは、2週間に1度の講義にあわせて、毎回ケーススタディの宿題、それに加え、3度の講義まとめレポート、最後には、ある会社を選んでのケーススタディの作成です。これは受講生への課題だけではありません。小島教授にとっても課題で、15~50枚を超えるレポートにすべてに目を通し、ひとつひとつコメントを入れます。学生が理解できていないところを指摘し、その解決方法を示しくださいます。

これはあくまでも一例であり、本当に「良きもの」のために教育に心血を注ぐ教官が多いです。ただし、これはすべてではありません。一部ですが、実力がある教官でありながら、学生への教育に力を抜いている教官もいます。学生は大学への提言として、これらの教官の講義を改善して頂きたいことを申し上げています。

6. 現在何を勉強していらっしゃいますか?

まだMBAの一年生ですから、具体的な勉強と言うよりは、講義についていくのが精一杯というのが現状です。その中でもマーケティングや企業戦略に強く興味を覚えてきています。ゼミもマーケティングを中心に考える意味で南ゼミになりました。

7. 今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

MBAで学んだ広い視野を持ちつつ、今後も今の会社でキャリアを積むこと、もしくは、転職、起業も視野に入れながら、勇気を持って、自分のキャリアプランを作っていきたいと思います。せっかく周りの協力をもらってMBAコースで学んでいるわけですから、社会への貢献をしていきたいと願っています。私が学んだことで、誰かの笑顔に結びつく仕事をできるだけ多くしていきたいと願います。

8.最後に、神戸大学に入学してから現在までのご感想をお聞かせ下さい。

あるとき、私が神戸大学のMBAで学ぶことの素晴らしさを語ったところ、聞いていた知人から、言葉をいただきました。

そっ啄(そったく)の機です。もともと、禅の用語とのことですが、雛が卵から孵化するとき、雛が内からつつく頃合に、母鳥が外からつつく様を「そっ啄の機(そっ啄同時)」といい、転じて、理想の教育機会の比喩に使われているそうです。一生懸命、内側からつつき続けようと思っています。今は本当にそんな学習をさせていただいています。

大学に再び通うようになって、私と同じ年代や少し上の先輩である、素晴らしい教官が大学に多数いることが分かった事に感謝しています。日々忙しい研究の中で、社会や次世代に大いに期待している教官たち。その期待はきっと学生たちに伝わると思います。大学はやっぱり学生たちの間や教官と学生の交わりの場だと思います。切磋琢磨できる素晴らしい場だと思います。ビジネスの様に切った張ったではなく、いつでもスタートできる、やり直しもできる、何通りも解決策のある、学びの場であるように感じています。

切磋琢磨は先生と学生の間だけではありません。学生同士も互いに啓発しあうのです。このような素晴らしき同級生になることができただけでも、神戸MBAに席をおいてよかったと思います。いい仲間に恵まれて、又良い教官に恵まれているといつも感謝しています。(本音ですよ。)