2021年度ポスターセッション 教員のコメント
「ポスターセッション開催報告2021」 堀口 真司 教授
今年度の修士論文報告会(通称、ポスターセッション)は、前年度に続きオンラインでの開催となりました。開催にあたり、事前準備を進める過程では、対面開催できないか、何度も検討を重ねることになりました。一昨年まで開催されてきた対面での報告会は、教室内にいくつものパネルを立て、大きな学会等で見られるポスターセッションさながらの、活気のある空間が作られ維持されてきたことを思いながら、今年度のM2生の皆様にも、そのような雰囲気をご体験いただく機会を何とかして実現できないか、運営委員会の先生方、教務グループ、そして会場設営業者とともに思案してきました。ところが、7月末頃から、無情にも感染者数が増大し、その間緊急事態宣言が発令・延長され、こうした期待とは裏腹に、対面での開催を断念せざるを得なくなりました。この過程で、さまざまなお知恵をお聞かせいただきました皆様には感謝申し上げます。
さて、オンラインでの開催を決定した以降の課題は、今度は、いかに充実した報告会をオンライン上で実現できるのかを検討することでした。ポスターセッションという催しものの性質上、単なる発表会ではなく、いかに参加者間の自由な意見交換の場を作り出せるのか、報告者と参加者との何気ない会話の中に生まれる気づき、いわゆるセレンディピティを、いかにオンライン空間の中で実現できるのか、が最大の懸案事項でした。昨年度オンラインで開催された報告会の様子が大変参考になり、大枠では同様のタイムテーブルを思い描きながら、より自由な行き来を確保することを念頭に、今回のようなプログラムへと辿り着きました。主催者(ホスト)としては、常にメインルームで待機する必要があったために、各セッションでどのような質疑応答が繰り広げられたのか、詳細を確認することはできませんでしたが、報告を終えられた皆様の表情から笑顔が見られ、少しは思いを実現することができたのではないかと、教務ともども安堵しました。
総勢66名の報告が無事に終わり、各ゼミの担当教員の先生方より、報告会でのご印象や、これまでのご指導をふり返ってのご感想をお話いただきました。そこでは、研究を山登りとして見た場合の状況把握の重要性や、ゼミ間でのアプローチに違いがあることの興味深さや、細部だけでなく常に大局を意識した論文作成に臨むことの重要性や、日常の問題意識を研究論文へと落とし込むことの難しさなど、大変有益なお話をお聞かせいただくことができました。すでに執筆を終えられたM2生には共感される内容が多かったのではないでしょうか。また、これから執筆に挑むM1生には、大きな期待が込められたエールとなったのではないでしょうか。さらに、当日ご参加いただきました藤原先生からも、過去のポスターセッションの和気あいあいとしたご様子をお知らせいただき、今回研究会さながら厳しいコメントを受けられた皆様には、温かい慰めのお言葉になったものと思います。