2025年度テーマプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー その2
金賞受賞チーム「吸い込み!」
研究タイトル「新規事業部門のミドルの行動変化ー新規事業ミドルは表舞台から引退した!?ー」

メンバー:石野 宏実、臼井 萌絵、絵野沢 采子、大山 紘司、野口 浩路、村本 大、吉久保 綾子
(※五十音順、敬称略)
2026年1月10日(土)、テーマプロジェクト発表会が開催されました。激戦の末、見事金賞に輝いた3チームの中から、本記事では「吸い込み!」のインタビューを紹介します。
Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?
(石野 宏実)8月のキックオフから約5ヶ月です。基本は毎週土曜日の授業後、20時頃まで対面でミーティング、あとはTeamsのチャットで日常的に議論していました。メンバー全員が社会人なので、平日夜や早朝にオンラインで集まることも多かったです。
特に年末年始は追い込みで、12月26日・27日・30日は朝7時からミーティング、大晦日もチャットで論文の情報共有が飛び交い、お正月2日目には朝6時台からオンラインで集まって議論していました。チームメンバーがそれぞれ忙しい中でも「この日の朝なら」と時間を捻出してくれて、誰も「休みたい」と言わなかったのが印象的です。
私自身は5月に会社を設立したばかりで、学業・研究・事業運営の両立は正直大変でしたが、このチームだったからこそ最後まで走り切れたと思っています。
(臼井 萌絵)準備期間は約5か月程度でした。メンバーそれぞれ仕事や家庭の事情があるため、基本的には土曜日の講義が終わった後の時間を活用し、集中的に議論を詰め込んでいきました。さすがに最後の冬休み期間は集まる頻度が増えましたが、インタビュー調査や文献調査も各自で役割分担を行い、非常に効率的に進められたと感じています。
神戸大学MBAの学生は皆さん優秀ですが、主体性のあるチームメンバーに恵まれ、各自の強みを持ち寄り、誰か一人が引っ張るのではなく、全員がリーダーシップを発揮する「シェアド・リーダーシップ」を体現できたチームだったと思います。
(絵野沢 采子)7月にチームが発足してから、1月の最終発表会までの約半年間取り組みました。
基本的には毎週土曜日の授業後に対面で集まり、1週間の間に各自が行った調査内容やインタビュー結果を共有し、議論を重ねていきました。
(大山 紘司)プロジェクト全体の期間は約5カ月間でしたが、10月中旬の中間発表を経てテーマを大幅に刷新したため、最終発表に向けての準備期間は実質2カ月半ほどでした。限られた時間の中、基本的には土曜日の昼休みや6限を活用して議論を重ねました。メンバーそれぞれの予定があり、全員が揃わない場面も多かったですが、欠席メンバーには会議の録画とTODOリストを共有するなど、情報共有の迅速化を徹底しました。これにより、メンバー間の認識の齟齬やタスクの偏りを防ぎ、全員が同じ熱量で最後まで走り抜けることができたと感じています。
(野口 浩路)約4ヶ月間ずっと何かしらの形でプロジェクトが動いていました。私自身は、日々の仕事や他の授業の課題に追われる中で、このテーマプロジェクトをいかに両立させるかが最大の課題でした。チームとしては毎週土曜日の授業後を中心に集まっていましたが、平日の夜もLINEで活発に意見が飛び交っており、常に誰かがプロジェクトを前に進めている状態でした。
(村本 大)中間発表までは、自分たちの「問い」が何かを探っていたフェーズでした。皆で論文を漁って読んで、質問は定まらないながらも、聞けそうな人にインタビューしてみたり、と言う感じだったかと思います。
中間発表後の教授との壁打ち数回を通じて、軸となる先行研究に出会い、自分たちの「問い」を研究可能なものに昇華できたように思います。その後は一気に加速し、インタビューすべき対象者も明確になり、良いインタビュー結果が得られました。メンバーで集まって議論する頻度も、中間発表後に増えました。年末年始にWeb会議を重ねて追い込み、「問い」に対する答えを導き出し、発表資料はぎりぎりまで見直しました。
(吉久保 綾子)8月にチームが結成されてから、約5か月ほど準備を進めていました。毎週土曜日の授業後に1時間半〜2時間くらい集まり、発表に向けてテーマ設定やインタビュー内容の準備を進めていました。
私たちのチームは「新規事業」を軸に集まったメンバーだったので、最初の方向性は比較的スムーズに決まった印象です。ただ、中間発表を終えた段階で、軸自体は変えずにテーマ内容を大きくピボットすることになり、そこからまた仕切り直して進めていきました。
Q2. 入学から振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?
(石野 宏実)楽しくて仕方がありません。もともと助産師として医療現場にいて、その後ヘルステックを経て今はAIを活用した事業を経営していますが、経営学の知識やバックグラウンドが全くないまま飛び込んだので、入学当初はとても不安でした。
ですが、神戸大学MBAの授業はケーススタディやグループワークが中心で、学んだ理論がすぐに自分の仕事に返ってくるのを感じます。
カリキュラムを見渡すと、マーケティング、ファイナンス、戦略、組織論 ——経営の全体像が体系的に設計されていることに改めて驚きます。同時に、「自分はこんなにも知らないことだらけだ」という発見の連続です。その一つひとつが、いま自分が直面している課題と地続きだからこそ、学ぶほどに視界が広がっていく感覚があります。
何より大きかったのは同期との出会いです。まったく異なるフィールドで活躍する方々と毎週議論できる環境は本当に貴重です。
(臼井 萌絵)タフでありながらも充実していて、楽しいです。優秀なクラスメイトに囲まれ、「そんな意見があるのか」「そういう考え方もできるのか」と、日々新しい発見の連続です。
ずっと同じ環境で仕事をしていると、どうしても視野が狭くなりがちですが、MBAでの学びを通じてまずそのことに気づけたのが大きな収穫でした。様々な背景を持つメンバーとの対話は、まさに「目から鱗が落ちる」ような経験ばかりです。
もちろん、レポートや課題では普段の仕事とは異なる脳の使い方が求められるため、ハードで忙しい側面もあります。しかし、そのプロセス自体が心地よい「頭のストレッチ」になっています。実務とは直接縁がないように思える講義であっても、「経営」というトータルな視点で物事を捉えられるようになるため、以前よりも視座が高まり、多角的な視点で事象を評価できるようになったと実感しています。
(絵野沢 采子)一言でいえば、本当に楽しいです。私は関東出身で、関西には職場以外のコミュニティがなかったため、毎週土曜日に同じ志を抱く同級生と会えること自体も大きな楽しみになっています。
一方で、よくよく振り返ると体力的にも精神的にも決して楽な日々ではありませんでした。実はM1の12月に転職をしており、新しい仕事に慣れることと学業を両立させることに苦労する場面もありました。それでも、現職の仲間や家族の支え、そして前職の仲間からの変わらぬ応援に励まされながら、ハードな授業をなんとか乗り越えています。多くの人に支えられて今があると実感しています。
(大山 紘司)ある先生の「MBAの学びに効率や答えを求めるな」という言葉が非常に印象に残っています。実社会では生産性や正解を出すことが重視されますが、MBAは単なる「課題解決のhow-to」を学ぶ場ではありませんでした。先人たちが積み上げてきた膨大な知の結集(理論)を、自分の組織や環境にどう応用できるのか。その「問い」を立て、考え続けるプロセスそのものがMBAの学びの本質だと実感しています。授業は答えを授けてくれる場所ではなく、自分なりの答えを見出すための視座を養ってくれる場所だと考えています。
(野口 浩路)想像以上にハードで、自分の力不足を痛感する日々です。レポートやグループワークの密度が非常に高く、仕事との両立はタイムマネジメントの戦いでした。ただ、そんな厳しい環境だからこそ、実務でなんとなく行っていたことが理論で整理される瞬間や、自分にはない視点を持つ同期との議論は、何物にも代えがたい刺激になっています。特に、バックグラウンドの異なる優秀な仲間たちと一つの目標に向かう経験は、一人で本を読んで学んでいるだけでは決して得られなかった、MBAならではの大きな収穫だと感じています。
(村本 大)高品質の授業を通じて体系的な知識を得られる事、そしてそれを自分の実務に当てはめて深く考え直す機会が得られる事も、勿論貴重な経験なのですが、何よりの醍醐味は、業界も業種も様々な同級生と、対面での授業を通じて議論する事、授業を離れた場で情報交換を出来る事だと思います。特に、プロジェクト研究ではかなり深くチームで議論するので、同級生から得られる気づきが多く、得難い機会となりました。チームの皆様には深く感謝しています。
(吉久保 綾子)とても学びが多いと感じています。これまで人事系の仕事をしてきたため、他分野の授業は新鮮で大変刺激になっています。また、同期とのディスカッションを中心とした授業も多く、多様な知見を得ることができています。
一方で、すべての授業を受講していると課題量も多く、学びが表層的になってしまうこともあるため、自分が何のためにMBAに来たのかを振り返りながら、取捨選択していくことの重要性も感じています。
Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。
(石野 宏実)私たちのチームは、新規事業に関心がある、あるいは実際に携わった経験のあるメンバーで集まっていました。ただ、中間発表の段階でテーマをガラッと方向転換したこともあり、そこから先行研究の調査をかなり広げる必要がありました。メンバーがそれぞれの人脈を活かして大手メーカーを中心にインタビューをセッティングしてくれて、一次情報は本当に豊富に集まりましたが、それを先行研究にはない新しい知見として抽象化する作業は、発表数日前まで苦戦しました。
1回のミーティングが3時間近くに及ぶこともありました。議論が白熱して止まらない夜もあれば、方向性が見えずに全員が沈黙してしまう時間もあって、正直しんどいと感じた瞬間もあります。ただ、年末年始の追い込みの中で少しずつ議論が収束していき、大晦日にも関連論文を共有してくれるメンバーがいたり、インタビュー結果を丁寧にまとめてくれるメンバーがいたり、全員が自分の強みを発揮してくれました。
金賞は本当に嬉しかったですが、それ以上に、停滞も白熱も含めたあの時間を一緒に過ごせたこと自体が、私にとって一番の財産です。お正月2日目の朝から全員がオンラインに集まるようなチームで5ヶ月間走れたことに、心から感謝しています。メンバーのみんな、そしてご指導いただいた梶原先生・服部先生、ありがとうございました。
(臼井 萌絵)準備期間は終始楽しく過ごせたので、「辛くて大変だった」という記憶はあまりないのですが、強いて挙げれば「中間発表からのピボット」には苦労しました。新規事業という軸は変えずに、どの理論を基にインタビューのケースを解釈すべきか、先行研究と比較してどのような新規性があるのか、年末ギリギリまで議論を重ねました。
仲の良いメンバーでしたが、単に馴れ合うのではなく、お互いに一歩も引かない建設的な議論ができたと思います。「良好なコンフリクトとは、まさにこのことか!」と膝を打つような経験でした。
優勝チームとして名前を呼ばれた瞬間は、正直に言って全く予想していなかったので、目を見合わせて驚いたことを今でも鮮明に覚えています。このメンバーで全力投球できたこと自体が良い思い出ですが、やはり最高の結果が伴ったことは嬉しいですね。各メンバーの卓越した能力に刺激を受け、私自身もさらに強みを深めていきたいと意欲が湧きました。チームメンバーには、改めて心から感謝を伝えたいです。ありがとうございました!
(絵野沢 采子)最も大変だったのは、最後の最後まで表現にこだわり続けたことです。
私たちは「時代の変化を受けて新規事業部門のミドルの行動はどのように変化しているのか?」というリサーチクエスチョンを設定しました。先行研究で語られてきた過去の「変革型ミドル」と、現代における「変革型ミドル」をどのようなメタファーで表現するのかについても、納得がいくまで議論を重ねました。研究成果をどう伝えるかという点に、チーム全員で徹底的に向き合いました。
正直なところ、金賞をいただけるとは思っていなかったため、チーム名を呼ばれた瞬間は思わず声にならない歓声をあげてしまいました。高校時代の部活のコンクール以来の経験で、まさに「大人の青春」だったと感じています。
一生の友人とともに金賞を受賞できたことに、心から感謝しています。
(大山 紘司)最も苦労したのは、初見の審査員がストレスなく内容を理解できる「ストーリーの構築」です。中間発表では理論に固執するあまり、研究の目的や実現可能性が不透明になり、厳しい評価をいただきました。その反省から、最終発表では複雑な要素をあえて削ぎ落とし、問い(RQ)と結論の整合性を最後まで突き詰めました。理論の緻密さと、他者に伝えるための簡潔さ。このバランスにこだわり抜いた結果が「金賞」という形で実を結び、驚きとともに大きな喜びを感じています。
(野口 浩路)一番大変だったのは、膨大なインタビューデータや先行研究の中から、「自分たちならではの示唆」を見つけ出すプロセスでした。議論が煮詰まり、出口が見えなくなった時間も長かったのですが、チームのメンバーがそれぞれの強みを活かして突破口を開いていく姿を間近で見られたのは、私にとって非常に大きな学びになりました。私自身が貢献できた部分は限られていたかもしれませんが、最後までこのチームの一員として並走できたことを誇りに思っています。優勝という結果を聞いた時は、驚きと共に、共に走り抜けてくれたメンバーへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。この素晴らしいチームに恵まれたからこそ辿り着けた場所だと、心から感謝しています。
(村本 大)インタビューを通じて質の高い情報が得られたのですが、それらから最終的に「問い」に対する答えを導き出す過程が一番大変だったと思います。年末年始のお休みに何回もWebで議論を重ねました。チームの皆様の高い問題意識とモチベーション、発表資料の細部にまで手を抜かずこだわり続ける高い品質意識のおかげで、優勝と言う非常に嬉しい結果に繋がったと思います。改めて、この場をお借りしてお礼を申し上げます。有難う御座いました!
(吉久保 綾子)このたびは金賞をいただくことができ、まず何よりも素晴らしいチームメンバーに恵まれたことに感謝しています。発表会の準備で個人的に大変だったことは、金井先生の『変革型ミドルの探求』を理論的基盤とし、当時のミドルが現代においてどのように変化しているのかを検討した点です。その前提として、著書の内容を正確に理解し、誤りのない形で簡潔に要約・整理する必要があり、その作業には特に苦労しました。また、伝えたい内容が多い中で、重要なポイントをどのように絞り込み、聞き手にとってわかりやすい発表に仕上げるかという点も強く意識していました。内容の深さとわかりやすさを両立させることは特に難しい部分でしたが、最終的に納得のいく発表にできたと思います。
「吸い込み!」の皆様、ご協力いただきありがとうございました。