2014年度ケースプロジェクト 金賞

金賞

メンバー:赤木康介、安居院徹、出野利文、西谷佳之、原田和実、八重樫卓真
(※五十音順、敬称略)

2014年8月2日(土)、神戸大学本館306号室で行われたケースプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。

Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?

(赤木) 2か月くらい。

(安居院) 週一回は平日の晩にメンバーで集まって終電まで議論する生活が続いたため、週末も百貨店や三越伊勢丹の資料を読み込むなど、準備にはエネルギーを相当注ぎ込みました。

(出野) 入学時にチームメンバーと初めて顔合わせして以来、授業のある日はチームメンバーを中心とした行動に自然となっていました。常に、ケースプロジェクトのことを議論していた訳ではありませんが、発表会当日までの間、継続して、お互いの問題意識、検討内容について情報を共有し、しっかり議論した後は、いつも飲ミニケーションを通じてベクトルのすり合わせを行って参りました。

(西谷) 期間としては入学直後から発表までの4ヶ月間ですが、特に終盤は週に何回も集まることがあり、想像以上の時間をメンバーと過ごしました。マイルストーン1で厳しい評価を受け、考えに考えた結果マイルストーン2では思いもよらず誉めていただけた。調子に乗った我々は想像通りマイルストーン3で散々な評価を受け、そこから奮起、今までの仮説をすべて捨て、発表当日の午前3時まで掛けてなんとかまとめ上げました。最終1ヶ月は寝ても覚めてもケースのこと考えていました。

(原田) 4月の入学から8月の発表までの間、主に平日の夜や授業後に集合し、初期過程では週1~2回、各メンバーがそれぞれの考えを元に、仮説案と一次エビデンスを持ち寄り、議論を進めました。また中盤から後半にかけては、週2~3回、決めた仮説やチェックポイントでの先生からのご指導事項などを、メンバーの知見や、ライブラリーリサーチ、フィールドリサーチから得られたエビデンスで検証し、議論を深めました。

(八重樫) 1回目の授業直後から準備ははじめましたが、はじめは手探り状態で実質的に動けていなかったような気がします。マイルストーン1で、三品先生から「問題外」と言われてから火が付いた感じです(笑)。実質的に2か月弱だったと思います。

Q2. 入学から4ヶ月を振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?

(赤木) タフですが、ユニークで面白い。とくにチームで行う課題は個人の力量だけではないので、優れたチームマネージメントが必要だと感じました。

(安居院) 予想を遥かに超えて刺激的です。実学志向の強い神戸MBAでは、授業中のコメントやレポートも経験に裏打ちされた内容が豊富で、先生方は勿論、同級生からの学びも多いです。

(出野) 二十数年ぶりに学生として授業を受けておりますが、実務経験を重ねた中で感じている問題意識、何気なく業務として取り組んでいる活動を、学術的に解説頂いていること、また、統計、財務、ファイナンスなど基礎的なスキル修得をサポート頂いており、大変満足しています。ただ、しっかり身に付けるには、復習が必要と理解しているものの、その時間を確保できていないのが、残念です。

(西谷) 想像していたより、かなりハードでそしてかなり楽しい時間を過ごしています。仕事と家庭と授業、すべてをクリアしていかないといけない中で常に優先順位と要領、段取りを考えています。何度もリタイヤしそうになったくらい本当に厳しいですが、知識欲と達成欲がそれらに勝る。それくらい有意義ですばらしい時間を過ごす事が出来ています。入学しなければ分からなかったことです。

(原田) 予習や課題レポートが想像以上に多く、とてもハードな生活が続いておりますが、これまで知らなかった領域に関する講義や、さまざまな業種の方々との交流から、目の前に未知の世界がどんどん広がっていくような、刺激的で緊張感と充実感に満ちた毎日です。

(八重樫) 噂通りのハードさだと思います。最近は多少慣れてきましたが、課題だけでなく前もって読んでおかなければならない本も多いので、正直、時間がいくらあっても足りません。どうしても寝不足になるので、元々低い仕事のパフォーマンスが更に落ちてしまっているかも・・・。職場のメンバーにはちょっと申し訳なく思っています。
大学卒業以来、約10年振りの学生生活ですが、学部生時代とは全く違った感覚で授業に臨ませていただいています。まさに「魅せる」という言葉がピッタリな時間を忘れさせる授業をされる先生もおり、今までの「勉強」とは一味違う学習体験をさせていただいています。

Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

(赤木) なかなかお互いの意見がまとまらないことがあったが、毎週顔を合わせることで上手く意見を一致させることができた。意見がまとまらないことはあったが、チームが分裂することなく、最初から最後まで仲良くできたのが優勝の勝因と思います。

(安居院) 所属組織も出身も関係ない中でのチーム作りでしょうか。初めは互いに遠慮しがちでしたが、時に勉強そっちのけ(?)でお酒を酌み交わす濃い付合いから、メンバーに一体感が生まれました。その上で発表内容についてチーム一丸で意見を戦わせたことで、尖った仮説と強いエビデンスに辿り着けたと思います。個では達し得ない高みにもチームだからこそ到達できた、目から鱗の体験でした。

(出野) 検討範囲を相当に広げたので、限られた時間の中で発表するためのシナリオ作りと使用するエビデンスの選定には悩みました。一方で、発表会の直前に、三越伊勢丹HDから来春再オープンさせる大阪店の業態が公表されることで、ゆるぎないエビデンスとなることを期待していたのですが、具体性に乏しかったため、論拠の甘さを指摘されるのではないかと懸念していました。それだけに、発表会当日明け方まで、妥協せずに皆で練ったシナリオが金賞という形で評価されたことは、素直にうれしいです。

(西谷) 組織に属していると指示や意見の矢印の方向は決まっています。ここでは全員がフラットで上下がありません。そのような環境で意見を戦わせることの難しさを実感しました。まず自分の悪いところが見えます。私は聞く力が弱かったですね。そこから修正し、全員から学び全員に与えることが出来るようになりました。チームビルディングの楽しさや、チームがだんだんひとつになっていく面白さが実感出来ました。最初は何度も険悪な雰囲気になりましたが、必ず最後は一杯行って酒に流す。これを心がけました。貯めない、伝える をやっていくうちに全員が自分の役割を自ずと認識して動けた事がよかったと思います。ひとりのスーパーヒーローより7人の侍、メンバーそれぞれがうまく機能したので評価をいただけたと思います。

(原田) 今回のケースから得た仮説を、一般的な分析記事とは全く異なる内容に置いたことで、その論理に誤りがないか、細部まで深掘りが必要でした。それが実践でき、最高の評価をいただくことができたのは、積極的に意見をぶつけ合い、チームワークで議論を進めることができたチームメンバーや協力いただいた皆様、そして支えてくれた家族のおかげだと思います。

(八重樫) 確固たる切り口を定めるまでが大変だったと思います。今年のケースプロジェクトは、企業もケースも予め定められていましたので、確かにその選定の手間は省けたのですが、逆に限られた範囲内で切り口を定めなければならなかったため、普遍的有用性のある総括を導きだす、「切れ味鋭い切り口」を設定するのは至難の業でした。
私たちのチームは、当初、各自でライブラリーリサーチを行ったうえで、切り口案を持ち寄り、そこから選定する方法で進めようと試みました。しかし、案はいくつも提起されましたが、どれもありきたりであったり、普遍的有用性のある総括を導き出せないものばかりで、誰ひとりメンバー全員が納得できる切り口を提示できない状態が続きました。何も決まらないまま時間ばかりが経ち続けましたが、とにかく集まって議論だけは続けようと、場所を会議室ばかりではなく、時々飲み屋も織り交ぜながら議論を続けました。不思議なもので、肩肘張らずに時間をかけてお互いの意見を出し合ううちに、漠然と全員が「JR大阪三越伊勢丹の早すぎる計画は本当に失敗なのか?」という疑問を持つに至り、全員が納得する形で「失敗ではない」という切り口を設定するに至りました。正直、他チームが早々に切り口を定め、調査研究に進む中で、切り口を決められず時間ばかりが経過する状況に焦りを感じていましたが、皆が納得するまで議論を続けたことは結果的に良かったと思います。
今回の優勝に関しては、正直想定外でした。我々のチームは、マイルストーン3で厳しい評価を受けていましたので、発表当日のギリギリまで内容の見直しに追われていました。 結局、当日のプレゼン発表もほぼぶっつけ本番の状態で臨むことになってしまい、決して自信が持てる状況になかったのが実態でした。しかしながら、一方で、限られた時間の中でできる限りのことはやったという自負はありました。それだけに僅差ではありましたが、金賞という評価をいただけたことは心の底から嬉しく思いました。一度は「問題外」と評価されたチームが、ここまで這い上がれたのは、メンバー全員のチーム力があってこそだと思います。改めて、メンバーの皆さまに感謝したいと思います。