2023年度テーマプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー
金賞受賞チーム「D&X」
研究タイトル「越境による個人の学習は、なぜ組織に活かされないのか?」
メンバー:浅海 文隆、宇田川 鎮生、多賀 麻利恵、田中 優元、谷本 香奈枝、仁井 幸江、山本 直樹(※五十音順、敬称略)
2024年1月6日(土)、テーマプロジェクト発表会において激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。
教員レポートはこちらからご覧ください。
Q1.準備にはどれくらいかかりましたか?
(浅海 文隆)テーマP/Jにおいて最初にやるべきことは、チームの自己編成なのですが、私は、7/4に神大MBAのHPにテーマP/J研究のシラバスがアップされたことを皮切りに、一緒にチームを組んでみたいと思っていたM1同期の面々に対して比較的早めの段階から声掛けしていたこともあり、7/29のケースP/J研究成果発表会の翌日の時点でチームメンバーを確定することができていました。その後、8月に我々が取り組みたい研究テーマの方向性を固めた上で、毎週木曜22:00からのWeb打合せと、土曜5限の講義終了後の18:30からの面着打合せの2つの打合せをベースに、毎回、皆で様々な意見を出し合いながら準備を進めていきました。しかし、やはり研究を進めていくと、あれもこれもとなってしまったこともあり、最終的に資料が完成したのは発表前日1/5の22時を過ぎた頃でした。神大MBAのM1生の正月は、年始に開催されるテーマP/J研究の成果発表会が終了した後になるという風の噂を耳にしたことがありましたが、それが紛れもない事実であることを身をもって体感しました。その中でも、チームメンバーの1人から、元日の23:47に「担当分の資料を作り替えたので、確認ください」という内容のチームLINEが送付されてきた際は、その熱意に驚かされました(笑)。
(宇田川 鎮生)浅海さんがチーム組成に動いていて、すでにメンバーとなっていた山本さんから声かけをいただきました。山本さんとはいつも部下の育成や関わりについて雑談レベルで話していたので問題意識や課題感が合致すると思い合流しました。他のメンバーはそれまでの授業でご一緒したことがある方もいましたが、メンバー全員がそろったときの空気感がとても新鮮だったことを覚えています。割とエネルギッシュにだれかがリーダーシップをとるわけでもなく、とはいえ各自がマグマのような熱い思いをもっている、そんな感じでした。金賞をとるということを声高に言うわけではないですが、そこを狙いにいくことは共通認識としてあったと思います。チームはとてもバランスがよいと感じていました。それぞれが仕事や家庭を持ちながらのプロジェクトです。長期出張や仕事の山場、ライフイベントなどがあったときも、誰かがカバーしていくというか、フェーズごとに主役というか引っ張る人が変わっていく感じでした。出遅れている場合もキャッチアップは各自がしっかりやっているので、いざというときには、しっかり情報共有ができていました。喧々諤々の議論にはなるが、相手を承認しながら自分の意見を述べるのでいわゆる目に見えるコンフリクトがないというか、コンフリクトが起きているのだが、そう見せないコミュニケーション能力が皆に備わっていると感じました。相手に敬意を欠いた失礼な態度でコンフリクトを起こしたと勘違いしたドヤ顔野郎が時々いますが、そんなことは微塵もないすこぶるスマートな振舞いを皆が備えている大人なチームでした。また、女性が半分を占めていることもあり、仕事や家庭の問題に対して理解と優先度があったことも安心安全な環境の要因だったと思います。まずは、2021年金賞チームに知人がいたので、チームを集めていただき意見交換をさせていただきました。心持ちというか取組姿勢、中間発表は大事だが最終発表とは関係ないので一喜一憂しないこと、年末年始に山場がきてそこで最後の踏ん張りができるかどうかカギ、など全体のスケジュール感や想定されるモチベーションの上下を共有しました。テーマは、皆で興味のあるキーワードを出しあって、組織学習やイノベーションの流れから「越境学習」になりました。「越境学習」をまず調べるところから「越境学習者は2度死ぬ」なんて言葉に驚愕しながら理解を深めていきました。メンバーには遠方(名古屋)からの通学や子育て中の方もいたので、効率的にプロジェクトを進めていくために、ミーティングは土曜日の授業後と木曜日を設定しました。土曜日は授業の疲労もあるので20時までとし、平日は子どもが寝静まった22時から24時としました。各自宿題をもちより情報共有していくことで効率的に前に進めることを意識し、グループラインではプライベートも含めて様々な話をし、常にコミュニケーションがオンの状態が保てていたと思います。最終発表の1か月前の時点である程度みえていたのですが、メンバーみんながなんとなくしっくりきていない感じでした。このため、年末にインタビューを再度いれて、神戸大MBAのOBで経営者の方との壁打ちをお願いしました。そこでより具体的な方向性というかコアな部分が形づくられました。「これだね」的な。前日に発表練習をする中で、聞く側の視点でみると情報が多すぎると感じ、前日の夜間に修正を行いました。「相手の脳みそに何を残すか」を考えながら、単なる報告にならずにどう見せるかを最後まで意識しました。
(多賀 麻利恵)ケースプロジェクトの終了間際にお声かけ頂き、チーム結成に至りました。それから約5か月間、毎週木曜夜の定例ミーティングと、土曜の昼休み及び授業後をテーマプロジェクトの準備に充てる生活を送っていました。まずはメンバーの問題意識を持ち寄りテーマ選定、インタビューを重ねながら仮説を立て、先行研究を参考にチームでの結論に至るまで、振り返ってみると色々なことがありました。特にインタビューは10社以上に行いましたが、精査の結果最終報告会に使用したのは主に4社でした。しかし、どのインタビューからも学びが多く、快く応じて下さった企業やOBの皆様には感謝の気持ちで一杯です。
(田中 優元)まだケースプロジェクトの準備をしている7月中旬ごろにあるメンバーからお声掛けを頂き、チームに参加しました。そこから約5か月間、毎週土曜日の授業後と木曜日の夜間に打合せを行いながら研究を行いました。8月中旬ごろのキックオフの時点では全くテーマが決まっていない状態でしたが、皆で話をするなかで、イノベーションをどう起こすか、組織をどう変えるかという点で共通の興味があることがわかり、昨今耳にする機会の増えたベンチャー企業への越境学習というテーマに的を絞りました。チームメンバーは、混成部隊のような形で、様々な業種・職種で構成されていましたので、約5か月間、皆でそれぞれの知見を持ち寄りながら、研究を進めました。
(谷本 香奈枝)ケースプロジェクトのスタートから発表前日の夜ぎりぎりまで使って準備をしました。テーマプロジェクトでの経験を踏まえて、土曜日の授業終了後と、それだけでは足りないだろうということで木曜夜10時~毎週定例で打ち合わせを重ねてきました。深夜にまで議論が及ぶことも多々あり(特に最終盤の追い込み)、夜型ではない私としては辛くて…しかも、さあ終わった!早く寝よう!と思っても、いつも議論が白熱するので脳が覚醒していて寝られない…そして寝不足という日々もありましたが、今ではいい思い出です。メンバーの多様性からD&X(ダイバーシティ・トランスフォーメーション)というチーム名を決めましたが、それぞれが個性に応じた役割を果たすことで最後まであきらめることなくやり遂げられたのだと感じています。多様なチームメンバーと一緒にプロジェクトができたことに本当に感謝です。また、先生方が中間報告以外にもこまめに節目を設定して下さいましたので、その締め切り効果もあって、ペースを落とすことなく進めることができたと感じています。
(仁井 幸江)8月の全体オリエンテーションとほぼ同時にチームを結成しました。その後、月に1~2回のペースで進め方に関する講義、またはM1全体で進捗報告をしあう場を経て、1月第1週目での研究成果発表会を目指しました。その間、チームは独自に研究が進めていきます。私たちのチームでは毎週放課後に数時間の議論と食事会がルーティンでした。平日にも参加可能なメンバーで週1回程度オンライン会議でペースを作っていました。遠くから通うメンバーがいたり、その他のメンバーも仕事や家庭の行事予定をそれぞれに抱えていましたが、できることをできる範囲で、楽しみながら、真剣勝負を全力でやろうという精神で、都度相談しながら柔軟に進めることができたと思います。ほぼ5ヶ月、多忙な中、手探りで進める研究は本当にタフでしたが、チームメンバーと一緒に取り組めたおかげで乗り越えることができました。心から感謝の想いでいっぱいです。
(山本 直樹)8月のテーマプロジェクト開始以降、毎週木曜日の20:00からと土曜日の講義後のメンバー間のミーティングを基本に、その打ち合わせの間に文献の読みこみや調査を実施するというサイクルを繰り返してきました。加えて、10社を超えるヒアリングの時間を別途確保したり、1日論議をする合宿を経たうえで、年末年始ほぼ毎日追い込みのミーティングを実施し、入念に準備を進めて参りました。
Q2. 入学から振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?
(浅海 文隆)“百聞は一見にしかず”ということわざがありますが、ある程度の覚悟はしていたものの、実際に4月からMBAの授業(の洗礼)を受けた感想としては、大量の事前/事後課題(それなりにボリューミーな必読文献熟読、授業毎の毎週/毎回のレポート、フィールドワーク、グループワーク等々)に忙殺される毎日が続き、まさに日々時間に追われているという感じです。特に、ケースP/J研究の成果発表会が終了する7月末までは、時間のやり繰り/確保に非常に苦労しました。また、それなりに時間をかけ、かつ何度も修正して作成した苦労の結晶/渾身の力作の筈のレポートの時に限って評価点が低く、努力・苦労が目に見える形での結果につながらず、気分が落ち込むことも幾度となくありました。しかし、同期の面々が弱音も吐かず、楽しそうにMBAの授業を受け、様々な示唆に富んだ発言及び質問をしている姿を見ると、非常に刺激を受けるとともに、そのような同期と共に学ぶことができているという有難さ、嬉しさも感じています。その上で、私も、”実務に役立つ理論を学ぶ”という、神大MBAを受験することに決めた当初の目的を思い出しつつ、かつ自分自身が多少なりとも日々成長しているであろうことを信じつつ、”楽しく真面目に学ぶ”ことを心がけています。
(宇田川 鎮生)あっという間にここまで来たという感じです。いつも授業の予習復習、課題レポート、ゼミの準備が頭の片隅にあります。日々の業務はいつもどおりなので、限られた時間の中でなにをどこまでやるか、選択と集中の意識が磨かれました。しかし、人間とは恐ろしいものでこのような環境にも慣れてしまいます。このくらいのリソースをさけばこのくらいの成果がでるということが経験上、感覚的にわかってしまう。気を抜くと課題をこなすことが目的になってしまうので、学びに来た意義や業務にどう生かしていくのかという視点を日々意識するようにしています。気がつくと授業やレポートに追われるザ・MBA的な生活もあと2か月あまり、寂しいようなうれしいような。はじめのころの緊張感ややりすぎなぐらいの没入感を維持できているか改めて振り返るようにしています。いろいろな授業でグループ課題があるので、同期の皆さんとは仲良くなれました。チームビルディングを目的として(たぶん)飲み会も適宜あります。同期との交流は、それぞれの専門性もあいまって大変刺激的です。MBAで学ぶ意義は、実践と理論の往復をしてこそだと思っています。私は、ファミリービジネスの役員を務めていますが、MBAと名刺に書かれたところで立場も役割も変わらないので、あくまでも社業にどう貢献できるかを意識しています。自社の経営課題を見つめなおし具体的な施策まで落とし込むこと、卒業してからなんて悠長なことはいってないで現在進行形で経営改革に取り組んでいます。
(多賀 麻利恵)「想像通りにしんどいな」、そして「想像以上に楽しいな!」というのがMBA生活を半分過ごしてみての感想です。私は神戸大MBAの卒業生が友人におり、とても忙しそうだけど楽しそうだなと思っていました。実際授業が始まってみると、はじめは毎週のレポート提出やグループワーク、久しぶりのテストの連続に息切れしながらついていくのがやっとでした。しかし、授業の合間や終了後に友人と語りあい、アドバイスを交換する時間は何事にも代えがたいです。仕事とまた違う脳みその使い方をするからか、毎週土曜は一日六甲山に缶詰で疲れる一方、とてもリフレッシュになっています。授業は平日にもオンラインで開講されますが、私は子育てとの両立が困難なため、土曜の授業に集中しています。子育て中のパパママもたくさんいますので、受験を迷っている方も是非チャレンジしてみて下さい。
(田中 優元)やっぱり大変です。思った数倍大変です。が、毎週毎週新しい課題に取り組みながらMBAの学生の皆さんとディスカッションすることで、普段の業務だけでは得られない好奇心が充たされ、苦しみつつも楽しい日々です。MBAで学んだことで全てが解決するわけではなく、学べば学ぶほど、現実の難しさを実感していますが、一方で、MBAで学んだ考え方や枠組みを通して、世界の見方が変わる楽しさを感じています。
(谷本 香奈枝)入学前に聞いていた通り時間のやりくりには苦労していますが、これまで実務で得られた知識や経験が体系的に整理できること、そしてアカデミックな理論を通じて新たな視点を獲得できることが楽しく、遠方からでもくじけず通い続けられています。また、仲間の存在も大きいと感じています。他のMBAがどうかはわかりませんが、神大ではケースプロジェクトやテーマプロジェクト、授業でのグループワークなどほぼ毎回ちがう方々とチームを組んで課題に取り組む機会が随所にちりばめられており、業界も年齢も性別もちがう仲間から多くの刺激をもらえます。先生方も熱心で、かなりタイトな講義スケジュールではあるものの、社会人である私たちが今後を見据えて知っておくべきこと、考えるべきことを投げかけて下さいます。通り一辺倒の講義ではなく、社会人である私たちに企業経営をより良くしてほしいという期待(?)を込めて講義されているように感じたりもします。
(仁井 幸江)「想像と全然違う!」が正直な感想です。まずプラス面では、予想以上に個性豊かな素敵な人たちと、こんなに近い距離で語り合い、楽しい時間を過ごせるとは思っていませんでした。また座学って難しいだろうな、飽きずにしっかり身につけることができるだろうかと身構えていましたが、一つ一つの講義に先生方の工夫がこらされており、時に難解さに苦しむ時もありますが、それすら魅力となり、私は諦めずに取組む意欲を維持できています。マイナス面では、与えられる課題の量や難易度が想像以上でした。いえ、これも自分のバーを上げ、さらなる成長に繋がるとすればプラスなのですね。知識や思考の強化だけでなく、健康面の管理も重要で総合的に鍛える場であると実感しています。実用性の観点では、まだ学びは中間地点でありますが、できることから職場でも積極的に活用し始めています。MBAは大企業でこそ活用できるという意見を聞いたことがありますが、ベンチャーや中小企業でも実践的に活用できるものだと思います!そうしていきたいと思っています。
(山本 直樹)MBAの講義は、日常的に業務で行なったり、世の中で起こっている事象について理論で学ぶことで、課題解決や目標達成に向けた思考の物差し得ることができるので、大変有意義であると感じています。また、学部生時代と違い様々な社会経験を積んだうえで参加しているので、取り上げられる内容が身近に感じられ、自分ごと化しやすく、大変興味深いです。
Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。
(浅海 文隆)最も大変だったことは、年末年始期間の“最後の追い込み”です。具体的には、私たちのチームは8/31から12/28にかけて、計12回のインタビューを実施したのですが、12/29の2地点間をつないだ面着+Web打合せの時点でも、どの理論、概念、インタビューを使って、どのような資料構成で1/6の成果発表会に臨むべきかを明確に固めきれておらず、さすがにこのままだとまずいのではないかという気がしていました。そこで、12/29と12/31の打合せで資料の骨子を固めた上で、各自が担当分の資料を作成した後、1/6の成果発表会の前日まで、1/3、4、5と3日連続でのWeb打合せと資料のブラッシュアップを実施した結果、なんとかメンバー全員が納得できるレベルの資料を作成することができました。それらの取り組みが実を結び、目標としていた優勝の栄誉を勝ち取ることができたことは”感無量”の一言に尽きます。これはひとえに、よいメンバーに恵まれ、最高のチームでこのP/Jに臨むことができたが故のことだと思っています。ねぇさん、にぃちゃん、うだっち、なおき、ガッチ、ゆうげん、お陰様で記憶&記録に残る一生の思い出ができたよ!約5か月という、長いような短い間ではあったけど、本当にありがとう!!!
(宇田川 鎮生)年末まで定期的に議論を重ねてきましたが、なにか最後の一手が足りないと感じていました。そこで賭けではありましたが、年末にインタビューを1件無理言ってお願いして、さらに神戸大MBAのOBの経営者と壁打ちを行いました。実はその1日の議論で、スーッと視界がひらけていき、みんなで「これでいこう」と共通認識がもてました。怒涛の年末年始の中で「やっぱりここまできたら優勝したいよね」「現時点でもよいものはできているだろうが、このままでは他チームと同じレベルだ。ここからさらに追い込もう」とさらにギアをいれました。それぞれ帰省しながら資料をつくり、毎晩オンラインで合わせていきました。しかし、前日夕方の発表練習で、なんかしっくりこない。一旦各自持ち帰り2時間後に再集合して構成や内容の追加を議論してやっと落ち着きました。「あすは金賞とって写真撮影があるから、きれいめな服で集合だね」なんて冗談を言い合いながら、無意識レベルで自分たちを洗脳していきました。当日は、昼休みに最後のリハーサルをチーム内で行いました。審査員の特徴やこれまでのチームの発表内容をふまえて、言い換えるところや強調する部分などをみんなで確認しての最終調整です。さらに、我々の前のチームが、少し内容がかぶっているところがあったので、審査員の誤解を招かないように文言や強調する部分をさらに修正しました。俯瞰的に全体の発表も見て、効果的にアドバイスできるメンバーがいたことも強みだったと思います。金賞は狙っていましたが、自分たちの発表が終わったら、なんというか悟りの境地でした。仕事もプライベートもある中で授業のレポートをこなし、半年間あまり全チームがそれぞれ走りぬいてきたこと。それがもう素晴らしいことだなと思っていました。それを考えてたら自然と涙が・・・でませんでした。とはいえ、自分たちが準備したことはすべて出し切れたので、これはもう思い残すことはないなと。「もし他チームの得点が高かったら、そのチームが素晴らしかったってことだね」とメンバーで話をしていました。今思えばそこまでメンバー同士が意識を共有できていたのもすごいことだと思います。
(多賀 麻利恵)時間の捻出と、最終発表に向けてのストーリー構築が大変でした。まず時間ですが、皆忙しい社会人ですので、全員が常に集まることは難しかったです。我々はチーム名のD&X(ダイバーシティ&トランスフォーメーション)通り、メンバー構成もバラエティ豊かでした。7名と比較的人数が多かったため、できることをできる人がする、と役割分担が上手くいったと思います。様々な視点で物事を考え、多様な業界の方にインタビューして考えを深めることができました。最終報告会に向けては、メンバーのオフィスに集まってインタビューのまとめ作業をしたり、議論を重ねました。既存研究で分かっていることが多くある中、どうやってチームならではの着想から新規性のある結論を導き出すか?に一番苦労しました。年末年始は連日オンラインで集まりハードでしたが、追い込みあっての金賞だったのかなと思います。メンバーが異なる意見をぶつけ合いながらも違いを認め合い、結論に向けて昇華するプロセスに関われたことが幸福でした。きっと今後の仕事にも活かせると感じています。
(田中 優元)我々のチームは、「越境学習を行った従業員が元の部署に戻った際に周囲に変化をもたらす為には、どのような施策・行動が必要か」というテーマで研究を行い、インタビューを実施しました。しかし、いざインタビューをしてみると、「個人ではとても成長している。しかし、周囲のなかなか行動は変わらない」というケースがほとんどで、成功例が見つかるまで約10社程度にインタビューを実施することとなりました。そして、いざ成功例を見つけても、どの施策がどのような効果を発揮して成功に結び付いたのか、明確に示すことに非常に苦労しました。当初は12月末には一通り資料を完成させる予定だったのですが、結論を出すまで右往左往した結果、結局完成は前日ギリギリまでかかりました。しかし、それだけの労力を投入した結果、金賞を頂いた時の喜びはひとしおでした。また、その過程も苦労を重ねましたが、チームメンバーの皆さんがとても優秀かつ優しい方で、とても和気あいあいとディスカッションができとても楽しくあっという間の5か月でした。
(谷本 香奈枝)一番大変だったことは、先行研究とどう折り合いをつけるのかということでした。私たちが取り組んだ越境学習や組織学習の領域でも既に多くの研究があり、調べれば調べるほどそういった理論に引きずられてしまいます。私たちのチーム研究のオリジナリティはどこにあるのか?…何度も壁にぶち当たりました。インタビューで得られたファクトと理論を何度も往復したり、先生方や外部の方に壁打ちをお願いしたりしながら、何とか結論にたどり着いたという感じです。そして、優勝できたことは、素直にうれしかったです!ここまで一緒に走り切ったメンバーと喜びを分かち合いながらあげた祝杯🍺は忘れられません!まだ大学生活は続きますが、一つの節目としてまさに大人の青春だなぁとしみじみと感じる一場面となりました。
(仁井 幸江)まず、研究のいろはを一から学びながら、並行して自らで問いをたて、半年足らずで新発見を導きださねばならないという課題自体が、なかばウルトラC、大きな挑戦だったと思います。一人では到底やりとげられない質と量をこなす必要がありました。私のチームメンバーはそれぞれ企業人として専門性や得意分野が多様で、その分、研究においても補完しあえたのだと思います。次に、企業での思考や仕事のやり方が必ずしも学術的研究の方法を助けるわけではないことに難しさがありました。一概に仕事≠研究と単純な比較はできず、どちらが正しい優れているということでもありません。共通点も多くありました。そのような中で、企業人と研究者の二つの帽子を被る私たちは、夢中になればなるほど、時に研究として追求すべき点を見落としがちです。企業人と研究者の帽子を被り分けることを意識できるようになるのも挑戦でした。まだ、十分では無いと思っています。プロジェクトを通じて、他チームからの刺激、インタビューでの学び、先輩の支援、先生方の指導・・・偶然や必然の中で得た資源を最大限活かそうとチームみんなでもがいた経験は、唯一無二の得がたい宝です。その結果として金賞という評価を頂けたことは、感謝と自信と、より一層自己研鑽していこうという意欲に繋がっています。
(山本 直樹)研究における『問い』を立てることが一番大変でした。文献の読み込みや、インタビューを進める中で、『問い』を明らかにすることに何の意味があり、それらの問題がなんであり、何が説明できておらず、何を問う必要があるのか、ということにメンバーと一緒に向き合ってきました。工夫したところとしては、いかに我々が研究してきたことをわかりやすく聞いている皆様に伝えることができるかという観点で、シナリオを作りこんできたことです。どの順番で何を伝えていくのが最適であるかということを考え、何度も順番を入れ替え、内容にも修正を重ねることに、最後の多くの時間を費やしました。ケースプロジェクトでの課題であった、プロジェクトの工程管理や、情報の絞り込み、わかりやすいシナリオ構築等を、テーマプロジェクトメンバーと一緒に克服することができたことが最大の勝因であると考えており、課題を克服することができた喜びと、優勝の達成感を味わうことができ、大変嬉しく思っております。活動を支援してくださった、インタビュー企業の皆様や大学関係者の皆様、そしてメンバーの皆様に心より感謝を申し上げたいと思います。
表彰式終了後。みなさんいい笑顔です!
勝利の美酒は格別だったことでしょう。