2020年度ケースプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー
金賞
メンバー:小笠原 啓孝、岡田 理英子、田中 圭、西尻 直幸、町田 國彦、三島 誉雄
(※五十音順、敬称略)
2020年8月1日(土)、オンライン形式で行われたケースプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。
Q1. オンラインとなったグループ・ワークはいかがでしたか?
(小笠原)当初は、オンラインのグループ・ワークで発表できるだけの資料をつくれるのか不安しかありませんでした。手探りの状態で作業を進めることになりましたが、LINE、Zoom、Googleドライブ等のツールを駆使してコミュニケーション・情報共有を図り、最終的に納得のいく発表資料を完成させることができたと思います。
やってみれば何とかなるものだなと実感していますが、これは、チームメンバー皆の熱意と協力があってのことであったと思います。
(岡田)一度もFace to Faceで会ったことのないメンバーとのグループ・ワークは、最初、手探りの状況から始まりました。チーム編成が行われたその日にLINEアドレスを交換し、まずはLINEでのコミュニケーションを始めるとともに、初期にZOOM飲み会を行いました。LINEではプロジェクトに関する意見交換だけではなく、「今週の宿題は〇〇と〇〇で良かったでしょうか?」という宿題確認から始まり、「仕事が終わりません!」とか、「洗濯機が壊れた!」など(笑)、日々の日常に関する雑談も毎日やりとりしていました。この雑談によるコミュニケーションがお互いの理解を深めることにつながり、リアルに会えない中でも次第に信頼関係が構築されていったと思います。
こうして醸成された信頼関係と、元来の各メンバーのモチベーションの高さから、「お互いに言いたいことを言い合える」関係になったと思います。最終の発表資料作成においては、Googleスライドを用いて、あるメンバーが作成した発表資料を都度本人からの承諾を得ることなく別のメンバーがどんどん改善していく、ということをお互いに行い、より良い発表内容になっていきました。
オンラインだからこそ、雑談を含めたコミュニケーションの量がコミュニケーションの質を高めることを実感したグループ・ワークでした。
(田中)オンラインでグループワークが始まった当初は不安もありましたが、始まってみると、オンラインでも意外と問題なく進めることができた印象です。
ただし、やはり直に会って話をする方がオンラインよりも進捗したと感じており、発表前の追い込み時に皆と会って追い込みができたのは大きかったと感じています。
(西尻)プロジェクトの開始された時点で、直接は会ったことのない者同士での授業がすでに始まっていました。LINE、Googleドライブ、zoomなどツールを利用してリアルでの会話ができない溝は埋めることは出来たと思います。毎朝、各自の前夜の活動報告がLINEで飛び交う様子が今でも懐かしく思い出されます。
距離も時間も縮めることができるツールであり、コロナ禍であることとは無関係に、これかも活用しなければいけないものと改めて感じます。このような便利さに触れて磨かれる価値観をもとにイノベーションの創出につなげたいです。
(町田)メリットは1.集合にかかる時間、コスト、場所のセッティング、よそ行きの恰好の手間が省ける 2.自宅で家族の状況がわかりながらリラックスしてできる 3.あと皆が同じ画面方向を見てるので、発言を聞く意識が高まるいうところです。デメリットは会ってやったときと比較して、若干議論のスピードが落ちる、家でパソコンに向かって話しかける、一部屋とるので、少々家族の邪魔になる等です。個人的にグループ・ワークはオンラインでも十分という気がします。
(三島)一度も顔を合わせたことがないメンバーが果たしてオンライン上でうまくコミュニケーションを取りながら議論を進めていけるのか、当初は不安な船出でしたが、WebミーティングやSNSを通じてコミュニケーションを重ねていくことで思いのほかスムーズに議論を深めていくことができました。
ケースに関連する参考資料やスライド作成も、GoogleドライブやSNSで昼夜を問わず皆が確認できる環境を整えたことで、プロジェクトを進める上でのネックは特に感じることはありませんでした。プロジェクト終盤はメンバーで少しだけ集まる機会を設けましたが、日夜オンラインで白熱したディスカッションをしていた間柄にもかかわらず、「はじめまして」と挨拶を交わす状況はある意味とても新鮮でした。
Q2. 入学から4ヶ月を振り返って、日々のMBAの授業はいかがですか?
(小笠原)平日は仕事後にレポート作成、土曜日はMBAの授業、という生活で思っていた以上にハードですが、少しずつ慣れてきたかなと感じています。MBAの授業では、同級生の方と議論する機会が多く、そのような考え方もあったのかと毎回勉強になっています。これは、単に書籍を読むだけでは得られないMBAならではの学びだと思います。
MBAの生活はまだまだ続きますが、同級生は皆、目的意識を持って真剣に授業に取り組んでいるので、私も同級生と切磋琢磨しつつベストを尽くすように頑張りたいと思います。
(岡田)非常に多忙ながらも充実しています。実務から一歩離れた場に身を置くことで、これまで自分が仕事でやってきたことを客観的に振り返ることができることが大きな収穫だと思います。
また、ケースに基づくディスカッションや今回のプロジェクト研究によって、同級生から様々な刺激を受けることができることも貴重な経験であるとともに、楽しいです。
(田中)もう4ヶ月が経ったのかという印象で、時間が経つ早さを実感しています。まだオンラインでの授業が続いていますが、オンラインはチャット機能により、多くの方の意見が短時間でシェアできる等のメリットもあり、直接の講義と違った良さもあると感じています。
自分自身は日々、課題に追われて、なかなか進んで課題以上のことに手を伸ばす余力がないことが反省点だと感じており、今後は処理速度を上げて、様々な課題にチャレンジしていけるよう頑張っていきたいです。
(西尻)オンライン授業という未経験の手法で始まりましたが、先生方の創意工夫により授業へ溶け込むのに時間は掛かりませんでした。これほど向学心の高い学生とともに学ぶことは貴重な体験でとても刺激になります。容易には追いつけない、超えられないと思うほど壁を感じて弱気になることもありますが、入学前の自分に基準をおいて、それに対して少しでも思考は高められているのかを自問自答しています。
一方で、活動は充実はしていますが、本当に良いことばかりなのか考えることを頭の隅に置いています。良好な学びとは何であり、それはどのような方法で得られるのか、プロジェクトのチームや先生との対話、質疑を通して自分なりの答えを見つけようとしています。MBAとは素晴らしいものだと自分に擦り込むのではなく冷静に見極めて、私の後に続くであろう後輩に伝えたいと思っています。
いま当社の課員にもケースプロジェクトのエッセンスを体験してもらうために、社内勉強会としてミニコンペを計画しています。学びの機会を提供する側に立った時の視野から得られる気付きを、残りのMBA活動に反映させたいと考えています。
(町田)授業の内容についてマーケティング、オペレーション、人事系の授業は日々の業務と直結しているところがあるので、イメージしやすく、理解が進みます。しかし統計等数式が入る授業も多く、いかに業務のイメージと結びつけるか悪戦苦闘しています。講義、座学ではなくいかに我がゴトとして捉え業界や会社の各ポジションに落とし込んで考えるか、講義はどんどん進むので気を付けないとスケジュールの消化になってしまいます。
コロナ禍で入学時からのオンライン授業ではありますが、ほぼ不都合はなく、運営、教授陣が慎重に、真摯に、よく対応されていると感じています。確かに、教室に集まってのコミュニケーションで得られることもありますが、コロナ禍で業務以外でも不安を強いられるさなか、移動の時間、労力、コスト、家族との時間が割かれないことのメリットが現時点では上回ります。
(三島)毎回が刺激の連続です。入学前までは仕事で得た知識と経験で業務をこなしてきましたが、様々な講義を通じ学びを重ねることで、自分が仕事でやっていることや思考を体系立てて整理することが徐々にできるようになってきたと感じています。また社外の方々とのディスカッションやコミュニケーションで得られる情報や知識はどれも新鮮なことばかりで、自分の視野の狭さを痛感させられました。
入学前にMBA修了した社内の同僚から「働きながらの課題やプロジェクトはなかなか大変だよ」とアドバイスはあり、「自分はある程度効率的にこなせるかな」とやや楽観しておりましたが、いざ講義が始まってみるとその考えが間違っていたことにすぐに気づかされました。笑 ただ、仕事やプライベートの隙間時間でいかに効率よく課題をこなしていくかを経験によって学んでいくので、徐々にそのハードさは和らいでいくと思います。といいつつ、やはりそれなりにハードです(どっちやねん)。そのハードさよりも知への探求心が勝る為、私はとても心地いいです。
Q3. プロジェクトの練り上げに向けて苦労された点は何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。
(小笠原)一番苦労したのは、どの業界・企業を選定して発表するかという点です。ケースプロジェクトの課題に対して正確に答えることができるか否かは、業界・企業の選定に関わっていると言っても過言ではないからです。私たちのチームでは、初めは網羅的に調査して、その中から面白そうな候補を絞り込んでいきました。最終的に業界・企業が決まったのは発表の1か月程前で、時間的な余裕がなく間に合うのか不安でしたが、メンバー皆で協力して何とか仕上げることができました。
そして、結果的に優勝することができて本当に嬉しかったです。このような結果が得られたのは、多様な経歴を持つメンバーで妥協せずに議論を重ねることができたからだと思います。大変ではありましたが、一緒の時間を過ごしたチームメンバーの皆様に感謝しています。
(岡田)「シェアリング・ビジネスの可能性と、次なる覇者を読み解く」という大きなテーマに対して、「いかにファクト(事実)とそれを裏付けるエビデンスを収集し、それらを分析し、論理立てて今後の可能性を説明するか」というところに苦労しました。
オンラインインタビューに応じて頂いた事例対象企業の社長には、追加のインタビューやメールのやり取りにもご協力をいただきました。いかにエビデンスに基づき論理的に説明をするか、というところにおいては、メンバー間でお互いに確認しながらブラッシュアップしていきました。
さらに、これらのことを非常に限られた時間の中で行う、ということも大変でしたが、「チームで毎日LINEでやりとりしながら、より良いものに仕上げていくことが楽しい」ことが支えになっていたと思います。チームメンバーには、心から感謝しています。
最後に、これらの努力が金賞受賞という形で報われ、素直に嬉しいです。
(田中)初めの、取り上げるシェアビジネスの選定から2転3転して苦労しました。今回のケースプロジェクトは期間も短く、その点から焦りもあり、色々と案は出るものの、なかなか定まらない日々が続きました。そんな中、メンバー全員で一度、考えられるシェアビジネスを全て出してみて、とことん議論して最後に投票にて取り上げるビジネスを決定しました。このプロセスを踏んだことで、メンバー全員の納得感が得られ、またチームの結束を高めることにも繋がったと感じています。
その後も列なるビジネスにてなかなか良いアイデアが出なかったり、苦労はありましたが、最後の追い込み時に何とか発表資料を纏めることができました。
そして結果、優勝できたことは、充実感と達成感を得ることができ、本当に嬉しかったです。
業界、文系理系、世代も違う多様なメンバーに恵まれて、充実したケースプロジェクトができて本当に良かったです。
(西尻)チームが主張したい事例について、ロジックを組み立てるために不足するピースを埋める作業に緊張感がありました。その情報は役立つか、役立たないか見極めている時間はそれほど多くなく、常にスピード決断を心がけたつもりです。メンバーが費やした労力へのリスペクトを忘れないようにしました。特に発表用のケースとなる企業が決まるまでの期間が苦しかったです。
どうやって勝つか、周りのチームはどうしているか、正解はあるか等、手探りで駆け引きしているような状態は生産性が低くて、何も良いアイデアは浮かびませんでした。ケースが決まってからは明らかにチームがまとまる変化を感じました。仕上げに行き詰まったときに知の深化から探索へギアチェンジできたこともポイントだったと思います。
他講義との両立は時間管理に苦労しましたが、どんな状況でも前向きなチームメンバーの姿勢に支えられました。おかげで高い評価を頂けたことに感謝します。
(町田)優勝の感想は、うれしさ1割、くやしさ9割です。プロジェクトの内容構築面、チーム力強化面、いずれも私個人は不完全燃焼で終わった気がしています。内容について、私はケース企業に持ち込み、翌日からでも実行可能なプランを想定していました。産業、企業分析、将来への期待までは見通せましたが、私としては肝心なマネタイズの根拠は固めることができませんでした。チーム力強化面では神戸大学MBAのアカデミックなプロジェクトに通常業務の考え方やスタンスを持ち込んでしまいました。要は神大MBAがいう変革型人材ではなかった点です。チームのメンバーには多大な迷惑をかけたと感じています。
(三島)どのチームも同様の状況だったと思いますが、今回のケースは「シェアリング・ビジネスの可能性と、次なる覇者を読み解く」というもので、業界も対象企業も自分たちで選定をする必要があった点です。ケースで与えられた条件に即した業界・企業選定を短時間で選ばなければならない為、皆で幅広い業界から候補を集めていきました。調べた業界・企業について各々が発表し、「この業界はいいね」「この会社は将来性はどうだろう」といったことに相当の時間を要しました。そのような状況下で、とある企業に皆が傾き始めたとき、メンバーの一人が「やはりこの会社が気になる」という候補を挙げられた為、皆で改めてその業界・企業の説明を該当メンバーから聞き、結果最後の業界・企業が選定されました。このチームの良さはどんな状況下であってもメンバーが発信する意見に素直に耳を傾け、皆が納得できるまでとことん議論した点であり、それこそが金賞を取ることができた大きな要因だったと振り返って思います。
本当に最高のメンバーでした!