加護野忠男論文賞について
加護野忠男論文賞とは、神戸大学のMBA論文のうち、優秀作品を表彰する賞です。神戸大学のMBAプログラムの創立メンバーの中心人物として、Research Based Educationを根幹とする日本型のMBA教育を構築、推進されてきた加護野忠男教授(元神戸大学教授、現甲南大学教授)の多大なる貢献に敬意を表し、そのお名前を冠しています。
MBA教育について先行した欧米諸国のプログラムが、20代半ばの学生をターゲットとし、経営学の知識やスキル向上をめざした教育内容を持つのに対し、神戸大学のMBAプログラムは、平均年齢37、8歳という管理職または管理職候補の企業勤務者である学生に対し、受講生自らが、経営課題を識別し、問題解決を図るための能力を養成するという教育目標を掲げています。その目標を達成するために、受講生にはプロジェクト方式の科目への取り組みと修士論文執筆とを課し、仕事を通じて抱いた問題意識を、研究活動によって自ら課題解決をはかっていくというプロセスを経験させるという教育内容となっています。
加護野忠男論文賞は、神戸大学のMBA教育プログラムの中で重要な位置づけを占める修士論文に対して、学生が意欲的に論文執筆に取り組むよう動機づけると同時に、どのような論文が高い評価を得るのか、例をもって明示するという役割を担っています。論文賞は、1)現実に対して意味のある含意を提供するか、2)その含意を導くプロセスが信頼に足るものか、という2点の審査基準に基づき選考されます。
選考プロセスは、3段階に分かれ、まず修士論文指導をゼミ形式で指導してきた5名の指導教官の推薦よりそれぞれ2本が選ばれ、70本近い提出論文のうち、10本が審査対象へと絞りこまれることになります。第2次選考では、選ばれた10本の論文について、学内選考委員により上位3本が選出されます。この選考委員会は、次年度のゼミ担当教官5名とMBA教務委員とで構成されます。最終選考では、2次選考委員会で推薦された3本の論文に対して、経済界、出版会から選出された学外審査委員と、加護野教授とが、上位3本のうちの順位づけを審査の上、決定します。つまり対象となる論文は、上記の審査基準に基づき、様々な専門性を有する研究者と外部審査委員とによって、論文の手続き的な信頼性への評価と、産業界に対する貢献における評価との両面から審査され、選考されることになります。
文責:2010年度MBA教務委員 南 知惠子
※最終審査結果と講評はこちらからご覧いただけます。
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