2015年度入学生の研究状況(担当: 黄磷)

「現代経営学演習」

担当: 黄磷

目的、テーマ

この現代経営学演習では、「研究に基礎をおく教育」という神戸大学 MBA プログラムの基本的なコンセプトに則り、専門職学位論文の作成に関する研究指導を行います。これまで履修した講義で学習した理論や知識を体系的に理解し、各自の問題意識を深め、そして、事例研究やデータ分析などの実証的な方法論と分析手法を会得しながら、単なる現場での問題解決では決して得られないような理論の深化、それも実践に耐える理論の構築を目指しています。MBA学生が現場で直面している問題に関する深い思考能力と幅広い応用能力を高めるために、実践的にインパクトのある論文を仕上げることが目標になります。

学生が設定されたテーマは、製品・サービスの投資決定、研究開発や市場導入のマネジメント、企業間・組織間・組織の部門間および顧客との関係管理、さらに海外企業の買収や海外市場での競争力維持といった戦略とマネジメントの課題など、多岐に亘っています。各人の問題設定に共通しているのは、グローバル化する市場と競争という時代背景です。このような多様なテーマは、まさしくグローバル・マーケティングやグローバル・マネジメントの現実を反映しています。

ゼミの雰囲気

論文作成は、現実に直面している身近な問題を論理的に深く思考し、自ら理論を構築して解決案を発見し、その妥当性をエビデンス(データまたは事実)に基づいて提示するという訓練のプロセスです。研究テーマの設定、既存研究の批判的な検討、問題の特定化や仮説の設定、データの収集や事例の発掘、分析方法の選択、問題解決につながる示唆の提示といった一連の課題に、一人で取り組まなければなりません。ゼミの和やかな雰囲気の中でも、毎回のゼミはMBA学生にとって自分自身との戦いの結果を披露する場であり、真剣勝負の時間となっています。

現在までの進捗状況

昨年8月からスタートしたゼミは、まず各人の研究テーマを明確化することに集中しましたが、1月ごろに各人のリサーチ・クエスチョン(RQ)がほぼ確定されました。既存研究の批判的な検討に並行して、ゼミ生が質問調査の準備や社内情報へのアクセスなどのデータ収集に着手し、あるいは、研究テーマに沿った事例となる企業や個人にヒアリングするなどのフィールドワークを実施しています。副指導教員からの指導やコメントを受けて、固めかけた論文の全体構想を見直し、より深い思考の新たな段階に進め始めた学生も現れました。