2025年度入学生の研究状況(担当: 森村 文一)

「現代経営学演習」

担当: 森村 文一

目的、テーマ

このゼミでは、実務の最前線で見つかる様々な問題の中でも、特に“組織と市場の問題”を研究テーマとし、専門職学位論文としてまとめることを目指しています。一言で“組織と市場の間の問題”と言っても、様々な視点、研究エリア、分析単位があります。ゼミでは多種多様な問題について研究を進めており、一部を紹介すると、データドリブン意思決定の定着プロセス、便益遅延型サービスのマネジメント、中間業者を巻き込む製造業のサービス化、コア業務のアウトソーシング、新規事業と既存事業の資源獲得、ゆるい企業統合と価値創造、広域周遊観光とゲーミフィケーション、組織内の市民開発者とDX、フェアトレード商品の態度・行動ギャップの解消、などがあります。

このゼミでは特に“先人たちが残した理論”をしっかり学ぶことに重きを置いています。専門職学位論文は実務に根付いた問題を取り扱い、その問題の本質を理解したうえで問題を解決へ導くとともに、所属組織の成長に貢献することを目指します。そして、専門職学位論文の作成を通して、今後、個人や組織に降りかかる様々な問題を理解・対応する力を身に着けることも目指します。そのためには、研究しようとする問題は“何の問題なのか”、“その問題が起きる原因、または、その問題が引き起こす結果はなにか”を思考し、そこから適切な方法を用いて“わかった”に到達し解決策を導き出す必要があります。

このプロセスを進めるために、まずは理論という“眼鏡”が必要になります。そのため、理論をたくさん学び、問題はどのような理論を用いて深堀りすると良いかということを考えます。次に、理論を学ぶことに加えて、“わかった”に到達するための研究方法も学びます。問題の性質に合わせて適切な研究方法を採用しないと、“わかった”に到達することができません。“知を生み出す研究方法”を学んだうえで、それを実践することも重視しています。

ゼミの雰囲気

確実に研究を進めるために、問題の性質が似ている2名でチームを組み知識の補完や互いの研究にアドバイスをします。そして、それぞれ隔週で研究進捗を報告します。持ち時間(発表+ディスカッション)は30分あり(多くの場合、30分を超える)、担当教員や若手研究者、TA、MBA卒業生、後期課程在籍者、ゼミ生同士で建設的かつ積極的にコメントやアドバイスを行っていきます。

特にM2の4月以降は多くの知識をインプットすることに伴い、“本来解きたいと思った問題は何だったか”について見失うことがあります。常に“解きたい問題は何か?”、“その問題を解き、知識を組織に持ち帰り、組織の中長期的成長に貢献するか?”ということを再確認しています。

ゼミメンバーは所属企業も違う、研究関心・問いも違う、知識のバックグラウンドも違うので、毎回のゼミではいろいろな角度から“なるほど!”という意見が飛び交っています。毎回のゼミの後の飲み会や合宿などのおかげで、全員が毎回のゼミでの議論を真剣かつ全力で楽しむ雰囲気に溢れていると思います。

現在までの進捗状況

このゼミは主に3段階で研究を進めています。第1段階は、M2の5月~6月に学位論文の問いを固める段階です。先行研究を読み、持っている問題意識が“何の問題なのか”、“先行研究たちの知識でわかることは何か?わからないこと=研究しないといけないことは何か?”ということを深堀りするだけでなく、“それは専門職学位論文で本当に解かなければならない問題なのか?”ということも考えます。特に、ぼんやりとした問題意識を具体的な問いにすることは専門職学位論文で最も苦労する点です。問いが決まらなければ研究が何も始まらないため、問いを固めることにとにかく時間をかけました。全員、この段階は順調にパスしました。

第2段階は、副指導教員の指導を受け研究を精緻化する段階です。第一段階と同じ5月から6月にかけて副指導教員の指導を受け、問い、立脚すべき理論や概念、リサーチモデル作成や調査対象選定のための軌道修正を行います。副指導教員からは専門的で、普段のゼミでは得られないような有意義で刺激的なアドバイスを得ます。副指導教員の指導によって得られた緊張や焦りが良い意味で奏効し、概念モデルの修正、定性的・定量的データの収集・整理・分析、わかったことのまとめ、などが順調に進んでいます。

第3段階は、これから7月末までに分析を終え、イントロダクション、先行研究の整理、方法論、分析結果、発見物とインプリケーションまで、一通り修士論文を書く段階です。論文を書き始めると、事前に予想していたより書くことができない・筆が進まないことを知ります。論文提出までは論文を書いては修正するという(出口が見えないような)日々を過ごすことになりますが、“知りたいことを知ることができたか”、“組織に持ち帰り、説得力のある提言ができるか”ということを自問自答しつつ、ゼミ全体で励まし合いながら納得のいく論文が出来上がることを願っています。