2023年度入学生の研究状況(担当: 森村 文一)
「現代経営学演習」
担当: 森村 文一
目的、テーマ
このゼミでは、実務の最前線で見つかる様々な問題の中でも“組織と市場の間の問題”を研究テーマとし、専門職学位論文としてまとめることを目指しています。一言で“組織と市場の間の問題”と言っても,例えば研究エリアに分けると、サプライチェーン・マネジメント、サービス・マネジメント、プラットフォーム、製品開発プロセス、サステナブル・プロダクトの普及など、非常に多種多様な問題をゼミで議論します。
このゼミでは特に“先人たちが残してくれた理論”を学ぶことに重きを置いています。専門職学位論文では、実務に根付いた問題を取り扱います。その問題の本質を理解したうえで問題を解決へ導くために、それは“何の問題なのか” 、“その問題が起きる原因、または、その問題が引き起こす結果はなにか”を思考し、そこから“わかった”に到達し解決策を導き出すために、理論という眼鏡が必要になります。
理論を学ぶことに加えて、“わかった”に到達するための研究方法も学びます。問題の性質に合わせて適切な研究方法を採用しないと、“わかった”に到達することができません。“知を生み出す研究方法”を学んだうえで、それを実践することも重視しています。
ゼミの雰囲気
確実に研究を進めるために、問題の性質が似ている2名でチームを組み、互いにアドバイスしあいながらそれぞれ隔週で研究進捗を報告するというスタイルでゼミを運営しています。持ち時間(発表+ディスカッション)が45分あり、私(担当教員)や若手研究者、MBA卒業生、ゼミ生同士で、建設的かつ積極的にコメントやアドバイスを行っていきます。
特に4月以降は多くの知識をインプットすることを通して、“本来解きたいと思った問題は何だったか”について見失うことがあります。常に“解きたい問題は何か?”、“その問題を解き、知識を組織に持ち帰り、組織の中長期的成長に貢献するか?”ということを再確認しています。
みなさん所属企業も違う、研究関心・問いも違う、知識のバックグラウンドも違うので、毎回のゼミではいろいろな角度から“なるほど”という意見が飛び交っています。ゼミは真剣だけれども楽しむ雰囲気で溢れています(特に、2023年度ゼミは全員男性なので男子校のような雰囲気もあります)。
現在までの進捗状況
このゼミは、主に3段階で研究を進めています。第1段階では、M2の5月~6月に学位論文の問いを固めます。先行研究を読み、持っている問題意識が“何の問題なのか”、“わからないこと・知りたいことは何か”ということを深堀りするだけでなく、“専門職学位論文で本当に解かなければならない問題なのか”ということも考えていきます。特に、ぼんやりとした問題意識を具体的な問いにすることは専門職学位論文で最も苦労する点です。問いが決まらなければ研究が何も始まらないため、問いを固めることにとにかく時間をかけました。
第2段階では、副指導教員の指導を受けます。5月から6月にかけて副指導教員の指導を受け、問い、立脚すべき理論や概念、リサーチモデル作成や調査対象選定のための軌道修正が行われました。副指導教員からは専門的で、普段のゼミでは得られないようなアドバイスを得ます。副指導教員の指導によって得られた緊張や焦りが良い意味で奏効し、概念モデルの作成、インタビュー先の選定やインタビューリストの作成、インタビューの実施、定性的データの整理・分析などが順調に進んでいます。
第3段階では、7月末までに分析を終え、イントロダクション、先行研究の整理、方法論、分析結果、発見物とインプリケーションまで、一通り論文を書く予定です。論文提出までは、論文を書いては修正するという日々を過ごすことになりますが、“知りたいことを知ることができたか”、“組織に持ち帰り、説得力のある提言ができるか”ということを自問自答しつつ、ゼミ全体で励まし合いながら、納得のいく論文が出来上がることを願っています。