eureka EXPRESS【2021年度08月02日号】

MBA教育の実際

◇2022年度専門職大学院現代経営学演習担当者のご紹介

2022年度専門職大学院現代経営学演習担当者が決定しました。各担当教員より、現在関心のある研究、MBA生に期待すること、現代経営学演習の進め方について紹介致します。 

上林憲雄 教授

(1) 現在関心のある研究
組織と人間の関わり合いに関心を持っています。キーワードは、人的資源管理、戦略的人的資源管理、人事管理、労務管理、労使関係、組織、組織構造、組織フラット化、作業組織、管理組織、経営制度、労働の人間化、QWL、マネジメント、モチベーション、リーダーシップ、コミットメント、組織市民行動、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)、ダイバーシティ、女性労働、キャリア開発、ICT革新、技能伝承、高年齢者、雇用管理、人材育成、ビジネス教育、企業文化、ナショナル・カルチャー(国民文化)、国際人的資源管理、成果主義、エンプロイヤビリティ、日本型経営、グローバリゼーション、グローバル市場主義、AI革新、等々です。要は、人間、組織、社会に関してのさまざまな現象に関心を有しています。
いま最も関心を持っている事象は、「短期的な(数値)目標を達成しようとすればするほど、本質を忘れた数字合わせになってしまう本末転倒の現象」についてです。組織や社会のさまざまな局面でこうした現象は観察できます。これを回避するために何をなすべきかを考え、発信しています。

(2) MBA生に期待すること
1年半のMBA課程を通じ、会社とは違う発想法や視点を身につけられるようになっていただければと思っています。

(3) 現代経営学演習の進め方
まずは各自が関心を持っているテーマや問題意識を皆で共有し、議論をしながら「徐々に深めていく」ことから始めます。なぜそれが問題なのか、本当に重要な問題なのか、通常ならその問題へはどのようにアプローチされるのか、学術的にはどう捉えられてきたのか、通常とは違った視点に立つとそれはどのように捉えられるのか、等々の思考訓練で深めていきます。
なお、この演習では、上林ゼミ(大学院博士課程)を修了して大学教員を務めている先生方にも、機会がある限り参加してもらい、皆さんの発表に対し、さまざまな角度からコメントしてもらう予定です。

黄磷 教授

(1) 現在関心のある研究
マーケティングと流通システムの視点から、市場のダイナミクスとメカニズムを研究しています。現在、特に注力しているのは、デジタル化、グローバル競争や社会環境問題がもたらしている新しい課題と変化に対応する企業や消費者の行動を説明するための論理を明らかにすることです。

  • ICTの技術革新やネットとリアルの統合がもたらしているマーケットの変化、とくにデジタルトランスフォーメーション(DX)、顧客価値や顧客接点、流通チャネルや消費行動などの変化
  • サプライチェーンとバリュー・ネットワークの変化と企業の対応
  • 日本市場やグローバル市場における企業の競争力とマーケティングの変移
  • 地方創生やインバウンド市場における市場創造とマネジメントなど

(2) MBA生に期待すること
各人が日々の業務のなかで抱えている問題意識を深く考えること、経営の中核人材としてのビジネスシステムに関する構想力、新しいパラダイムとグローバルの視野から市場と自社を見つめ直す思考力と分析力を身に付けて本質的な課題と実践へ絶えずチャレンジするという姿勢を持ち続けることを期待しています。

(3) 現代経営学演習の進め方
マーケティング、経営戦略、マネジメント、競争や消費者行動を理解するための考え方と知識を体系的に学習しながら、実践指向的かつ双方向的に進めていきます。
ゼミ生の問題意識を明確にし、それぞれの関心に合わせて既存の研究蓄積を紹介します。また、統計分析とケーススタディの方法に関する指導を行いながら、実証研究の仕方を習得できるように指導します。
さらに、各人の関心に合わせて、実践的なテーマにフォーカスを絞った専門職学位論文の研究について個別指導を進めていきます。

原田勉 教授

(1) 現在関心のある研究
研究としては、戦略、組織、イノベーションが守備範囲です。現在、特に注力しているのは、イノベーションの発生論理について、認知心理学・脳神経科学的アプローチによって明らかにすることです。具体的には、個人・集団での意思決定をQ学習の枠組みで分析し、それが創造性にどのように影響しているのか、脳のどの部位が関連しているのかを特定することに関心をもっています。戦略としては、帝国データバンクの大規模データベースを用いて、競争優位や戦略の実証分析に取り組んでいます。それ以外には、OODAループ、ポジティブデビアンスに関する書籍を翻訳しましたが、それらを組織内でどのように回していくべきかについてヒアリングなどを行っています。

(2) MBA生に期待すること
新しい知の発見、創造を行うことが本プログラムの目的です。そのためには、一人の力では不十分で、ゼミ生同士の切磋琢磨が必要です。自分の研究だけでなく、他のゼミ生の研究にも関心をもって可能なかぎりアドバイスし合うことが大事だと思っています。そのためには信頼関係が大事です。場合によっては各ゼミ生の「ここだけの話」を交えることになりますし、それがゼミの醍醐味です。しかし、「ここだけの話」ができるのは、それを守ってもらえるという信頼関係があればこそです。こうした協調的信頼関係を築いていけることを期待しています。

(3) 現代経営学演習の進め方
毎回発表を原則とします。リサーチクエスチョン、研究の方法、仮説、分析、インプリケーションなどについて簡単に報告してもらい、それをもとにゼミ生全員で議論していくかたちをとります。

藤原賢哉 教授

(1) 現在関心のある研究

  • 金融デジタル化が金融のビジネスモデルに及ぼす影響(分野融合・規制含む)
  • キャッシュレス、MAAS、スマートシティ、社会インフラ変革
  • オルタナティブデータの利活用(資産運用・IR・経済政策・人材育成)
  • COVID-19が消費者行動・日本経済に及ぼす影響

(2) MBA生に期待すること

  • 自分が持っている問題意識について、他者(専門外の人)にわかりやすく説明できること
  • 抱えている問題に対して、深くかつ幅広い視点から理解しようとすること
  • 柔軟性とフットワークの良さ
  • ゼミ構成者に対する誠実かつオープンな対応・姿勢

(3) 現代経営学演習の進め方
自分が取り組みたい研究テーマについて、先行研究の整理、分析の方法、予想される結果等について各自発表してもらいます。この作業を進めていく中で、自分が取り上げたいテーマの本質は何か、目標・特徴は何か、また、それを成し遂げるためには、どんな論点や分析アプローチ・方法(定性・定量)が適切かということについて、教員や他の協力メンバーが理解を共有しながら演習を進めていきます。論文等のドラフトは、締切り間際ではなく、スケジュール感をもって早い段階から着手するようにしてください。

三品和広 教授

(1) 現在関心のある研究

2010年の『戦略暴走』から大規模ケーススタディに取り組んできて、お互いに相容れない利益率、成長率、占有率という3つの指標で優良ケースを掘り出して、俎上に載せてきました。この『経営戦略の実戦』シリーズ全3巻が今年度中に完結する見込みとなったので、いまは次の教科書、『実戦のための経営戦略論』に関心が向かっています。教科書となると包括性を求められるので、およそ事業戦略、企業戦略に絡む話題には何でも食らい付いているところです。博士課程の学生たちには、事業ポートフォリオ戦略、戦略のインフラストラクチャー、グランドストラテジーのような研究テーマを立てています。私自身は、「経営戦略を観念名詞で語らない」を信条として、「固有名詞で語る戦略論」の立論に向けて日々頭をフル回転させています。その背景を知りたい方は『戦略不全の論理』を一読してみてください。

(2) MBA生に期待すること
高台に立ってみる。大きく周囲を見渡してみる。クリエイティブに夢想する。大きな構想を膨らませる。あの手この手で意思決定権限者を説得する。成功した暁にはたくさん納税する。

(3) 現代経営学演習の進め方
M1のあいだは集団指導で基礎づくり、M2に入ると個別指導に切り替えて建議書の策定に立ち向かいます。どうせ多大な時間とエネルギーを費やすなら、皆さんの職業人生の転機となるような修士論文を書くべきで、そのためには皆さんのプロスペクトを左右する上司筋、または経営陣に向かって論文を書こうではないか。それが我がゼミのスタンスです。建議書以外のスタイルで書きたい人も排除はしないので、何をしたいのか逆提案してみてください。ディフォルトは建議書です。