松澤 純平さん

一般財団法人 阪大微生物病研究会勤務 2017年度入学生 原拓志ゼミ

1.はじめに

はじめまして、私は製薬メーカーで新しいワクチンの開発をしております。2012年に新卒で製薬メーカーの医薬品の開発の仕事を始めて、入社6年目の30歳になる年に入学しました。これからMBAを目指そうとしている方たちに少しでもお役に立てたら幸いです。

2.志望動機、受験のきっかけ

神戸大学MBAコースはもともと、関西の製薬メーカーを中心に医薬品関連の方々が多く、ヘルスケア産業や医薬品産業における課題意識を持っている方が集まってきております。そんな方々や他業種の方々と、社外での交流を深めることも目的の一つであり、神戸大学MBAコースを受験しました。実際に、2017年度の同期入学の方々は製薬メーカーに勤務されている方が思ったより多かったです。

志望した当時、私が気にしていたことは、自分自身の社会人経験です。修士卒で社会人になったため、私は社会人経験5年間で受験しました。これまでの神戸大MBAコースの入学者の年齢分布を見ると、25歳~29歳の分布は毎年数%になっています。神戸大学MBAコースで学ぶ時に重要なことは、実務における課題意識です。社会人経験に比例して、課題意識も醸成されることを考慮すると、修士卒の私は同年代の学部卒の方より不利でした。

しかし、先行きが不透明な医薬品産業で、しかも医薬品の開発のことしか知らないことは不安でしたし、他業種も含めてビジネス全体を体系的に学ぶために、思い切ってチャレンジしました。その時に背中を押してくださった会社の上司や、理解をしてくれた妻にとても感謝しています。特に、受験の相談をした時の妻は出産を控えており、はじめての子育てに対しても不安に思うところはたくさんあったと思います。それでも、一番理解をしてくれて、応援してくれたことは、とても励みになりました。受験される社会人の皆様におかれましても、ご自身の身近な人に理解をしてもらえることが、受験に至るステップで一番重要なのではないでしょうか。

3.試験対策

試験対策全般

もっとも参考にしたのが、この「合格への道」です。この「合格への道」の、多くの先輩方の声を参考にされるのが良いと思います。私が拝読した限り、どの先輩方の内容においても、最も重要としているのは「研究計画書」でした。「研究計画書」は試験の中でかなり大きなウェイトを占めていると思いますので、時間を十分かけて作成することをお勧めします。「研究計画書」は、自分の業務と関連付けて作成することがとても大事で、実務経験を踏まえたリアルな課題をテーマとして記述すればよいと思います。

私は、私の実務上の課題をよく理解してくれている方に、研究計画書をとても丁寧に確認してもらいました。そのお陰で、自信を持って書類を提出することが出来ましたので、確認いただけたことは大変ありがたく、私が合格できた非常に大きな要因でした。皆様も、もし時間に余裕があれば、ご自身の周りの方に研究計画書の内容を見てもらってはいかがでしょうか。

英語

私の受験のときは、TOEICやTOEFLで代替可能であり、たまたま定期的に受けていたTOEICのスコアが基準を満たしていたので英語の試験を免除になりました。英語の試験があるのとないのとでは、気持ち的にも負担が違ってきますので、余裕がある人は事前にTOEICやTOEFLを受験しておくことをお勧めします。

英語の試験を受けた方に難易度を聞いてみると、普段から英語を使って読み書きの業務をしていたら、それ程難しいと感じなかったという方もいらっしゃいました。まずは、過去問を解いてみて難易度の感覚を掴んで受験勉強をするのはいかがでしょうか。

小論文

小論文対策としては、受験の小論文の書き方を覚えることが重要です。私は、自然科学系の論文の作成経験はありますが、受験の小論文の記述は大学院の入試以来ギャップがあったので、小論文の書き方の本を1冊読み、受験用の小論文の書き方を学習しました。

次に、小論文のテーマとなりそうな社会の事柄について、自分の考え方を持つことが必要です。小論文の課題は、その年によって全く異なりますので、時事ネタを広く把握することが重要だと思います。ただ、あくまでも個人的な見解ですが、小論文の課題は毎年その時のトレンドに沿って出題される可能性が高いと思います。私が受験した2017年度は、AIやIoTと企業経営に関する小論文でした。その頃は、ビジネス本や雑誌でAIやIoTが盛んに取り上げられ、企業のプレスリリースをみてもAIやIoTに関連する内容が目に留まりました。そのため、受験をされる年のビジネスの流行にアンテナを張っておかれることをお勧めします。

面接

面接は志望動機や研究計画書について質問されますので、提出資料に基づいて、事前に想定問答集などを作成して、準備しておくことが重要です。私は、この「合格への道」に書かれていた質問に対する回答を想定しておきました。実際の具体的な質問として、「研究計画書の内容を説明せよ」、「その課題を解決するとどのようなメリットがあるのか」、「その研究に意味(意義)はあるのか」、「なぜ神戸大学なのか」、「通学に支障はないのか」、「周りの理解は得られているのか」などでした。

私は、面接はあまり得意ではないので、しっかりと受け答えの練習をして、当日は、元気に、はっきり、大きな声で受け答えすることを心に留めて面接に臨みました。

4.受験当日

受験当日で一番お伝えしたいのは、受験の時期は寒いということです。この「合格への道」を執筆された先輩方もおっしゃるとおり、六甲台キャンパスは山にあるので寒いですし、試験会場であった本館は、歴史ある建物なので、待ち時間の間はとても寒いです。

また、二次試験(面接)では、順番にもよりますが、待ち時間が長いことが想定されます。私は幸いにも1番目に面接をしていただいたので、待ち時間はほぼ無く、すぐに帰宅できましたが、順番が後ろのほうであれば、2時間以上待ち時間があるようです。服装で迷う方もおられるかと思いますが、2017年度の受験生の皆様はスーツの方が多かったと記憶しております。

5.おわりに

神戸大学MBAコースで学び、医薬品の開発の仕事をしているだけでは、知ることが出来なかったことを学び、自分の視野が広がったことを実感しています。また、同級生の皆様は、社会人では先輩に当たる方が多く、優秀な方ばかりなので、私にとっては刺激になることが多く、本当に自分のためになっていると日々感じています。特に、プロジェクト研究のメンバーは一緒に過ごす時間が長く、優秀な方々と同じ立場で議論して成果物を得たことは、かけがえの無い経験になりました。そして、丁寧に指導してくださる原先生や、神戸大学MBAコースの先生方、同級生など多くの人とのご縁は、私の財産になりました。

さいごに、神戸大学MBAコースで学ぶことを理解してくれて、いつも応援してくれている私の家族にはいつも感謝しています。冒頭申し上げたように、神戸大学MBAコース入学前にちょうど娘が生まれて、仕事と勉強をしながらの私の子育ては、出来る範囲で精一杯ですが、文句を言わずに応援してくれる妻には本当に感謝しています。そして、私がここで勉強することを応援し、励ましてくれているすべての周りの方たちに感謝しながら、この稿を終えたいと思います。

 

 

 

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