吉田 康政さん

株式会社 マンダム 2016年度入学生 原田勉ゼミ

私は、新卒で1996年に㈱マンダムに入社。国際市場開発、国内営業、海外販社でマーケティング、本社での宣伝担当、海外上場子会社の経営陣を経て、現在は本社でグループ経営戦略を担当しています。神戸大学MBAを志す皆様、合格した諸先輩方の追体験を読み受験準備ができるのはこの「合格への道」だけです。私の体験記が皆様の受験活動の一助となれば幸いです。

1.受験のきっかけ

大きく3点、①海外赴任中、「そもそも経営とは何か?」と自問する度に加護野先生の『ゼミナール経営学入門』を読み、内容の密度、濃さに対してわかりやすく丁寧な語り口に非常に助けられたこと。②金井壽宏先生によるリーダーシップについての講義を聞く機会があり、内容のすばらしさに深く考えさせられたこと。③海外勤務を終え本社でグループ経営戦略担当を拝命した際、自分の今の引き出しに限界を感じたこと。以上から、KKD(勘と経験と度胸)に加え体系的な経営学の知識を学び、激変する外部環境に対応できる様々な思考の引き出しを持つことで経営戦略部門としての役割を担えると考えました。経営学では西の雄と呼ばれ、加護野先生の名を冠した加護野賞を修論で審査し、金井先生はじめ日本有数の教授陣を擁する神戸大学MBAでぜひ学びたいと思いチャレンジを決意しました。自宅も勤務地である本社と大学の中間にあり、色々な意味で「ご縁」があったと思います。

2.受験準備

社内に現役生やOBがおらず、必然的にこの「合格への道」が最大の情報源でした。諸先輩の体験を熟読するとイメージがつかめますし、入学後は体験記を書いたOBの顔と名前を憶えたのでお会いする機会があると御礼を述べ、すぐ仲良くなれるという副次的なメリットもあります。また、『人生を変えるMBA』は神戸大学MBAの設計思想、設立の背景などがよく理解でき必読だと考えます。あとは自分自身で咀嚼した上で、自分なりの勉強方法を考えて実行し、ベストを尽くせるかだと思います。以下、項目毎に私が行ったこと、心がけたことをお伝えします。

(1)研究計画書(及びキャリアハイライト)

「合格への道」に書かれている勉強方法はさまざまです。しかし唯一、全員に共通しているのは「研究計画書」の充実度が最も重要だということです。これをどこまで内省し作成できるかが最大のポイントです。記入様式は決まっており大学院側が受験者の思考、問題意識がどこにあり、それが明確かどうか判るように設定されています。従って、大事なのは①自分は何故このテーマを研究したいのか、②それは
実務上のどのような問題意識から生まれたのか、③どのような手順で研究を行うか、④それを学ぶのに神戸大学MBAが何故ベストなのか、これらを評価する教授陣に理解してもらうことを心がけて記述しました。

私の場合、上記①・②については通算10年間の海外赴任における経営場面で直面した「日系企業のグローバル化」における課題や問題意識と、グループ経営戦略を担当する現在の職場での問題意識とを重ね合わせて数案でてきました。そこから③のプロセスを経て最終的に研究テーマの方向性を決めました。しかし、③の「どのような手順で研究を行うか」はまったく未知の経験であり、大変苦労しました。私は『ゼミナール経営学入門』を研究の視点から読み直し、自分のテーマは経営学という学問の中で経営戦略、組織行動、オペレーションマネジメントなど、どの分野の研究なのかを考えました。それがわかると、論文検索サイト『CiNii』を活用して先行研究論文、つまり自分と似た研究があるか確認しました。経営学という学問において、自分のテーマが何か新しい知見をもたらすことができるかという意識がなければ研究とは言えません。ここで一番時間と労力を費やしました。もちろん、自分の業務における問題意識や想いを計画書に込めることは非常に大事です。問題意識が希薄であると最終的に修士論文でも苦労します。あとは、相当数の入学希望者がいるため計画書を読む相手のことを考えてシンプルかつ明快な文章を心掛けました。原稿を推敲するたびに質は高まります。内省には時間も重要な要素です。なるべく早く研究計画書
作成に取り組むことをお勧めします。

それ以外ではキャリアハイライトの記載欄がありますが大事な自己アピール機会です。普通は1つの時点に絞って書く人が多いようですが、私は国内と海外、マーケティングや経営戦略、マネージャーから経営陣まで比較的多くのキャリアを経験しているので、キャリア別に自分が得た経験とその意義、客観的な成果を提示しました。また、自分は神戸大学MBAというコミュニティに何を提供できるのか、といった趣旨の記載欄がありますが、これまでの経験・能力を踏まえ授業に積極的に参加し貢献する姿勢をアピールしました。異なるキャリアを持つ実務家と国内でも有数の優秀な教授陣が共同で創り出す空間が社会人MBAの醍醐味のひとつと考えますのでこの点も極めて重要だと思います。

(2)第一次選考(筆記試験)

①英語

過去問は3年分必ず取り寄せ、時間を計ってトライしてください。時間に対して回答分量が多く読解力が必要だとわかります。私は通勤時に『Nikkei Asian Review』をスマホで読む習慣をつけていました。時事問題対策と英語読解力がつくので一石二鳥です。海外経験があり他の受験者より相対的に優位だろうと
考えていたので、経営学における様々な事例を知っておくことを心掛けました。入学後は英語の文献を読みレポート提出する授業がありますので今のうちに慣れておくとよいでしょう。

②小論文

こちらも過去問を取り寄せ、時間を計って実際に書いてみることは必須です。イメージが明確になり自分なりの傾向と対策が打てます。当たり前ですが経営学における時事的な話題が出題される傾向にあります。私は経営戦略という業務上、企業における経営課題や戦略構築における外的要因などに触れる機会が多いので非常に助かりましたが、そうでない場合は日経新聞で幅広く経済や経営に関する時事ネタを、『ゼミナール経営学入門』で日本企業の経営上の特徴や課題を、『ハーバードビジネスレビュー』で横断的に最先端の経営学における知見をカバーすることをお勧めします。小論文の書き方については、飯野他『国内MBA研究計画書の書き方』を参考にした上で、過去問三年分について回答案を作成しました。実際の試験では相当時間がありません。論文の書き方は自分なりの「型」を持っておくと論考に時間を割くことができます。「練習は嘘をつかない」と言いますが、これまでの積み重ねが当日に出ると思います。

③第二次選考(口述試験)

「合格への道」を再読して想定問答を用意しました。当たり前ですが研究計画書については最も重要なポイントですので、研究テーマの実務への関連性、社会的意義や経営学における新しい視点など、多様な視点から考えておくと良いのではと思います。心掛けたのは最終的に自分の問題意識と研究テーマ、入学への熱意を明解に説明できるかです。また、どのように研究を具体的に進めるかなどまだ詰め切れてない部分は「入学後に学んだ知見を用いて考えます」と素直に認める姿勢も大事だと思います。試験本番では、

  • 研究テーマの内容と、何故その研究がしたいのか
  • 計画書に書いているワードはどのような意味でどう定義づけを考えているのか
  • 自分は会社でどのような人間として評価されているか
  • 神戸大学MBAに対してどのような貢献が出来るのか
  • 勤務先や家族の支援は得られるのか

以上5点について3名の面接官から質問があり、10分程度で終了しました。普段ではないシチュエーションなので必ず緊張します。シンプルかつ明確に答えられるように相応の準備は必要です。面接官の1人は
現在ゼミでご指導いただいている原田教授であり、これもご縁かと感謝する次第です。

3.最後に

2016年4月より、週末を優秀かつ志の高い同級生約70名と共に自由かつ知的賑わいに満ちた学生生活を送っております。最新の経営学を最高の講師陣により「働きながら学ぶ」ことで業務に活用できており非常に有意義だと実感しています。経営企画の方、経営に携わることを目標とする方はぜひ入学をお勧めいたします。カリキュラム刷新前の円熟した授業を受講できたことも幸運でしたが、「日本の経営学発祥の地」としての神戸大学MBAコミュニティは共創のアカデミアとしてこれから入学する皆様と更なる進化をすることは間違いありません。高い志を持って挑戦していただき、学ぶだけでなく創る喜びや経験を得ることを心より願っております。「神戸方式」のすばらしさは、各プロジェクトや講義を終えるたびに新しい知見と、次のプロジェクトに対する準備ができており、教育として非常に素晴らしいものです。これだけ充実した教育環境を提供できるMBAコースは他に類を見ないと思います。さらに、将来にわたって得難い人と人の繋がりを築ける場でもあります。また、一年半の間、平日夜や休日をフル活用しますので気力・体力の維持と、理解・協力くださる方々への感謝の心は必須だと考えます。最後に、激動・激変の時代に大事なのは「飛び込んで未来を創る勇気」と「新しい交わりによるイノベーション」です。是非、皆様が神戸大学MBAコミュニティの新たなメンバーとして加わり、未来を創って下さることをお待ちしております。

【参考文献】
  • 加護野忠男・伊丹敬之(2003)『ゼミナール経営学入門 第3版』日本経済新聞出版社
  • 神戸大学専門職大学院 編(2015)『人生を変えるMBA』有斐館
  • 飯野一・佐々木信吾 著(2003)『国内MBA研究計画書の書き方』中央経済社