杉本豊  さん

HSBC勤務  2008年度入学生 忽那ゼミ

神戸大MBA受験のきっかけ

私は大学卒業後ずっと外資系の金融機関で働いているので、20代後半の頃には自然に海外のビジネススクールへの留学を考えていたこともありました。結局それは実現せず、その後は実戦の仕事の中で試行錯誤を繰り返しながら、ビジネスについて学んできました。INSEAD(シンガポール校)で企業向け研修プログラムを受講するなど、断片的にビジネススクール教育に触れる機会に恵まれましたが、それらはとても刺激的でした。受験の直接のきっかけは、東京勤務から大阪に帰ってきて間もなく、神戸大学のMBAコースが平日夜と土曜日だけの授業で受講できることを知ったことです。神戸大学の経営学部は名門ですし、「仕事のなかで直面している問題を持ち寄り、既存の優れた研究成果も活用しながら共同して問題を分析し、解決策を見出していく」という教育方法、「知識を学ぶのではなく、考え方を学ぶ」という方針が今の自分に合っていたので、挑戦することに決めました。漠然とキャリアアップのために学位を取りたいと考えていた頃より、経験を積んだ今のほうがMBAで学ぶことを自分の仕事に結びつけて役立てることができると感じています。

研究計画書の作成

一般的に、国内MBAの入学選考では研究計画書の内容が重視されると言われています。やりたいことが明確にある場合はいいのですが、そうでない場合は研究テーマの選定にはかなり頭を悩ませることになります。当然のことですが、出願時点では研究テーマに対す答えは出ていませんが、「なぜ?」「どこから?」「一面的ではないか?」といったシンプルな問いを繰り返し、先行事例をレビューするなど、研究テーマに対する考察が深く掘り下げられている必要があると思います。その過程で、答えが簡単に見つかったり、2次データを使って統計解析をすれば誰がやっても同じというものもあるかもしれません。「研究のための、研究テーマ」を探すより、自分自身の仕事においてこれまでに直面した問題や疑問に感じたことで、実は理由が良くわかってない事象を突き詰めて分析するアプローチのほうが、借り物のような研究テーマよりもユニークで迫力があるのではないでしょうか。

参考図書
  • 飯野一・佐々木信吾(2003)『国内MBA研究計画書の書き方』中央経済社

1次試験ー小論文・英語

周りにMBA取得者がいて、個人的に小論文の指導を受けた人もいたようです。また、大学院受験予備校や通信教育によるコースもあるようですが、私の場合は受験を決めてからの準備期間が短かったので、自分で以下の勉強をしました。

  • 過去問題のコピーサービス(有料)
    与えられた時間内で、出題の意図を汲みとって分析し、自分の主張をまとめ、文章を構成して書き上げる必要があるので、特に時間配分を意識して過去問題をやってみました。
  • 時事問題
    知識の整理と弱い部分の補強のため、年末から年始にかけて出版されるイミダス系の時事問題をまとめた本に目を通しました。
  • 英語
    英語は仕事で日常的に使っているので、特別な勉強はしませんでした。余談ですが、英字新聞は、『Nikkei Weekly』 がお勧めです。海外市場の情報を取るのが目的なら『Asian Wall Street Journal』か『Financial Times』ですが、時事問題を英語で説明するには、こちらのほうが実用的です。
参考図書
  • Alice Oshima・Ann Hogue(1997)『Introduction to Academic Writing』Longman Pub Group

2次試験ー面接

2次試験に際しては、圧迫面接も想定して臨みましたが、私の場合は幸いそれほどでもありませんでした。研究テーマについて1分程度でプレゼンできるようにしておくべきです。事前に統計資料など客観的な裏付けデータを集めて、突っ込んだ質問をされても大丈夫なよう準備しておきました。研究計画書をしっかり準備して書いて、それを口頭で説明できるように整理できていれば、大丈夫だと思います。

参考図書
  • 野林靖夫(2007)『大学編入・大学院 志望理由書・面接対策』オクムラ書店

おすすめの図書

MBAの授業ではテキストや課題図書、参考図書として、ポーターを始めとする経営学の必読書が山のように紹介されますが、ここでは私がその前に読んでいた本の中で、専門分野に関係なくMBAの世界を垣間見ることができる本をいくつか紹介します。ビジネススクールの教科書として使われているものもあり、いずれも解り易くて面白い本だと思います。

  • 津森信也(2001)『EVA価値創造経営』中央経済社
  • 黒田宣代・東巧(2006)『よくわかる社会調査法』大学教育出版
  • Fisher・Ury・Patton(1981)『Getting to Yes』Penguin USA社
  • W・チャン・キム+レネ・モボルニュ(2005)『ブルー・オーシャン戦略』ランダムハウス講談社

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