藤野憲治 さん

東神開発株式会社勤務  2008年度入学生 髙嶋ゼミ

1.MBA受験のきっかけ

1)仕事に役立つ刺激を求めて

私は髙島屋グループの商業ディベロッパーに約5年前に転職し、日々、商業施設の企画や開発の業務を行っています。MBAの受験を思いたった頃は転職し3年ほど経過し、最初の大きなプロジェクトも完了し、仕事においてもステップアップするためのきっかけを探している時期でもありました。元々、関西出身ですが、今の会社に転職した当初までは東京で勤務していて、その時に前向きなビジネスパーソン達が集まるいくつかのコミュニティに参加し、様々な仕事上の刺激を受けたり、目標となるようなビジネスパーソンとの出会いも多く、充実した日々を過ごしていたのですが、関西で何年か過ごすうちに、日々の仕事をこなしているだけでは物足りないものを感じていました。そこで、関西でもそういった刺激得られる場所を模索する時期が続いていました。折しも2000年代初頭から、関西企業の本社機能の東京シフトが本格化し、有力企業やその周辺企業の実質的な本社の移転とそれに伴う人材の流出によって関西では“ビジネスパーソン”の質も量も東京とそれとの格差が拡大しているような感じがしていました。

2)なぜ、神戸大MBAか?

そのような状況下の関西で“前向きなビジネスパーソン”に最も効率よく出会える場所を考えて出た結論が「神戸大MBA」でした。国内のMBAコースの中でも歴史も古く、有力MBAの一つに数えられていたし、MBAの需給バランスにおいて、やや供給過多の状況にある関西地区において最も競争率が高いのが神戸大MBAだったため、そう判断しました。

3)ダメもとで受験へ

上記の判断は勿論、私の個人的な判断ですが、我ながら、悪くない着眼点だと自信を持っていました。神戸大MBAは有名な教授陣もさることながら、きっと関西の有力ビジネスパーソンが集まっているだろうと、半ば確信のようなものを持っていました。唯一で最大の問題は自分が神戸大MBAの受験にパスできるかということでした(笑)。 根っからの体育会系で、試験や勉強向きのタイプではないと自覚していた自分にとって神戸大の大学院は背伸びしてもまだその先にあるというような目標だと思っていて「受験しても合格するのは難しいのでは?」というのが受験を最初に意識した時のイメージでした。ただ、妻が背中を押してくれたこともあり、「ダメで元々、落ちたところで受験料以外に失うものはない(失う受験料の3万円は結構痛いですが(笑))」と開き直って、受験を決意することにしました。

2.受験・合格戦略(限られた時間の中でいかに合格ラインに到達するか?)

1)合格戦略とは?

「合格戦略」と書いて、それほど大それたものでもないのですが、自分自身、受験前に合格する場合のイメージとして、苦手な英語をカバーし、トータルで合格ラインにどのようにして到達すのかということを考えてみました。仮に研究計画書、英語、小論文の3指標を各100点満点で採点し、平均60点(合計180点)が合格ラインだと仮定し、その中で英語の試験の出来が悪く、20点だとすれば、研究計画書、小論文で80点ずつ取ればトータル180点で合格ラインに達する。今の会社に転職する前に勤務していたマーケティング会社で企画書や事業計画書を多く書いていたので、研究計画書やビジネスをテーマにした小論文に関しては他の受験者より、多少アドバンテージがある。と自分なりに勝算を立て、後は研究計画書、小論文では平均ではなく他の受験者より頭一つ出る得点を狙う内容のものを作成する、英語は最低限の点数を確保する、ということを自分なりの「合格戦略」としました。
※実際には合格ラインの点数も3要素の配点や足きりの有無も公表されていないため、上記はあくまでの自分自身の中での想定です。

2)研究計画書

最重要課題と言われる研究計画書で80点を目指したため、書き方にも工夫しました。元々、中身に関しては仕事を通じて常日頃から課題を持っていたため、テーマとしては比較的強いものを持っていたので、後はそれを分かりやすく、他の受験者のものより優れていると評価してもらえる表現にすることを考えました。自分が採ったのはフローチャートなど図表化で一目で課題とその背景などの因果関係がわかるようなシートにしました。与件として文字数制限など与えられているため、殆どの人が基本的には文章や箇条書きで研究計画書を作成すると想定し、その中でフローチャート、図表を用いた研究計画書は差別化になったのではないかと思っています。

3)英語

英語は自分自身、大学卒業以降、全く勉強していなかったし、元々苦手意識も強かったので試験本番までの限られた時間ではやることを絞り、本番でも全てに解答しようとせず、できるところだけに集中することにしました。そんな中で取り組んだことは過去問題3年分を見直すことと、ビジネス英語表現になれること(参考文献参照)、と自分なりのヤマを張ることでした。ヤマを張るというのはリスクが高そうですが、元々、英語に関しては「(孫子の兵法でいう)弱者の戦略」を基本スタンスとしていたので総合力では勝てないが、局地戦では互角以上に戦えるというものですから、自分自身で“出題テーマ”は人事・組織分野のテーマで出題される可能性が高いと想定し、部分的にヤマを張ることにしました。 なぜそう考えたかというと、ビジネス英語の試験のテーマは大きく分けて(1)マーケティング、(2)ファイナンス、(3)人事・組織、(4)経営戦略などが想定されますが、(4)の戦略はテーマ的に難しいので時間が限られる英語のための試験のテーマにはそぐわない。次に(1)、(2)は受験者のキャリアによって、内容の理解度に大きく差が出てしまうため、公平性を重視する大学などの試験には向かない。故に消去法で残るのが(3)の人事・組織テーマで、どんな会社に勤めている人でも多かれ、少なかれ人事・組織の問題に触れているので、こういった試験のテーマにされやすいのではないかと自分なりに想定しました。実際に過去の試験でも全てではないですが人事・組織をテーマにした英語の問題が多かったと思います。従って、本番までの準備期間にビジネス英語表現に全般にわたって慣れることを目的としつつ、ある程度の時間を割いて、人事・組織分野の単語やビジネス文章を中心に読んだり、聞いたりしました。幸運なことに本番の試験でも人事・組織がテーマの問題だったため、落ちついて試験に取り組むことができました。

4)小論文

研究計画書の作成や英語の対策だけでも時間が足りないので、小論文の対策は最低限の時間しかかけられないと最初から決めていました。最低限の時間で試験での点数をできるだけ引き上げるためには、知識のインプットではなく、アウトプットを如何に纏まりよくするか、に力を注ぐべきだと判断し、久しく書いていなかった小論文の書き方をおさらいすることにしました。これから受験を考えられる皆さんも文末に挙げている参考文献など、何か一つ小論文の手引書を用意し、書き方や小論文の基本的な作法を再確認されることが効率的だと思います。後は当日は小論文に関しては比較的時間があると思うので、落ちついて記述する論理展開、文章構成を考え、自分の中にストックされている経験や知識を絞り出して、答案に表現することに集中されることだと思います。

5)面接

面接対策に関しては何よりもまず、このWEBサイトの各人の合格体験記を読んでいただくことです。私は1次試験合格後、当時掲載されていた全員分の面接に関するコメントを読みました。それで、大体、面接の雰囲気、想定される質問が把握できたので、想定質問を作成し、それに関する答えを自分なりに作成できたので、面接前の不安はかなり取り除かれました。また、面接への心構えを一言でお伝えするとすれば「自分自身の研究テーマに関する具体的な研究推進プランを持っておくこと」ということになると思います。自分の場合、質問で「計画書に書かれている研究を進めるにあたって、データをどこから取るのか?そのようなデータは世の中に存在するのか?」など比較的突っ込んだことを聞かれました。本来であれば「そのような詳細は入学してから、ご指導いただきたいのですが・・・」と言いたいところですが、それでは落ちていたのかと思うとやはり、少し厳しめの面接なのかもしれません。

3.最後に

神戸大MBAのメンバーは高い志を持った人達が、決して楽ではない選抜を潜り抜けて集まっているため、本当に魅力的な方ばかりで、毎週末、六甲台のキャンパスに行って仲間達との会話やディスカッションから得るものが非常に多いです。課題やグループワークなど授業が始まってからは大変なことも多いですが、今はこの仲間達と共に学べることが楽しく、すごく幸せな気分です。また、課題などが大変と言いつつもたまの日曜日の休みなどにはMBAの仲間達と六甲山のトレッキングで汗を流して親交を深めたりという余裕なども少しはあります。土曜日は六甲台キャンパス、日曜日は六甲登山と妻には「本当に六甲が好きなのね!」の少し呆れられていますが(笑)・・・・・。多くの方がチャレンジされ、新しい素敵な仲間に出会えることを楽しみにしています。

受験のことやMBAの授業のことなどご質問があればお気軽にメールをお送りください。

■参考図書

1.研究計画書
  • 飯野一・佐々木信吾 著(2003)『国内MBA研究計画書の書き方』中央経済社
    →神戸大MBAを含む多くの大学の研究計画書の実際の記述例が掲載されています。
2.英語対策
  • 内之倉礼子 著(2005)『MBA ENGLISH 経済・会計・財務の知識と英語を身につける』
  • 内之倉礼子 著(2007)『MBA ENGLISH 経営・マーケティングの知識と英語を身につける』
  • 藤井正嗣、リチャード・シーハン 著(2002)『英語で学ぶMBAベーシックス (NHK CD Book?NHKテレビ英語ビジネスワールド)』
3.小論文対策
  • 吉岡友治 著(2002)『大学院・大学編入学社会人入試の小論文ー思考のメソッドとまとめ方』
    小論文対策は特に「この本でないといけない」ということないのですが、普段仕事で書いているビジネス文書と大学院の試験で求められる「小論文」の書き方、作法などは異なるため、それを復習し、書き方のアウトライン、最低限のルール、諸注意を把握しておくために使用されればよいかと思います。小論文を書くための知識は一朝一夕に身に付く訳ではないですが、それを表現する方法に関しては、その作法やルールを把握しているか、把握していないかで最終的な点数が大きく異なってくると思います。多くの方は学生時代に一度は小論文、論文に関する書き方等は習っている場合が多いと思いますので、再確認の意味で何かテキストを見直されることをお奨めします。また、内容・中身に関しては普段の積み重ねなので、直前になって、何か有効な対策というのはある訳ではないと思うのですが、普段からビジネス書をできるだけ多く読んでおくことがその対策(input)になるかと思います。

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