南公男 さん

パナソニック株式会社 2012年度入学生 高嶋ゼミ

はじめに

2012年度合格者の年齢分布をご覧いただいたでしょうか。この年度が私の期になりますが、35歳-39歳の占める割合が最も多く30%。30歳-34歳28%、40歳-44歳19%です。この学年の平均入学年齢は、たしか37,8歳です。最も少ない年齢層が50歳以上で1%。全合格者が73名でしたから約1名、それが私です。毎週の講義、グループ研究などで、およそ一回り違いの学友と年の差を忘れて勉学を愉しんでいるというのが実態です。もし、年齢が理由で躊躇されているなら、ぜひとも飛び込んでみてください。いろんな経験、立場の人が入り交じって学ぶところにこそ神戸のMBAの価値があり、その価値づくりの一翼を担えるのはとても光栄なことだと思いませんか。

1.受験のきっかけ

私を神戸大学MBAへ清水の舞台から飛び込んだのは、ジェロントロジー(高齢者学)の権威の東大・秋山弘子先生の「人生90年時代のライフデザイン」に強く共感したからです。いつの間にか日本の企業では、まだまだの50代にぎらぎらしたものがなく、淡泊で隠居のような空気が漂いはじめています。しかし、人生70年時代の設計のままの社会を見直し、個人のライフデザインを変革すべきといわれています。MBAでの学習を通じて、自分が社会人として日々を重ねる中で学習した様々な知識、体験を学問の体系で棚卸しし、足らざる部分を補強、ライフデザインを再構築しようという思いからでした。さらに半ば放棄していたかつての「知りたい」、「学びたい」という気持ちが強まり、もう一人の自分の「今更どうして?」「ちょっと恥ずかしい」という気持ちとの葛藤を超えて、受験を決意したのでした。既に時期は11月になっていました。

2.神戸大学MBAを志望した理由

学ぶ場は、神戸大学MBA以外は全く考えていませんでした。P誌の「ビジネススクール流知的武装講座」が大好きで、中でも加護野先生の論の大ファンでした。金井教授の著書も読みやすく、なかでも「組織変革のビジョン」は事業戦略・組織改革等に悩んだときにヒントをたくさんいただきました。そうして神戸大学の先生方に親しみを感じていましたし、東の一橋、西の神戸と定評のあるその先生方に学び、課題について一緒に議論させていただけるというのは、たいへんな魅力でした。もちろん休職・退職というような経済的な、あるいは会社で仕事上のハンデを負わないよう、働きながら学べる配慮がされた神戸大学MBAは最高の環境でした。

3.試験対策

正直、これは皆さんの参考になりそうなことが書けません。先述の通り、受験の決心が間際だったので、対策と呼べるほどのことはできていませんから。そんな私からでもぜひお伝えしたいのは、今日明日の知識、経験でなく、実務の中でふつふつと湧いてきた疑問、そしてそれに興味を持って考えられる自分がいるかどうかという自己問答を何度も行っていただきたいということです。日頃、会社で揚々と活躍されている皆さんですから、基礎的な知識、スキルはお持ちだと思いますので、付け焼き刃的な知識の強化は必要ないでしょうし、大学院もMBA受験生にそうしたことは特に望んでおられないと思います。それよりも業務を通しての疑問、問題の掘り下げ、解決への創意工夫の経験のあるなしということの方が貴重だと思います。研究計画がそうしたことに基づいているとかなりしっかりしたものになるでしょう。平野(光)教授は、ある講義の中で、「先生と生徒はここではco-educationだ」と仰ってました。私たちも教わるという受け身なだけでなく、今、現場で起こっている問題を持ち込んで、先生方に分析の材料を提供、一緒に研究するくらいの気概をもっても行き過ぎではないと思います。私が受験対策としてしたのは、論文への対応のみです。英語も小論文もいずれも決められた字数で考えをまとめる必要があります。求められていることを的確に読み、短い時間内にアイデアをまとめ、求められる字数内で論理に展開するスタイルに慣れることが必要です。過去問を使って練習するのが、求められていることの傾向も知ることができるいい方法だと思います。

面接は、約10分程度でした。研究テーマをエッセンスで言えるようにしておくと、「関連の質問をされても大丈夫」と、ゆとりをもって臨むことができます。研究のテーマの動機に関連する書籍を読み直されたりされてはいかがでしょうか。私の場合は、「組織戦略の考え方」(沼上幹、ちくま新書)、「組織変革のビジョン」(金井壽宏、光文社新書)など読み返しました。

4.MBA生活を経験して

2度にわたるテーマプロジェクト、それぞれの講義の中がすべて自社との比較研究をやっているようなもので、自社に対する問題意識をクリアにしていくのに大変役立ちます。落ち込んだり勇気をいただいたり。先生方が機会を作ってくださる企業の方の講義も私たちへの期待の籠もった熱いものです。グループでの課題研究は、仲間の社会人としての生い立ち、出身業界の違いによる「ものの見方、考え方」に新鮮な気づきと多様性を感受する経験を毎回得ることができ、入学前には想像がつかないくらいにエキサイティングです。どの講義ということなく、圧倒的に魅力的な時間が得られること請け合いです。自らの志が高ければ高いほどそれに応えていただける先生方との熱い時間を皆さんの経験にぜひ加えてください。OB諸先輩との交流も盛んで、皆さんのネットワークも神戸を超えて拡がること間違いなしです。ぜひ神戸大学MBAに来てください。皆さんときっと近いうちに仲間になれることを楽しみにしています。

※私の推薦図書

経営学は対象事象が非常に多岐にわたります。それでなくとも想像のつかない研究計画書を書かなくてはなりません。経営学へのイメージをもつには、領域を俯瞰したガイド的な書物にあたられるのが役に立つのではないでしょうか。

  1. 現代マーケティング論(高嶋克義、 桑原秀史)マーケティングがいかに多様な要素を持った領域か知ることができます。
  2. 事業システム戦略(加護野忠男、 井上達彦)事業システムという考え方で、事業構築に必要な様々な要素を入門的に説明され、いろんなビジネスモデルへの理解が深まります。
  3. 経営戦略の思考法(沼上幹)経営戦略から組織論まで広く理論が紹介されています。
  4. モチベーション3.0(ダニエル・ピンク)組織を構成する人の行動・動機について、最近のフロー理論までわかりやすく紹介されています。
  5. そして、MBAで学んだ後、どうするかにも思いをはせていただき、「イノベーションのジレンマ」のC.クリステンセン先生の「イノベーション・オブ・ライフ」もぜひ読まれてください。私も小川進教授にお薦めいただき読みましたが、受験前に自身の目標を高めるには絶好の書です。

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