松尾 善也 さん

日本チバガイギー株式会社勤務 2015年度入学生 黄磷ゼミ

こんにちは。松尾善也と申します。私は医薬品製造販売会社に勤務し、主にサプライチェーン関連の業務に従事しています。私がMBAを学びたいと考えたきっかけは、シンガポールに勤務していた際の現地の同僚の多くが、勤務時間後に自らを高めるために、意欲的に学習に取り組んでいたこと、また当時の外国人上司が、働きながらMBAを取得した経験があり、彼がMBAで得たこととして、知識だけでなく、それ以上に共に学んだ同期の仲間との繋がりについて熱く語ってくれたことが挙げられます。私自身、現在の会社に入ってから、非常に上司や同僚、仕事に恵まれ、仕事を通じて多くのことを学ばせて頂き、仕事を通じた自己成長を実感していましたが、日本に帰国後、仕事を通じた自己成長を実感する機会が減っていると感じていました。また、マネジメント関連の業務が増えていたことから、自らの能力を高めるためにも、マネジメントについて体系的に学ぶ必要性を感じ始めていました。神戸大学MBAへの入試を考えた時期は、ちょうどそのような変化を感じていたときで、入学試験のちょうど1年程前頃でした。インターネットで神戸大学の募集要項や試験実施時期を確認し、その年の試験には間に合わなかったという残念な気持ちを抱いた一方で、仕事をしながら本当にこのプログラムをこなしていけるだろうかと感じたことを憶えています。

さて、入試に際しての準備についてですが、まずはインターネットなどで必要な情報を集めようということで経営学研究科のホームページに記載されている情報を確認しました。具体的には、求められる学生像、提出書類、試験形態(記述試験:小論文、英語、口述試験)、過去問の取り寄せが可能であること、公開されている修士論文の構成、合格への道での先輩方のコメントを確認しました。以下では、提出書類の準備、記述試験、口述試験という切り口で、それぞれについて記述します。

まず、提出書類については、私自身あまり字が綺麗ではありませんので、手書きで書かざるを得ないものについては、出来るだけ丁寧に書くように注意を払いました。経歴については、抜けがなく、これまでの自分の歩みが正しく伝わる様に記述しました。私は最初の大学を中退し他大学に入学し直したり、転職に伴う空白の時期がありましたので、それらも含めて正確に記述しました。志望動機や研究テーマ、研究の進め方については、自分が何をやりたいのかをしっかりと考え、本当にやりたいと思っていることを記述しました。例え研究したい分野やテーマが現時点で曖昧であっても、まずは少しでも興味のある分野について考えてみて、自分なりに考えたことを記述することをお勧めします。私の場合は、ある程度何をしたいのかは明確でしたが、興味がいくつかの分野に分散していましたので、それぞれのテーマを書き出し、どのテーマについて取り組むことが自分にとっても、会社にとっても最も意味のあるものになるのかという観点からテーマを絞り込みました。ここでしっかりと考えておかないと、後の口述試験では、どれほど強い問題意識を持ち、どの程度真剣に取り組もうとしているのかを問われると考えていましたので、この点は、書類を準備するに際して、一番時間を割き自ら納得できるものを準備しました。

次に、記述試験ですが、記述試験は英語と小論文に分かれます。どちらについても過去問題を取り寄せ、内容と難易度を確認し、自分なりにどのような準備が必要かを確認しました。英語については、日ごろから英語での業務が多く、特に不安はありませんでしたので、過去問を確認し、問題ないレベルであることを確認するに留めました。小論文については、そもそも小論文はどのように書くべきかということから書籍などを通じて確認しました。また、どのような問題が出されるのかよって、自分が自信を持って論じられるかが大きく異なりますので、その年に話題になっている問題を取り扱っている書籍を参考にし、少しでも話題に明るくなるように努めました。日ごろから、日経新聞や経済誌などを幅広く読まれている方々は特に情報量という意味では問題はないと思われますが、一方で、それらを自分はどう捉えどう考えるのかということを意識し、自らの考えを纏める練習をされるのが良いと思います。

記述試験当日は、体調が非常に優れなかったのを憶えています。特に寒い時期ですし、正月明けというちょっと体を休めないといけない時期に試験が行われますので、まずは十分体調を整えて、当日を迎えることが重要だと思います。試験の内容ですが、英語は英文を読んで、日本語に訳すといったものや、読解力を確認する為に、質問に答えるといった形式のものでした。とにかく苦労したのは、日本語を書こうとすると漢字が分からないということです。あれっ、この漢字どう書くんだったっけということが多々あり、正直非常に時間を取られました。念のために持ち込んでいた英和辞書は、英語の意味を確認するためではなく、漢字を確認する為に、その漢字が使われているだろうという英単語から漢字を検索するという通常の目的とは違う使い方をするほどでした。漢字が書けるかという点、冗談のような話ですが、十分落とし穴になり得ますので、ご注意ください。また、英語については、日本語に訳す量が多かったという印象がありますので、あまり時間をかけてのんびりやっていると時間が不足することになると思います。問題が配られたら、まずは全体を確認し、ご自身なりの時間配分を考えられてから問題に取り組まれてはどうかと思います。小論文は、記入する字数が決められていました。その為、実際に記述を始める前に、まず論文全体の構成を考え、それぞれのパートで言うべきことは何か、それにどの程度の字数を割り当てるのかということをイメージしました。その後、記述していくと上手く字数の枠内に収まりません。書いたものを消し、書き直すということが発生します。これらの作業でけっこうな時間を取られました。試験終了間際まで、最後の1文にどのように自分の考えを表わすのかを考え、ぎりぎりで書ききったという印象でした。

口述試験は、これまでの人生で一番緊張しました。これは恐らく、自分自身何が何でも神戸大学で学びたいという気持ちが強かったことと、自分自身の知識に自信がなかったからだと思います。私自身、業務において大勢の前でプレゼンをしたり、役職の高い方とやり取りをするという経験は少なからずありますし、それまで面接で緊張したことはほとんど記憶にありませんでしたが、この面接は本当に緊張しました。質問内容は、「なぜ神戸大学なのですか?なぜここで学びたいのですか?」といった質問から、具体的に研究テーマに関する質問として、「どのように研究を進めるのか?」「現時点での研究テーマに対する自分自身の仮説は何か?」「修士論文は公開可能か?」などがあり、いずれの質問も事前に予想していた範疇のものでしたが、緊張からか、必ずしも自分が十分納得のできる回答は出来ず、終わった後に後悔の残るものでした。質問内容と回答自体は準備していたつもりでしたが、事前に面接が行われるその場のイメージや、想定質問の順番、いくつかの考えられる面接のパターンも踏まえた準備が出来ていなかったことが原因ではないかと考えています。私自身、なぜ神戸大学を希望するのかということは自分の中でもはっきりしており、質問に対する準備もしていたつもりでしたが、「なぜ神戸大学なのですか?」という質問が最初にされるとは想定しておらず、上手く答えることが出来ませんでした。自分では分かっていると思っていることでも、口に出して的確に回答するという練習を事前にされておくことをお勧めします。

最後に、私が神戸大学で学び始めて感じたことは、本当に優秀な方々が多く、会社で働いているだけでは得ることが出来なかったであろう様々な多くの刺激や学びを同期の方々から得られているということです。授業の内容や先生方からのご指導は言うに及びませんが、様々な業界で活躍されているバックグラウンド、経験、年齢、性別、国籍などの異なる同期の方々と共に学ぶことは、これまでの自分の視野や興味の幅を大きく広げてくれており、これから先の自分の可能性を広げることに繋がっていると感じます。また、このような研鑽の場で学ぶことは、自分に足らないことを確認するのに役立つというのもそうですが、逆に自分の良さを確認することにも繋がると思います。このような学びの機会を頂けていることに対して、関係する方々に心から感謝したいと思います。

神戸大学では卒業後も、本人が意志さえあれば継続的に学ぶ機会が設けられていますし、MBAを通じて得られたネットワークは大きな財産だと感じています。あくまで私自身の視点で書かせて頂きましたが、これらの情報が、これから神戸大学MBAを受験されようとされておられる方々のお役に少しでも立てば幸いです。

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