佐合 貴之さん
大阪ガス労働組合勤務 2025年度入学生 江夏幾多郎ゼミ
はじめに
みなさん、はじめまして!
このページに辿り着かれたということは、神大MBAの受験に向けて「少しでも情報がないか…!?」と探されているところではないでしょうか。かくいう私も、2年前、目を皿のようにして過去の「合格への道」(以下、「道」)を読み漁っていました。
「神大MBAを受けるぞ!」と決意して、初めに行うのは情報収集です。ググれば、それらしい情報はあるけれど、結局どうすれば良いのか分からない。先輩や友人に修了生がいれば聞けるけれど、簡単には巡り合えない。今なら生成AIもあるけど、やっぱり一次情報が欲しい。当時の私は、まさにそんな状況でした。ですので、受験対策はこの「道」に頼りきりだったわけです。この文章も、そういう方に向けて書いています。
もちろん、合格者が書いている時点で一定のバイアスはかかっています。それでも、道に書かれている情報は、どれも大変有益なものばかりです。これが公式HPに掲載されていること自体、不思議なぐらいだと感じます。「同じような情報難民はたくさんいるだろうし、いっそ、公式で情報を共有する場を作ってしまおう」という本学の気概のようなものを感じます。
正直なところ、過去の「道」を全部読めば、必要な情報は揃うような気がします。これだけの蓄積の上で、さらに有益な情報を書くことは、非常にハードルが高い…。とはいえ、このたびご指名いただいたことで一念発起し、何か1つでもお役に立とうと筆を取った次第です。
今回は、私が実際に準備・経験したことに加えて、合格してから「今思うこと」にも触れていきます。そうすることで、単なる合格体験記ではなく、受験時には見えていなかったこともお伝えできるのでは、と考えています。
神戸大学MBAを志した経緯
志望理由は、面接の初めに聞かれますし、後々までついて回る初期衝動のようなものでもあります。ですので、出願前に時間をかけて考えておかれると良いと思います。ここで、大学に入って「明らかにしたい!」「知りたい!」ということがはっきりしている方のほうが、入学後もイキイキとされているように感じます。
私の場合、出願時は労働組合に専従していました。あまり馴染みのない方のために補足すると、1日中、労働組合の活動に専念する立場です。労組の活動は多岐にわたりますが、会社、つまり経営と向き合う機会が多くあります。その中で、自分自身の経営に対する知識と経験不足を感じていたこと、そして会社・社会における「労働組合」の行く末を考えてみたいと思ったことが、受験のきっかけでした。
そのため、私の志望動機は「自分自身が成長したい&自組織の行く末を考えたい」でした。また、過去のシラバスはHPですべて公開されているので、それを読んでみて「面白そう」と思ったのも大きかったです。
いざ通う前提で色々な大学を見ていくと、様々なハードルがあることに気づきました。通学距離、費用、授業の時間……。総合的に見て「通えるかも!」と思えたのが神戸大学でした。特に、土曜日で基本的に完結できることが大きかったです。
【今思うと…】
①アドミッション・ポリシーとの関係
神戸大学MBAのアドミッション・ポリシーは以下の通りです。
・経営学・会計学・商学について,その原理を探求しようとする強い熱意を持つ者
・経営学・会計学・商学における諸問題を解明するのに必要な科学的方法論を身につけることができる基礎的能力を持つ者
・職務経験を有し,経営学・会計学・商学の成果を実践へと適用できる能力を持つ者
・日本のビジネス社会の中核人材であるという意識を持ち,国際社会に通用する思考力,判断力,コミュニケーション能力を高めていこうとする熱意
特に、3点目は重視されているように感じます。
1、2点目は熱意と素養ですが、3点目の「職務経験」は、その人の置かれている背景に依存します。職務を通じて得た、その人だからこそ持てる問題意識があって、その人だからこそ知りたい・書けることがあるのか。そういった視点を見られているような気がします。まだ書けていないので偉そうなことは言えないですが、修士論文執筆においても、とても大切な部分だと思います。
②土曜だけで完結できるのか
公開されている時間割をご覧いただくと、火曜や金曜にオンライン授業があることが分かります。
土曜日だけで単位も揃うのですが、自身の関心や業務の状況を踏まえて受講される方が多いです。ですので、この点は「土曜だけで」と思っていたけれど、入学すると平日も授業は取ったし、いろんなレポートやプロジェクトなどで、土曜日以外も机に向かうことが多かったです。
受験を決めてから:出願編
毎年11月ごろが出願の締切です。(詳細は必ずHPや募集要項をチェックしてください)
私が本格的に出願作業を始めたのは10月末でした。「間に合わないかも……」と思いながら、大急ぎで資料を集めました。研究計画書については後述するため、ここでは事務作業的にピンチだったものをお伝えします。
時間がかかるので気を付けたいもの
①成績証明書・卒業証明書(出身大学)
おそらく郵送での受け取りになるため、リクエストから受け取りまでに時間がかかります。迷われている方は、早めに依頼だけでもしておいた方が良いと思います。
②在職証明書(社内)
募集要項にあるように「社印・所属長印または人事担当部長印(私印不可)」が必要です。組織の規模や申請フローにもよりますが、余裕を持ちたいところです。
【今思うと…】
まだ迷っていたとしても、出願に必要な資料は早めに集めておいた方が良いです……。他は自分が無理をすれば何とかなりますが、上記は相手あってのものなので。
ちなみに、出願後になりますが、過去問入手のために神戸大学生協まで行きました。過年度分入手可能で、数百円です。郵送対応もしていただけるらしいのですが、現地に訪問されるのも良いと思います。
「坂道のレベルやばくない?」や「景色がいい!」のような、募集要項では分からない空気を感じて、モチベーションが上がりました。うりぼーのクリアファイルも買って帰りました。
受験を決めてから:試験対策編
神戸大学MBAの選考プロセスは、大きく2段階に分かれます。①筆記試験(小論文)と、②面接(口述試験)です。①に合格した場合、②に進むことができます。
ただし、①②よりも大きく結果を左右するであろうものが「研究計画書」です。多くの「道」がこのことに言及していますが、私も同意します。筆記試験や面接はその場での対応力も問われますが、研究計画書だけは、入学後もついて回ります。本稿においても、諸先輩方に倣い、研究計画書、筆記試験、面接の順番でご説明します。
研究計画書
研究計画書のフォーマットはHPにあるので、ご覧ください。私の受験時点では、研究計画書は以下の7つに分かれていました。すべてを埋めて提出する必要があります。
1.研究テーマ(に取り組む理由と目的)
2.研究の背景となる経験・資源(自身の体験とのリンク・使えるリソース)
3.研究の進め方(どのような方法で)
4.志望動機(なぜ神戸か)
5.研究に関連する資格・技能・特技
6.就学環境(学費・業務負担・プライベート時間など)
7.将来のキャリア設計
【準備・経験したこと】
研究計画書を目にして初めに感じたのは、研究テーマから書くのは難しいな、ということでした。
MBAでの研究は、実務経験に根差したテーマで行うという前提があります。そのため、テーマを念頭に置きながらも、背景から記述することにしました。テーマに至った背景から先に厚くしていくことで、テーマの具体性が増したと考えています。書き終わった後に、「つまりこれをテーマとして表現するなら…」といった感じですね。
そして、この時点で「MBAを取りたい」というだけでは前に進めないことに気づきます。
つまり、MBAありきではなく、現在の自分と向き合わなければ、説得力のある研究計画書が書けないからです。ですので、あらためて、2の「背景となる経験・資源」から書き始めることをお勧めします。
研究テーマは「カッコよくて……賢そうに見えるものを……」と推敲を重ねました。ただ、入学後にはガラッと変わる方もいらっしゃる(私含め)ので、その時のご自身の関心が読み手に伝わるような、簡潔なものでもよいと思います。私の当時のテーマは、今見るとテーマにはなっていませんでした…
くわえて、研究計画書を作るうえでお勧めしたいのが「同僚に見せること」です。恥ずかしかったり、遠慮したりするかもしれませんが、研究計画書のブラッシュアップのために必ずやっておきましょう。
皆さんの問題意識は、きっと同じ職場のみなさんも持っているでしょうし、同じではなくても、理解はされうるものだと思います。1人で考えて書くことには限界がありますので、なるべく同じ目線を持った方に見てもらうことをお勧めします。
3の「進め方」については、普段研究をされていない方であれば「定量とか?」ぐらいのイメージだと思います。ざっくりと、自身のテーマは数を調査したら分かりそうなのか、深くインタビューしていくものなのかぐらいのイメージをつけつつ、書いておかれるとよいと思います。
あとは、出願にあたって事前に確認されたほうがよいのが、6の「就学環境」です。
必ず、出願前に職場やご家族と話し合われたほうが良いと思います。神大MBAの1.5年間の密度は非常に高いです。土曜だけではなく、レポートがあれば平日の夜も必要ですし、プロジェクト等が進めば休みの日も集まるかもしれません。本当に大丈夫か、確認は事前にされたほうが良いと思います。私はこの点で、職場からも家族からも力強く応援していただいたことは、本当にありがたかったです。
また、「道」でおすすめされていた研究計画書に関する参考書「改訂新版 国内MBA受験のための研究計画書の書き方(晶文社)」を購入しました。丁寧に書かれているので、参考になると思います。とはいえ、思考の補助線として使われるのがよいと思います。
【今思うと…】
研究計画書は入学後もついて回ることを思えば、とてもウエイトの大きいものだと感じます。単なる志願書と思わずに、1つ目の試験のつもりで十分な時間をとって取り組まれることをお勧めします。
筆記試験
最初の関門が筆記試験です。以前は英語試験がありましたが、私の受験時点では論述試験のみでした。内容は年にもよりますが、数百文字の回答を複数するものが多いです。
内容は過去問をご確認いただければと思いますが、MBAの領域のどこかに関連するものが出題されます。なかなか準備は難しいですが、経済ニュースには日頃から目を通しておかれた方が良いと思います。ある程度、時代に即した問題が出ています。
私の年は、図表を見て考えを記すものでしたが、少なくとも一般的な株式やファイナンスの知識、統計の知識がないと書きにくいものでした。その少し前の年は、1つの用語を説明させるものだったと思います。
試験対策ですが、正直「これ!」といったものはありません。ただ、知らないと解きようがない時もあるので、広く知識を確認しておかれるほうがよいかと思います。私は「日経キーワード(日経HR編集部)」を読みながら、「今の世の中的に、問うならこの辺りかな?」と想像を膨らませていました。試験対策の中でも「単語を知らなくて書きようがない」を防ぐためのお守りのように使っていました。
【今思うと…】
また、合格後に読むことになるのですが、「プレMBAの知識武装(中央経済社)」という本があります。これは神大MBAが発行したもので、MBAで学ぶ内容が網羅的に記されています。出願はしたけれど、MBAというものがまだつかめていないぞ……という方にはぜひ読んでいただきたいです。入学後1年たって読み返すと、本当によく整理されたものだと思います。
あとは、皆さん書かれているのですが、手書きで60分回答するというのはかなり疲れます。少なくとも何度か、論述の練習はされたほうが良いと思います。過去問をやりましょう。ちなみに、私は文章はWordで書いて消しての繰り返しで作っていくタイプなので、考えをまとめてから書くという行為にも苦労しました。
面接
一次試験に合格すると面接に進みます。面接は2人の先生と、10分ほど行いました。後から同期に聞くと、自分の出願テーマと近い先生に話を聞いていただいた方が多いようです。
面接では、実際に自分がどうして神大MBAを受けたのか、どういった研究をしたいのか、なぜそのように考えたのか、といったことを聞かれました。ほかの方も似たような感じで、面接というよりも、ディスカッションのような印象を受けた方もいらっしゃいます。私も、面接というよりは、自身の研究テーマに対して、先生方からコメントやアドバイスをいただいているように感じました。
正直なところ、対策のしようがないと感じています。ご自身がどう思っているかを、伝えることが大事です。ご自身の研究の背景はご自身にしかわかりません。ぜひ、一次試験合格後は二次試験に向けて、自分の研究計画書を見ながら考えを整理された方が良いと思います。
また、面接のときには先生方の手元にも研究計画書がありますので、出願時から考えが深まっている部分は、口頭で強調されたほうが良いと思います。
重ねてのアドバイスになりますが、自分の研究計画書を誰かに見てもらいながら、自分が何をしたいのかを口頭で伝える練習はされたほうが良いと思います。面接は本当に一瞬です。みなさん終わった後に、「もっと伝えたいことがあった……」と感じられています。先生方の手元には計画書がある。その状態で簡潔に考えを伝える。ということを意識されてください。
【今思うと…】
当日に臨まれる際には、「自分の研究計画のどこかは神戸に刺さっているんだ」と自信をもたれるのがよいと思います。筆記試験の結果だけで合格したわけではなく、研究計画書も勘案したうえで、二次試験に進まれているので…。
振り返って
MBAの試験対策は、何が正しいのかよくわからなくなると思います。けれど、まずはこれまでの「合格への道」に記されている情報を参考になさってください。もちろん、研究計画書や筆記試験対策はご自身で取り組まれるしかないのですが、神大MBAの試験情報は、十分に揃っています。
最後に1つだけ、在学生としてのアドバイスです。
研究計画書は奇を衒う必要はないと思っています。とにかく、ご自身の業務を通じて感じていることを言語化することに時間を割いてください。その上で「大学に行って何を知りたいのか」を考え抜いてください。
そうすることが、一番の合格への「近道」だと思います。筆記や面接は、そのあとについてきます。
入学後の様子
これだけ偉そうに言っていますが、入学後数か月は研究テーマのことを忘れるほどの、知識と課題の渦に飲み込まれました…それでも、同じ志を持ち、多様なバックグラウンドを持つ同期とのディスカッションや交流は、すべてが楽しく、貴重な経験です。かけがえのない友人ができていきます。
現在、私はM2で論文執筆の真っただ中です。テーマが定まるまでには約半年かかり、やっと本格的な分析に取り掛かることができました。もう終わりが近づいていることがさみしくて仕方ないですが、残り数か月、全力で書き上げようと思います。
そして、このページをご覧いただいたみなさんにも、ぜひ同じ経験をしていただきたい。心より応援しています。
最後に、日ごろサポートしてくれている職場の皆さん、そして昼夜問わず支えてくれている家族に、この場を借りて感謝いたします。