2022年度入学生の研究状況(担当:黄 磷)
「現代経営学演習」
担当:黄 磷
目的、テーマ
今年度の黄ゼミにおいては、グローバルに拡がっているサプライチェーンの強靭化(レジリエンスの強化)、企業の新規事業展開、市場開拓力、ブランド力、プラットフォームの発展、製造業のDXや組織変革などを研究テーマにし、ビジネス・エコシステム、サプライチェーン、卸売企業のオンラインチャネルや海外事業などを研究対象として、企業の経営理念(パーパス経営)・戦略・能力(ケイパビリティ)・マネジメント・組織・経営成果といった視点から、環境の劇的かつ多様な変化に企業がどう変革し、適応していくべきかを考えます。
近年に顕在化した地球規模の危機とシステミック・リスクにも対応できるように、技術革新、デジタル化、グローバル競争や社会の変化などがもたらしている経営上の重要な課題を、ゼミ生の所属企業のコンテキストにおいてどのように理解し、対応していくかについて深く思索することは、ゼミの共通したテーマとなります。神戸大学MBAのゼミナールでの修士論文プロジェクトは、経営環境の変化に対応するために、いかに企業を変革していくのかについて研究し、説得力をもって提示できるような成果をまとめることを目標とします。
ゼミの雰囲気
3月までは、月一回(土曜日)、約10時間にも及ぶゼミ指導の中で、各人は研究課題の設定、既存文献や資料の調査とレビュー、データの収集分析などについて、思考プロセスと研究進捗の発表をしてもらっています。4月からは、ほぼ毎週ゼミがありますが、オンラインでの発表と指導から対面でのゼミになりました。報告資料の準備はゼミ生にとって勝負どころとなります。企業が直面している経営課題を的確に認識し、その課題の解決に対する説得力のあるアクションプランを提示するということは、大変困難な取り組みです。
毎回のゼミでは、報告者が研究テーマを絞り込み、分析すべき問い(RQ)をシャープにし、答えに結び付ける論理的な道筋を見出して喫緊な経営課題の解決案を組み立てるための方法を見つけるリサーチの思索プロセスを体感することで、ゼミ生の皆さんが大きな達成感を得ることができるだろうと思います。
ゼミ教室では、教員との対話だけでなく、ゼミ生同士でも、積極的に関連した研究テーマについて意見と議論を交わせるようにしています。オンラインでのゼミに比べて、同じ時間、同じ言葉を交わしても、行き来する情報量が圧倒的に多い対面交流のもつ、表情全体で言葉を超えたコミュニケーションの効果をできるだけ高めるように心掛けています。そのため、今年度のMBA黄ゼミでは、自身の研究だけでなく、ともにより良い研究成果を得ようと、ゼミ前後のオンラインでも、ゼミ教室でも、ゼミ生同士の活発なコミュニケーションが生まれています。
現在までの進捗状況
昨年8月から今年4月までは、ゼミ生が企業や組織の直面する重要な経営課題につながるインパクトのある研究テーマと研究課題を明確に設定し、先行研究の文献をレビューして深く考えるための視点と切口をほぼ見つけることができたと思います。5月の連休明けから、ゼミ生は自身の研究課題とリサーチクエスションに合わせて、事例研究のフィールド調査およびデータ収集を開始しています。副指導教員の指導も受けて、リサーチデザインの方向性を一層明確にしながら、ゼミ生全員がほぼ計画通りに研究を前進させています。
6月以降は、これまでの思索と研究の成果を文章化し、課題への解決案、そして、企業を変革していくための具体策について、筋を立ててより深く考えることが求められています。あと2か月の間には、説得力をもって提示できるような研究の成果を如何にまとめていくのか、ゼミ生全員がともに目標に向かって弛まない努力を持続させてほしいと思います。