藤木 仁さん

株式会社リコー勤務

1 . プロフィールをお聞かせ下さい。

2009年度入学の藤木仁です。1991年に千葉大学工学部を卒業後、情報機器メーカー、プリンターメーカーにて電気系技術者として勤務。2007年に株式会社リコーに転職いたしました。現在の業務は、オフィス等で使用される小型レーザープリンタの商品開発を行っておりある機種の電気系全般の開発リーダーを担っております。まだレーザープリンタは体積も大きく価格もこなれていません。お客様に求められる大きさ、使いやすさ、価格のプリンターを目指し開発業務を行っております。また、そのプリンターに内蔵される制御基板に使用するASIC(大規模集積回路)の開発のリーダーも平行して行っております。今までに経験の無い業務ですので日々試行錯誤しながらも、優秀なメンバーに支えられ着実に前に進んでいます。

2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

新卒から約20年間、ほぼ電気系の技術者として業務を行ってきましたので経営学とはまったく無縁でしたが、あるきっかけで経営学とMBAに興味を持つようになりました。私の業務である商品設計は通常、企画部門からの仕様に基づき行います。しかし、その仕様からだけではなく顧客視点という観点から設計部門でもお客様の使われ方や付加価値を自身で考える必要があるのではということで、しばしばお客様を訪問する機会がありました。さまざまなお客様を訪問した結果をまとめるに際しマーケティングの定石の手法を勉強しはじめましたが、どうせならば単発的な定石手法の学習にとどまらずマーケティング全体を勉強したいと思ったのが発端です。その時点では、マーケティングにのみ興味を持っていたのですが、ある時、同僚が作成したお客様への訪問報告の中に、神戸大学MBAコースを卒業され現在コンサルティングのお仕事をされている方へのインタビューがあるのをたまたま目にし、神戸大学MBAの存在を知りました。MBA(経営学修士)というものがあることは知っていましたが、欧米の上流のとんでもなく頭の良い方が学ぶ学問?程度のイメージしかもっていませんでした。国内、それも神戸大学でそのようなコースがあるのかとすこし内容を調べると、興味のあるマーケティングのみならず、MOT、イノベーション論、人材マネジメント、企業戦略、またコーチングまであり、しかも、社会人が働きながら学べるということで、俄然挑戦したくなりました。もちろん、他大学の大学院とも比較しましたが、学費の面、通いやすさ、学生満足度の高さからも神戸大学一択でした。ただ、神戸大学の教授陣は著名な先生ばかりですが、失礼ながらその時にはまったくその点を知らず、学んでいくうちに知り、驚きとまたそのような教授の方々に教えていただける事を感謝しております。

3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

平日の一日の状況ですが、朝晩の通勤時は課題文献を読んでおります。平日は23時ごろに帰宅しますので勉強の時間は24時を越えてからになります。一週間のスケジュールは、週の最初に復習とレポート等与えられた課題への対応、週末は必読文献の読書等、予習に当てております。おかげで、平日の平均睡眠時間は3~4時間ほどになってしまいました。この年になってするとは思っても見なかったのですが、徹夜することもよくあります。ナポレオンは一日の睡眠時間が1時間であったというエピソードがありますが、最近、それもあながちウソではないのではないか?と感じております。大学に通うことで妻や娘には少なからず負担を強いておりますので、日曜日はほぼ家族との時間に当てています。精神的に支えてもらっており感謝しています。

入学当初は、仕事と勉学の両立が非常に辛かったのを覚えています。勉強の意欲はあるのですが、無駄な時間が無い生活のリズムへ体がなかなか馴染みませんでした。慣れてきてもやはり課題等は多く、今週が山だから来週になったらちょっと楽になる、と思いながら課題をこなすのですがその山を越えるとまた別の山があり、これさえ越えればと思うのですがやはりそれを越えるとまた山があり、とマラソンの君原選手のような状態でした。今、どの山が高かったのか?と振り返ると、おそらくどの卒業生の方もご指摘されているだろう、小島教授の経営戦略応用研究の最終課題がひとつの山でした。土曜日、日曜日、有給を取った月曜日と計3日間、ずっとパソコンの前でひたすら情報集めと分析、レポート作成をしておりました。結局、締め切りの3分前にメールにて提出しましたが、その後のビールのおいしさは忘れられないです。また、後述します、RSTの日本ラウンドの準備の際もひとつの山でした。仕事、通常授業、RST、ケース研究と抱えており、完全にオーバーフロー状態でしたが、優先順位をつけなんとか乗り切りました。

授業の選択ですが私はすべての授業に履修届けをだしております。履修登録時には安易な考えで、とりあえずすべて履修登録しておき時間的な制約や興味が沸かない場合は途中でリタイアすればよいと思っていました。しかしながら、どの科目もいざ実際に授業が始まると興味を持てる授業ばかりであり、また現在の私の業務に少なからず関連するものだった為、リタイアしないよう無駄な時間を削減、また業務の効率化を行う等時間を作る努力をし結果的に授業はほぼ欠席はしておりません。ですので、今までにリタイアした科目はなく満遍なく一様な知識を身につけることができています。

4 .ゼミではどのようなことを学ばれていますか?また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?

そもそも願書の研究計画書にはマーケティング関連の研究をしたいと書き提出しましたが、その後の業務内容やMBAで学ぶうちに、”モチベーション”について研究したいと言う思いが湧き上がって来たため研究テーマを変更し、高橋潔教授にご指導いただいております。

高橋ゼミでは、人系に関心を持つ方、特に私と同じくモチベーションに関心のある方が多いです。雰囲気は他のゼミと比べると自由な様に感じます。自分の問題意識に忠実であることを許される「積極的自由」とこれに基づく「自己決定および責任」が根底にあるのでしょう。ゼミの時間は、高橋教授からのレクチャーと同級生やTAの先生とのディスカッションを通して多くの気付きを得ることができるだけでなく、混在したテーマを層別に分解・整理し、曖昧な問題意識を具体的な課題に紡いでいっています。言い換えると独り善がりの研究にならないために問を磨き、出自の異なるゼミ生に伝わる貫通力を備えるための「相互扶助」において鍛えていただいていると思っています。

5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。

気がつけば入学して8ヶ月が経ってしまいました。目の前の事をひたすらこなしてきたので一瞬であったようにも感じます。プライベートの時間はほぼ無くなりましたが自分の成長は確実に感じています。

振り返ると、入学後、まず三品教授のゼネラルマネジメント応用研究の授業で、現在までの20年間で凝り固まった”一従業員”の目線・立ち位置を、一気にトップ・経営者目線まで引き上げていただきました。この授業にて目線を引き上げていただいたおかげでその後の授業もその目線で受けることができました。大げさかもしれませんがこの授業を受けたおかげで今後の人生が変わったかもしれない、と思っています。

次に、RSTです。Cranfield大学からMBAの学生を迎え一緒に企業訪問、また、お互いの研究テーマの発表、ディスカッションを行いました。ディスカッションではすこし圧され気味だった我々でしたが、1ヶ月前から準備していたWelcome Partyでは完全に圧倒!テーマとして掲げた「お祭り」を会場で再現し、途中には本格的な回しをつけた力士(同級生です。)が登場!終盤は盆踊りをいっしょに踊り、最後にABBAの曲に変わるとCranfield大、神戸大双方の学生全員が大盛り上がりで踊りまくり鳥肌が立つぐらいの大成功となりました。パーティー終了後、Cranfield大の学生から「日本人の印象が変わった。」と言われたのが心に残っています。今回RSTのリーダーをさせていただいていますが、メンバーのパワーと行動力はものすごいものがあります。みな仲もよく団結力もありRSTに参加してよかったなと心から思っています。10年2月には我々がロンドンを訪問します。その時も盛り上がれるようこれから準備していきます。もちろん、ディスカッションでも圧倒できるよう頑張るつもりです。

また、ケースプロジェクトは入学後一番最初のグループワークでした。テーマは「ダントツ品質」。仕事が終わった後、夜な夜な集まり議論を重ねました。そもそも品質って何?何をもってダントツ?考えれば考えるほどどのようにも捉えることができ、立場の違う人間が集まっているためなかなかまとまりもつきませんでしたが、授業後の教室で、六甲道の焼き鳥屋で、深夜のメールで、意見をすり合わせていくうちにだんだんと方向性が見え完成させることができました。グループでテーマに沿って研究を行っていくことの難しさと楽しさを得ました。グループワークはケースプロジェクトだけではなくいろいろな授業で行われます。それぞれのグループで一緒に作り上げるので自然と距離が近くなり仲間意識がでてきます。MBAで横のつながりが持てるのはこのグループワークが多いのも一要因です。

この8ヶ月、土曜日の授業後はグループワークのグループやケースのグループ等、ほぼ毎回何かしらの飲み会に出席し同級生と交流しました。皆、土曜日は一週間をやり終えた開放感と気兼ねなく飲める同級生との飲み会のため非常に盛り上がり深酒となってしまいます。帰りの電車で寝てしまい気がつけば終着駅に行ってしまっていた等ハプニングが続出しています。

まわりの同級生ですが意識の高い方ばかりなのはもちろんですが、すごいものを持たれている方が多いです。オペレーションマネジメントの授業にて、そこまで分析しますか?というぐらい緻密な分析をする方、授業と仕事でいっぱいのはずなのにさらにいろいろなところで行動を起こしリーダーシップを発揮する方、調整能力抜群の方、気持ちのフォローのできる方、サプライズを起こす方…私にとってのMBAに通う意義の半分は同級生からの学びです。

6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。

技術者として20年間を過ごしてまいりましたが、これからは実務よりもリーダーとしての役割が求められます。今までは技術の深さの方向に知識をつけてまいりましたが、神戸大学で学んでいることにより面の方向に広がってきていると感じています。MBAで学んでいることは、経営トップの立場にないと活用できないものではなく、商品設計業務のリーダーの立場で活用できるものが多くあります。それらを業務に活かし、単なるマネージャーではなく変革できるリーダーとしてより高い視点で現在の職場に貢献したいと考えています。また、貪欲に上流の業務を求めて行きたいと思います。

7 .残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。

実は卒業することを少々恐れています。忙しいが楽しい今の環境が無くなってしまうと、心に穴が開いたような気持ちになるのではと思います。いずれその日はやってきますが、そのときに悔いの無いよう一層密度を上げて勉学と業務に励みたいと思っています。

また、今まで同級生とは授業やグループワーク、飲み会等交流する機会がありましたが、まだまだお話していない方々がおられます。今、一緒に勉強している方々は今後の人生において私の宝になるのだろうと思います。卒業までに、できるだけたくさんの方と深く交流する機会を持ち、卒業後もお付き合いしていただけるようしていきたいと思っています。