大武 幹治さん

三菱重工業株式会社勤務

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

三菱重工勤務の、大武幹治です。

昭和58年に、東京・丸の内の本社・技術本部・開発部に入社、国と電力会社を中心とした研究開発プロジェクトの企画推進に3年半従事しました。その後、企画したムーンライトプロジェクトを推進するため、現在の高砂研究所勤務となり、燃焼・伝熱研究室で熱源機器やエネルギープラントの研究開発、製造技術開発センターで全社のものづくり革新プロジェクトを推進、現在に至っています。

途中に、アメリカ・ダートマス大学に短期留学し2相流動技術をWallis教授に学んだ他、3年程の米国三菱重工・本社勤務で、アメリカの国や公共の研究機関、大学、企業間の技術折衝にも関与しました。

技術系の本社・開発企画業務からスタートし、研究所の研究開発・設計支援業務、さらには、海外事務所の技術動向調査・営業支援業務など、様々な仕事を経験してきました。

2. なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

ハーバード・ビジネススクールに留学経験を持つ元上司、MITで学んだ同僚、ダートマス大学・タックスクールに通っていた友人など、私の周りに多くのMBA経験者がいたことに加えて、私自身がアメリカやヨーロッパの様々な大学に学ぶ当社の留学生の技術交流会を主催していた時期があり、世界のビジネスの現場を肌で感じるにつけて、いつかは私もビジネススクールで学び直したいと考えるようになりました。

三菱重工・技術本部のResearch & Business Development Center化構想に従って、仕事で、製品の企画・営業から、設計・製造・購買、更にはアフターサービスに関連するバリューチェーンの強化、ビジネス全体の知識習得の必要性に迫られたことから、現在の業務を継続しながら深く経営学を学べる大学として、魅力に感じた神戸大学のMBAを選択しました。

3. 神戸大学MBAコースのカリキュラムの素晴らしい点を挙げるとすればどのようなところですか?

神戸大学MBAコースの素晴らしい点は、日頃、深く研究に取り組んでおられる先生方から、直接、専門分野を御指導いただけることです。欧米のビジネススクールと違って、現在の会社業務を継続しながら、経営学を学べる大学であることも素晴らしい点です。

また、神戸大学MBAの標準は1年半のコースで、最後に専門職学位論文の提出を義務付けられています。今年から学生の要望を聞いていただいて、遠隔通学者に対しても、土日コースのみで1年半で卒業できる選択肢も準備していただけるなど、社会人にとって学びやすいカリキュラムを揃えていただいていることが魅力です。

4. 神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか?

神戸大学に入学してから8ヶ月が経ちましたが、はっきり言ってハードです。今までを振り返ると、その慌しく過ぎ去った日々、常にレポートに追われている切迫感が、大きな割合を占めています。

みなさん一人一人事情は異なるかもしれませんが、私の場合には仕事との両立のため、睡眠時間を削る毎日です。1週間のレポート提出が6本のときもあり、毎日平均3時間の睡眠時間確保が精一杯で、金曜日はほぼ徹夜の毎日です。小島先生の経営戦略応用研究I・IIのグループワークは、ほぼ皆さんが、徹夜をしていると思います。

神戸大学に入学してから、家族のために過ごす時間は、ほぼ、無くなりました。しかし、神戸大学MBAの期間中は、学業に専念するのもよいかなと考え、頑張っています。

5. MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

神戸大学MBAの標準は1年半のコースで、最後に専門職学位論文の提出を義務付けられています。現在は、ちょうどその中間の時期で、ゼミの配属も決まって、日頃の講義と課題をこなしながら、論文作成に向けた専門知識の習得の時期に当たります。

現在の1週間のスケジュールは、平日の、火・金は18:30?20:00に大阪・中之島での第一線のシンクタンク的頭脳の持ち主、松尾(貴)先生のマネジメントコントロール応用研究と消費財・生産財の顧客接点、高嶋先生・先生のマーケティング応用研究を受講しています。土・日は8:50?17:00の神戸・六甲台キャンパスで、神戸の看板「ヒト系」の金井先生・高橋先生の組織行動応用研究とデルのサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の生みの親、松尾(博)先生のオペレーションズマネジメント応用研究を受講しています。これから、日本のものづくり、延岡先生のテクノロジーマネジメント応用研究の他に、磯辺先生の国際経営応用研究、渡邉先生のM&A戦略応用研究を受講する予定です。

今まで受講した講義は、4月の入学直後の、ハーバード大学仕込みの映像や聴衆の心をつかんだプレゼンでテンションの高いまま走り抜けた三品先生によるゼネラルマネジメント応用研究や、「リバイタリゼーション」をテーマにV字回復企業トップのインタビューを通じた調査研究(プロジェクト実習)、企業の財務指標の経営分析を一から学び、レポートと膨大な課題図書読破に追われた名物教授・小島先生の経営戦略応用研究I・II、砂川先生のファイナンス応用研究、丸山先生のミクロ経済学応用研究、原田先生のビジネスモデル応用研究です。

理系の仕事で、経営・経理・人事の経験がないため、この分野の経営戦略、ゼネラルマネジメント、マネジメントコントロール、組織行動論は、知識獲得の機会として最大限に活用することを目標に選択しました。テクノロジーマネジメント、マネジメント応用研究は、今の業務と全く同じ内容ですので深掘を目指して、選択しています。

仕事との両立のための時間の使い方は、土日の全てと、平日の3時間は勉強にあて、仕事の効率を上げて取り組む必要があります。私の場合には、日曜日の夜に、大まかな1週間分の課題とスケジュールを決め、平日夜には、帰宅後先に3時間の睡眠で疲れをとってから、課題レポート作成をおこなっています。出張も多く、急に仕事が入ることもありますので、その時は欠席した授業内容を穴埋めするなど、仕事と研究の両立は正直大変です。

社会人MBA生になって、改めて、家族や会社の同僚・上司、さらには、お付き合いをさせていただいているみなさんのご厚意のありがたさを身にしみて感じています。

6. ゼミではどのような事を学びたいと考えていらっしゃいますか?

日本の製造業がグローバル化と情報化の大きな環境変化に直面する中で、日本のものづくり企業の競争力強化に足りないものは組織にマッチした企業価値を高める戦略であり、ものづくりの現場すべてに存在する「コアコンピタンス」の強化であると考えています。

そこで、次の2つの研究テーマを設定して神戸大学MBAに入学しました。

  1. 事業の仕組みと競争優位の戦略、経営の視点から見たものづくり組織能力の構築
  2. ものづくりのあるべき姿の確立と、生産システム革新のための具体的方法論の習得

「SCM」とは、製品が最終顧客に届くまでの全てのビジネスプロセス連鎖であるサプライチェーンに含まれる全ての、或いは、主要なビジネスプロセスを統合的に管理することを言います。企業のプロセス能力が、経営戦略の選択肢を決めています。言い換えれば、「SCM」の戦略性が、企業の基軸を決めていると言えます。

松尾(博)先生のゼミでは、この「SCM」の研究について実践的な指導を受けています。特に、松尾先生のテキサス・オースチンのMBAにおけるデルをはじめとした有名企業の「SCM」の支援の実績は、企業価値創造、高速・キャッシュフロー経営、ローコスト・オペレーションに優れるデル・ダイレクトモデルやZaraのSCMの考え方に触れるなど、またとない機会となっています。また、同期のゼミ生は、多様なキャリアを持った実務経験豊富な仲間が多く、ゼミでの交流は自分自身を鍛え直す絶好の機会となっています。

専門職学位論文では、現在抱えるものづくり革新プロジェクトの問題意識に直結したテーマとして、この「SCM」を纏めたいと思っています。

7. 今後の学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか?

何事もあるべき姿を目指して、現状を学び、改善を加え続けてゆくことが大切だと思っています。まだまだ知識習得の半ばですが、現場に直結した理論を適用し効果を早期に実証して、日本のものづくり強化に少しでもお役に立ちたいと考えています。

また、漠然とですが、従来の欧米型にとらわれない現場に根づいた日本型MBAの体系の確立にも興味があり、こちらの分野も何らかのお役に立てれば幸いと考えています。

まずは、今後の学生生活、これらの目標を目指して、全力で取り組んでゆきたいですね。