金森 淳一郎 さん

株式会社デンソー勤務

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

1985 年に大阪大学大学院工学研究科前期(修士)を修了後、日本電装株式会社(現 株式会社デンソー)に入社しました。入社後はデンソーの生産拡大に対応するため社内向けの産業ロボットの制御開発に携わりました。その後、産業用ロボットを外販し、事業化するプロジェクトに事業企画として参加しました。以降、様々な新規事業開発を経験しました。現在は、冷暖房事業部でカーエアコンの制御システムや、住宅用CO2給湯機の制御システム開発のマネージャーをしています。

2. なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?

神戸大学の MBA を知ったきっかけは、弊社の教育セミナーに神戸大学の金井教授がいらっしゃってお話を聞かせて頂いた折に、「お医者さんや、弁護士の方など社会的に成功している人も、経営の勉強をすべく神戸大学に入学されている。一皮剥けるような経験をどんどんしなさい。」とご助言をうけ、一皮剥けさせてもらえそうな先生方やクラスメートのいる神戸大学でぜひとも学びたいと思いました。

経営学の一流の先生方と生で接することができる点と、志の高く、かなりユニークなクラスメートの皆様と議論できる点が非常に魅力的です。

3. 神戸大学MBAコースのカリキュラムの素晴らしい点を挙げるとすればどのようなとこ ろですか?

神戸大学MBAコースの素晴らしい点は、座学だけではないという点です。科目によっては、課題レポートのボリュームも要求レベルも高く、自ら有価証券報告書や調査を行いケーススタディや戦略を作り上げたりもします。日曜日にも集まりクラスメートと自主的な討論を促す授業のしくみは非常に楽しいです。ありきたりのケーススタディで終わらないところが神戸大の面白さです。

また、神戸大学独自のカリキュラムであるプロジェクト研究(通称ミニプロ)では、実際の企業を訪問し生の声を集めながらリサーチする手法も経験しています。企業を訪問すると、その企業の人達と新たな輪ができ、お互いにメールで情報交換するようになったり、新たなビジネスのヒントを得たりして刺激的です。

4. 神戸大学に入学して半年が立ちましたが、半年を振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか?

入学する前は神戸大学のホームページに「毎日のように徹夜が続く」と書いてあるのを眺めながら、仕事と両立できるかと相当不安な気持ちでした。特に私の場合は愛知県からの遠距離通学になることと、5歳、3歳、2ヶ月の子供達がいたので家庭もそれなりに忙しく仕事と家庭と学業が成り立つのかと思いました。

しかし、やってみればなんとかなるというのが今の感想です。1日のうちのちょっとした時間をかき集めれば1日3時間ぐらいの勉強時間は確保できますし、遠距離通学も新幹線を図書館にしたり、ベットにしたりといろいろと使い道があることがわかりました。最近は帰りの新幹線でも必死でレポートを書いています。クラスメートには東京、広島、福井などから通われている方もおり、関西圏以外の方も遠距離だからとあきらめずにぜひチャレンジされたらどうかと思います。

5. MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。

入学前から会社の中での新規事業開発に興味がありましたが、市販の経営に関する本をいくら読んでも、ありきたりのことしか書かれておらず、心の琴線に触れるものはありませんでした。

しかしながら、神戸大学の土曜日のカリキュラムは特に優れた組み立てになっており、一瞬にして引きずり込まれます。 三品教授のゼネラルマネジメント応用研究で、優れたゼネラルマネージャーはどういう人達なのかをビデオを交え、その視線の配り方、執務態度、言動までを細かく教えて頂きました。試験はかなり難しいので覚悟しておいた方がいいです。

加登教授のビジネスモデル応用研究では、優れたビジネスモデルを採用するレストランやコンビニに実際に出かけて体感することもでき感動しました。世の中のビジネスの工夫に全く鈍感であったことに気がつき、反省している次第です。この講義で学んだことは職場で話しているのですが、みんな「なるほど!そうやって儲けているのか!」と楽しみに聞いてもらっています。職場の刺激にもなり、たいへん役に立っています。

遠距離通学の場合、土曜日の講義は絶対に落とせないので、集中して勉強する必要があります。がんばって取っても金曜日の夜の講義ぐらいですので、多い目に単位を取っておくことはできません。よって、毎週の土曜日の講義は集中して聞くようにし、 5分でも復習をしっかりするようにしています。暗記することは苦手なので、習ったことを実際の仕事に当てはめて理解するようにしています。

仕事と勉強を両立させるために、朝5時におきるようにして書いたり考える必要のあることは、朝2時間ぐらいで済ますようにしました。インターネットで資料を集めたり、メールでクラスメートと意見交換したり、グラフを作成したりする作業は疲れて帰ってからでもできます。平日でも1日3時間の捻出は必要です。私の場合は、日曜日の昼間は子供と目いっぱい遊ぶことにして、日曜の夜や早朝は勉強にあてています。

6. これからゼミでどのような事を学びたいと考えていらっしゃいますか?

自分の修士論文のテーマに関する新事業開発のことも学びたいのですが、社会科学的な課題をどう解決していくのか、どう考えていけば解けるのかを一番学びたいと思っています。失敗した事例をみると、教科書にやってはいけない事例としてのっていたりするのですが、どうして当たり前と思われることが、当たり前にできないのか?といったことを解明していこうと考えています。

現在は小川進教授のゼミにはいっています。マーケティングやイノベーションマネージメントをご専門にされている先生で、毎回、痛快なアドバイスをいただいております。先生からは、「まずは自分と対話し、どんな現象を問題としているか」を明確にできないと何も始まらないと教えていただきました。

仕事に追われる毎日では課題をいかに早く解くかということばかりですが、ゼミを通じて、課題は何かをはっきりさせることが、解決の第一歩だと思えるようになりました。

7. 今後の学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか?

入学して半年が経ち、漸く生活パターンになれたところです。レポートを短時間で書き上げるコツもある程度つかんできましたので、多少余裕がでてきました。後期も楽しみな講義が続きますのでとても楽しみです。例えば、自動車部品メーカの技術者としては、 延岡教授のテクノロジーマネージメント応用研究をしっかり勉強したいと考えています。

講義で使われる教科書も多すぎて読みきれないのですが、仕事と家庭と学業のバランスを保つにはある程度の割り切りは必要だと思います。本は後からでも読めるので、在学中は先生やクラスメートとの交流に重点を置きたいと考えています。神戸大学で習得できる無形資産は、一生利益を生み続ける投資だと確信しております。

 
 

前の記事

平川 由紀子さん

次の記事

大槻 博司さん